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映画「家族の庭」

 左からジョー、メアリー、ジェリー

2010 英 2h10 県民名画劇場 島根県民会館にて 原題 ANOTHER YEAR
監督・マイク・リー 出演 ジム・ブロードベント レスリー・マンヴィル

初老の夫婦(トムとジェリー)とその友人たちの一年を春夏秋冬の4章で描いている。妻ジェリー(レスリー・マンヴィル)は穏やかで落ち着いた語り口がミス・マープルを思わせる女性。夫のトムは「マーガレット・サッチャー」で夫を演じたジム・ブロードベントで、この映画でも頼もしい相棒といった役割だ。

ジェリーはカウンセラーをしているが、その顧客が厄介な連中であるのはわかるにしても、友人知人がそれに勝るとも劣らぬ問題児で、彼女は他人の感情に四六時中つきあわされている。週末、夫と家庭菜園で過ごすときだけは癒しの時間だ。

この映画を見ていると、英国の小説を読んでいるような気がする。その特徴はどうでもいいような些事の描写がダラダラ続くことである。そして、異様な事件や目の覚めるような美しさがないことだ。

この映画を見ていると、楽しい感じはせず、むしろ退屈を覚える……まるで日常生活のように。英国式ユーモアというのはこのような退屈で楽しみのない人生を、泣き言を言わずに耐えるのに役立つのであろうか。

~~~~これからネタバレあります!!~~~~

冒頭、カウンセリングを受ける女性はずっとしかめっ面で、これが喜劇女優のイメルダ・スタウントンなので笑える。
     
また、いつまでも若くてモテるという幻想に陥っているメアリーは、到着するなり人の話を聞かずに喋りまくる癖に「わたしは聞き上手だから、何かあれば話を聞くわよ、相談してね」と言う。こういう人は自分の話を聞いてほしいだけのこと、私もこういう人に覚えがある。

性格破綻者ばかりが出てくるかと思うと、後半、明るく快活で思いやりのある若い女性が登場する、これがジョー(息子)の許嫁である。観客はヤレヤレ、ようやくこの夫婦も話を聞いてもらえるのかと、一息つく。が、メアリーは大ショックを受けている。どうやら例の幻想を抱いていたらしい。

最後の「冬」の章で、トムの兄が妻を喪い、もともと偏屈ものだったが、一層陰鬱になり、、夫婦のうちに同居する。これは最悪の事態だぞと思っていると、意外な展開で、

~~~~ネタバレ終わり~~~~


「冬来りなば春遠からじ」「人間万事塞翁が馬」だから、短気を起こさず、思いやりを持って、気長に生きていれば悪いことばかりではないという、英国の倫理を踏まえた大人の映画。

英国の小説
⇒映画「テス」2011-10-19
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