在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

イタリア映画の紹介 La Giovinezza (youth) 若さ

2015-06-01 00:20:59 | 何故か突然イタリア映画
La Giovinezza (youth) 若さ(青春)
Paolo Sorrentino



La grande bellezza (偉大なる美)でオスカーの最優秀外国映画賞を取った監督パオロ•ソレンティーノ監督の最新作。

作品と、日々起こる事件によっては(ジャーナリストの集まりなので)集まりが悪い上映会だが、びっくりするくらいの人がすでに集まっていた。
いったいどこからこんな人が??と、信じられない光景だったのだが、プライベートな上映会の部屋は人で溢れていた。
途中で入ってきた人は立ち見だったのではないだろうか。
そして、いつもはいない、黒服でごつい感じのセキュリティの人が3人もいて、いろいろ指図している。配給会社が、無断でビデオに撮るなどの防止、そして、セキュリティのビデオの撮影防止のために回してきたらしい。
なるほど、管理室直結のビデオはカメラは、スカーフのようなもので覆われていた。
オスカーを取ると、こうもなるのか、とちょっとびっくり。

さて、期待の映画は、ちょっとドキッとさせるポスター。
温泉プールにつかっている二人の老人の前に、素っ裸の女性がすっと入ってきたところである。

場所はスイス、アルプスにある超高級リゾート地。
有名人が静かなバカンスに集まるのだが、長年の友人、有名作曲家のフレッドと有名映画監督のミックがバカンスを過ごしている。
超高級リゾート地なので、あちらこちらからお金持ちが集まっている。
俳優やら、マラドーナを思わせるサッカー選手やら。ボンボンも多いので、若いメンツがいないわけでもない。熟年夫婦、カップル、シングル。。。
温泉リゾート・ホテルなので、ぷよぷよしたお腹の、水着姿のご老人たちがいるかと思うと、ミスユニバースは素っ裸で温泉に堂々と入ってくる。
従業員の数も多いので、宿泊客だけでなく、従業員もストーリーの中に絡んでくる。

メインのストーリーがいくつかあり、うまく絡んでいる。
フレッドの娘(が主演女優)はミックの息子と付き合っていたのだが、ばっさり振られてしまう。
ミックは、たぶん最後になる作品の主演女優に、昔からの付き合いの大女優(この役がジェーン・フォンダ)を希望していたのだが、断られてしまう。(そして、最後は自殺)
フレッドは、イギリス女王からのコンサートの依頼を、二度と指揮はしないと最初は断るのだが、映画の最後は、女王の前で自作の音楽を演奏するというところで終わる。(歌手の役の女性は日本人。ちょっとケバケバしすぎる感じが残念。日本人を使うなら、もっと清楚な感じにして欲しかった、が個人的感想)

カメラワークが頻繁に変わり、話がポンポンと飛ぶ。そして店舗が速い。
フレッドとミックが過去を省みる。年老いてしまった現実とのギャップ。はち切れそうな若さが話の中に絡んでくる。
全体のストーリーに深みがあり、モザイクを平面ではなく、立方体に造ったような印象を持った。

何度も見たいとは思わないが、もう一度は見てみたい。
また、フレッド作曲の曲もとてもきれいだが、全体の音楽も印象的。

なお、これで、今年のさる賞のノミネート作品が全部出揃ったことになる。
次回は10月から再び。


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