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年金制度論争と日本共産党の立場-志位委員長の記者会見(大要)-

2007-07-20 09:50:44 | 国内経済
年金制度論争と日本共産党の立場

志位委員長の記者会見(大要)

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 日本共産党の志位和夫委員長が十五日、名古屋市での記者会見でおこなった年金制度問題での発言(大要)は以下の通りです。

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 年金制度をめぐる論争と、日本共産党の立場についてのべます。

低年金、無年金をどう解決するかこそ要の問題
 この間、「消えた年金」問題にたいして国民の大きな怒りが広がったわけですが、その根本には、現在の年金制度そのものへの深い不信、とりわけ給付水準のあまりの貧しさへの怒りがあると思います。

 たとえば低年金の問題です。国民年金を満期四十年払い続けたとしても、給付される年金は月額六万六千円です。平均では四万七千円と、給付水準は極めて低いものです。さらに無年金者が六十万人とも百万人ともいわれ、増え続けています。この低年金、無年金をどう解決していくかこそ、年金制度問題の一番の要の問題です。

 この点で、与党の立場は、三年前に改悪された現在の年金制度を「百年安心」「安定している」と自画自賛するだけで、深刻になっている低年金、無年金の問題を解決する方策は何もないどころか、負担は年々引き上げる、給付は年々引き下げることで、これらの問題をいっそう深刻にするものとなっています。

自公、民主とも低年金、無年金問題を解決する立場はない
 
 では民主党はどうかといいますと、「最低保障年金」制度の導入を主張していますが、この「最低保障年金」による受給が月六万六千円になるのは四十年先のことです。いま仮にこれが導入されたとしても、月六万六千円の最低保障年金がもらえる人は、現在二十歳の人ということです。導入一年目に年金受給者になる人は、四十分の一の月千六百五十円しか出ないという制度です。ですから、現在の低年金、無年金問題を解決するといううえでは、なんの力にもなりません。

 そのことは、この前の日本記者クラブ主催の党首討論会で、小沢代表が「無年金の人にまで最低保障年金を払うものではない」とのべていることからも明らかです。

 こうして、いま、自民・公明と、民主は、国民から見て大変わかりづらい論争をしているわけですが、この論争は低年金、無年金問題の解決を真剣に考えてのものではなく、その責任を放棄しているという点では、両者に違いはないといわなければなりません。両者の「論争」は、これをどう解決するかということから始まったものでもなければ、その解決をめざしたものでもありません。

「年金財源」に消費税をあてることの矛盾と危険
 自民・公明と民主との「論争」は、結局、民主党が「最低保障年金」の財源は「全額消費税でまかなう」としながら、三年前の選挙で掲げていた「消費税の三%の引き上げ」という方針を変えて、「消費税の税率は上げない」とのべたことをきっかけにおこったものです。

 「最低保障年金」の財源を「全額消費税でまかなう」としながら、「上げない」というのは重大な矛盾であり、民主党の方針では「財源不足」におちいることは明らかです。「全額消費税」の立場にたてば、消費税増税か、年金支給額の大幅引き下げか、このどちらかしかありません。

 ここでさらに重大なことは、そうやって民主党を攻撃した自民党が、安倍首相の「消費税を上げないとは一言もいっていない」との発言、その後の党首討論での一連の発言が示すように、与党が計画している秋の税制改革で消費税を上げることを選択肢にしていることが明瞭(めいりょう)となってきたということです。政府・与党が、消費税増税の可能性があるのに、この選挙でひた隠しにしていることが大問題となっていることを強調したいと思います。

 いま、政府・与党が、「年金財源のため」という口実で消費税増税という方向に危険な暴走をはじめている。ところがその時に、民主党の立場では対抗できない。こういう状況になっています。

