在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

6 vini Francia x Italia ブラインドにて フランスxイタリア 合計6種

2016-01-30 11:44:23 | vini stranieri イタリア外のワイン
6 vini Francia x Italia alla cieca
(一応)ブラインドテイスティング
ブルゴーニュ 3種
イタリア 3種



某団体がオーガナイズする試飲会に時々行くようになった。ブラインドでの試飲をたまにやるので、ブラインドには興味があるため、機会があれば参加する。
ブラインドでの試飲は賛成派反対派、好きな人嫌いな人、いろいろいる。
たとえば、尊敬するアルマンドは、ブラインドではなくラベルを見ての試飲の方がいいと思っているし、逆に友人のルカは賛成派で、ブラインドでの試飲会をわりと頻繁に行っている。
しかし、ブラインドの試飲会は、どうしても集まりが悪い。

アルマンドは、ラベルを見た上で、つまりワインのインフォメーションを正しく理解した上での試飲の方が良い試飲ができると思っている。
ところが、アルマンドのレベルならいいし、それができるが、一般の人はラベルに左右されすぎる。有名ワイン、高級ワインだと飲む前から(笑)これおいしい、となってしまう。
逆にワインが何かわからないと、たいていの人は不安になる。間違えたくないという心理は当然で、それをどうやって克服するか。ある程度のレベルになると、間違えるわけにもいかないのが怖い。(冷や汗~)

さて、昨日の試飲会はワインが何かある程度わかっていた。(実際には試飲会申し込み時点のインフォメーションとはだいぶ違ったが。。。)

フランスはブルゴーニュで白1種、赤2種。地域のインフォメーションもあり。
イタリアは白1種はアルト・アディジェで当然シャルドネ。
赤2種は、トレンティーノのピノ・ネーロと「ingannareだます」ためにネッビオーロ1種。ネッビオーロはバローロで、これも地域のインフォメーションあり。

こうなるとある程度パズルのようなもので、全くなにも知らない場合よりはるかに簡単である。(ほっ!)
さて、白2種はイタリアかフランスかをあてる(理解するという意味)だけだから簡単。
ここでいつも思うのは「大体同じ値段」のフランスワインとイタリアワインを飲み比べると、イタリアワインの方が一般においしいということである。
フランスワインの方が高いから、同じくらいの値段だとどうしても品質が下がる。そうなると味の好みは置いておいて、品質はイタリアワインの方が良くなってしまう。
今回の2種は、インパクトの強い(強すぎ)のイタリアワイン、単品で飲んだらいいのだが、その後のフランスワインの優しさと爽やかさが心地よく、味の好みはこちら。しかし、品質はイタリアの方が上だと思った。


赤4種は、さて、どこかにネッビオーロが混じっているわけである。まず、これを理解しないと話にならない。
1種はデカンタしてあり、まだ若いものと結構ヴィンテージが入っているものとがあり、かなりバラバラの雰囲気。本当は、同じかほとんど違わないヴィンテージだとより違いがわかって嬉しいのだけど、と思ったり。

ただここでご愛嬌。このグループはこういうところが「抜けて」いるのよね~
ブラインドとは言ってもボトルをアルミホイルで包んであるだけだから、形がわかり、おおよそわかってしまうのでした。
ということで、ある程度はわかってしまい、これじゃあ本当のブラインドにはならない。。。それでも1種はデカンタしてあってボトルが見えなかったこと、ブルゴーニュとバローロのボトルは同じなで肩で似ているので、間違えた人もいるよう。
ということで、ご愛嬌もあり、楽しめたブラインド試飲会でした。


赤4種は値段に大きな格差があったのだが、意外と、イタリアのピノ・ネーロが心地よかったりもして。ブラインドだと、思わぬ発見が多いところが面白い。

6種のワインは以下。
Chardonnay Kreuth 2014 Terlano 香りのインパクトが非常によく、とても華やか。柑橘より熟した白いフルーツの方が強いくらい。味にも強さがあり、塩味が濃く、ダイナミックな感じ。一般に受けるね~というタイプ。++++
Pouilly Fuisse 2011 Louis Max 香りが最初やや弱く、優しい感じの中にさわやかさがある。香りはとても良いが味の方は残念ながらやや物足りなさを感じる。+++(+)

