セレンディピティ ダイアリー

映画とアートの感想、食のあれこれ、旅とおでかけ。お探しの記事は、上の検索窓か、カテゴリーの各INDEXをご利用ください。

マティス 自由なフォルム @国立新美術館

2024年03月17日 | アート

招待券をいただいて、乃木坂の国立新美術館で開催中の「マティス 自由なフォルム」展に行ってまいりました。

ポスターのメインビジュアルは「ブルーヌードIV」(1952) 。オルセー美術館所蔵、マティスの切り絵の代表的作品です。肉体賛歌を感じる、私も大好きな作品です。今回の美術展ではニースのマティス美術館が所蔵する作品が多く展示されていました。

マティス展は、思えば昨年の夏に行ったばかりですが

【過去記事】マティス展 (2023-08-02)

今回は特に、舞台衣装やタペストリーの数々が心に残りました。また、前回映像で見たヴァンスのロザリオ礼拝堂を、再現展示で体感できたのも楽しかったです。絵画のみならず、総合芸術家としてのマティスの魅力を堪能しました。

これはマティスの作品ではなく、マティスの所有品で「赤いムシャラビエ」というタイトルの北インドのタペストリーです。ムシャラビエというのはアラブの格子出窓だそうですが、刺繍とアップリケが施され、透かし模様の入った手の込んだものでした。

エキゾチックな赤色がいかにもマティス好み。このタペストリーが背景に描かれたマティスの作品「小さなピアニスト、青い服」(1924) と並んで展示されているのも、おもしろい趣向でした。

ストラヴィンスキーが作曲したモダンバレエ「ナイチンゲールの夜」が1920年にパリで初演された時、マティスが美術と衣装を担当しました。クラシックバレエとはひと味違う衣装が斬新。バレエの映像も迫力があって、興味深かったです。

「ポリネシア、海」(1964)  1964年のマティスの切り絵をもとにしたタペストリーです。

ここから先の展示室は写真撮影可となっていました。

「花と果実」(1952-53) 写真だとお伝えしにくいですが、5枚のキャンバスを並べた大型の作品です。果実はどこに? 中央の左寄りに、オレンジ3つが3組描かれています。

テラコッタのタイルが12枚並べてあります。どれもマティスらしいカラフルな切り絵のモチーフです。ワカメ?のように見えるのは「パルメット」というヤシの文様のようです。

「蜜蜂」(1948) こういう幾何学的な作品、好きです。蜜蜂はどこに? おそらく白と黒の四角で構成されているのが蜜蜂を表しているのだと思います。

前回のマティス展と同様、ヴァンスのロザリオ礼拝堂に関する展示です。マティスは礼拝堂の調度品だけでなく、司祭服一式もデザインしました。色違いで6種あり、こちらは白地の司祭服一式です。海藻類のフォルムがデザインされているということです。

フィナーレを飾るのは、ヴァンスのロザリオ礼拝堂の再現展示です。前回のマティス展で見た映像が、立体的に再現され、臨場感をもって体感することができました。

ライティングで、朝から昼、夕方、そして夜へと日光の移り変わりが表現され、真っ白な礼拝堂内に反射する、青と黄色のステンドグラスの模様がとてもきれいでした。

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横浜中華街 福臨閣さんで飲茶を楽しむ

2024年03月10日 | グルメ

横浜に用事があって出かけたついでに、横浜中華街でお昼をいただくことにしました。いつものパーキングに車を停めて中華街大通りに向かうと、すでに大勢の観光客で大賑わい。熱気に飲み込まれそうになりましたが

この日は飲茶にしようと決めていたので、あまり迷わず目に留まった 福臨閣 (ふくりんかく) さんに入ったところ、あっけなく待たずに席に着くことができました。お昼にはまだ早い時間だったのがよかったのかもしれません。

お客様がいなくなったところを見計らってパチリ。中華街らしい赤を基調にした華やかなお店も楽しいですが、こちらは精巧な細工を凝らした欄間や仕切り壁が美しく、クラシックな佇まいが落ち着けました。

福臨閣さんは広東料理のお店で、一般のお料理もたくさんあり、特にフカヒレが一押しのようでしたが、私たちは飲茶のメニューを見て、片っ端から選びました。人数が少ない時は、少しずついろいろなお料理が楽しめる飲茶はうれしいですね。

