在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

”ブルソン(黒ラベル) 2001” テヌータ・デッルッチェリーナ

2009-05-19 07:38:16 | Veneto, Emilia Romagnaヴェネト、エミリア
“Burson (etichetta nera) 2001” Tenuta dell’Uccellina –Emilia Romagna(点数7.5)
若いうちは飲めたものではない。
品種はロンガネージ。たぶん、聞いたこともないと思う。エミリア・ロマーニャの一部で見られる土着品種である。
非常に変わったワインである。
とにかくアルコール度が高く、黒ラベルだと14.5度から15度はたやすい。
若いうちは、「ボンバ!(爆弾)」という感じである。
しかし、年とともに、だんだん味わいが出て、土臭さは残るが、全体になじんでくる。
うちに、5年くらいだろうか、置いておいたブルソンを開けてみた。

ブルソンを造っているワイナリーは10数社。
ラベルのデザインは違うが、みんな同じ名前でリリースしている。
品種は当然、ロンガネージ100%で造る。
ロンガネージの名前は、発見主というか、絶滅の危機にあった土着品種を救った救世主であるワイナリー、ロンガネージから来ている。
土地に「あった」ブドウを、1956年、初めて植えたのが始まりということである。
ロンガネージは、放っておくと、どんどん実がなる品種だそうだ。

さて、ブルソンを造るワイナリーで組合を作っている。
イル・バーニャカヴァッロIl Bagnacavalloである。
組合まで作って保護し、同じ名前でリリースし(規定では、IGTのラヴェンナ・ロッソに含まれる)、なかなか凝っている。

しかし、さらに凝っていると思わせるのは、ラベルの色が二つ、つまりブルソンには2種類があることだろう。
黒ラベルと青ラベルがあり、黒の方が、上等。
青ラベルは、飲みやすく(と言っても結構ボンバ!だが)造っていて、40%をカルボニック・マセレーションすること(つまりノヴェッロのような造り方)としている。
黒ラベルの方は、がらっと変わり、50%以上を干すこと、としている。つまりは、アマローネのようなものと言ったらちょっと言い過ぎだが、共通点がある。

今回は、10数種あるブルソン、黒ラベルの中でも、かなり良いという評判のワイナリーのもの。
色は濃いガーネット色。爪はもうオレンジ色がかっている。干していることもあるが、かなり濃い目の色合い。
香りは、どーんと。ちょっと田舎臭さが残る。(しかし、それが良いとも言える。)良く熟したアマレーナ(ブラックチェリー)のコンフィ、チョコ、チョココーティングのサクランボ、干しプルーン、干しブドウ、甘いスパイス、そして、ちょっと土っぽさにアルコール。マデイラっぽさも出始めている。
味もインパクトがドーン。とにかく、強烈なボディ、アルコールで、わずかに残るタンニンと酸とアルコールで、舌がピリッとくる感じがある。後味にチョコと黒いフルーツのコンフィが残る。

リリースされて間もないブルソンを、結構飲んだことがあるのでわかるが、これでずいぶんまろやかになったものだと思う。やはり、かなりたってからの方がおいしい。なーんて、今回は、日本では飲めない(と思う)ワインでした。。

標高1788m、ドゥケッサの湖

2009-05-18 04:12:25 | Piemonte ピエモンテ
Lago di Duchessa
山登りに行った。この前の地震の震源地、ラクイラに近いところにある。

イタリアは、日本と比べると、山登り人口がかなり少ないような気がする。
季節、休日でも、ほとんど人と会わない、すれ違わない。
今回も、平日であったこともあるが、登りは誰にも会わなかった。
遠く、それもかなり遠くで、モ~、カランカランと牛の気配と、カッコーが勢いよく鳴き、鳥がピーチクやっている。しかし、姿は見えない。

約850メートルの標高差で、ひたすら登りばかり。
それも結構急な登りも多い。
やっと高原へ出て、雪渓が見え、まだ残っている雪の上を歩く。
雪割り草のお花畑がそれはきれい。
めざす湖はすぐそこのはずだが、まだ水影が見えず、天気も怪しくなったし、あきらめて引き返そうかと思ったところ、水の影が見えた。しかし、同時に、人の影も見えた。おじさん二人。びっくり。
しかし、びっくりしたのは向こうも同じようだった。こんな日に自分たち以外、こんなところに来る人がいるとはね~、って感じだった。
おじさん二人は、この近辺の人で、高原の草(食用になる)を取りにきたそうな。