Trentino Pinot Nero 2014 Istituto Agrario San Michele all'Adige 色が素晴らしく魅力的。フルーツの香り、花の香りが心地よい。イタリアのピノ・ネーロ~ +++
Barolo La Serra 2008 Marcarini これだけ他と違うのでネッビオーロだとわかる。血の香り、生肉、タバコやスパイス、リコリース、ジネープロなどなど複雑。タンニンは存在感を残し、だいぶ柔らかくなっている。++++(+)
Volnay 1er cru Les Champans 2008 Domaine Joseph Voillot 黒いフルーツの香りに始まり、バルサム臭、クミン、灰やコショウ、ミントの香りもよぎる。結構ボディがあり、程よい酸味が心地よく、余韻にスパイスが綺麗に残る。++++(+)
Chapelle-Chambertin Grand cru 2001 Domaine Rossignol-Trapet オレンジ、バルサム臭、グラフィティ、ユーカリ、ミント、クミン、ジネープロ、スパイス、革などなどかなり複雑。タンニン繊細、ボディ申し分なく、持続性も良い。+++++







Uno per tutti di Mimmo Calopresti イタリア映画 みんな一つ

2016-01-28 15:25:36 | 何故か突然イタリア映画
Uno per tutti みんな一つ
監督 ミンモ・カロプレスティ



Giorgio Panarielloがかっこいい(だけ)

小説の映画化は簡単ではないと思う。大抵少なくとも100ページはあるのを1時間半程度の映像にまとめなくてはいけない。細かい描写も省かなくてはいけないところが多いだろう。また、本なら読み返せるが、映画は基本的に巻き戻さない限りそのまま流れていく。

上映会後のインタヴューには、監督のカロプレスティ氏と原作の作家のサヴァッテリ氏が出席した。
監督曰く、この本を読んだときに閃いた、ということと、以前ローマで似たような事件が起こった時、その被害者の親に接したことがあり、それが心に残っていたということだそう。

うーん、難しい。原作は読んでいないが、とにかく細かい描写が抜けている(だろう)というか、本にはあるかもしれない心理描写やストーリーの辻褄が描ききれず不自然というか、省略しても良いようなエピソードもある。

ストーリーは、3人の男性が主人公だが、うち二人、あやしい建設業で金持ちになっているジルと、地味に警察官をしているサロはトリエステ(イタリアの北東の端)に住んでいる。もう一人のヴィンツは、思春期になって家族がカラブリア(イタリア南端)に移住したので、カラブリアで医者になっている。

ジルの息子が大勢で喧嘩沙汰になった時に、同じ年頃の少年をナイフで刺して少年は重体。たぶんダメだろう、という感じ。
刺したジルの息子は捕まり、警察に拘留される。
ジルの妻がヴィンツに電話をかけ、大事な女性の一大事ということで、医者のヴィンツはカラブリアからすっ飛んでいく。ジルの妻は忘れられない女性という設定。
警察のサロは、友人の息子ということでなんとか監獄入りを避ける努力をするが、最後に重体の少年は死亡し、ジルの息子は監獄入りになってしまうだろう、という感じで終わる。

そこに、ところどころ、幼い時の3人のシーンが入るのだが、これもいたって不自然。
少年のやることだからマフィア的誓いの遊びをするのはまあ良いとして(そこでTutti per unoみんなは一つ、団結)、本物のピストルで遊んだり、それで一人の少年が死亡してしまうような事件が起きているのに、ジルとサロは30年来会っていない(トリエステはそれほど大きな町ではない)とか、サロとヴィンツが出会って一瞬気がつかないとか、ジルの妻がヴィンツにとって忘れられない女性という設定にもかなり、それもかなり無理がある。えー絶対忘れる~という感じ。(また、幼い時はくるくる巻き毛、現在ストレートの髪も不自然)
警察のサロが、証拠として押収したナイフを隠してしまうのも、最後には海に捨ててしまうとか、ちょっとこれって、いくら友人の息子だからって警察としてやばいんじゃない??という設定もあり。
金持ち、やばい建設業で成功しているジルが東欧の女と浮気しているシーンなど別になくてもいいし(どうせそんなものだと想像できる)、妻が仏教を信仰しているシーンも省略できるような気がする。
そして。。。誰も泣かない。息子が他人を刺したとわかった時、刺された少年の母親も一場面で登場するが泣かない。どちらも、特に母親であれば、普通、半狂乱の状態になると思うのだが、みんなかなり冷静。いくら仏教もどきを信仰していても冷静すぎ。
うーん。。。原作もそうなのだろうか。
本なら、心理描写やストーリー設定や、もっと引き付けるように面白く読めるかもしれない?