海鮮入りライスペーパー揚げ。見た目は春巻きに似ていますが、柔らかい皮の中に、魚介がごろごろ入ったコロッケ風の一品です。

海老蒸し餃子。飲茶でははずせない一品。薄皮に透けた海老のお色が美しく、ぷりっとした食感が楽しめました。

お茶はジャスミンティをいただきました。蓋を開けると、陶器の茶こしが入っていて、その茶こしを蓋の上にはずしていただきます。お茶はお湯を差して何杯でもおかわりできます。

カニ卵入り焼売。皮の薄黄緑色にカニ卵の赤が映え、おいしくいただきました。

夫の大好物の春巻き。巻き方の美しさ、パリッとした食感はプロならでは。

小籠包。れんげを持ってきていただいて、熱々のスープがこぼれないようにいただきました。

これも夫の大好物の叉焼まん。甘辛く味つけした叉焼は、肉まんとはひと味違うおいしさ。

これをご存知の方は、同世代でいらっしゃるかもしれません。夫と懐かしい~、まだあるんだね、と盛り上がりました。昔は呼出しボタンはついてなかったような... 進化しているんだね、と感心しました。

飲茶のお料理を一気に平らげた後、最後の〆に海鮮焼きそばをいただきました。小さな中華鍋に入っているのがかわいい。魚介もちゃんと2つづつ入っていて、けんかせずに?分けられました。^^

中華街では春節の飾りがまだ飾られていて、余韻を楽しむことができました。横浜中華街は、老舗が閉店する一方で、新しいお店が続々とできていて、栄枯盛衰を感じますが、何度訪れても楽しい場所です。

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Trattoria motomu.N 自由が丘の小さなトラットリア

2024年03月09日 | グルメ

自由が丘は身近な街ですが、時間を気にせず、あてもなくぶらぶらしながら、たまたま見つけたお店でお買い物したり、食事をしたりするのはほんとうに久しぶりでした。

いつの間にか、時間に追われる日々の中で、知っているお店で効率的にお買い物したり、食事をしたりするのが当たり前になっていたような気がします。

資生堂パーラー~ヤマダ電機のある通りは、近年こじんまりとしたおしゃれなビストロやトラットリアが次々とオープンしているエリア。どこにしようかな~と行き来しながら、前から気になっていた Trattoria motomu.N (トラットリア モトムN) に入ることにしました。

コンクリートのシンプルな外観。5席くらいのカウンターと10人くらいのテーブル席だけの小さな小さなイタリア料理店ですが、焼きたての自家製フォカッチャ、ワインにあうおいしい前菜の盛り合わせなど、何度も通いたくなる魅力的なお店でした。

焼きたて、湯気ほかほかのフォカッチャ。あまりにおいしくて、久しぶりにホームベーカリーでフォカッチャが焼きたくなり、この日は富澤商店に寄って強力粉やイーストを買って帰りました。

前菜の盛り合わせ。この日はとても寒かったので、温かい前菜を4種用意してくださったとのこと。揚げたポテトに自家製リコッタチーズ。じゃがバターのようですが、より洗練されたお味でした。

となりはあやめかぶ、そして芽キャベツ。オリーブオイルで蒸し煮にしているのでしょうか。家でもよくやる大好きなお料理法です。そのとなりはお野菜とお豆をくたくたに煮たもの。素朴な風合いでとてもおいしかったです。

奥は冷たい前菜です。まぐろのカルパッチョ、レバーパテとドライのいちじく、テリーヌ2種。

どれもワインに合うお料理だったので、グラスでワインをいただきました。お店のスタッフのお勧めでいただいたのはオーストラリアのナチュラルワイン、RICCA TERRAです。ラベルのデザインもすてきでした。

パスタを2種類選んでシェアしたら、最初から2つのお皿に分けてくださいました。こちらはサルシッチャとキャベツのコンキリエです。サルシッチャに使われているセージが香り高いパスタ。春キャベツもそろそろ出始めていますね。