そして、雨。あまりひどくはないが、まあまあの降り。降ったりやんだりの中、今度はひたすら降りる。
標高1788メートルの湖の景色と一緒に、筋肉痛もお土産に持って帰った。あー、足が痛い。
写真は雨が降り出す直前の湖の景色。後ろには雪。

”ゲレカンテ 2008” アルナルド・カプライ

2009-05-17 01:46:39 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
“Grecante 2008” Arnaldo Caprai -Umbria(点数7.5)
白2種を飲んだ。もう1種があまりにさらっとした感じで、存在感に乏しかったからか(しかし、値段は安い)、こちらは、しっかりした味わいが印象的だった。
もちろん、昔は時々飲んだものだが、久しぶり。

品種はグレケット100%。ウンブリアらしい品種である。
香りは、良く熟した白いフルーツに、わずか柑橘の香り、花の香り、そして、ナッツの香り、ミネラル臭たっぷりという感じで、モダンでなおかつはっきりしている。
デリケートというより、ボリュームのあるワイン。
味は、酸が多いわけではなく、むしろ塩辛さがあり、酸を隠している。そして、グレケットによくあるほろ苦さがきれい。欲を言えば、もう少しきりっとした酸が欲しいが、それより、まろやかさ、塩辛さが前面に出ている感じは中部イタリアのワインらしいと言える。アルコールもしっかりあり、白ワインにしてはちゃんとボディがある。最後、もっと苦味が出るかと思ったら、そうでもなく、心地よく残る。
夏は、よーく冷やして飲むといいし、魚と言うより、白身の肉の方が合うくらい。

若干モダンすぎだが、しっかりした感じが広く受けると思う。
今度は、1年くらい置いて、どうなるか飲んでみたい。


”モンテファルコ・ロッソ 2006” アルナルド・カプライ

2009-05-13 02:42:39 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
“Montefalco Rosso 2006”Arnaldo Caprai -Umbria(点数8)

カプライと言えば、ルンガロッティと共に、今のウンブリアのワインの歴史を築いたワイナリーと言える。特に、サグランティーノに関しては、カプライの努力なくしては、今のようにはならなかったかも、と言ってもオーバーではないと思う。
さて、早くから知られているモダンでインターナショナルなカプライのワインを久々に飲んだ。

リゼルヴァもあるが、そうでないベースのもの。
モンテファルコ・ロッソはサンジョヴェーゼがベースである。
名前が似ていて紛らわしいかもしれないが、サグランティーノ・ディ・モンテファルコ(またはモンテファルコ・サグランティーノ)がサグランティーノで造ったワインである。
間違えないように。(試験に出しますよー!)

品種は、サンジョヴェーゼ70%、サグランティーノ15%、メルロー15%。
香りは、良く熟したフルーツの香りがきれいで、他、甘いスパイスの香り。他のワインにも共通しているが、昔に比べて、バニラがドーンとでなくなったような気がする。しかし、しばらくするとバニラがほのかに漂ってくる。
まろやかで、フルーツがきれいで、ボディがある、ややアルコールが上がる感じがあり、モダンで、酸味がやや抑えられた感じ、だから、飲みやすいと言える。(長く飲んでいるとやや飽きるが)心地よい、明るいイメージの後味が残る。

カプライはすっかり大御所になったが、全体に良くできていると思う。
モダンだが、丁寧に作ってあるし、ワインにのみ慣れていない人には、お勧めして喜ばれるワインだろう。

列車の扉と、なぜか新型インフル

2009-05-12 18:19:06 | もろもろ、つれづれ
このところ体調いま一つ、インフルエンザらしき症状となり、しかし、発熱が半日で済んだので、タダの風邪だったようでもある。
今頃、熱があるというと、新型かも??という疑いを持たれそうで、ちょっと怖い。
(いや、この前、ローマで出た患者が入院していたという伝染病隔離病院に医療通訳で行ったから、本当に新型だったかも???)

