映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
北御門二郎
2012年02月19日 / 本
北御門二郎(1913~2004)
この名前に初めて触れたのは、いつごろだったろうか。
トルストイの誤訳を指摘することに情熱を燃やしている人がいる。
徴兵検査をひたすら逃げ回り、結局精神異常者として兵役を免除された。
どちらの場合にも、奇矯なイメージが付きまとった。
しかし、かれの実像に長い年月の末、やっとたどり着いた、この喜びを語りたい。
「誤訳指摘ばかりしていないで、自分で訳してみろ」といわれて、訳し始めたのが、60歳を過ぎてから。そしていま彼の「復活」「アンナ・カレーニナ」「戦争と平和」「イワンの馬鹿」「幼年時代」他が出ている。
手に取ってみて、驚いた。なんと読みやすい文だ。年齢からして、堅苦しい文かと思っていたら、なんと柔らかで、やさしい文だろう。東大英文科を休学して満州に渡りトルストイを翻訳するためにロシア人の家に寄宿し、ロシア語を学び、トルストイの絶対平和主義に殉じて一生を棒に振ったような人、その人はまた、優れた翻訳能力をも擁していたのだ!!!そして、「トルストイとの有縁」で彼の写真を見ると、なんと女性的とも言える、優しい面差しであることよ。愛と優しさと意志の強さのある男性が、あの武断の県・熊本、漱石も揶揄した第五高等学校から出ているということも、また驚きだ。
北御門二郎の著・訳
「トルストイとの有縁」
「ある徴兵拒否者の歩み」
「トルストイ戯曲集」
「イワンの馬鹿」など。
山村基毅
「戦争拒否ー11人の日本人」
→「文読む月日」21-10-13
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