魚介のイカ墨のラグースパゲティ。細かく刻んだ魚介にイカ墨がからみ、風味豊かな一品でした。

食後にはイタリアンコーヒーとビスコッティ。ビスコッティをコーヒーにディップしながら、おいしくいただきました。

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Restaurant & Bar TOKi 奈良の食材を使ったスペイン料理

2024年03月02日 | グルメ

夫の誕生日のお祝いランチに、まだ~むさんに教えていただいた奈良のアンテナショップ「奈良まほろば館」2階にある Restaurant & Bar TOKi に行ってまいりました。奈良まほろば館は、以前は日本橋室町にありましたが、いつの間に新橋に移転していたのですね。

室町にあった時はたしかショップのみだったと記憶していますが、今回レストランができて、とてもうれしいです。落ち着いた雰囲気の中、ゆったりと食事が楽しめる、洗練された大人の空間でした。

席数が抑えられていて、静かにくつろげるのがよかったです。テーブルの上のナプキンが、きちんと折られているのではなく、ふわっと泡のように置かれていたのが新鮮でした。

こちらのお店は、奈良にあるスペイン料理レストランとのコラボレーションで、奈良の食材を使ったモダンなスペイン料理がいただけます。週末はランチ、ディナーともにコースのみとなっています。

テーブルの上に置かれた本日のコース名は「奈良・東京・スペイン『冬』」とありました。蛇腹に折られたメニューに、謎めいたお料理名が書かれていて想像をかき立てます。メニューを押さえているのは、シャーレー風のガラス器に入った薬師寺の石です。

飲み物は、夫は奈良の日本酒「大倉」をいただきました。少し重さのある日本酒で、力強さを感じるお味です。酒器は奈良県の赤膚焼。端正な美しさに見惚れました。

私は、橘花 KIKKA GIN という奈良のクラフトジンを、トニックウォーターで割っていただきました。柑橘系の清涼感があって口当たりよく、私の好きなお味でした。お食事にもよく合いました。

さて、最初のひと皿は「分解再構築 カンパチ・春菊・白菜」というお料理です。なにやら難し気な名前ですが、私はスペインのエル・ブリのお料理を思い出しました。

というのも、これは日本の鍋料理を分解し、前菜に再構築したお料理なのです。湯引きしたカンパチ、春菊のソース、生の白菜の薄切りに、りんごの薄切りをあわせ、鍋特有の白菜の甘さを表現。そして、ねぎのような細い薬味が添えられていました。

「冬の香りのソパ 土の香りの芋」という名のお料理です。ソパとは、スペイン語でスープのこと。冬野菜のねぎを使ったポタージュの中に白子、上に香ばしいお芋のチップスが添えられています。

器は奈良県の赤膚焼。2月にちなんで器の外側に「福は内」と小さく書かれ、スープを全部いただくと、器の底になすびの形のおかめの絵が現れる、という遊び心あふれる演出でした。

「秋に咲き、冬に楽しむ」という名のお料理。タイトルはスペイン料理にかかせない、サフランのことを指しています。お料理は、奈良の名産、三輪そうめんを使ったパスタ料理で、サフランを使ったソースであえてあります。

右に添えられているのは、北海道産の牡蠣。牡蠣も冬には欠かせない食材ですね。サフランとは意外な組合せですが、よく合いました。

「バカラオ・ピルピル 結崎ネブカ」お魚料理です。バカラウとは、干し鱈のことです。以前、ポルトガル料理にはまっていた時に、バカリャウ(干し鱈) をよくいただいたのですが、スペインも地理、文化が近いので干し鱈をよく食べるのですね。

【過去記事】ポルトガル料理を楽しむ (2009-11-25)
      渋谷「マヌエル」のポルトガル料理 (2013-06-11)

ピルピルというのは、もどした干し鱈を焼いた時に皮が縮む時の音、結崎(ゆうざき)ネブカは大和野菜(奈良の野菜)のねぎです。

お肉料理の「鴨と蕎麦」。肉厚の鴨肉がとてもおいしかったです。スタッフの方が、途中でグラスに入ったわさびの一口かき氷のようなものを持ってきてくださって、それを鴨肉の上にのせて、味変していただきました。

デザートは「タルタ・デ・サンティアゴと奈良の栗」。タルタ・デ・サンティアゴはスペイン伝統菓子のアーモンド・ケーキですが、泡々で隠れていますね。左は奈良の栗を使ったアイスクリームです。鹿の絵の描かれたかわいい食器は、こちらも赤膚焼です。

