あの、変態の先生が、弟子の寝てたフトンに顔を埋めて泣く話でしょう?
田山花袋『蒲団』に着想を得た中島京子のデビュー作。直木賞受賞の『小さいおうち』、近刊の『長い
お別れ』もそうらしいが、どれも原典を読んでいないのだ。
だから、主人公のアメリカ人の日本文学の教授が研究する『蒲団』を元嫁にこんなふうにこきおろされ
ても、その面白さは実は半分ほどしか理解できてないんだろうなと思う。彼による『蒲団の打ち直し』も
とても楽しめたのだけど、原典を知っていたらもっと面白いんだろうな。
でも、そういうもどかしさを差し引いても、多面的な登場人物とそれぞれに少しずつかかわっていく物
語がおもしろかった。この人の人物造形はほどよくユニークで、でもどこかで滑稽なほど真面目でとても
好きだ。みんな少しずつ幸せに向かって歩き出すような、でもみなまでは書いてしまわないさじ加減もほ
どよい読後感。
田山花袋『蒲団』に着想を得た中島京子のデビュー作。直木賞受賞の『小さいおうち』、近刊の『長い
お別れ』もそうらしいが、どれも原典を読んでいないのだ。
だから、主人公のアメリカ人の日本文学の教授が研究する『蒲団』を元嫁にこんなふうにこきおろされ
ても、その面白さは実は半分ほどしか理解できてないんだろうなと思う。彼による『蒲団の打ち直し』も
とても楽しめたのだけど、原典を知っていたらもっと面白いんだろうな。
でも、そういうもどかしさを差し引いても、多面的な登場人物とそれぞれに少しずつかかわっていく物
語がおもしろかった。この人の人物造形はほどよくユニークで、でもどこかで滑稽なほど真面目でとても
好きだ。みんな少しずつ幸せに向かって歩き出すような、でもみなまでは書いてしまわないさじ加減もほ
どよい読後感。