日本共産党の年金制度での三つの提案
 
 日本共産党のこの問題についての立場は、低年金問題、無年金問題など年金の貧しさを打開するために三つの提案をしております。

 第一に、緊急策としては、いま年金受給条件は二十五年掛け続けないと一円ももらえないという過酷な制度となっています。これをせめて十年に引き下げるということが必要だと主張しています。諸外国では五年、十年、あるいは数カ月というのが当たり前であって二十五年も掛け続けなければ掛け捨てになる、二十四年半では掛け捨てになる、こういう過酷な制度を設けている国は諸外国には見られません。ですから、これをせめて十年に引き下げることによって、保険料を払えば給付となって戻ってくるという信頼を回復することが緊急に必要です。

 第二に、抜本策としては、最低保障年金制度の導入にすすむべきだと私たちは主張しています。私たちが提案している最低保障年金制度というのは、当面、月額五万円からスタートしようというものですが、これは土台部分としてすべて税でまかない、その上に保険料に応じた給付をおこなうという二階建ての制度をつくるというものであります。これは、民主党の案とは違って、いますぐに踏み出し、低年金と無年金を根本からなくしていく道を開こうということです。

 たとえば私たちの設計では、国民年金で月六万六千円もらっている方は、最低保障で五万円まで保障があり、その上に六万六千円の半分の三万三千円が上乗せされて八万三千円になるという形で、年金全体が底上げされるというものです。

 第三は財源の問題ですが、消費税に頼るということは絶対にしないということです。

 私たちは、歳出の無駄の削減、たとえば道路特定財源の一般財源化、あるいは、軍事費の削減、とくに米軍への「思いやり予算」の撤廃、政党助成金の廃止など無駄づかいの削減を一方でおこないます。

 それからもう一方で、大企業・大資産家へのもうけ相応の負担を求めます。下げすぎた法人税についてはある程度まで戻します。それから大企業への減価償却制度や研究開発減税など、もろもろの優遇税制を見直します。それから証券優遇税制など大資産家向けの減税制度も見直します。さらに所得税の最高税率を引き上げる必要もあります。これらによって、もう一方で財源をつくりだします。

 消費税には絶対に頼らない。これは私たちの方策ですが、この立場こそ、もっとも国民の利益にかなったものだと確信しています。

(出所:日本共産党HP 2007年7月16日(月)「しんぶん赤旗」)
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国連で「提案」と首相いうが核兵器使用禁止や廃絶決議 6本棄権

2007-07-15 09:47:57 | 国内政治
国連で「提案」と首相いうが
核兵器使用禁止や廃絶決議 6本棄権
これが久間発言の背景

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 安倍晋三首相は八日のテレビ党首討論で、「国連総会で、核を廃絶するという決議を日本が提案者で出しています」とし、日本が核兵器廃絶をリードしているかのように述べました。しかし日本共産党の志位和夫委員長が指摘したように、実際には政府は、核廃絶を究極のかなたに追いやる「究極廃絶」論に立っており、核兵器の使用禁止や廃絶を求める一連の国連決議に棄権しています。このような政府の立場が、原爆投下は「しょうがない」との久間前防衛相発言や、それをかばい続けた安倍首相の姿勢の背景にあります。

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 昨年十二月の第六十一回国連総会では、日本が提案したものも含め、主な核兵器関連決議十六本が採択され、日本は六本に棄権しました(表)。このうちテレビ討論で志位氏が紹介したのは、マレーシアなどが提案した「核兵器の威嚇または使用の適法性に関する国際司法裁判所の勧告的意見の後追い」決議(決議番号六一/八三)と、インドなどが提案した「核兵器使用禁止条約」決議六一/九七です。

「時期尚早」理由に棄権
 
 国際司法裁は一九九六年、核兵器の使用・威嚇が「国際法や人道に関する諸原則、法規に一般的に違反する」として、核兵器について初の国際的な司法判断をした「勧告的意見」を発表しました。マレーシアなどの決議は、その重要性を確認。具体策として、核兵器の開発や使用を禁止して廃絶を求める核兵器条約を締結する交渉の開始を呼びかけるものです。ところが政府は、この交渉は「時期尚早」だとして棄権しました。