食後の飲み物はコーヒーなどもありましたが、せっかくなので奈良のお茶3種類の中から、紅茶(奥)とほうじ茶(手前)をいただきました。色が淡くて驚きましたが、お味はまぎれもなく紅茶とほうじ茶。まろやかで優しいお味でした。

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小石川「わたべ」さんのうなぎ

2024年02月24日 | グルメ

うなぎが大好きな夫の希望で、文京区・小石川にあるうなぎ料理専門店「わたべ」さんに行ってまいりました。場所は春日駅から歩いてすぐ。偶然ですが、以前友人が住んでいたマンションの1階でした。^^

創業昭和23年のうなぎ料理の老舗で、当初から70年以上継ぎ足してきたというタレを使用。蒸したてをふっくらと焼き上げる、東京伝統のうなぎがいただけます。店内はきりりとした老舗らしい佇まいで、スタッフの細やかな心配りにも感激しました。

こちらのお店では、注文を受けてからうなぎを蒸し、焼き上げるため、それまでの間、ゆっくりとお酒とお料理が楽しめるコースをいただきました。先日、京都でうなぎの白焼きをいただきましたが、夫は私に、東京の白焼きも食べさせてあげたいと思ったようです。

もともと代々魚屋を営んでいたというだけあり、お造りも絶品でした。

お酒は、本日のおすすめという、石川県の「手取川」をいただきました。すっきり、きりりとした口当たりで、お造りやサラダによく合いました。

最初の一品は、天ぷら。しらうおと、ふきのとうの2種類を、お塩とすだちでいただきました。しらうおは大葉で巻いてありましたが、淡泊でむっくりとした食感があっておいしかったです。ほのかな苦みを感じるふきのとうは、春ならではのお味でした。

お塩でいただいたので、どちらも素材そのもののお味が堪能できました。

しらすと水菜のサラダ。シンプルな和風ドレッシングであえてあり、さっぱりといただきました。

これはコースに入っていないお料理ですが、レバー串をいただきました。うなぎのレバー? 肝串とはどう違うの? と思いましたところ、レバーは肝臓で、肝は内臓を指すようです。肝吸いに入ってる肝はひょろりと長いですが、うなぎのレバーはフォアグラに似ていました。

うなぎ一匹からレバーが少ししか取れないため、一串に8匹分くらいのレバーを使っているという貴重な一品です。

ここで次のお酒。夫の好きな新潟の「久保田」をいただきました。クセがなくて飲みやすく、人気のあるお酒です。先ほどは、モダンなうすはりの酒器でしたが、土ものの酒器も趣があってすてきです。

白焼きです。蒸さずに焼いているということでしたが、身がふっくらとして柔らかく、絶妙な焼き加減でした。おろし山葵、たたいた粒山椒、小葱のみじん切り、お塩でいただきましましたが、特に山葵がよく合いました。

そしていよいよ、うな重が運ばれてきました。お重箱の絵が気になりましたが、これはなんの木でしょう。朴?栃?後でネットであれこれ画像を見比べて、柏の葉かな?と推測していますが、お店の方にお聞きすればよかったです。

何はともあれ、ふたを開けると、お重箱にきっちりと収まったうなぎの端正な美しさに感動しました。あっさり、すっきりとしたタレが主張しすぎず、ふっくらとやわらかいうなぎを引き立てます。これまでの人生で一番、というくらいおいしいうなぎでした。

食後のデザートは和三盆のアイスクリームでした。ほのかな甘さが口の中で儚く溶けて、食事の後の心地よい余韻を味わいました。

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大沼国定公園散策

2024年02月17日 | +函館

函館旅行記の続きです。これまでの記事はこちら。

1.函館ひとり旅 ベイエリアから元町へ
2.暮れなずむ元町 ~ 函館の夜景
3.函館朝市の風景 ~ 紅葉の五稜郭
4.箱館奉行所 ~ 五稜郭タワー ~ 函館麺厨房あじさい
5.函館元町洋館めぐり ~ 立待岬