救いは、テレビのショーなどでも活躍している俳優、舞台俳優のパナリエッロが警察のサロ役で、演技が上手い事。彼の役所にも細かい設定の疑問はあるが、彼がいなかったら見られないかも。
そこで、パナリエッロのファンなら、ストーリーは深く考えずぼーっと見るのにオススメ。でなければ、省略していいかも。




Bella e perduta di Pietro Marcello イタリア映画 イタリアの失われた美

2016-01-21 20:36:13 | 何故か突然イタリア映画
Bella e perduta イタリアの失われた美
監督 ピエトロ・マルチェッロ

イタリアの美しい歌



今まで見た(この上映会という意味)映画の中でも、最もと言ってもいいほど不思議な映画だった。見ていて、うーん、難しい。。。と思った。しかし、印象はとてもいい。
淡い色合い、おそらくバッハだろうか(いや、違うかも)、流れる音楽、情景、これらが、まるで詩のような雰囲気を醸し出している。
映画のあらすじは、事前に読んでいて、役に立つような立たないような。。。
オペラやバレエはあらすじを知らなければ読んで行くにこしたことはないが、映画の場合は、読んでいても読んでいなくてもあまり変わらないことも(実は多々)あるものだと思った。

映画のカテゴリーはドキュメンタリー。しかし、プルチネッラが登場??
プルチネッラは、イタリアのコメディア・デッラルテCommedia dell’arte(即興喜劇とでも言えるか?)の人気役柄の一つで、ナポリを代表する。(そこで、ナポリに行くと、お土産屋でプルチネッラ関連のものが巷に多数見られる)鷲鼻に白い服をきて、白い帽子を被り、仮面は黒。愚かで騙されやすく、ちょっと意地悪だったり、おどけたような、悲しみを含んだような面もある。

ドキュメンタリーというのは、本当に実在した人物のストーリーが元になっているかららしい。
私は知らなかったが、その死はニュースで報道されたので、知っている人はいたと思う。

さて、ローマからナポリへ行く手前に、ヴェルサイユ宮殿を真似して造ったという壮大なカセルタ王宮というのがある。今では世界遺産になっているので、日本人も多く訪れるようになった。18世紀の、ナポリが王国だった時代の壮大な建物で、当時建てられた王宮は他にもまだある。そのうちの一つが、カセルタ王宮からさほどの距離でないところにあるカルディテッロの王宮である。
カセルタ王宮とは対照的に、完全に放置され、周辺はナポリのヤクザ、カモッラ達による違法なゴミ捨て場と化していた。
その変わり果てた王宮を完全にボランティアで守っていたのが羊飼いのトマソ・チェストローネという人物で「カルディテッロの天使」と呼ばれ、動物たちを飼って暮らしていたらしい。が、2013年のクリスマスの夜、48歳、若くして、突然、心臓発作で天に召された。
そのトマソが守り抜いたカルディテッロの王宮の話を、まるで詩のように、語りかける童話のように作ったのがこの映画。

トマソは、生前、殺される運命のオスの水牛を救って飼っていた。
オスは、種牛として生かされる運命にあるのは一握りで(何度か水牛を見学に行ったことがあるが、確かメス200頭に対してオス1頭程度だったと思う)、あとはすぐに殺されてしまう。監督曰く、普通の牛は成長が早いので肉にもなるが、水牛は成長するまでに数年かかるので生かすこともしないのだそうだ。
さて、そのトマソが救った水牛サルキアポーネは話ができる。
突然逝ってしまったトマソ亡き後、彼の優しい心をたたえ、水牛を引き受けたのがプルチネッラ。水牛を連れて旅に出る。

トマソの実際の生涯、カモッラがどれだけ土地を虫喰っているか、ナポリを代表するプルチネッラ、おとぎ話のような話のできる水牛、これらが、複雑に絡み合ってストーリーが作られている。

