在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

Carpineti

2013-09-30 06:52:38 | Lazio, Abruzzo, Molise ラツィオ他
Carpineti -Cori, Lazio


ずっと前から興味のあったCarpinetiに行った。
すぐ近くにあるワイナリーCincinnatoの新カンティーナのお披露目に行ったついで、本当にすぐ近くにあるのだが、突然行った。
マルコ氏を良く知っている人がいて、ほぼ突然、訪問と言うより挨拶に行ったという感じ。
Cincinnatoで素晴らしい昼食をいただき、その後、これまたすぐ近くにあるアーティチョークのオイル漬けを造っている素晴らしく優良な小さな製造所Agnoniを訪れ、その後である。
これから寄るの?と言ったのだが、イタリア人の一日は長い。


Carpinetiは、これまた素晴らしいワイナリーであった。
まず、建物。急斜面にあり、素晴らしく眺めが良い。急斜面に造られているので、カンティーナ部分の奥の壁は、岩、である。むき出しの岩。そこに丁寧に、ワイナリーが造られている。
樽を解体した木材をデザインに使っているのは、Cincinnatoに似ている。(ただし、アイデアはこちらが先)そして、(たぶん再利用の)麻袋を椅子のカバーに使っていたりするのは、なかなか斬新なアイデアである。
そして、見事というほど素晴らしいのが景色。景色の見える側、一面に細長くサロンを造っている。窓から光が差し込み明るく、そよ風が吹き込み、急斜面なため、視界を遮るものはなく、遠くは海らしきという景色。
明るい昼間も良いのだが、あまりに素晴らしいのが日没。思わず、キレイ~と唸ってしまう。その景色を見ながら、ユッタリした空間での試飲。この時間に来てよかった。。。と思ったのでした。


写真は、角に向いて造られているテラス部分。こちらもユッタリ、雰囲気最高。。。
もちろん素晴らしいのは建物や景色だけではない。それに見合うほどワインの方も良い。

さて、ワイナリーで見つけたのは大きな袋。空中にほぼ浮かんでいるようにある。数年前から利用しているそうだが、窒素を入れる袋で、ぶどうの圧搾機につながっている。つまり、真空状態で圧搾をしているのだそうだ。後ろには窒素のボトルが何本もある。窒素が充満している圧搾機にブドウが入ると窒素が押し出され、大きな袋に入る。ブドウが取り出されると再び、圧搾機に窒素が入るが、袋に充満している窒素で足りなくなるとボトルから補充される、という仕組みなのだそうだ。高かった!というのはマルコ氏。

言うまでもないが、Carpinetiは1994年からビオである。
かなり早い時期からビオのワイナリーと言っている。つまり、昨今多い(ほぼ)ニセビオとは違う。
なにせ午後の遅い時間の訪問で、超満腹状態、挨拶程度の訪問のため、スプマンテ2種を開けてくれた。品種は、BelloneとNero Buono。どちらも地元の土着品種である。

Belloneのスプマンテ。
どちらもmetodo classicoであるが、こちらは白ブドウ品種のBelloneを使った最低24ヶ月の熟成、Brut Millesimato。ベッローネは酸が多い品種で、スプマンテに向いているそうだが、かなり良い。イタリアのスプマンテに多い、華やかな花の香りがぐっと抑えられて、ブラインドだとシャンパンと間違えても不思議はないかもしれない。

Nero Buonoのスプマンテ。
名前からして黒ブドウ品種である。ロゼと呼んでいたので、ロゼかと思いきや、色は濃いが、ロゼと言うほどでもない。さて、こちらは、まだ生産途中。販売されていない試作品。
今年の3月11日にボトル詰めしたとのことで、ちょうど6ヶ月たっている。それを1本開けてくれた。
黒ブドウらしい強さがあり、ものすごく期待できそう。Belloneで24ヶ月以上の熟成なので、どれくらい熟成させるのか聞いたら、50ヶ月くらい、との回答。つまり、4年以上、つまり市場に出回るのはまだまだ先なのである。乞うご期待。
ところで、熟成途中のものを開けてくれたので、普通にボトルを立てにしては開けられない。ボトルの口にたまっている(たまりはじめている、が正しい)澱が散ってしまう。
そこで、ボトルを逆さまにしたまま開けるのであるが、そのまま開けたら、重力の法則でワインが当然こぼれてしまう。そこで、水の中で開けたのであるが、そのときのsbocaturaのビデオを撮ったのだが、こちらにうまくUPできない。。。FBで見てね、と言っても無理?