3日目は、箱館から少し足を延ばして、大沼国定公園を訪れました。

大沼国定公園は、函館本線の終着駅である、函館駅から特急北斗に乗って約30分。函館の市街地を抜けると、畑が広がる牧歌的な風景が続きます。

大沼公園駅に着きました。大沼公園は、駒ケ岳の大噴火によって、折戸川がせき止められてできた景勝地。駒ケ岳を背景に、大沼、小沼、ジュンサイ沼の3つの湖沼と、大小の島々が作り出す、四季折々の風景が美しく、日本新三景に指定されています。

大沼公園は函館より少し北にあるため、紅葉はほとんど終わりかけでしたが、枯葉色の風景もまた味わい深いものでした。園内ではサイクリングやカヌーなど、さまざまなアクティビティが楽しめますが、私はこの美しい風景の中を歩いてみたいと思っていました。

旅先でハイキングやトレッキングを楽しむのが好きですが、今回はひとり旅なのでどうしようか迷っていました。でも、大沼公園は観光客が多く、ウォーキングコースが整備されていて人通りもあるので、安心して歩いて回ることができました。

静けさをたたえた神秘的な湖、紅葉がわずかに残った晩秋の雑木林、道を進みゆくうちに次々と現れる水辺の美しい風景に、うっとりと引き込まれました。

後ろに見えるのは、大沼国定公園のトレードマークでもある、駒ケ岳です。駒ケ岳という名前の山は全国各地にあるので、この山の正式名称は北海道駒ケ岳となっています。ツンと先がとがった形がユニークで、遠くから見てもすぐにわかります。

園内にある湖畔のレストラン、ターブル・ドゥ・リバージュ でお昼をいただくことにしました。

山小屋風の建物は、リゾートホテルを思わせる雰囲気。ストーヴの火が赤々と燃え、ほっと落ち着けました。

私は、大沼牛を使ったリバージュ特製ローストビーフのセットをいただきました。地元食材を使ったサラダやスープ、パン、飲み物がつき、旅行に来て初めてちゃんとした食事をしたような気がします。(ひとり旅は食事の場所に困るのが悩み) ようやく生き返りました。

旅行したのが11月の頭だったので、ハロウィーンの名残りでしょうか。敷石に大きなかぼちゃが飾ってありました。真っ赤に色づいたドウダンツツジの植込みが、とってもきれいでした。

食事の後には、雑木林の中をてくてく歩きました。

木漏れ日の美しさにはっとしました。バルビゾン派の絵画のような風景です。

違う角度から、駒ケ岳をパチリ。キューピーちゃんの頭を思わせる山頂に思わずにっこりでした。

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アウトフィット / 終わらない週末 / 忘れられし愛

2024年02月12日 | 映画

Netflixで見た映画3作品です。

アウトフィット (The Outfit) 2022

1950年代のシカゴ。仕立店を拠点にマフィア組織内の争いが展開。店主のイギリス人裁断師は、はからずも危険な状況に巻き込まれていくことに...。(Netflix HPより)

ブリッジ・オブ・スパイ」のマーク・ライランスがシカゴでいわくありげな仕立屋を演じるなんて、おもしろくないわけがない!と楽しみにしていました。ある意味、マーク・ライランスという存在自体、壮大なネタバレのような気もしますが。^^;

それでもマーク演じる裁断師はどういう役割をはたしているのか?そしてその目的は? そして、同じくいわくありげなお店の受付嬢はいったい何者なのか?裁断師とはグルなのか? 疑問が次から次へと浮かんできて、画面から目が離せませんでした。

マフィアとの頭脳戦の緊迫感もすさまじく、この場面をどう切り抜けるのか?と手に汗握り、引き込まれました。物語が仕立屋の中だけで進行するワンシチュエーションムービーゆえに、ミスリードを引き起こしたり、想像力を刺激したりして、おもしろかったです。

終わらない週末 (Leave the World Behind) 2023

のんびり週末を過ごそうと、豪華な別荘を借りた一家。だが到着早々、サイバー攻撃により携帯やパソコンが使えないという不測の事態が起こる。そして、玄関口に見知らぬ男女2人が姿を現す。(Netflix HPより)