さて、映画がとにかく難しかったのにはもう一つ訳がある。
最後まで見れなかったのである。(涙)
なにせ私的な上映会なので、時々というか、まあまあ頻繁に(笑)機械の故障が起こる。正式に手に入れているディスクであるが、ディスクに問題がある場合もあるだろう。(ちゃんと動作を確かめたと監督自身が言うにもかかわらず。ここはイタリア。。。)
小一時間で調子が悪くなり始め、ぶつっと途切れてしまった。
早送りで、もう一度最初から。(この時、ちょうどいい復習になる、と言った人がいて、難しいのは私だけではないと少しだけ、ほっ)
そして、なんとか続きを見ていたところ、また、途切れてしまった。
ここで断念。15分程度だろうか、残りのストーリーは監督自身に話してもらったのである。(モレッティの映画も最後の5分で途切れ、不本意だったようだが、監督自身に話してもらった。。。)

最後は、恋をしたプルチネッラが、生身の人間(と言っていいのか?)になり、仮面を取る。すると、水牛の言葉を理解することができなくなり、サルキアポーネはされてしまうということらしい。

監督はカセルタ、つまり、カルディテッロの王宮のあるあたりの出身。長編のドキュメンタリーを多く手がけているらしく、30代で、若いが賞も取っている。
お金はなくてもいいが自由が欲しい、と言い切ったが、これからも意欲的に作品を作ると思う。
笑ったのが、画面全体の色が淡い感じで、雰囲気が出ていて良かった、という話に、それは期限切れのフィルムを使ったから、という回答。古いフィルムを使うとこんな感じになるんだよー、と。(笑)
制作費はかなり安いが、この作品の評価は非常に高い。
なお、トマソ亡き後、運度があって、現在王宮は国の財産となったそう。

Comuni nel vino コムーネ・ネル・ヴィーノ

2016-01-21 20:16:02 | Campania カンパーニア
Comuni nel vino コムーニ・ネル・ヴィーノ
Stefania Barbot
De'Gaeta
RaRo



まずは大変素晴らしいオーガナイスに久々に、ほう、と思った。
何をするにも時間は過ぎる。そこで、忙しいか忙しくないか、自ら進んでかそうでないか、そこに支払いが生じているか生じていないかなど別にしても1日の幾らかの時間を割いいているわけである。その時間を気持ちよく過ごせるかそうでないか。さらにその時間が有意義であればなお良いが、気持ちの良い時間を過ごせないと悲しく思う。
今回の、ヴィンチェンツォ・メルクーリオ氏と非常に素晴らしい女性であるモニカのオーガナイズによる試飲会は、それは気持ちの良いものだった。



ゆったり空間の取られている部屋にはすでにきちんと全てが揃っていた。
各テーブルにファイルが置かれ、とてもオシャレだったのは、各テーブルでファイルの色が変えてあること。一体何色あっただろうか。中にはきちんとファイルされたインフォメーション、メモ用紙、ボールペンがきれいに入っていた。日本では当たり前かもしれないが、イタリアの試飲会でこれだけこまやかな心使いがあるのは非常に珍しい。
グラスもきちんと置かれ、シートにはちゃんとワインの名前、ヴィンテージが印刷され、ワンプレートが出ることになっているので、ナイフ、フォークもナフキンに綺麗に包まれてセットされていた。
パンまでが非常に綺麗に並べてある。
高級レストランに行くわけでもなく、招待された一試飲会なのであるが、完璧とも言えるサービスは、久々に心から気持ちが良かった。

実は少し前のある試飲会で、全く逆の経験をした。
決して安くはない試飲会なのだが、黒い紙のテーブルクロスはホテルのものなので仕方ないとして、グラスの下に敷かれているシートは赤い紙の市販品で、これではワインの色も見れない。しばらくして白い紙ナフキンが数枚あるのに気がついたが、人のところまで手を伸ばさないと取れない。
グラスに注ぐワインも、右に注ぐ人がいるかと思うと左の人もいて、どのワインがどうとかこうとか、オーガナイズしている人が声を張り上げている。
当然紙の1枚も、ペンの1本もなく、自分で紙を持ってきていなければメモも取れない。
せめて、グラスの下のシートくらい赤ではなく白いものを用意してくれれば、メモ用紙がなくても直接書き込めるのに。
タダならともかく。。。。と、かなり気持ちの良くない試飲会であった。


さて、試飲会は「コムーニ・ネル・ヴィーノComuni nel vino」という名の醸造家ヴィンチェンツォ・メルクーリオ氏率いるグループのローマでの初のお披露目会だった。
南のバローロとも言われるアリアニコを使ったワイン「タウラージ」を生産している地域が、カンパーニア州はイルピーニアにある。ちなみにタウラージはDOCGである。
ちょっとややこしいのだが、イルピーニアDOPの中に「カンピ・タウラジー二」という名称の地域限定のワインがあり、今回はそのワインに焦点を当ててのお披露目。

