乱鳥の書きなぐり

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謡曲『高砂』 2  『高砂』をネット検索すれば、どういう結果が生まれるかを、『観世流百番集』を添えて確かめる試み。

2020年10月20日 | 観世流(続)百番集、日本古典文学大系(謡曲)、能楽関係本

 

謡曲『高砂』2

『高砂』をネット検索すれば、どういう結果が生まれるかを、『観世流百番集』確かめる試み。

 

 

 

 

 

 

 正しいか否かは別として、ある程度重宝される、苦しいときの神頼み的存在の「Wikipedia」で検索してみる。

 Wikipedia 高砂

 縁起物

 高砂 (能) - 能の演目。

 脇能物の男神物。

「高砂や、この浦舟に帆を上げて」の謡で知られる。

 高砂人形 - 上記の能の登場人物をかたどった人形。

 関西地方で結納に送られる。

 上記の風習にちなみ、結婚式場によっては、披露宴で新郎新婦が座る席を「高砂」と呼ぶ。

 高砂や - 上記の謡にちなんだ落語の演目。

 

Wikipedia 高砂(能)

『高砂』(たかさご)は、能の作品の一つ。

 相生の松(あいおいのまつ、兵庫県高砂市・高砂神社)によせて夫婦愛と長寿を愛で、人世を言祝ぐ大変めでたい能である。

 古くは『相生』(あいおい)、『相生松』(あいおいまつ)と呼ばれた。

 ワキ、ワキヅレがアイとの問答の後、上ゲ歌で謡う

『高砂や、この浦舟に帆を上げて、この浦舟に帆を上げて、月もろともに出で潮の、波の淡路の島影や、遠く鳴尾の沖過ぎて、はや住吉(すみのえ)に着きにけり、はや住吉に着きにけり』

 は結婚披露宴の定番の一つである。

(附:能楽研究者A氏の話によれば、結婚式でうたうのは、近年の事とのこと)

 江戸時代、徳川将軍家では『老松』とともに『松』をテーマにした筆頭祝言曲二曲の一つであった。

(しかし、祝賀歌として、江戸時代から徳川将軍家では『高砂』『老松』が歌われていたとのこと)

 

上ゲ歌

上ゲ哥」とも。 能の一曲は、いくつもの小段が連なって構成されている。

「上」はその小段の名称、または小段の形式をいう。

 上音という高い音程から始まり、七五調の詞章が平ノリというリズムで謡われる。

 

 シテ:翁 ツレ:嫗 ワキ:九州阿蘇宮の神官

 

 

 九州阿蘇宮の神官(ワキ)が播磨国、高砂の浦にやってきた。

 春風駘蕩とする浦には松が美しい。

 遠く鐘の音も聞こえる。

 そこに老夫婦(シテとツレ)が来て、木陰を掃き清める。

 老人は古今和歌集の仮名序を引用して、高砂の松と住吉の松とは相生の松、離れていても夫婦であるとの伝説を説き、松の永遠、夫婦相老(相生にかけている)の仲睦まじさを述べる

 命あるものは全て、いや自然の全ては和歌の道に心を寄せるという。

 ここで老夫婦は自分達は高砂・住吉の松の精であることを打ち明け、小舟に乗り追風をはらんで消えて行く。

 神官もまた満潮に乗って舟を出し(ここで『高砂や…』となる)

 松の精を追って住吉に辿り着く。

『われ見ても 久しくなりぬ住吉の、岸の姫松いく代経ぬら』(伊勢物語)

の歌に返して、なんと住吉明神の御本体が影向(ようごう)され、美しい月光の下、颯爽と神舞を舞う。

 これは和歌の形式からいうと、伊勢物語の歌に対しての、住吉明神の御本体の返しである。

 俗に住吉明神の舞とも云われ、友成が住吉に着きますと、住吉明神が現れて神舞を舞う。

 御代万歳・国土安穏を祝う。

 その最後の謡の部分が次の小謡で、歌舞伎や相撲でも使う「千秋楽」の語源ともなっています。

 友人の話では、謡の会などの最後に謡われることが多いため、付け祝言と云うこともある。

 

 

 上を考えると、下の意味がわかる。

高砂や この浦舟に 帆を上げて
この浦舟に帆を上げて
月もろともに 出潮(いでしお)
波の淡路の島影や 遠く鳴尾の沖過ぎて
はやすみのえに 着きにけり
はやすみのえに 着きにけり

四海(しかい)波静かにて 国も治まる時つ風
枝を鳴らさぬ 御代(みよ)なれや

あひに相生の松こそ めでたかれ
げにや仰ぎても 事も疎(おろ)かや
かかる代(よ)に住める 民とて豊かなる
君の恵みぞ ありがたき
君の恵みぞ ありがたき

 

上の部分は、多くの方々が最もご存知でアルポピュラーな部分です。

しかし謡曲には詩的ストーリーがあり、前にも場は展開しますが

 

高砂や この浦舟に 帆を上げて
この浦舟に帆を上げて
月もろともに 出潮(いでしお)
波の淡路の島影や 遠く鳴尾の沖過ぎて
はやすみのえに 着きにけり
はやすみのえに 着きにけり

 

の後も話は展開し、終わります。

 

 さす腕(かいな)にハ悪魔をはらひ。

 さす腕(かいな)にハ悪魔をはらひ。

 をさむる手にハ、寿福を抱き。

 千秋楽ハ民を撫で。

 万歳楽にハ命を延ぶ。

 相生の松風、颯々の声ぞ楽しむ。(『観世流百番集』から引用)

 

 めでたいですね^^

 

 上のことから、馴染みの結婚式で歌うだけの謡ではないことがわかりますね。 めでたいですね^^

 しかし、祝い歌であるので、今や結婚式で歌ったとて、何ら間違いではありません。

 何故なら、『高砂』はストストーリーの展開を追った、目出度い歌でもあるからです。

 

 また、『高砂』には話の展開があることも知っていただけたと思います。

 

 学者や専門家によっては自論だけを主張される方もいらっしゃいます。

 一方、立派な学者は諸説を明かにしてから、「私の考えはこう云う点で、こう考えます。」と、おっしゃいます。

 また、教えていただいたことを鵜呑みにするのではなく、自分でも確かめ、考える力をつけないと、真実には近づけないことを痛感しました。

 自分で読み考えると云ったことを繰り返し、楽しんでいきたいなと考える今日この頃です。

           次は書物で『高砂』を検証してみましょう。   続く

 

 

 

謡曲『高砂』 1  観世流謡曲百番集、岩波 日本古典文学大系 より

謡曲『高砂』 2  『高砂』をネット検索すれば、どういう結果が生まれるかを、『観世流百番集』を添えて確かめる試み。

謡曲『高砂』 3  『伊勢物語』百十七段と高砂の関わり

『高砂』 4  『古今和歌集』仮名序と『高砂』との関わり

『高砂』 5  『世阿弥 神と修羅の恋』「能を読む2」から『高砂』    住吉明神(住吉の浦で後ジテ)が影向(ようごう)  大君守護 万民寿福 上の舞を舞い、太平の御代を寿ぐ。

 

 

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