映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
映画「愛のお荷物」
1955 日本 111分 DVDにて鑑賞 英題≪BUNDLE OF LOVE≫
監督&脚本 川島雄三 出演 山村聡 山田五十鈴 轟夕紀子 三橋達也 菅井きん 東野栄治郎
映画は蛙のケロケロと言う合唱で始まるが、当時は妊娠の判定に蛙が用いられていたのである。
終戦後10年、今とは逆に日本の勢いは上り坂。人口の増加こそが悩みの種なのだ。
山村聡の厚生大臣を、菅井きんの野党議員が「今や人口8900万人。やがて1億になる、どうするつもりか」と追及。
(今は「やがて1億を切る」と騒いでいる。いつの世も日本人は心配ばかりしている。)
産児制限を唱える厚生省のトップが、娘、息子(三橋達也)の恋人(北原三枝)、女中、ご隠居さん(東野栄治郎)、妻(轟夕紀子)にまで子供ができ、果ては昔の愛人(山田五十鈴)にも子供がいたと判明、で一挙に家族倍増、このへんはドタバタ喜劇風。
窮地に立つ大臣だが、防衛庁長官に任命され、万事めでたしめでたしとなる。
子供の軍隊を山村聡防衛庁長官が閲兵している清水崑のマンガは、子供が愛らしいだけに恐ろしい。
他に小沢昭一 芦田伸介 笠智衆 殿山泰司 小澤榮太郎 三島雅夫 フランキー堺 など豪華な顔触れの助演者だ。
川島雄三(1918-1963)は青森県下北郡田名部町(いまのむつ市)出身、45歳の若さで他界したひと、病身ゆえか世の中を斜に見ているが、陰鬱さや重苦しさはなく、軽妙洒脱で都会的、この人の悪戯っ子のような表情、太宰を思わせる濃い顔も好きだ。作品は「幕末太陽伝」は例外として「洲崎パラダイス」「とんかつ一代」「貸間あり」「女であること」「青べか物語」「箱根山」は楽しく見た記憶がある。変り種は処女作の「還って来た男」。原作が織田作之助「清楚」で1944年、戦時中の作品。
原作:アンドレ・ルッサン「あかんぼ頌」岩田豊雄訳(1954)
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