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映画「女はみんな生きている」


2001 仏 112分 DVD鑑賞 監督脚本 コリーヌ・セロー  原題≪Chaos≫
出演 カトリーヌ・フロ ヴァンサン・ランドン ラシダ・ブラクニ オレリアン・ウィイク

原題の「Chaos」は「混沌」つまり秩序の反対。主婦と娼婦が手を取り合って男社会に反乱を起こす。
エレーヌ(カトリーヌ・フロ)は、20年間仕事と家事にいそしんできたが、ある夜偶然出会ったアルジェリア人娼婦を親身に看病することで、自分の生活を見直す。おかげでのうのうと暮してきた亭主や息子、ヒモやマフィア組織は大慌て。

監督のコリーヌ・セロー(女性)は男2人と女1人の共同生活「彼女と彼たちーなぜいけないの」を1977年に、独身男3人が赤ん坊を育てる「赤ちゃんに乾杯!」を1985年に製作し、実生活では3人の子どもを事実婚で得ている。これは現状を考えればフランス社会の流れに沿っている。ただ半歩だけ時代より進んでいる彼女の生き方が作品にも反映されているのだろう。喜劇的な表現でフェミニスト嫌いの連中の反感も買わず、進んでいる分刺激もありで、結局みんなに受けるのだろう。

メイキングによれば監督は肉を好む「肉食女子」のようだ。そのせいか、冒頭からアルジェリア女性への暴力と鮮血迸るシーンがあり、臆病な私はびっくり仰天、その後もずっとびくびくしながら見る羽目に。だからあそこで夫ポール(ヴァンサン・ランドン)が車をロックして保身をはかったのを非難できない。数人の男に追われ、猛烈な勢いで走ってきた娼婦ノエミ(ラシダ・ブラクニ)がフロントガラスに貼りついて「助けて」と叫ぶ、あの形相を見たら大抵の人は本能的にそうするだろう。暴力沙汰に関わり合いたくないと思うのは人情だ。それをまるで人のように言うのはどうだろう。
エレーヌは、翌日その女性の入院先を探し当てて、家庭を放り出してしまで看病する。常日頃、どうも夫や子供に等閑にされているらしいという漠然たる不満から、誰かを愛し、つながりたいという思いが勃然と芽生え姉妹愛の形を取ったのか。むしろこちらの方が驚くべき行動に見える。国境のない医師団を創設したフランスならではだろうか。

それから、母親を煙たく思う男どもだが、それもわかる。彼等は別に露骨に拒否するのでなく、ただ敬遠し逃げまわるだけなんだから、まあ勘弁してやれば。それより、母たちも、息子に恋々とせずに、自分の楽しみなり生甲斐なりを見つけて颯爽と出かければ?そういうと「子供を持ったことのない人には分らない」の決り文句が聞こえてきそうだが、こういう光景を見れば、子供がいなくて何と幸せなことかと思える。

カトリーヌ・フロは「大統領の料理人」に続いて見る。丸い顔と大きい目が愛らしく、性格も良く、いかにも職場でも家庭でも重宝されそうな感じである。娼婦ナオミ(ラシダ・ブラクニ)は美人との声が高いが、ひどく痩せており、仕草も表情もマンガ的に見える。息子ファブリス(オレリアン・ウィイク)はなかなか整った甘い顔立ちで、こんな子なら母親が溺愛するのも無理はない。夫のヴァンサン・ランドンは損な役だが、悲惨と滑稽がないまぜになり、憎めない。エレーヌが愛して結婚し何十年も連れ添っただけのことはある。老いたる母親は気の毒であったが、その年になるまで息子一筋に生きてきたのがそもそも心得違い。これからは女性の友情に目覚めて幸せになってほしい。毎年1か月もパリに滞在するのなら、息子の連絡を待つだけで時間を浪費せずに、街を見物して回ればいい。

カトリーヌ・フロ
 →「大統領の料理人」15-2-23
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