Neflixの予告を見て、おもしろそう!と鑑賞。オープニングはシャラマン監督の「オールド」を想起させ、ジュリア・ロバーツ、マハーシャラ・アリ、イーサン・ホークという豪華キャストにも期待がふくらみました。

サイバー攻撃、核の危機、奇怪な自然現象、第三国によるテロ、あるいは宇宙からの侵略等、地球の終末、人類の終末を予兆させるできごとが、次から次と起こるものの、それが何なのか、ここ以外の場所ではいったい何が起こっているのか、さっぱりわからない。

私たちは脆弱で、ネットやメディアから与えられる情報がなければ、まったく手も足も出せないのだと思い知らされました。このような状況下で、最先端の自動車であるはずのテスラがバグって、無人のまま追突事故を起こすのは強烈な皮肉でおもしろかった。

静かに忍び寄る恐怖は感じるものの、伏線回収はなく、最後までもやもやしたままで終わります。ラストの妹ちゃんの行動は、世界で何が起こっているかよりも、今の自分の欲望の方が大事、という現代の子どもそのもので、まったくもってシニカルでした。

忘れられし愛 (Znachor / Forgotten Love) 2023

かつては有能な外科医として尊敬を集めていた男は、家族に去られ、記憶まで失ってしまう。だが、過去とともに忘れ去った人との再会をきっかけに、人生を取り戻すチャンスを得る。(Netflix HPより)

原題の Znachor はポーランド語で偽医者という意味です。1937年、1982年と過去2回映画化されたのも納得の、時代を超えて共感できる父子愛、そしてロマンスの物語です。ベタなストーリー展開で結末も想像できますが、素直に心に響き、快く泣ける作品でした。

オープニングの手術^^ の場面、それに続く新聞売りの少年のエピソードから、主人公の誠実で温かい人格が伝わってきて、胸がいっぱいになりますが、多忙で家庭を顧みない彼は、妻にとっては決して理想の夫とはいえなかったのでしょう。

その後の運命の残酷さに打ちのめされつつも、映画を見ている私たちは、彼のすぐ近くに一番会いたい人がいることを知っているので、いつか訪れる再会を確信しつつ、もどかしい気持ちに翻弄されることになります。^^

娘役の女優さんも、凛とした清潔感があって魅力的でした。映画を見ながら、この誠実さは父親譲りなのだなーと納得しました。あまり悪い人が登場しないのも、この作品の魅力かもしれません。

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麻布台ヒルズ探索

2024年02月11日 | おでかけ

Dining33 に食事に行きがてら、麻布台ヒルズの中を探索しました。

神谷町で長らく再開発の工事をしていたのは、この辺りをよく通るので知っていましたが、何ができるのかは知らなかったので、ある時突然覆いが取れて、前衛的な建物が出現した時には驚愕しました。

この建築を最初に見た時は、フランク・ゲーリーかと思ったのですが、イギリスのトーマス・ヘザーウィックという建築家でした。ヘザーウィックは、ニューヨークの新名所、ハドソン・ヤードの Vessel (ヴェッセル) などで知られる建築家です。

レストランの入っている森JPタワーのエントランスも、アートな魅力にあふれていました。

中央広場には、奈良美智さんの「東京の森の子」という彫刻作品。

森JPタワーのオフィスロビーには、オラファー・エリアソンの「相互に繋がりあう瞬間が協和する周期」という作品。エリアソンは、現在 麻布台ヒルズ ギャラリーで、開館記念の展覧会が開催されています。

森JPタワーのショッピングエリアに、フラワー・アーティストのニコライ・バーグマンさんのお店がありました。写真は、バラの花びらを10,000枚以上使ったプリザーブドフラワーの作品です。

森JPタワーのショッピングエリア。近未来的なデザインで、どこを切り取っても絵になります。無機質でクールなデザインは、北欧かどこかの空港を思わせました。

私たちが食事をした Dining33 のある33階は、展望フロアとなっています。こちらは南方面の風景。右の方に見える、下が細くなっているビルは、元麻布ヒルズです。