さて、空港で扉が開いたまま走る列車を見た。
空港からテルミニ駅へ向かう直通列車が1時間に2本通っている。
何もかもが値上がりしている昨今、タクシーを使わず、列車で市内へ入る観光客は、特に外人に多い。(ただし、タクシーがやたら高いというわけではないので、ご注意を。列車の方が、結果的に高くつく場合もある。)
立っている人も見えるくらいで、結構人が乗っているのがわかる。

その列車の最後部の扉が閉まらないのである。
私はその列車には乗る予定ではなかったので、外から見ていたが、ここへ来るまではちゃんと作動していたのであろう列車の扉が、係員二人が手で押して頑張っていたにもかかわらず、閉まったかと思いきや、また開いてしまうのを繰り返していた。
こういうとき、イタリアならどーするのだろ~??と興味しんしんで見ていた。
日本だったら、当然のごとく、車両交換となり、お詫びのアナウンスがうるさいくらいに鳴り響く…

多くの人が乗っている。全員を下ろしたら、ホーム一杯くらいになる。
次の列車、つまり次の車両が来るのは30分後。その列車にも同じだけの人が乗る予定。
乗りきれないから緊急車両を手配なんて、テルミニ駅から車両を送っても、着くのに同じく30分かかるし、そんなこと、簡単にできそうにない。
また、壊れた車両を車庫に送るのも大変そう。
など、考えていたら、発車したのである。
扉を開けたまま。
戸口に、屈強の係員らしき人が立っている。
ヨーロッパの列車の車両だから、一人しか通れない幅の扉だからできるのだろう。
屈強の係員が立っていれば、乗客に何か起こるかも?という確率は低い。
なるほど、なかなか合理的???
それにしても、扉を開けたままとはね~、さすがイタリアでした。

これがいいかは別にして、日本であれば、その係員が運悪く落ちてしまう確率はゼロでない、ということになる。
日本はこの、ゼロではない、というのが決めて何だろうな~…と。
新型インフルエンザに自分が運悪くかかってしまう確率は、どんなに低くてもゼロではない、だから、海外旅行を、一生に一度の新婚旅行であっても直前にキャンセルする…

イタリア人は、今回のインフルエンザで、豚肉を食べないとか、特に生ハムを食べたくないという人は多いようだが、メキシコとアメリカはともかく、旅行を直前という状況でキャンセルしようと思った人は皆無だと思う。
日本人は、豚肉は食べるが、メキシコ、アメリカ以外の旅行を直前でもキャンセルする。
どっちがいいのか???

”フランチャコルタ・カボション 2004” モンテ・ロッサ

2009-05-05 06:15:51 | Lonbardia, Valle d'Aostaロンバルディア他
“Franciacorta Cabochon 2004” Monte Rossa -Lombardia(点数9)
今現在人気のあるカボション。人気が出てもうだいぶたつが、風格も身についてきたような気がする。
スプマンテなのに、白なのに、スミレ風の花の香りがする。そして、パンの香り、酸がきれいに上がってくる。
味も酸がきれいで、エレガント。後味の酸味がさらにきれい。

少し前に2001年を飲んだ。
少し疲れはじめという感じが出ていたので、それと比べると、2004年は今飲み頃!だと思う。

品種はシャルドネ70%、ピノ・ネーロ30%。
値段と品質のバランスが非常によく(どこかのワイナリーのように法外な値段ではない)、個人的に、ベースのものを時々購入する。

”フランチャコルタ・サテン 2004” フェルゲッティーナ

2009-05-04 06:10:10 | Lonbardia, Valle d'Aostaロンバルディア他
“Franciacorta Saten 2004” Ferghettina -Lombardia(点数8.5)
フェルゲッティーナはフランチャコルタのワイナリーの中堅どころと言えるかもしれないが、かなり質の良いものを造っている。
フランチャコルタがずらっと並んだ試飲会で、私もはっとさせられたが、かなりの人が、いいね~と、同意見だった。
ブラインドで飲めばかなり上位にランクされると思う。

とにかくきれい。ここまできれいだととても気持ちが良い。そして、柑橘がいい感じで出ていて、パンの香りが隠れている。つまり、奥にパンの香り、その上に流れるような柑橘の香りがとても良いハーモニーをなしていて、心地良い。
味の方も負けずに心地よい。ボディがしっかりあり、マーマレード風の甘さが後味にきれいに残る。
なお、サテンはフランチャコルタがつけたファンタジー名だが、シャルドネ100%で造ったものを指す。

”フランチャコルタ・グラン・クヴェ 2004” ベッラヴィスタ

2009-05-02 02:42:37 | Lonbardia, Valle d'Aostaロンバルディア他
“Franciacorta Gran Cuvee 2004” Bellavista –Lombardia(点数8.5)
ご存じ、フランチャコルタを代表するワイナリーの一つ。
首が細く伸び、エレガントで特徴的なボトルで有名、印象的。
かなり有名、つまりイタリア人ならたいてい知っているほど有名なのであるが、品質は安定し、決して安くはないのでが、コストパフォーマンスが悪くないと思う。
つまり、人の家にお邪魔するときなど、ワインのことを知らなくて、どれを買ってよいかわからないような時、ベッラヴィスタを選ぶのは悪くない。
特に、ワインにあまり詳しくない人の場合、なんか見たことのある結構いいスプマンテを持ってきてくれた、と株が上がるかも??

