こんな本を読みました

気ままで偏りのある読書忘備録。冒頭の文章は、読んだ本からの引用です。

『おまえさん』(宮部みゆき)

2015-01-31 | 歴史・時代小説
政五郎が口を閉じると、小ぎれいな座敷に、小ぎれいな沈黙が落ちた。

 今年初読書、なんとひと月で一作品!!見に来てくださってる皆様に平身低頭。今年は(というか昨年
後半から)ペースダウンの予感ですが、細々と更新はしていきますので、どうかまったりとご覧ください
ませ。
 さてさて、そんなわけで今年初宮部さん。楽しみにしていた「ぼんくら」シリーズの3作目にして最新
作。いつも人物描写のきめ細かさに感嘆する宮部作品だが、今回は特に女性の描き方が素晴らしいと思っ
た。そのおろかさ、あざとさ、計算高さ、やさしさ、そして強さ・・・そう、宮部作品の女性たちはタイ
プは違えど、ほとんどが根っこは強く、凛々しい。たとえ毒婦のような女性であっても。下手すれば杓子
定規に描かれがちな人々の事情や心理状態を、表から裏からじっくり見せるその手腕に、今回も魅せられ
た。特に感じ入ったのは抜粋したあたりの、おきえと政五郎のくだり。すべての「告白」を終えたあとの
情景描写がまた、眼に浮かぶように美しくて、涙が出るほどなんですわ。やさしいな~、宮部さん。小ぎ
れいにまとまりすぎたきらいはあるけど、感動したからいいや。
 これ以外にも、もちろん男性も、ユニークな人物造型がおもしろかった。ちょっと容姿にこだわりすぎ
では、と思わぬでもないが、これも女性作家ならではかもな。
 難をいうなら、柱となる殺人事件…過去も現在も含めて…にまったく共感できなかったのと(わざとか
しら?)、謎解きもちょっと強引だったかな~。宮部作品の肝はそこにはないのだ、と思うことにしよう。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