映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
「塀の中の中学校」
2010 日本 124分 TBSドラマ DVDで鑑賞
監督 清弘誠 脚本 内館牧子 原作 角谷敏夫
出演 ●生徒
山田善太郎(39歳)・・・千原せいじ 放火(死者1人)12年
佐々木昭(76歳)・・・・大滝秀治 妻を殺害 7年
西川房雄(66歳)・・・・すまけい 常習的結婚詐欺 7年
川田希望(50歳)・・・・ 渡辺謙 2人殺害 12年
その息子 ・・・・ 森山未来
田中秀一(22歳)・・・・染谷将太 殺人未遂 4年6か月
●教師
石川先生(29歳)・・・オダギリジョー
その父 ・・・・橋爪功
ほかにも、蟹江敬三、矢崎滋、村田雄浩、高橋克実、角野卓三などの役者をそろえ、ぎっしりアンの詰った饅頭のよう。
長野県松本市の松本少年院の中にある松本市立旭中学校の桐分校。そこには全国の受刑者で義務教育を終えていないものの中から態度の良いものを集めて1年間で3年分の教育を施している.原作者は教師として35年間その学校に勤めた角谷敏夫さん。
今の日本にも中学を卒業できなかった人々がいるのだということは言われてみなければわからないし、1人も欠かさず、全員に教育を施そうと情熱を燃やすのが、いかにも日本人らしい。
ドラマの出演者が全員男性である。やや作り事めいているのが、生徒はいずれも一芸に秀でているか、心根の良いか、人好きのするものばかり(米国人の4分の1混血で大富豪を装うすまけいはジャック某と称して、半生を女性に不自由せず、ついに女性が貢ぐ金ほしさに公金横領し、彼女と同時に彼も捕まった)それ以外は衝動的だが根は善良な者たちであるのでやむを得ぬ事情でこうなったが、外にいる人とどこが違うのだろうと思わせる。
感動したことばやシーンは多すぎて書けない。あまりにも多いのが欠陥に思えるくらいだ。
中で身近に感じたのは千原せいじとオダギリジョーである、自然な演技で地に近いのではと言う感じ。
千原は前からアスペルガーではと思っていたが、組織に適しない様が良く表れている。
また親子関係の麗しさが感動もの。
字の読めないことが理由で2人殺した渡辺謙、その幼い時別れた息子が何十年ぶりに訪ねてきたが、なんと大学教員になっている。差入れの宮沢賢治の童話、父は読む自信がない。しかし1年後、彼は「よだかの星」の素晴らしさを熱く語るのである。
石川先生は、教師と言う職業にまだ疑問を抱き、本当はプロの写真家として生きたいと思う。しかし国家公務員になった息子を「肩身が広い」と喜ぶ高卒の父親。父親は翌朝早く出発、彼の作った卵料理がラップして置いてある。この、一生身を粉にして働いてきた父に、何も言えずに微笑んでいる息子も孤独であり、大人である。
劇団の立女形の染谷将太は、実は高校球児が夢だった。しかし彼の舞台姿はとても色っぽかった。学校にやってくれないと恨んで刺した父親の面会にかたくなな態度を取り続けるが。父が歩み寄るとき、息子も逆に歩み寄る。この父と息子の関係は理想的だが、有り得る確率は低い。卒業式で歌う「雲は湧き光あふれて」の歌は千原せいじが歌い怒らせていたのだが、そのせいじも今は学園を去っていない。
分校の修学旅行で訪ねた本校で歓声と横断幕で迎えられるシーンも良かった。
生まれつき、理由もなく、真から悪いという人間は、内館牧子の世界にはない。それだけ、彼女は一徹で、視野が狭いとも言えそうだ。横綱審議会唯一の女性委員として朝青龍とがっぷり四つに組んだ時はイヤな女に見えたし、小説「エイジハラスメント」は後味が良くなかったが、「ひらり」で堪能した脚色の腕は、20年たっても健在だった。
→「学校」13-11-14
染谷将太
→「パンドラの匣」10-11-3
→「WOOD JOB(ウッジョブ)!」14-5-18
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