幸い、僕は恵まれていた。夢こそが希望の象徴であり、至上の極楽であり、唯一の武器で
あることを知る術を持っていたからだ。(小島達矢『僕の夢』より)
よりすぐられた10の短編と1の評論からなるアンソロジー。ほぼ読んだことのない作家さんばかりで、
ミステリ好きを公言するのは控えねばと反省した次第。「ベスト」と銘打たれるだけあって、どの作品も
キャッチーでひねりのきいた、読み応えのあるものばかりだった。
なかでも心に残ったのは、夢をテーマにしたこの一作。なにせ私自身、よく夢を見て、それを他人に話
したくてたまらなくなる始末に負えない人間だから。つかみはOK。内容も、他人の夢をコントロールする
能力を身につけ、さらに壮大な「目的」へ向かおうとする“僕”…交錯し、複相する夢と現実のなかで、スト
ーリーは思わぬラストへ。ドキドキして切なくて少し悲しい話だった。のめりこんで読んでいたせいか、私
までしばらく不思議な夢を見るハメになった。
本当にどの話も面白かったが…バカバカしさがたまらない「田舎の刑事の宝さがし」(滝田務雄)も個人
的にツボだった。
猫の表紙に釣られて思わず借りたのだけど、よい息抜きになったのだ。
あることを知る術を持っていたからだ。(小島達矢『僕の夢』より)
よりすぐられた10の短編と1の評論からなるアンソロジー。ほぼ読んだことのない作家さんばかりで、
ミステリ好きを公言するのは控えねばと反省した次第。「ベスト」と銘打たれるだけあって、どの作品も
キャッチーでひねりのきいた、読み応えのあるものばかりだった。
なかでも心に残ったのは、夢をテーマにしたこの一作。なにせ私自身、よく夢を見て、それを他人に話
したくてたまらなくなる始末に負えない人間だから。つかみはOK。内容も、他人の夢をコントロールする
能力を身につけ、さらに壮大な「目的」へ向かおうとする“僕”…交錯し、複相する夢と現実のなかで、スト
ーリーは思わぬラストへ。ドキドキして切なくて少し悲しい話だった。のめりこんで読んでいたせいか、私
までしばらく不思議な夢を見るハメになった。
本当にどの話も面白かったが…バカバカしさがたまらない「田舎の刑事の宝さがし」(滝田務雄)も個人
的にツボだった。
猫の表紙に釣られて思わず借りたのだけど、よい息抜きになったのだ。