「ほんとにイカれてる奴ってのは、ああいう顔してんですよ。一見、普通の顔してっけど、
その普通の顔で人殺すんですよ」
なんの咎もない若い夫婦が惨殺され、現場に「怒」という血文字が残されていた事件から、物語は始まる。
容疑者はすぐに割り出されたが、その行方探しは難航。読者にだけわかる形で、房総、東京、沖縄に同時多発的
に現れる「犯人らしき」人物と、それに絡む人間ドラマが同時進行していく。それぞれに謎が多く怪しいけれど、
それぞれに人間性も垣間見え、混乱の末に行き着く、真犯人。久々に先が気になってやめられず、あっという間
に読み終えたミステリーだった。“容疑者“にそれと知らず関係していく人々も、みな問題を抱えつつ日々を生き
ている。そのあたりの描き方は丁寧で、同じ目線で息が詰まる思いをしながらも、「待て待て、その人は〜」と
いう天の目もあるので、感情の振れ方も大きい。だがしかし、キーになる事件の真相の部分がちょっと中途半端
というか消化不良に終わってしまった。いや、「その程度」のものだったからこそ、怖いのか。そう思うと、な
んてことない人物が語った引用の文が、妙に心に残ったのにも納得がいくのだ。
これは映画も見てみたいな〜キャスティング、なかなか絶妙ではないか。
その普通の顔で人殺すんですよ」
なんの咎もない若い夫婦が惨殺され、現場に「怒」という血文字が残されていた事件から、物語は始まる。
容疑者はすぐに割り出されたが、その行方探しは難航。読者にだけわかる形で、房総、東京、沖縄に同時多発的
に現れる「犯人らしき」人物と、それに絡む人間ドラマが同時進行していく。それぞれに謎が多く怪しいけれど、
それぞれに人間性も垣間見え、混乱の末に行き着く、真犯人。久々に先が気になってやめられず、あっという間
に読み終えたミステリーだった。“容疑者“にそれと知らず関係していく人々も、みな問題を抱えつつ日々を生き
ている。そのあたりの描き方は丁寧で、同じ目線で息が詰まる思いをしながらも、「待て待て、その人は〜」と
いう天の目もあるので、感情の振れ方も大きい。だがしかし、キーになる事件の真相の部分がちょっと中途半端
というか消化不良に終わってしまった。いや、「その程度」のものだったからこそ、怖いのか。そう思うと、な
んてことない人物が語った引用の文が、妙に心に残ったのにも納得がいくのだ。
これは映画も見てみたいな〜キャスティング、なかなか絶妙ではないか。