同じイルピーニアの地域の中ではあるが、3つの別なコムーネ(町)の3つのワイナリーが一緒になってグループを作り、メルクーリオ氏に率いられて、一つの製造所で、テリトリーの違い、テロワールの違いを反映しながらワインを造る。数千本からせいぜい1万本を超えるかという生産者にとって、それぞれが別々に施設を持つより、一つの施設で共同で造る方が良いという判断である。刺激しあい、情報交換もできるので、確かに結果を生むと思う。
3つのワイナリーはどれもまだ若い。また全て現在ビオに転換中である。

Stefania Barbot は、グループの中で紅1点。パテルノポリで、夫婦でワインを造っている。標高は420-465mと結構高い。50年以上の樹齢のぶどう畑を徐々に新しく改良している。

De’Gaeta は、兄弟の経営で、カステルヴェテレ・スル・カローレ。490mの標高とかなり高い。2ヘクタールと畑は小さく、2009年から始動、2012年の畑もあり、まだワイナリー、畑ともかなり若い。

RaRo は、30年来の友人の二人が始めた、一人はカンパーニア州でワイナリーを持っているファミリーの一員、もう一人はソムリエ。モンテマラーノで、標高はさらに高く、645mにもなる。

それぞれのカンピ・タウラジーニの2013年とアンテプリマで2014年、合計6種を試飲。
Raro Irpinia Campi Taurasini  アリアニコ 100% ステンレスタンクでの発酵と熟成。
De’Gaeta Irpinia Campi Taurasini  アリアニコ 100% 1本あたり1,1kgというかなり少量の収穫。21日の長いマセレーション。2013年はトノー、2014年はステンレスでの発酵。熟成はステンレスで12ヶ月。
Stefania Barbot Irpinia Campi Taurasini ION アリアニコ 100% マセレーションは20日。発酵、熟成ともステンレス。

あいにく風邪をひいていて、香りはかなり困難で残念。
色は、ラーロのものがわずかだけ薄めだが、どれもかなり濃いしっかりした、深みのある色合い。ラーロのものが一番シンプルで飲みやすく、デ・ガエータのものはフレッシュさがある上、タンニンがしっかりしていてインパクトが強く、フィニッシュにはタンニンの渋みが残る。バルボットのものは、タンニンがしっかりしているが丸みを帯びていて、非常にバランスが良い。
同じ醸造家の指導の元に同じように造っているというものの、やはり違うテロワール、「コムーネ」が反映され、三者三様。どのワイナリーもまだ若く、ぶどうの木も大半が若く、徐々に安定した生産ができるようになってくるとさらに乗ってくるように思う。

ワンプレートもホテルのレストランのシェフが腕をふるったもので、大変美味。


東京 日本茶事情2 Tè giapponese a Tokyo 2

2016-01-16 07:45:05 | 日本酒、日本茶
東京 日本茶事情2



宇治茶が少ない。えーそんなことないよ~いっぱいあるじゃん!という人は多いのだろうが、よく調べてみると実際には本物の宇治茶は少なく、宇治茶とは言っても、宇治ではない地域のお茶を混ぜている。確かに、かなり小さな地域にもかかわらず、全国的にデパートで手に入る一保堂を始め、ペットボトルの京風のお茶、これ全部を宇治で賄うことはできないはずなので、正真正銘の宇治茶はかなり少ないと言える。
また、宇治は煎茶より玉露の品質の方が全国レベルで上であること、抹茶の製造も多く、玉露や抹茶となったら宇治茶は多いが、煎茶レベルで見ると、完全に静岡と九州に負けている。
そこで、本格的なお茶屋さんで美味しい宇治茶を、ということになると東京ではかなり難しいことを実感した。

一保堂には近くへ行ったついでに寄ってみたのだが、年始で、残念ながら喫茶部分はお休み。スターバックス風、紙コップのテイクアウト茶の玉露をいただいた。香りはよいのだが、だいぶ薄い。まあ仕方がない。
ただ、自分で入れる式の日本茶カフェということなので、それなら、家で自分で淹れても同じかも。いや、慣れているマイ急須で淹れたほうが美味しいかもしれない。デパートで買うよりは茶葉が新鮮だろうと信じて煎茶を購入。