 インドなどの決議は、「いかなる状況でも核兵器の使用または威嚇を禁止する」条約の交渉開始を求めています。

 日本は、非同盟諸国が提案した「核軍縮」決議六一/七八にも棄権しました。この決議は「すべての核兵器保有国が、核兵器廃絶の有効な軍縮措置をとる時期が熟している」と規定。二〇〇〇年の核不拡散条約(NPT)再検討会議の最終文書で合意された「自国の核兵器の完全廃絶を達成するとの核保有国による明確な約束」の実施が重要だと強調しています。この最終文書には日本も米国も賛成しています。

 ところが政府は、核軍縮に向けた措置が「すべての核兵器国が関与する、現実的で漸進的なもの」であるべきだが、非同盟決議には「核兵器国を含め」国際社会が合意できる要素がないとして棄権しました。

 日本が棄権した決議は、核兵器の使用を禁止し、核保有国に核廃絶を迫る点で共通しています。

「究極廃絶」破たん明確
 
 これに対し日本などが提案した「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意」決議六一/七四は、「核兵器の全面廃絶」を表題に掲げながら、文中では「全面完全軍縮」が「究極的目標」だというだけです。二〇〇〇年のNPT会議の最終文書など核廃絶の具体的措置は何も示していません。

 しかも、自らは「すべての核兵器国が関与する、現実的」な決議が実効的だと言っておきながら、安倍首相も認めたように、この日本決議に米国は賛成していません。

 もともと日本決議は、核廃絶を求める国際世論を国連の場に反映させようと新アジェンダ連合などが核廃絶決議を提案したのに対し、米国も賛成できる「究極廃絶」論で米国を救済するために出されてきました。

 ところが核抑止にとどまらない核先制使用政策を掲げるブッシュ政権の発足で、米国は〇一年以降、日本決議にも反対するようになりました。

 日本決議は「究極廃絶」論だとの志位委員長の批判に対して安倍首相は、「具体的に軍縮を進めなければ究極の目標にいけない」と述べ、「究極廃絶」論を弁護しました。しかし政府の「現実的・漸進的」対応は、核使用戦略へ暴走する米国の前で意味を失っているというのが「現実」です。

 破たんが明確な「究極廃絶」論でなく、「人類の死活にかかわる核戦争の防止と核兵器の廃絶のために実行ある措置」(「参議院選挙にのぞむ日本共産党宣言」)をとることが求められています。(坂口明)

(出所:日本共産党HP 2007年7月12日(木)「しんぶん赤旗」)
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日本共産党の国会議員に政府答弁書

2007-07-15 09:45:31 | 国内政治
共産党議員に政府答弁書

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紙議員に
情報あれば抜き打ち
食肉偽装調査
 
 日本共産党の紙智子参院議員の「ミートホープ社による食肉偽装問題に関する質問主意書」に対する政府答弁書が十一日までに、提出されました。

 答弁書では、内部告発を受けた農林水産省が、ミートホープ社に対して日本農林規格(JAS)法に基づく立ち入り調査を行わなかった理由として、「警察からミートホープ社に関し照会があったことから、同省の判断により、警察による調査に支障を生じないようJAS法に基づく立入検査を行わなかった」と警察の調査があったことを初めて明らかにしました。

 また、情報提供があった場合の調査については、抜き打ち調査をすべきとの紙氏の提案に対しては、情報提供に基づいて行う検査は、「必要に応じて事前通告をすることなく施設に立ち入るなど、立入調査の適正性を確保できる方法を採用することが重要であると考える」として、初めて抜き打ち調査を基本とすることを明らかにしました。

 紙氏が独立行政法人農林水産消費安全技術センターを国の機関として、調査活動を強化するよう求めた点については「食品の検査等の業務は国が自ら主体となって直接に実施する必要はない」として拒否しました。