なお、ベッラヴィスタはトスカーナのスヴェレートに、ペトラという超モダンなワイナリーを建設している。

色はわりと濃い目。香りは強くしっかりと、甘い甘いブリオシュ、トーストの香りがある。深みもあって良い。イタリア語でいう、ベッラフィグーラである。
しかし、泡は割とすぐに消えてしまう。(フランチャコルタは良いものでは泡が続かないものが多い。。)酸がとてもきれいで、味の強さ、持続性も良く、ボディがあり、エレガント。
感動があるわけではないが、信頼できるはずれのないフランチャコルタと言える。

品種は、シャルドネ72%、ピノ・ネーロ28%。


”フランチャコルタ・アンナマリア・クレメンティ 2001” カ・デル・ボスコ

2009-05-01 22:13:57 | Lonbardia, Valle d'Aostaロンバルディア他
“Franciacorta Annamaria Clementi 2001” Ca’ del Bosco –Lombardia(点数8)
かの有名なアンナマリア・クレメンティ様に7をつけたら、怒られてしまうだろう。
だから、オマケで8。
(イタリア・ソムリエ協会では、輝くように5グラッポリがついている)
フランチャコルタ、というより、イタリアのスプマンテ全体で、ベルッキかフェラーリか、せいぜいベッラヴィスタ?という時代に、ザネッラ氏のカ・デル・ボスコは、それは話題になった。ベースも、門出のリキュールを足していないドザッジョ・ゼロも、全てが話題になり、知らないとか、まだ飲んでいないとなると、遅れてる~、という時代があった。
ベースのフランチャコルタは、コストパフォーマンスが良く、いろいろな機会にずいぶん飲んだものだ。
そのカ・デル・ボスコの看板ワイン(正確にはスプマンテ)がアンナアリア・クレメンティである。
値段も高かった(今でも高い)が、後光が差している感を受けたのは私だけではないと思う。

色は、当然かなり濃い目。アンナマリア・クレマンティ様はこうでなくっちゃ。
香りは甘さとほろ苦さが出ている。ほろ苦さはトーストというのではなく、もう少し苦味がある感じ。ブリオシュ、柑橘系の香りがあり、ほろ苦さと一緒になってオレンジマーマレードを思わせる。広がりは悪くない。
味は、酸味はあるが、苦味もある。うーん。。。ちょっと苦味が残り過ぎのような。
過去の栄光、と言ってはファンに怒られてしまうが、過去にならず、イタリア女性の平均寿命も延びていることだし、まだまだがんばって欲しいものである。
しかし、8年以上たってこの味なので、文句は言えないかもしれない。
ただ、個人的には、ここまで待たずにリリースして良いのではないかと思うのだが。
品種は、シャルドネ55%、ピノ・ビアンコ25%、ピノ・ネーロ20%。

インターシティのトイレから線路が見える

2009-05-01 21:58:31 | もろもろ、つれづれ
仕事も含めて時々ローマ外に行くが、昔は飛行機で仕事をしていたくせに、今は意外と列車が好きである。
列車はユーロスターも利用するが、インターシティにも乗る。
さて、この前、お客様に言われて気がついたことがある。
「トイレに穴が開いていた!」というのである。

私の世代は(年がばれる!?)、列車のトイレの穴は開いていて当然だったので、そういうトイレを見ても特に何とも思わなかったのであるが、今の若い方にすれば、珍しいのだということがわかった。
と言っても、昨今、昔のように、穴がすっぽり開いたまま、つまり、線路が見える、下から風がスースー入るというわけではない。
(だから、一見したところ、穴があいているようには見えない。)
一応フタなるものがあって、水を流すとフタが開き、水とペーパーが一緒に下に落ちる、つまり線路に落ちる、しかし、走っているからそのまま風に飛んでしまうのである。

そういえば、昔(当然日本にいた)は、だからなのだが、列車の停車中はトイレは使ってはいけなかった。あれは、暗黙の了解だったのか、そういう決まりになっていたのかは知らないが。。。

以来、ちょっと気を付けてて、インターシティのトイレをチェックしている。
線路が見える式と見えない式(タンクなのか、ただ見えない工夫がされているだけなのかは不明)がある。
ヒマだね~。。。と自分でも思うが。。