上林春松も、さるデパートまで行けば手に入るので購入。宇治茶は、日本茶カフェで飲むものではなく、家で飲むものかもしれない。。。。。

家の近く、下北沢にある、兄弟で茶師十段というお茶屋さん「しもきた茶苑大山」は、行った時、ちょうどほうじ茶を作っていた。ロースターから出る香りが遠くまで漂い、地図が要らなかったくらい。そういえば昔のお茶屋さんはこんな感じだったよね ~懐かしい。
喫茶の方が、残念ながら日本茶インストラクター2次試験対策講義でお休み。店内だけを見るが、ここもやはり静岡と鹿児島のものが中心で、宇治茶は、ブレンドされているというものを含め2種のみ。

上野のお茶屋さんも種類はかなりあったが、宇治茶は少なく、やはりここも静岡の深蒸しが多く見られる。。。。

そして、表参道の「茶茶の間」。
東京では、おそらく最も有名な日本茶カフェで、年末年始の休みが明けた後、行くことができた。とにかく独特。本も書き、テレビにもでている和多田さんが直々にお茶を淹れてくださる。聞いていたが30種はある中、距離的に通うことができない身としては選ぶのが難しいのだが、なんといってもおすすめというのを選択、友人と3人で行ったので、お代わりも含め合計4種を味わうことができた。(どれも全く違う香りと味)



和多田氏の淹れるお茶は変わっている。他をよく知らないので、唯一なのかは知らないが、とにかくかなり変わっていることは間違いない。しかし、理にかなっているとは思う。
日本茶は紅茶と違って、茶の葉そのもののエキスを抽出する。その葉がどれだけ良い状態で育てられたかがキーポイントになるはず。
そして、それをどういう風に淹れるか。淹れ方の正解はないが、工夫はある。
和多田氏は、非常に理にかなった工夫をして、実に楽しく美味しくお茶を淹れてくださる。


1 煎目は、氷も使い、最後の一滴まで絞り出した僅かの量のお茶、というよりお茶エキスをいただく。超濃厚。
2煎目は、もう少し普通のお茶と思えるお茶が出てきた。でも、これも少量で、やはり濃厚。ここでもう1種、形の違う茶碗を、味が全然違ってきますよ、と言って出してくれた。確かに違う。これはワインにも共通だが、実はグラスが変わると味が変わる。お茶でも当然同様のことが言えるわけである。
3煎目は、グラスに冷茶。すっきりしていて美味しい。でも、これも少量。
4煎目は、冷たいのか暑いのかを選んで(温かい方を選んだ)たっぷりピッチャー(と言っても小ぶり)に入れてくれたお茶をちびちび飲む。

満足。

ところで、宇治茶はここでも玉露しか置いていない。回答は、宇治で宇治茶は作っていない。
もういい加減、宇治茶をやめて、静岡茶にしようか??ただし、静岡は山の方で作られているものに限定。知れば知るほど、品質がかなり良いということがわかってきた。
ここには深蒸し茶も置いていない。回答は、深蒸し茶はちょっと違う。
そう、同じワインでも、ノヴェッロや大量生産ワインは「ちょっと違うワイン」で、丁寧に造った良質ワインと一緒にしないでほしいと思っていた。きっとそんな感じなのだと思う。

お茶の世界も深い。でも思っている以上に深いということを知った今回のお茶巡り。
今回行けなかったお茶屋さん、日本茶カフェは多数あり、また、有名和菓子屋さんのカフェにも寄りたいし、課題、宿題はまだ山ほど残っている。



東京 日本茶事情1 Tè giapponese a Tokyo 1

2016-01-15 09:49:00 | 日本酒、日本茶
東京 日本茶事情1

日本茶に凝っている。ちゃんと入れた日本茶がこんなに美味しいとは。
イタリアでは諦めていたというか、水が違うので、どうやっても美味しく飲むことはできないと思っていたのだが、やれば出来る。今は、お茶を入れるときは人生の(一日のではない)リラックスタイムだと思って出来るだけ真剣に取り掛かる。ある種のワインを開けることやデカンタをすることが「神聖な儀式」だとすると、ある種のお茶を入れる時も「神聖な儀式」だと今は思う。
ただ、こちらではより好みもできず、好きなように購入することもできないため、今の所ほぼ宇治に、そして、煎茶、浅蒸し(つまり深蒸しではない)にほぼ特化している。