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赤嶺議員に
住民証言は聴取せず
集団自決検定
 
 日本共産党の赤嶺政賢衆院議員が提出した「沖縄戦の強制集団死(『集団自決』)をめぐる文部科学省の検定意見に関する質問主意書」に対し政府は十一日までに、答弁書を提出しました。検定で教科書調査官が意見をまとめるにあたって、住民の証言は聴取していないことを明らかにしました。

 答弁書は、「集団自決」への日本軍の関与を一切削除した根拠について「すべての集団自決が軍の命令で行われたと誤解されるおそれがある」などと回答しています。

 しかし、教科書の申請本の記述は「日本軍によって…集団自決に追い込まれた住民もあった」など、日本軍によって自決に追い込まれた事例もあったことを記述しているにすぎず、答弁書の回答は、かえって、検定の不当さを浮き彫りにしています。

 答弁書は、教科書検定への文科相の権限と責任を認め、検定後に規定に基づいて記述の訂正がされた例があることを認めました。

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小池議員に
効果と安全性研究へ
ヒブワクチン
 日本共産党の小池晃参院議員が提出した細菌性髄膜炎の予防のための「インフルエンザ菌b型ワクチン接種及び肺炎球菌ワクチンの早期承認に関する質問主意書」に対する政府答弁書が十一日までに決定されました。

 細菌性髄膜炎は、脳や脊髄(せきずい)を覆う髄膜の内側に細菌が入り込んで起きる感染症です。日本では毎年、約千人近い五歳未満の子どもが感染していると推定され、うち約六割がインフルエンザ菌b型(ヒブ)、約三割が肺炎球菌によるものです。

 早期診断が難しく、重い障害を残したり、死亡する場合もあります。一方で、世界百カ国以上でワクチンが導入され、それらの国ではヒブ感染症が激減しています。

 答弁書は「ヒブワクチンの有効性や安全性等に関する治験等を更に蓄積する必要があり、専門家からなる研究班を速やかに立ち上げる」ことを明らかにしました。

 小池氏は、質問主意書で、ヒブワクチンの効果や副作用などについて情報提供を積極的に行うこと、ワクチン接種の費用負担の軽減を図ることを求めましたが、答弁書は「速やかに情報提供するよう指導すること」「(負担軽減については)有効性や安全性を踏まえて判断したい」としました。

(出所:日本共産党HP 2007年7月12日(木)「しんぶん赤旗」)
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参院選をめぐる各党の政治姿勢と政策

2007-07-15 09:43:12 | 国内政治
 参院選をめぐる各党の政治姿勢と政策

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【年金】

日本共産党
 「消えた年金」問題で、被害者を一人も残さず、一日も早く解決する立場で、「1億人へのレター作戦」など緊急提案し、政府を動かす。「消えた年金」問題の解決に対する国の責任を放棄する社会保険庁解体・民営化法案に反対。年金受給条件を諸外国なみの10年以上加入に引き下げることや、全額国庫負担の最低保障年金制度(当面月5万円に支払った保険料に応じた金額を上乗せ)を提案。

自民党
 政権党でありながら、「消えた年金」問題の原因をもっぱら社会保険庁の「体質」にすり替え。世論におされ、年金記録の1億人への通知を約束するが、それも来年度から。社会保険庁の解体・民営化を強行し、「消えた年金」問題の国の責任を投げ捨て。給付水準を15%も削減し、保険料は毎年引き上げる2004年年金改悪を推進する。

公明党
 「100年安心」の年金と宣伝していた一方で、同党出身の坂口力厚生労働相は「消えた年金」問題を放置。「消えた年金」問題の国の責任を投げ捨てる社会保険庁解体・民営化法案を強行。給付カット、保険料引き上げを国民に強いる2004年年金改悪を、いまだに「100年を見通す改革」(同党ホームページ)と自画自賛し、反省なし。

