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祖母語


祖母は五軒先に住んでいた。夏の日、彼女は、小柄ででっぷりとした体に黒や灰色や灰青色の服をまとい、よちよち歩いて外出先から帰って来て、うちの玄関で日傘を畳みバッグを置いて、しばらく母とお喋りしていった。

祖母は、老眼鏡ごしにひとをじろっと見て「仰のいて唾するのと一緒」が口癖だった。上を向いて唾すると自分に落ちてくる、つまり人を呪えば穴ふたつということか。

彼女は福井出身で常識に富んでおり、調停委員もして、観察と判断に自信があったらしい。
ただ弱点は外来語に弱いことで

「アクセリー」とは「アクセサリー」の
「デバート」とは「デパート」の彼女流の言い方だ。

71歳で亡くなった彼女は当時60代後半だったろう。
56年経った今でも、彼女を語るときにまず蘇るのがこの「祖母語」である。

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コメント
 
 
 
Unknown (セレンディピティ)
2017-12-05 23:18:52
Biancaさん、こんにちは。
古いブログをずっと放置していて
今日初めてBiancaさんからのコメントに気がつきました。
お返事が遅くなって失礼しました。
TBはそのままにしておきます。

Gooブログ、先月TBを廃止してしまいましたね。
あれはあれで便利なところもあったので残念です。

お祖母様は福井のご出身なのですね。
ご結婚で鹿児島にいらしたのでしょうか。
これからどんなお話が飛び出すか、楽しみにしています。
 
 
 
Unknown (Bianca)
2017-12-06 09:10:47
セレンさん、わざわざありがとうございます。
どうもTB不調が続くと思っていましたが、そうでしたね…。
記念にそのままにしておくのもいいかもしれませんね。

祖母は、そうだったんです。読み物の続きをお楽しみに。
 
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