年末、突然日本への一時帰国を決めた。そうなったらついでに日本茶を仕入れ、日本茶カフェ(本当の喫「茶」店?)も見てみたいと思った。年末年始は休みのところも多く、壁は薄くはなかったが、数カ所回ることができた。

最初に行ったのは築地。
2件のお茶屋さんを見つけたのだが、どちらも静岡の茶園の経営のよう。
うち1件では宇治茶を見かけたが、申し訳程度においているという印象。
もう1件の経営の有名茶屋が近くにあるので足を延ばす。

やっぱりここだった、と思ったのは「うおがし銘茶」。
かなり昔、ワンコインで5種程度の本格的日本茶を飲める催しに誘われたことがある。アクロバット的な大胆な入れ方で、入れてくれたお茶が美味しかったのを、今でも覚えている。
なぜかその時、B級グルメグランプリの富士の有名焼きそばが出て、どういうつながりがあるのかずっと疑問だったのだが、そう、ここも静岡の茶園の経営だったのである。
ちなみに、この催しは今でも年に数回開催しているようで(現在700円?)これはオススメ。是非一度、美味しいお茶数種類を気軽に体験して欲しい。
さて、尋ねると、扱っているお茶は全て静岡茶、それも深蒸ししかありません、美味しい深蒸しを楽しんでいただいてます~との回答。店内で出してくれたお茶を飲んで(非常に美味しかったのであるが)喫茶室には上がらず退散。

有名な「寿月堂」も静岡の茶園だった。
煎茶が3種から選べるのは嬉しかったが、やはりどれも深蒸し。お茶は美味しいし、元来海苔屋さんらしく、食事が美味しかった。
お茶は、ポットに入ったお湯も出てきて3煎程度飲めるが、自分で入れるシステム。

そのほか、街で小さなお茶屋さんを見つけると入ってみたが、どこも静岡茶が多く、そして九州のお茶も結構見かけ、宇治煎茶は少ない。
おーい、宇治茶~どこにいるの~?

宇治茶ということではないが、非常に良かったのは、銀座、松屋の地下にある「茶の葉」。
デパートの食品売り場の隅にあり、イートイン的な造りになっていないので、こんな奥にこんなに静かな茶屋があるとは、知らなければ入れない造りになっている。カウンターのみのたった7席。多分太陽の陽をほとんど浴びたことのない白い花を咲かせた梅と、同じく白い花を付けた(白は珍しいとのこと)ボケが出迎えてくれた。とても風流な空間。
せっかくなので、お正月の特別メニューを注文。大福茶やお赤飯が付いている。梅と黒豆入りの大福茶も赤飯も非常に美味で満足だったところ、さて、カウンター越しに見える、日本茶ソムリエ(女性、本当のタイトルは知らないが。。)の方の入れてくださる日本茶に注目。優しく、しかし大胆に入れてくれる。最初は抹茶を飲もうかと思ったのだが、入れ方を見ていて気を変えた。彼女の入れる煎茶を飲んでみたい。

宇治茶あります、というので即、注文。
見事な味であった。きちんと茶葉の量を測り、使い込んでいる急須は小ぶり、お湯の温度に気をつけて、砂時計で時間をきちんと測り、茶葉の量が多めで、3煎までちゃんと飲める。
知っていれば一人でもふらっと入れるところ。お茶の種類は多く、東京に住んでいたら通うのに。。。残念。

常時売っている茶葉は15種ほどで、静岡、鹿児島が多く(深蒸しもあるが、浅蒸しも多い)宇治煎茶は2種のみ。即購入。
うち1袋(飲んでいない安い方)をすでに開けているが、素晴らしい。見事な茶葉で、見事な味である。


残念ながら、東京で宇治茶は実はあまり流通していないのを実感。

Alaska di Claudio Cupellini イタリア映画 アラスカ

2016-01-14 08:00:38 | 何故か突然イタリア映画
Alaska アラスカ
監督 クラウディオ・クペッリーニ
実に激しい愛の物語、というより冒険



とても評判の良い映画だったので楽しみにしていた。今回は忙しく、以前さらっとあらすじに目を通していただけだったので、珍しくほぼ「無防備状態」で行った。

場所はパリ。英語とフランス語が飛び交う場面から始まり、字幕は英語。白っぽい画面に白い文字は、読むのに最初結構きつかった。後ろにいる人が、イタリアの映画で、音声はフランス語、字幕は英語~??と話していた。最近、国際的配給を意識して英語が多い。。。

