映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
映画「さよならをもう一度」

1961米 120分★午前十時の映画祭★松江SATY東宝
原題 英 ≪Good-bye,Again≫仏≪Aimez-vous Brahms?≫
監督 アナトール・リトヴァク 原作 フランソワーズ・サガン
出演 イングリッド・バーグマン イヴ・モンタン アンソニー・パーキンス
中年のカップルとわかものの三角関係を描いているという点で「悲しみよ、こんにちは」に似ている。サガンがこれらを書いたのは10代から20代にかけてだが、中年女性(デボラ・カーのアンヌは42歳、バーグマンのポーラは40歳)の魅力を、なぜ彼女はこれほどに追求するのだろうか。
原作では、たしか若者が泣きながら笑って走っていく所で終わる。(映画では表に飛び出すアンソニー・パーキンスの目にあふれる涙がキラキラと輝いて美しかった。)
この映画の終わり、鏡に向かって化粧を落とすバーグマンが、「悲しみよこんにちは」の冒頭、セシルが鏡に向かうシーンにつながり、小説の「ものうさと甘さがつきまとって離れないこの見知らぬ感情」という冒頭が、そのまま映画の終わりのポーラの心情になりそうだ、この連環に、サガンの世界が2作品の間で閉じて完結しているような気がする。
アンソニー・パーキンスが演じる、年上の女性を熱烈純粋に思慕する若者フィリップ(小説ではシモン)それはもしかするとサガン自身だったかも知れないし、もう一人、小間使いの少女は、デートに行く女主人の服をそろえ風呂を立てたりするが、直前に電話が来てダメになる度に何も言わず服を元に戻す。彼女の視点もサガンのものかも。忙しい夫や恋人の都合に合わせて、いつも待ち続ける妻や愛人への共感があるのか、会場には私より少し上の70代と思われる女性が目立った。仕事も成功し、恋人もおり、素晴らしい家に住み、豪華なおしゃれも楽しんでいる女主人公だが、幸せのように見えて、その底には諦めがある。
「サガン 悲しみよこんにちは」という伝記映画を見ると彼女は晩年は女性と暮しており、バイセクシュアルだったとの事で、早く母を亡くしたこととも合わせ、年上の女性への一貫した強い関心に、納得するものがあった。
映画が米国製で、英語で演じられているのはちと残念。
パーキンスは「死んでもいい」とこの作品での彼が最も美しいと長澤沢セツは言う。
過去の鑑賞歴
1988年5月10日に(TV放映を録画)
1998年4月20日にシネマカリテ(今の新宿武蔵野館)で月曜女性割引1000円
この日は満員で立見もいた。帰りに「ブラームスはお好き」を探したが品切れ。
●アンソニー・パーキンス
→「死んでもいい」 7-8-19
●イングリッド・バーグマン
→「カサブランカ」 11-12-21
→「火刑台上のジャンヌ・ダルク」 8-12-7
●フランソワーズ・サガン
→「サガン 悲しみよこんにちは」10-3-9
→「サガン 疾走する生」 11-12-5
→「愛という名の孤独」 11-12-8
●バイセクシュアル
→「モンテ・ヴェリタ」 12-5-8
→「エデンの東」 7-7-12
●長沢セツ
→「美少年映画セミナー」 6-10-19
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「サガン 悲しみよこんにちわ」をレンタルしてきたばっかりです。今から観ようと思います。
お待たせしました!バーグマンはちょっとなあ、というのは私も賛成です。「悲しみよこんにちは」もアメリカ映画だし、サガンは外国の方が映画化しやすいのかな。その『髪の毛のもつれ』のシーンは官能的ですね。映画化したらレズビアン風になるのでは。ただパーキンス短髪。もともとが運動好きで、米大陸を自転車横断しているし、「のっぽ物語」ではバスケット選手を演じたこともあるし、小説のシモンとは大違い。ただ、この映画でカンヌ男優賞をとっているから、評判はよかったみたい。「サイコ」までは前途洋洋だったのに、最後は60歳でエイズで死んでます。ところで「サガン、悲しみよこんにちは」はいかがですか?
「サガン 悲しみよこんにちは」は、辛い映画でした。サガンについては、本を通してこんな女性とイメージしていて、ほぼそのとおりなんだけど、晩年がね・・。
好きなシーンは、18歳のサガンが、煙草を吸いながら、本屋の向かい側の通りに立って、眺めているところ。「悲しみよ こんにちは」でデビューしたときです。細くて、若くて、ショートヘアーで。パリの不良お嬢さんはこんなふうなんだと。寄り添う肩がほしい、そのために愛する、というけれど、それを壊したのは才能だったのでしょうか。たどりつけない旅は、苦しいですね。
忙しくて返事が遅れてごめんなさい。パーキンスの受賞は私もびっくりしました。多分、アイドルだった彼がそのころ立続けに文芸ものやギリシア悲劇の役をやったのが勝因では。長澤セツの「美しい」というのは主に骨格ですので。「頭蓋骨が小さい」「手の幅が細い」などが好みのようです。映画自体はDVDを買う事もないと思います。「死んでもいい」なら別ですが。パーキンスの晩年はアンディ・ウォーホルとそっくりなのは気づいていました?
「渚にて」を観て納得しました。やはり素敵でした。無駄な肉はひとつもなく、きれいだし、着こなしもおしゃれ。でも、ようくみてると、晩年の様子がほのみえる感じが、悲しいです。このときはまだ、28歳なんですね。私の好きなグレゴリー・ペックが主演なのでレンタルしたのですが。1960年にこのような映画が作られていたんですね。
パーキンスを認めていただいてうれしいです。ペックも我家では2歳上の姉が大のファンでした。「子鹿物語」のお父さんが素敵で、それ以来ではないかしら。この「渚にて」は未見なんです。検索したら、良い映画みたいなので、見てみたいと思います。エヴァ・ガードナーもフレッド・アステアも出ているんですね。彼は踊らず歌も歌わないけれど風変わりな科学者なんて、いかにも似合いそう……。