重低音のBlue Canary

♪ 思いつくままを、つたない文と photo で …

瀬戸電。

2006-11-30 | つれずれ
先週、愛知県瀬戸市「岩屋堂公園」に紅葉を見に行った帰り、
愛知万博の関連事業として昨年オープンした瀬戸市の観光ミュージアム「瀬戸蔵」(せとぐら)に寄ってきました。

そこに、これがあると、最近になって知ったからです。



名古屋市「堀川」~瀬戸市「尾張瀬戸」間を走っていた頃の、愛称「瀬戸電」です。


1905年 瀬戸自動鉄道として開業。客車に蒸気機関を内蔵した「蒸気動車」を「瀬戸」~「矢田」間で運転。
1906年 瀬戸電気鉄道に社名を変更。「矢田」~「大曽根」間が開通。
1907年 電化して電車の運転を開始。
1911年 「大曽根」~「土居下」間、「土居下」~「堀川」間が開通し全通。
1939年 名古屋鉄道(名鉄)が瀬戸電気鉄道を合併。
――という歴史を当時知っていたわけではありませんが、
小学時代、学校の近くにあった「大津町」駅から「土居下」駅までのたった1区間を、
かえって遠回りになるにもかかわらず、
貯めていた小遣いをはたいて時々、この電車に乗っていた懐かしい記憶があるからです。

小学生の1区間の運賃が「5円」だった時代の話です。



展示されていたのは、本物の車両を半分切断したようですが、
車内は、昔のままです。




今でもはっきり覚えている特徴は、
乗降口の扉が――、



分かりますか?
「手動」だったことです。
最後に乗った乗客が扉を閉め、鍵を掛けます。

その「重大任務」を自分が担いたくて、
みんなが乗り終わるまで、必ず列の最後に並んで待っていたものです。


その後「瀬戸電」は、
1976年 「堀川」~「東大手」間を廃止、「東大手」~「土居下」間を休止。
1978年 「栄町」~「東大手間」の地下新線が開業、名古屋市の地下鉄と相互乗り入れ。
――となり、
私が昔、乗り降りした「大津町」駅も「土居下」駅も、無くなってしまいました。


当時の写真を、ネットで見つけましたので、拝借しました。



橋の下を走っていることがお分かりいただけると思いますが、
この「瀬戸電」の「堀川」~「土居下」までの3駅間は、
実は名古屋城の、
水を抜いた外堀の「底」を走っていたのです。

なので「瀬戸電」はまた、「お堀電車」とも呼ばれて親しまれていたのです。


上の写真付近の現在の様子が、これです。



レールが撤去されただけでなく、
「大津町駅」の駅舎の影かたちもありません。


ただ……。
残っているものが、
1つだけあります。

これです。




お堀の中の「大津町駅」へ下りて行く階段だけが、
壊されずにまだ残っています。



開業以来何百万人、いや、何千万人が踏みしめたかも知れない、駅に通じる階段――私も、その1人だったのです。


ええ、
年配者にありがちな感傷だと、
笑っていただいても全然構いません。

そんなふうに言って開き直れるほど、馬齢を重ねてきたのは事実ですから。


ですから、
感傷ついでに、
戯言(ざれごと)をもう一言。

人生を、
敷かれたレール通りに進むのは、
容易ではありませんね、と。


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
昔の (kawa)
2006-11-30 22:39:07
電車ですか。思わず、感傷に浸ってしまいます。
こんなに豊かで、生活もよくなったのに、昔がよかったと思うのは、一体、何なのでしょうね。
(でも、ネットとブログがある時代で、ありがたいです)
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歴史の重み (ピーちゃん)
2006-11-30 23:12:25
昔があって、今がある・・・
当たり前の事なんですが、uwanosora443のブログを
読ませていただき、そんな風に感じました

生活の中で、便利すぎてかえって不便に感じることも、あったりするんですよね(わかりにくいかしら?)


大変勉強になった内容でした
ありがとうございました
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kawaさんへ (uwanosora443)
2006-11-30 23:34:56
「昔のほうがよかった」とは必ずしも思いませんが、物質的な豊かさを手に入れた代わりに、失った物も決して少なくないことを、年配者は体験として知っているだけに、「これでいいのか?」と、つい自問してしまうんでしょうね。
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「ピーちゃん」さんへ (uwanosora443)
2006-11-30 23:43:41
「昔があって、今がある」――その通りですよね。先人が築いて来てくれたことへの「ありがたさ」を、時々は思い出し、感謝していれば、私たちはもっともっと幸せになれるのかも知れませんね。
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ん―――… (mori-kuma)
2006-12-01 02:02:06
 胸が詰まりそうな光景だったんじゃないですか?
 知らない、アタシでさえ、あの残された階段を見て
胸が打たれますもん・・・。

 その階段を何度昇り降りしたか…とuwanosora443さんは
ことさら胸にしみるのは当然のことでしょう
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瀬戸電 (miko)
2006-12-01 18:16:25
大津町駅に下りる階段、捨てられてしまった風景に人は心を揺さぶられるのですね。

重大任務・・もし瀬戸電が今もあったならuwanosora443さんは任務を遂行していたのでしょうか?
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mori-kumaさんへ (uwanosora443)
2006-12-01 20:50:25
矛盾しているかも知れませんが、思い出の「場所」や「物」が、いっそのこと残っていなかったほうが気が楽、という場合も、時にはありますよね。この階段がそうだというわけではありませんが――。
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mikoさんへ (uwanosora443)
2006-12-01 20:53:48
ぜひ果たしていたいですね、「重大任務」を。
だからなんでしょうね、「いいトシをして、子供みたい」と周囲に嘲笑(わら)われるのは。
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