南西方向の風景です。右に見える高いビルは六本木ヒルズです。はるか遠くに雪の富士山が見えます。

南東方向の風景です。目の前に東京タワー、向こうにお台場などの湾岸の風景、そして東京湾が見えます。

展望フロアの様子。時間が早かったせいか、そこまで混雑していなくてよかったです。

麻布台ヒルズはいくつものエリアに分かれ、効率性よりも移動を楽しむことを重視していて、レジデンス棟、オフィス棟等、まるでひとつの街のようだと思いました。

これからオープンするレストランやショップもたくさんあるようなので、また折に触れて訪れたいと思います。

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Dining33 @麻布台ヒルズ

2024年02月10日 | グルメ

2023年11月にオープンした麻布台ヒルズの森JPタワー33階に入っているフレンチレストラン、Dining33 でバースデイ・ランチをいただいてきました。

オテル・ドゥ・ミクニ (一時閉業中) の三國清三シェフがプロデュースするこちらのレストランは、東京タワーを目の前に食事が楽しめる絶好のロケーションです。この日はランチのコースをいただきました。

まずはお飲み物ですが、こちらのレストランではお味の想像がつかないユニークなオリジナル・カクテルが何種類もあったので、試してみることにしました。

低いグラスに入っているのは、フロマージュ フィズ。なんとブルーチーズ、ラム酒、ベルガモット、ココナッツ、パイナップルという組合せです。透明ですが、飲むとわずかに青カビの風味がします。ブルーチーズを溶かした上澄みだけを使っているのかな?と想像しました。

私はノンアルコールのハーバルピーチにしました。白桃、ルイボス、ローズヒップ、大麦という組合せですが、濁ったカクテルというのが意外でした。白桃が入っていますが甘すぎず、ルイボスの清涼感がありました。

奥に見えるのは奥会津金山天然炭酸水というスパークリングのミネラルウォーターです。どこかで見たボトルと思ったら、以前銀座レカンでいただいたお水でした。

アミューズは、たまねぎのムース。上に小さく刻んだうどが2片のっていて、春の香りがしました。

パンはフォカッチャでしょうか。ピザ生地のようでもあり、インドのナンのようでもありました。のびがよくふかふかしています。にんにくをオリーブオイルでのばしたペーストをつけていただきますが、にんにく特有の香りがなくて感動しました。

前菜は、紅富士サーモンと深谷もやしのマリネ赤いサラダ、レモンドレッシング。ここからは2人分が1枚のお皿でサーヴされ、自分たちで取り分けていただきます。フランス料理にもやしという組合せがおもしろい。

赤いサラダには、トレヴィス、赤ピーマン、ビーツ、ピンクペッパーなど。上のもじゃもじゃは、ビーツを素揚げにしたものだそうです。赤いサラダというと、軽井沢の万平ホテルでいただいたディナーを思い出します。

お魚料理は、スズキのグリエ、春キャベツ、新牛蒡、新じゃが、新玉葱、ミニトマト、アンチョビソース。これも2人前がひとつのお皿にのっていて、取り分けていただきます。最近は、牛蒡をフランス料理に取り入れるのもポピュラーになりつつありますね。

こんな風に取り分けてみました。ソースを控えめにかけたので、野菜そのもののお味が存分に楽しめたように思います。

お肉料理は、ホロホロ鳥の山菜とフォアグラ詰め 山菜ヌイユと株とりなめこ、ソースレフォール。ホロホロ鳥の包み焼きがどかんとのって、ソーセージみたい。上にセージの葉がのっています。こちらも取り分けていただきます。

メニューにはソースレフォール (ホースラディッシュソース) とありましたが、間違いかもしれません。お代わりのパンはバゲットでした。

こんなに大きななめこは初めて見ました。ねばねば感もありません。パスタはバジル?と思いましたが、山菜が練り込まれていたようです。

ホロホロ鳥の中に、ふきのとうなどの山菜とフォアグラが詰め込まれています。わずかな苦みが春の味覚。淡泊なホロホロ鳥によく合いました。

デザートは、キウイのデリス 青りんごのソルベとライムのジュレと泡・金柑のシブスト・サフランのアイス。

すっかり忘れていましたが、予約の時にバースデイのことをお伝えしていたので、バースデイのメッセージとキャンドルをつけてくださり、バースデイソングをオルゴールで鳴らしてくださいました。

食後のお飲み物と小菓子は、マカイバリ茶園のオーガニックダージリンとパッションフルーツのマカロン。ティーコゼーが小籠包?のようでかわいかった。^^ 大きなマカロンもさわやかな酸味が広がってとてもおいしかったです。

