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【課題作文】良く眠る

   課題:眠り 2005年11月21日

「悪い奴ほどよく眠る」という映画は、政治汚職の問題なので、わかりにくく、タイトルだけが記憶に残っている。これを「強い奴ほどよく眠る」とすると、ピンと来る。例えば、ライオンのオスは日ねもす眠っているらしい。サバンナで一番強いので、ほかの動物に襲われる心配はないし、食料の調達はメスの役割なので、走り回る必要も無い。

 例としてふさわしいどうか分らないが、脳裏に浮かぶ情景がある。私が高校生のころ、うちで一番先に寝るのは、母だった。毎晩九時には床に就く。郊外の中学に通う弟の朝食を作るため、五時に起きる必要があるからだという。隣室で父と私は、深夜まで起きて、勉強や作歌をしているのだが、母は受験生の娘に夜食を作るとか、夫を気遣うとかいう、このような立場の妻や母のしそうなことはテンで念頭にないらしく、逆に、うっかりコトリとでも音をたてて母の眠りを妨げようものなら、翌朝になって、大罪を犯したかのごとく糾弾されるのだった。

これをライオンすなわち強者の行動と見るか、飼い猫の気ままな行動と見るかは意見の分かれるところだが、「えさ」すなわち収入を得る仕事を一切父に任せて、母があれほど堂々と振舞っていたのは、考えてみると不思議である。
私は、海外との時差のある仕事をしている夫に付き合って、寝不足になったり、不眠症になったりしている。明治生まれの母のあの意思の押し通し方を見習うべきかどうか、平成の今日、娘は迷っている。

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母の思い出はいくらでもあるが、思い出すと旧い怒りが新燃岳のマグマのごとくとめどなく噴出して来るのが困りもの。教室に提出する場合は、それでは説得力に欠けるので抑えて客観的に書くように努めている。だから、この人(母)が肯定的人物に見えるかもしれないが・・・・・・。八木先生も「これはやはり強者の眠りというべきでしょう。家の大黒柱の自信がなくては、とてもこうはふるまえません」と批評しておられる。先生もコロッとだまされるほどの母は、実はアスペルガー症候群だったようだ。彼女は100歳を目前にしてまだボケず(初めからちょっと狂っていたとも言えるが)健在だ。         
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コメント
 
 
 
Unknown (K.S)
2011-02-06 16:09:38
この「眠り」も以前出されていたんですね。お母様の「眠り」、なかなかシビアな内容ですけれど、私の母もなんだかんだと言っても、兄がまず一番でしたよ。わたし達3人の娘は後回しやったように思います。兄にはかなりの教育ママをしていましたが、わたし達にはまったくでしたもの。母はそんなことはないと言いましたが・・。ご健在とはうらやしいです。初めからちょっと狂っていたなんて、ほんとに辛口ですね。
 
 
 
Unknown (Bianca)
2011-02-06 18:13:35
K.S.さま、コメント有難うございます。
親はじっと見つめる子供の思いに気づいていないと思います。どの子もかわいいが、弱い子や出来ない子には手厚くなり、しっかりした丈夫な子は放っておくのでしょうか?脳が狂うと、体が丈夫になるらしいと、医療関係者も言いますが、双方の母たち、衰える気配がありません。なんて、台風かなんかみたいですね。
 
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