乱鳥の書きなぐり

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映画『ある船頭の話』4、9★脚本・監督:オダギリ ジョー  柄本明、川島鈴遥、村上虹郎、伊原剛志、浅野忠信、村上淳、蒼井優 笹野高史、草笛光子 細野晴臣、永瀬正敏、橋爪功

2021-03-06 | 映画

 

  映画『ある船頭の話』2019 

  脚本・監督:オダギリ ジョー  

  4,9★/5

  柄本明、川島鈴遥、村上虹郎/ 伊原剛志、浅野忠信、村上淳、蒼井優/ 笹野高史、草笛光子/ 細野晴臣、永瀬正敏、橋爪功

 

 脚本・監督:オダギリ ジョー  

 出演:柄本明、川島鈴遥、村上虹郎/ 伊原剛志、浅野忠信、村上淳、蒼井優/ 笹野高史、草笛光子/ 細野晴臣、永瀬正敏、橋爪功 撮影監督:クリストファー・ドイル

 

 衣装デザイン:ワダエミ

 音楽:ティグラン・ハマシアン

 

 映画『ある船頭の話』の公式ページには、ストーリー:として、近代産業化とともに橋の建設が進む山あいの村。船頭のトイチ(演:柄本明)は、川辺の近くの小屋にひとりで住みながら、村と町を繋ぐ河の渡しを生業にしていた。舟には毎日、様々な事情を抱えた人達が乗って来る。トイチはそんな人達の話を聞きながら日々、黙々と舟を漕ぎひっそりと暮らしていた。しかし、そんな山奥の村にも文明開化の波が押し寄せてくる。この度、村と町を繋ぐ大きな橋が建設されるというのだ。村の人々は生活が便利になると喜ぶ一方で、トイチは複雑な思いを抱える。そんなある日、トイチの舟に何かがぶつかる。それは河に流れ着いた身元不明の少女(演:川島鈴遥)だった――。何も話そうとしない少女をトイチはしばらく面倒を見るも、舟の客から隣の村で惨殺事件が起こった噂を耳にする。トイチが見つけたこの少女は一体何者なのか? そして、少女と出会ったトイチの人生が狂いだしていく――。

とある。

 

 一歩、こんな捉え方もできる。

 美しい山あいで、渡し守をしていた船頭の近くで、近代的な橋はどんどん構築されて行く。

 ある日、船頭は、衝動に駆られて橋を作る人々、そして、村では異端とされた渡し守りが、村の中で異端とされた一家を殺害。意識を失った少女を連れてきた。

 少女の回復。岩上にたった少女は、中国風のボタンのついた赤い服を着ており、風がたなびくとともに、中国風の調べが風に乗る。

 少女の名前は、ふう(風)

 

 おそらくさらしを巻いて胸をへこませ、少女になりきったふうは、いつしか初潮を迎え、大人。

 レンガの立派な橋も出来上がり、人々は勢いづいて、船の出番はなくなった。

 船頭は、たぬきの毛皮をとって生業にし始めた。

 それまで船頭と飯をともにして着た青年は、いつしか立派な服を着て、船頭を見下す。

 

 船頭がいない隙を狙って、青年は少女を犯そうとする。

 そして惨事。かって少女の娘の家族が首を掻っ切られたように、襲おうとした青年は首を掻っ切られて死んでいた。

 帰って着た船頭の言葉。少女のうなりは、強烈な印象を受ける。

 

 船頭が一家を襲ったのか、妄想なのか、橋が出来上がっている以上見定めがつかない。

 この、説明が過ぎないところがまた良い。

 観客側に想像の余地を与えるため、何度見ても面白そうである。

 

 古屋を燃やし、美しい景色の中、戸建つ古屋は燃え上がる。

 山が写り込んだ川を下る。

 一層の舟は船頭と少女を乗せて、写り込んだ山の陰から陰を引きずって、別の地へと移りつく。

 

 

 勝手の日本は今にもまして根強い差別意識を持っていた。

 村の人間と、村の外の人間。

 子守もそうであったが、渡し守もまたしかり。

 村の中にも、異端、村八といった社会が確立していた。

 渡し守りに対して、子供たちが石を投げたり、子連れの親が道で出会って、戸惑いを見せたり。

 船に乗った客はわずかな金を船頭に投げ捨て、大名気取りだ。

 

 

 船頭は、昔、「もうこの村には戻ることはない」と言い残し、船頭に、マリア様の絵を手渡した。

 船頭は布で包み、大切にしていた。

 異的存在感のある少女は、その絵とどことなく類似していた。

 その絵を渡す時、女は言ったそうだ。。

「この絵は決して人には見せてはいけません。」

 これは民話のパターンの一つで、「見るな」「開けるな」などの手法が展開される。

 この映画の場合は「見せるな」と禁じている。

 その禁止事項を破り、事は展開する。

 

 また、だんだん近く、異端な男の子とも幻想とも思える子は、言う。

「お前の全てを見てきたんだ。」

「お前の全てを知っている。」

「あの子(女の子)が死んで、僕が生き返るはずだったんだ」

「あの子はお前に不幸をもたらすであろう」(以上の台詞、全て、要約)

 これらの言葉には、船頭の自問とも考えられるように思う。

 

 

 少し青すぎる色合いとコントラストが強めに始まった画像。船の上での永瀬正敏の大きすぎる声での棒読みの台詞。

 家人に話すと、

「意図した演出じゃないか?」

という。

 

 全体を通して非常に素晴らしい。

 今の日本でもこんな素晴らしい作品ができるものかと感心していた。

 黒沢作品の影響も認められるこの作品。

 つまらない事だが、事前知識の全くなかった私は、オダギリジョーが出てくるのを楽しみにしていた。

 だが、どこにも見当たらない。

 映画が終わり、脚本・監督としてオダギリ ジョー の名前を発見した。

 どの大御所監督がこんな素晴らしい映画を創ったのかと思いきや、オダギリ ジョー。

 いや、感動し、その場で拍手をした。

            ブラボー!!!

 いや、もう一度!

    オダギリ ジョー ブラボー!!!

 

 この映画は、とても好き!!!

 

 

 

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