Prosecco Colfondo -Casa Belfi

2013-09-29 21:57:10 | Veneto, Emilia Romagnaヴェネト、エミリア
Prosecco Colfondo -Casa Belfi


プロセッコのColfondo o Col Fondoコルフォンドはあまり知られていない。
Fondoは底、conは一緒という意味なので、底に、という意味になる。
または、そして、フランスではSur Lieと呼ばれる。
Sur Lieというと、今はよく上品質の白ワインのひとつの作り方として知られているが、これはプロセッコである。
プロセッコの地域では、伝統的な造り方のひとつだそうだ。
瓶の底におりが溜まり、軽く振って飲むので、濁り酒のごとく、少しにごったプロセッコになる。

プロセッコはシャルマー式で、つまりタンクで大量に造るのだが、コルフォンドは、春、復活祭のころ、ボトルに詰めて、発泡させる。
そして、そのままである。というと、簡単そうだが、そうはいかない。
シャルマーで造った普通のプロセッコは、多少品質が劣るものでも、おりを取り除いたあと糖分などを調整するので、ある意味いくらでもごまかせる。
しかし、コルフォンドはごまかせない。ボトルに詰めたものがそのまま最終製品として市場に出るので、ベースワインの品質が良くないと良いものにはならない。

そのままなので、自然とおりがボトル内に溜まる。溜まったおりをボトルの口に集めて、取り除き、門出のリキュールを足し、糖分などを調整すれば、普通のクラシコ方式のスプマンテになるのだが、たまったおりを除かず、おりを混ぜて飲む。
もちろん、ボトルの底にたまったおりを、混ぜず、揺らさずグラスに注いで、残しても良い。
門出のリキュールも当然入れていないので、糖分ゼロの超辛口である。そして、もともとのベースワインに酸味があるので、酸味が特徴のものになる。
そして、ベースワインが良くないと、酸味がきついだけの、美味しいとはいえないものになってしまうので、良いワインを造る必要がある。
というわけで、単純ではないのである。
また、普通のプロセッコは、早いうちに飲んだほうが良いのだが、コルフォンドの場合は、長く置いておける。シャンペンが長くボトルの中で熟成されるのに似ているからだ。

ベルフィは、ラベルにも明記があるが、ビオである。
ラベルが非常にかわいい。
色は濃い目、ボトルを揺らして飲んだので、当然濁りがあり、極辛口、酸味がかなりあるが、きつすぎるほどではない。品質の良いベースワイン、アミノ酸を含むおりが、味と香りを与えている。自然派で、やさしい。本物の自然派ワインは心に響くやさしさがある。
なお、ベルフィのコルフォンドは王冠使っている。

また、白も美味しかったが、赤が大変気に入った。
品種はCabernet とRaboso。
アルコール度12%で、いまどき重たい赤が多い中、大変うれしい。とてもきれいな赤で、小さなフルーツの香りが心地よい。自然派ワインらしく、程よい酸味があるのに、最初の口当たりはやさしく、主張過ぎることがなく、脇役として料理を引き立てる。
暑い時期だったこともあるが、少し冷やしてみた。これが、大変美味しかった。暑い夏に、少し冷えた赤ワイン。タンニンがきついわけでもなく、程よい酸味が非常に心地よい。
海辺で魚料理でも良いと思った。

Cincinnato

2013-09-29 11:40:02 | Lazio, Abruzzo, Molise ラツィオ他
Cincinnato


このところ、ラツィオから遠ざかっている。というより、北に集中していると言う方が正しい。
最初は、近くて有名産地のトスカーナ、ローマ周辺、南もなかなかいいね、特に安いし・・・であるのだが、いつかは北へ行く。もちろんどこかにとどまっても良いし、好みはさまざまであるし、南も中部も素晴らしいものはあるし、北のワインだから全てが良いわけではないが、北の‘良い’ワインはあきない。

でも、ラツィオもいいね、と思ったのはこのCincinnatoと、そして同時に訪問したCarpineti。
Carpinetiは昔から知っていたが、Cincinnatoはあまりよく知らなかった。
オーナーの女性、Giovannaと知り合って、素晴らしく人柄の良い彼女のワインを飲むようになって、ちょっと開眼した。
ラツィオのワインと言うと、味も香りも平凡なもの、またはなんだか無理して造ったメルローとか(美味しくないわけではないが)のイメージなのだが、Cincinnatoは、(別に述べるCarpinetiも)地元の品種、ベッローネとネーロ・ブォーノに焦点を当てている。どちらもあまり知られていない品種だが、このところ土着品種流行りなので、これから知られるようになると思う。


