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【映画】選挙

2007年 日・米 監督 想田和弘 出演 山内和彦 小泉純一郎
鑑賞@第七芸術劇場 120分

身近な風景も、映画を通して見ると、新たな発見がある。客観化ということだろうか。山内和彦さん(当時40歳)は2005年川崎市議補欠選挙に応募し、自民党公認で立候補した。居住地から遠い、いわば「落下傘候補」だ。山内さんは気象大学校、信州大を中退して東大を卒業、切手・コイン商を営み、政治に関心はあっても縁の無い生活だったのだが。

 同じ東大卒で、NYで映画を撮っていた想田氏(当時35歳)がたまたま街でポスターを見た人から聞いて「あの山内さんが自民党で?」と興味を持ち、このドキュメンタリーを作った。東大卒の共通点とは何かと、見ながら考えずにはいられなかった。入試を勝ち抜くために、出題者の意図を汲み取り、それにそった解答をする能力、つまり最小限の国語と算数の知識と風向きを読み取る嗅覚。そして目標を定めたら、その後は内なる思考・批判・懐疑の能力を一時的に停止して、その目標達成のために忍耐強く、馬力をかけて邁進する。。これらは選挙戦を勝ち抜くにも有効かも知れない。
 同窓会で集まった旧友の反応がおかしかった。よくしゃべる山内氏に対して皆、かなり無口である。眼差しには秘めた懸念がたゆたうが、彼らの表情が雄弁にこの事態の奇妙さを語っている。

 ふと、きだみのるの「気違い部落周游紀行」を思い出した。半世紀を経ても、川崎市でも八王子の山村でも、変わらないなあと。想田監督によれば、日本人のその他の社会の人間関係の特質がここ、自民党選挙事務所には現れている。

 ナレーション、音楽、解説抜きである、先入観なしに観察して考えてほしいそうだ。「金日成のパレード」も解説抜きでしかも圧倒的な印象を与えた。こちらは静かに示すだけだが、じんわり心と頭に浸透する。

※在外日本人の審判権獲得ニュースに想田氏が。(2022-5-28追記)

コメント ( 8 ) | Trackback ( 0 )
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コメント(10/1 コメント投稿終了予定)
 
 
 
Unknown (claudiacardinale)
2007-07-06 22:29:31
こんにちわ。この作品結構面白いと友人から聞きました。是非見たいけどどうも日本に行ったときにDVDでも買う以外方法がなさそうです。トホホ
 
 
 
見せたいもの (Bianca)
2007-07-07 00:01:19
まさか、ベルリン映画祭で上映されるとは、山内氏も夢にも思わなかったとか。映画になると、日本人の私さえ奇異の念を覚えるのですから、まして外国人はオドロキでしょうね。もう一つ、日本の住宅事情のお粗末さを海外に宣伝するのにテレビの「劇的改造・ビフォー・アフター」を見せたいと言うのが、私の宿願です。
 
 
 
映画とは無関係です (稲みのる)
2007-07-07 06:55:38
ご無沙汰です。
「ビフォー・アフター」に流れる松谷卓のピアノ曲が気に入って(CDを買うほどの元気はなかったけれど)、インターネットで楽譜を取り寄せ、しばし、挑戦した思い出があります。出だしの部分は何とかサマになったけれど、あまりに難しくて、とうとう諦めてしまった。やっぱり、基礎がないとダメですね。
 
 
 
Unknown (Bianca)
2007-07-07 20:41:04
ハイハイ、あの音楽ですね、春の日差しのように和やかな・・「すると、何ということでしょう! かつて・・・だったキッチンは、匠の手で見事に・・・・」眠気誘導剤としては「パッヘルベルのカノン」より優れものかも知れません。
 
 
 
こんにちは (狗山椀太郎)
2007-07-15 15:56:34
十三の映画館では、6月に何度も予告編を見ていたのですが、本編は地元の京都で鑑賞いたしました。
確かに、新たな発見に満ちた作品でしたね。政党関係者にすればわざわざ映画化するまでもない、ごく当たり前の光景に過ぎないのでしょうけれど、部外者にとっては新鮮な視点だと感じました。当選するかどうかだけでなく、支持団体に対する印象づけも、選挙運動の大きなバロメータになっているようですね。
 
 
 
Unknown (Bianca)
2007-07-17 12:53:27
狗山さん、こんにちわ。2、3日親戚の行事で留守にしていましたので、遅くなりました。今まさに選挙戦たけなわ、私も、おとといエンもゆかりも無い国民新党の幹部(K井)と握手をさせられてしまいました。有名人と握手するのが趣味の義兄のそばにいたばかりに。駐車場で宣伝カーを見るや、義兄は走り出して熱心になにやら言っています。感激した政治家が、私にも手を差し伸べてきて、ああいう時はなかなか「NO!」といえません。実に滑稽でした。名刺まで貰って来て・・・選挙区に住んでもいないのに。
 日本人にはおなじみでも、外国人が見たら国辱ものの映画ですね。
 
 
 
Unknown (claudiacardinale)
2007-09-16 19:56:09
こんにちわ!この監督NY在住だったのでやはり知り合いにつながってました。世界200カ国でWhy Democracyの一環で放送が決まったそうで(多分インターネット放送)BBCでも来月放映されるそうで楽しみにしてます。
http://www.whydemocracy.net/home?
 
 
 
恥ずかしい (Bianca)
2007-09-17 08:06:01
CC様、今見たところ、中国、南米、アフリカ、北欧など世界の国に混じって、この日本の選挙風景が取り上げられ、詳細な解説などもついていて、さすがBBC?だなぁ、と感心しました。「山さん」たら、「怒られているシーンばかりなので、親戚に恥ずかしい」という感覚しかなかったそうですが、こうなると、「世界的に有名になって親戚に大きい顔ができる」と思うのでしょうか。
 
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