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【本】鶴は病みき

芥川龍之介 晩年の像
 
岡本かの子の1936年のデヴュー作。かつて、鎌倉でたまたま同宿した芥川龍之介への20日間の見聞を元に、自殺した彼を悼んで書かれた作品。

かの子については長年、岡本太郎の母であることしか知らず、異様に白粉が濃く肥った女性という印象だった。が、初めて読んで、文章力に驚き、関連書を次々と読んで分ったのは、夫・一平や息子・太郎との関係が常識をはるかに超えていて、

一平・かの子・太郎のこの3人は「芸術の挺身隊」だと太郎が言うように、純粋が過ぎて壮絶である。同居人(後の島根知事・恒松安夫や医師・新田亀三)との関係も、まるでフランス映画に出てきそうで、進んでいるのか、遅れているのか、とにかく現実離れしている。
 
私の早とちりで、自分を「病んだ鶴」に例えるとは、この女性、どんなナルシストだろうと、長年思い込んでいたが、芥川のことなら、巧い見立てかもしれない。彼は河童を自認していたが、恒藤恭が「翡翠」カワセミになぞらえたように、むしろ鳥に近いようだ。

岡本かの子(1889-1938) 出版 筑摩書房 1978 
芥川龍之介 1927年7月24日自殺
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