主人公は、モデル志望のフランス人のナディーヌと成功を夢見ているイタリア人のファウスト。
モデルのオーディションを抜け出して、会場のある超高級ホテルの屋上でタバコを吸っているところ、休憩に来たホテル従業員のファウストと出会う。
カッコつけたいと思ったファウストは、彼女をホテル内最高級の部屋(室内にプールまである)に誘う。そうこうしているうちに部屋に泊まっている客が帰ってきて、「何をしているんだ?ディレクターと話しをする」となり、カッときたファウストは客を殴ってしまう。(突然でちょっとビックリ~) そして、逮捕。監獄でしばらく過ごすことになる。
一方ナディーヌは、絶対不合格と思ったオーディションに何故か合格し、いっぱしのモデルになり、やがてミラノに移住する。

いよいよ出獄の日、ミラノに行っていてもう来ないと思ったナディーヌが迎えに来た。
そして、二人は一緒に暮らすことになる。(ここからはだいたいイタリア語で、字幕は引き続き英語)
ミラノでモデルとしてまずまず成功しているナディーヌ。
ファウストは、最初は地味にアルバイトをして過ごすが、そのうち、超高級ナイトクラブの共同経営を持ち掛けられ、参加することになる。
車の中での言い争いが元で交通事故を起こしてしまったナディーヌは、モデルとしての人生を終える。事故後の松葉杖の生活はナディーヌをイラつかせ、喧嘩になって、終いにファウストは出て行ってしまう。
そんな頃、以前からファウストに惚れているのがフランチェスカ。父親が超高級ホテルを経営する、大金持ちの令嬢である。そのうち、ファウストはホテルのディレクターとなり成功する。
まあいろいろ、実にいろいろ。かなり複雑な内容で、何度か二人の再会の場面はあるものの、歯車は噛み合わず、ファウストはフランチェスカとの結婚を決め、失意のナディーヌはフランスに帰る決意をする。
ところが、ここで、今度はナディーヌが殺人を犯してしまうことになり、監獄に。面会に来たファウストが、結婚しよう、と紐で指輪らしきものを作って誓う。結局は元の鞘に戻ってメデタシ。

とにかく激しい愛。内容も状況も心理も複雑。テンポも早い。その早いテンポで、実にいろいろなことが起こる。
やたらカッとなってものを壊す、人を脅す、殴るという場面は多く、ここまで短気な男がよくまあ成功したものだと思うところはあるが、シナリオが非常にうまく、複雑なつじつまを実に巧妙に合わせている。
2時間を超える作品なのだが、それだけの長さは感じさせない。

この上映会は、上映後の監督のインタビューが面白くやめられないのだが、よく話す監督、あまり話さない監督など色々である。
クペッリー二監督(「チョコレート・レッスン」で有名)は、作品のごとく、早いテンポで、実に明解に話し、答えていた。

ところで「アラスカ」というタイトル。タイトルだけ見るとアドベンチャー映画かと思うので、これが良いか悪いかは個人的に疑問だが、二人の愛の成り行きをアドベンチャーにもたとえたとのことで、気に入っているそう。
なお、アラスカは、共同経営に参加することになった超高級ナイトクラブの名前。
共同経営者のサンドロは最後自殺してしまうが、それをきっかけに再び二人が再開する重要な場面もあり、見終わってみれば、何故このタイトルを付けたのかわからなくもない。

監督曰く、二人の浮き沈みが対照ということだが、確かに、ナディーヌが成功しているときはファウストはくすぶり、ファウストが成功するとナディーヌに不幸が訪れるなど、まるでバランスの取れていない天秤のよう。最後、フランチェスカとの結婚を取りやめ、自分も経験のある監獄に入ってしまっているナディーヌとシンプルにやり直そうと決心することで、天秤がやっとバランスを取る。

ナディーヌの役者はフランス人、ファウストはイタリア人が演じ、どちらも3ヶ月程度で言葉を習得したということだが、ナディーヌのつたないイタリア語が可愛かった。

何故この男がここまでモテ、成功し、また、これだけいろいろなことが起こったら気が変わるよね~、まだそこまで惚れてるの~?前科もあるし、やめときなよ、その男、と思うところは多いのだが、ここまで激しく、そして長く人を愛せたら羨ましい。