そのCincinnatoが新しいカンティーナを造って、そのお披露目に招待された。
場所はローマの南、1時間ちょっと行った、コーリという場所にある。
建物は、ふんだんに光を取り入れ、また、デザインのあちらこちら(カウンター、扉、椅子、その他)に解体した樽の木材を使った、大変味のあるものだった。建物は、20年近く放っておかれたものだというので、こうやって素晴らしいカンティーナになって、よみがえったことになる。

写真はバリックの木材で造ったカウンター。焼印がそのまま残っている。

醸造はいまだあるカンティーナの方で行い、こちらにはバリックとトノーの樽が置いてある。コーリの町ときれいに整ったブドウの畑とに囲まれ、地元の食材、地元で取れる葉、野菜をふんだんに使った美味しい料理を味わうのは最高であった。



食事がほぼ終わったころ、Nero Buonoの3ヴィンテージをさらっと試飲した。
2010年 非常にまろやか、インパクトが大変よく、飲みやすい。タンニンがまろやかで、女性的な印象を持つ。万人に受けるタイプで、肉料理にぴったり。
2009年 2010年のあとだと特に、なのだが、やや細く、硬い印象。酸味がある。しかし、ずいぶん後になってかなり変化して良くなった。
2008年 2010年と対照的に男性的な印象。硬くはないのだが、重みを感じ、タンニンと酸のバランスがよく、ちょうど良い飲み頃に熟している。


Cincinnatoは協同組合で、200人のブドウ生産者からなっているという。それは、コーリの畑の50%になると言うが、協同組合でこれだけの質を保つのは難しいと思う。ラツィオのワインであることもあり、値段も手軽でうれしい。
なおラツィオのもうひとつの有名地元品種Cesaneseを使ったワイン、そして、Belloneで、とても飲みやすい白、スプマンテ、デザートワインを造っているので、こちらもぜひ試してほしい。

Santus; Franciacorta, brut saten e rosato

2013-09-15 10:23:49 | Lonbardia, Valle d'Aostaロンバルディア他
Santus
Franciacorta brut, saten e rosato



何とまあ久しぶりです。
このところ、飲んではいても書く暇なしの状態でしたが、新年(つまり年度始まり)を迎えて、重い腰を上げてみました。

近くのひいきのエノテカDi Biagioが、早速土曜日の試飲会を始めた。
土曜日の午後、誰でも気軽に、無料で飲める。一時期、この手の試飲会をやっているところはたくさんあったが、今は少し減ったような。Di Biagioでは、相変わらず健在。

さて、毎回テーマを決めて、今回はFranciacortaの新しいワイナリー、Santus。
ラベルがFranciacortaらしくないかなりモダンな感じ。しかし、わかりやすいというか、一度見たら覚えてしまうので、戦略的にはいいかも。
ワインは3種。全てmillesimatoとのことで、ラベルに年号が入っているわけではないが、バックラベルのロットナンバーからはっきりとわかるようになっている。

brut
かなりフルーティーで、誰にでも好かれるタイプ。しかし、フランチャコルタらしいベースはある。フルーツの香りがきれいに前面に出て、香りも味も重たさはなく、可愛くまとまり、食前酒や、最初のワインにウケそうな感じ。

saten
こちらは残念ながら、個性を出し切っていない感じ。香りが穏やかなのはわかるが、味もおとなしく、これぞ、という個性に欠けてしまっている。しかし、だからこそ、料理を引き立てると思う。例えば、日本料理にスプマンテが飲みたいという時にぜひ試してみたい。

rosato
マセラシオン6時間で、ちゃんとしたロゼワインをベースに造っている。
色はそれほど濃くないので、優しめかと思いきや、最初からインパクトが強い。フルーティーさもあるが、その点ではbrutの方が強く、こちらは外見と違ってかなりしっかりしている。味わいもしっかり主張があり、ロゼだからロマンチックに食前酒行きたいところであるが、魚でも白身の肉でも大丈夫で、逆にメインに合わせてみたい感じであった。

Santusで造っているワインはこの3種。昨今あれやこれや、これでもか、と多くのワインを造っているワイナリーが増えている中、こだわりが見えて、今後に期待。