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【映画】らくだの涙

2003年 DVD 91分 独 監督 ビヤン・バスレンダバー ルイジ・ファルロニ 原題 The Story of the Weeping Camel 出演 インゲン・テメー ボトック 

ミュンヘン映画映像大学で学ぶルイジ・ファルロニ(伊男性)が同学のビヤン・バスレンダバー(蒙女性)からこの話を聞いて興味を持ち、共同の卒業作品として制作したものが評判を呼んだ。

らくだには、出産後、育児拒否するものが出る。そんな時、遊牧民は伝統的に音楽で治療するという。ルイジ・ファルロニによると、繁殖期の3月から4月のころに現地に入ったが、零下20度に風速42mと言う苛酷な気候と慣れない食物のために、スタッフの何人かがいつも体調を崩していた。たまたま初産で難産のらくだがこの症状に陥ったので、この映画が作れたのは、まさに好運だった。ルイジ・ファルロニは人間と同じく動物にもこの現象があることに興味を持ったと言う。母性の複雑さに関心を持つのが若い男性であると言う点で、私をひきつけた。乳を求めて寄ってくる子供を威嚇したり、蹴飛ばしたりする母親を見て、人間の幼児虐待と重なって痛ましさに目を背けたくなった。もっとも、都会から呼んできた馬頭琴名人の演奏と、女性の歌とマッサージのお蔭で、母らくだは癒され、母子は何も無かったかのように結びついた。母性の一筋縄では行かないのを感じさせる。ここの「涙」とは、音楽を聴いた母の目に浮ぶ涙であり、乳をもらえない子のそれではない。

それと別に、モンゴルの馬頭琴と歌声の素晴しさ、地方と都会の格差、らくだを乗りこなす男の子の逞しさなど、興味深い映像が多々あった。最後にパオ(モンゴル語ではゲル)つまり住居の外に巨大なパラボラアンテナが据えられて、遊牧民の暮らしにもTVが入リ、小さな男の子は大喜びだったが、大自然の中の伝統的な生活が今後どう変わっていくだろうと言う微かな危惧も感じさせる。
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