小さな躙口は、いわば異界への入口だった。
茶道を何年もやっているにもかからわず、「たしなむ」境地にさえ達することのできない自分に呆れつつ、
憧れを募らせずにはいられないこの世界。茶の湯をテーマにした小品を集めたこの本も、半ば勉強のつもり
で手にした。
テーマがテーマだけに、舞台はほぼ京都。地名が出てくるだけで、界隈の様子がイメージできるのが嬉し
い。話は落語にも通じるような人情ものが多く、貧しいながらも誠実に生きてきたひとに、希望の光が灯っ
て終わるのが、なんともほっとする(中には怪談チックで救いのないのもあったけど)。そんなやさしい読
後感が、心地よかった。忘れられつつある日本人のつつましさとか、武士道の美学にふれる快感。
で、ストーリーにごく控えめに茶の湯がからめられている。なかでも今まで知らなくてへえ~と思たのは
、躙口を入る姿が昆虫のケラに似ていることから、それに似た利休の花押は「ケラ判」といわれている、と
いうこと。かくいう私は未だになんでわざわざあんなところから躙って入るのだ、意味わからん…という気
持ちも捨てきれないでいる。でも、異世界への入口と思えば、ちょっと楽しいかも。
茶道を何年もやっているにもかからわず、「たしなむ」境地にさえ達することのできない自分に呆れつつ、
憧れを募らせずにはいられないこの世界。茶の湯をテーマにした小品を集めたこの本も、半ば勉強のつもり
で手にした。
テーマがテーマだけに、舞台はほぼ京都。地名が出てくるだけで、界隈の様子がイメージできるのが嬉し
い。話は落語にも通じるような人情ものが多く、貧しいながらも誠実に生きてきたひとに、希望の光が灯っ
て終わるのが、なんともほっとする(中には怪談チックで救いのないのもあったけど)。そんなやさしい読
後感が、心地よかった。忘れられつつある日本人のつつましさとか、武士道の美学にふれる快感。
で、ストーリーにごく控えめに茶の湯がからめられている。なかでも今まで知らなくてへえ~と思たのは
、躙口を入る姿が昆虫のケラに似ていることから、それに似た利休の花押は「ケラ判」といわれている、と
いうこと。かくいう私は未だになんでわざわざあんなところから躙って入るのだ、意味わからん…という気
持ちも捨てきれないでいる。でも、異世界への入口と思えば、ちょっと楽しいかも。
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