鹿が荒い鼻息を吐いたとたん、僕の胸のなかで奇妙な感覚がわき起こった。
痛みに満ちた安らぎとでも言おうか。
アメリカ探偵作家クラブ最優秀長編賞受賞作というふれこみに惹かれて手にとってみた。ベースはミステリー
だが、いわゆる犯人さがしにワクワク…という類いのものではない。「これは家族をめぐる物語である」と
作者自身が語っている通り、自殺、トラウマ、殺人事件を軸にしつつ発生する人間関係のこじれ、さまざま
な葛藤が話をひっぱっていく。ひたすら重い。でもアメリカ映画にありそうだな~という雰囲気の、練られ
た話。決して壮大ではないけど。みんな真面目に一生懸命生きるゆえの悲劇がベースなんだね。。
繰り返し出てくるモチーフに撃とうとして撃てなかった白い鹿があって、主人公の深層心理を語るものと
して、象徴的に機能していると思った。父親との気持ちのズレとかね。至る所でお互いが思い合っているの
がわかるだけに、噛み合わないことがはがゆくてじりじり…。でもまあ、悲惨な事件が重なるなかで少しず
つ回復されていく絆に、読後感はさわやか…と言わんまでも救いがあってよかった。
ちなみに私の推理はまーったく当たらなかった。
痛みに満ちた安らぎとでも言おうか。
アメリカ探偵作家クラブ最優秀長編賞受賞作というふれこみに惹かれて手にとってみた。ベースはミステリー
だが、いわゆる犯人さがしにワクワク…という類いのものではない。「これは家族をめぐる物語である」と
作者自身が語っている通り、自殺、トラウマ、殺人事件を軸にしつつ発生する人間関係のこじれ、さまざま
な葛藤が話をひっぱっていく。ひたすら重い。でもアメリカ映画にありそうだな~という雰囲気の、練られ
た話。決して壮大ではないけど。みんな真面目に一生懸命生きるゆえの悲劇がベースなんだね。。
繰り返し出てくるモチーフに撃とうとして撃てなかった白い鹿があって、主人公の深層心理を語るものと
して、象徴的に機能していると思った。父親との気持ちのズレとかね。至る所でお互いが思い合っているの
がわかるだけに、噛み合わないことがはがゆくてじりじり…。でもまあ、悲惨な事件が重なるなかで少しず
つ回復されていく絆に、読後感はさわやか…と言わんまでも救いがあってよかった。
ちなみに私の推理はまーったく当たらなかった。