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函館元町洋館めぐり ~ 立待岬

2024年02月03日 | +函館

だいぶ間が開いてしまいましたが、函館旅行記の続きです。これまでの記事はこちら。

1.函館ひとり旅 ベイエリアから元町へ
2.暮れなずむ元町 ~ 函館の夜景
3.函館朝市の風景 ~ 紅葉の五稜郭
4.箱館奉行所 ~ 五稜郭タワー ~ 函館麺厨房あじさい

2日目。五稜郭の近くで函館ラーメンをいただいた後は、市電に乗って元町方面にもどりました。1日目は夕方、教会のあるエリアを少し歩いただけだったので、まだ見ていないエリアを歩くことにしました。

市電の末広町の駅を降りると、ペパーミントグリーンのかわいらしい洋館が目に留まりました。ここも見学できるのかな?と近づくと、なんと一般の会社でした。あとでググったところ、1913年築の建物で、相馬株式会社という不動産会社さんの社屋でした。

ここから基坂を上り、函館市旧イギリス領事官(開港記念館)を訪れました。

旧イギリス領事館は、1859年の函館開港と同年に設置されたそうですが、こちらの建物は(先ほどのペパーミントグリーンの洋館と同じく)1913年に建て直されたとのことです。

現在は、かつての領事館の様子や開港当時の函館の姿を伝える開港記念館となっていて、内部を見学することができました。

かつての領事執務室を再現し、市民に愛されたリチャード・ユースデン領事のことが紹介されています。

こちらはご家族がすごしたお部屋です。お茶のセットが置かれているところがイギリスらしい。温かみのあるブリティッシュカントリーのお部屋やインテリアに、ほっと心が和みました。

裏庭に回ってみました。バラが植えられた洋式庭園で、ヴィクトリアン調のガゼボや、ブロンズの噴水が設えられています。

わずかにバラが咲き残っていましたが、私の心をとらえたのはこちらの紫陽花です。きれいに色づいたまま乾燥し、ドライフラワーになっていました。

旧イギリス領事館を出て、さらに坂道をのぼると、元町公園にぶつかります。高低差を上手に生かした見晴らしのよい公園で、紅葉がきれいでした。その向こうに箱館港が見えます。

元町公園を通り抜けると、ライトブルーとクリームイエローのコントラストが美しい洋館、旧函館公会堂が現れます。

1907年の大火で焼失した集会所を、豪商 相馬哲平氏の寄付により、1910年に再建したということです。ここで私は、え?相馬?

最初に見た、ペパーミントグリーンの洋館の会社が相馬さんだったではないですか。あとからググッて、相馬哲平氏は函館で投資家として財を成した実業家で、この地の社会貢献に尽力した名士であることを知りました。

3階には大広間のほか、皇太子殿下(後の大正天皇)や摂政宮殿下(後の昭和天皇)、上皇上皇后両陛下が、ご宿泊や休憩・ご昼餐されたお部屋が並んでいました。

御寝室

御食堂

正直、明治時代の函館に、このような豪華な集会所があったということに驚きましたが、同時に、港町というのは多くの文化が集まり、交わり、地域の発展の源となる場所なのだということを実感しました。

そして私が、神戸、長崎、函館と港町に惹かれ、親近感を覚えるのは、自分が横浜で育ち、港町の成り立ちや発展を、幼い頃から実体験として感じていたことと、決して無縁ではないものと思います。

***

この後、ホテルにもどるにはまだ早い時間だったので、函館山の南端にある立待岬を訪れることにしました。市電の終点、谷地頭駅から歩いて20分。途中の墓地で、石川啄木のお墓に立ち寄りました。

石川啄木といえば岩手出身とばかり思っていたので、函館にお墓があることを不思議に思いましたが、啄木は函館に4か月ほど住んでいたことがあり、妻の希望でこの地に埋葬したことを知りました。

ようやく立待岬に着きました。昼間はあれほど晴れていたのに、夕方にかけてあっという間に雲が広がり、一瞬ですが雨が降りました。荒涼とした海は津軽海峡。その向こうに、津軽半島がうっすらと見えました。

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