民主党
 「最低保障」年金制度を打ち出すが、現在の無年金・低年金の解決には役に立たないもの。しかも「最低保障」年金の財源は全額消費税でまかなうというものであり、年金を改善しようとすると消費税増税が避けられない危険性がある。なお、「消えた年金」問題でも、基礎年金番号導入時に十分な対策をとらなかった厚生大臣は菅直人氏。

【庶民増税】

日本共産党
 庶民大増税に反対し、大企業・大資産家ばかりに減税という不公正をなくす。住民税の大増税は中止し、すでに実施された増税分は「戻し税」方式で国民に返す。最悪の不公平税制である消費税の増税にきっぱり反対。欧米に比べても異常に低い所得税の課税最低限を基礎控除の倍加などにより大幅に引き上げる。無駄遣いにメスを入れ、大企業・大資産家に応分の負担を求め、くらしの予算を確保。大企業の法人税率を10年前に戻し4兆円を生む。

自民党
 定率減税廃止に続き、消費税増税を打ち出す。2007年度をめどに「消費税を含む税体系の抜本的改革を実現する」と公約に明記。安倍首相は「秋に抜本的な税制改正を行う。消費税を上げないとはひと言も言っていない」(5日、民放テレビ)と発言。消費税を増税しようとしながら参院選では「争点にしない」などと国民の審判を受けずに、消費税率を引き上げようとしている。

公明党
 定率減税の廃止と高齢者への増税を真っ先に提案し、推進。増税分は年金の財源として活用するというが、実際には増税額(国税分)の5分の1しか年金財源に回さず。安倍自民・公明内閣が閣議決定した「骨太の方針」に、2007年度をめどに「消費税を含む税体系の抜本的改革を実現する」と明記。

民主党
 「政策10本柱」に「庶民増税中止」の柱なし。いま家計を直撃している定率減税廃止による庶民増税への反対表明もなし。「消費税率は現行のまま行政改革を優先して年金の財源に充てる」としているが、「将来、消費税の増税は不可避だ」(鳩山由紀夫幹事長、6月25日の講演)という立場。大企業・大資産家減税には自民党以上に熱心。

【社会保障】

日本共産党
 貧困と格差を打開するため、国民の生存権をまもる社会保障の拡充をかかげる。「ストップ貧困、いのちをまもる緊急福祉1兆円プラン」として、国民健康保険料の1人1万円値下げ、介護保険料・利用料の減免拡充、子ども医療費を無料化する国の制度の創設、障害者福祉の「応益」負担撤回、生活保護・児童扶養手当の切り捨て中止を公約。医師数の抜本増などによる医師不足の解決、高齢者に過酷な負担と差別医療を押しつける「後期高齢者医療制度」の抜本的見直しを要求する。

自民党
 医療費負担の大幅引き上げ(02年・06年)、介護保険のサービス切り捨てと負担増(05年)、障害者福祉への「応益」負担導入(05年)、生活保護の切りすてなど、貧困を広げる改悪をつぎつぎ強行。さらなる社会保障給付費の削減を打ちだす(「骨太方針2007」)。

 「医師不足問題への早急な対応」(マニフェスト)を公約するが、医師数の抜本増に背をむけ、いっそうの「医療給付費抑制」を計画する。

公明党
 「福祉の党」を自称しながら、医療の窓口・保険料負担増、介護保険法改悪、障害者福祉の「応益」負担、生活保護・児童扶養手当の削減などを自民党と一体に推進。

 これらの改悪を、「安心の医療を構築する改革」「予防重視の介護保険への転換」「障害者福祉の拡大」など“改善”と描く宣伝をつづける。

民主党
 多くの「介護難民」を生みだした介護保険法改悪(05年)に賛成。旧民主党の時代にも、国民健康保険証のとりあげ義務化(97年)、母子家庭への児童扶養手当削減(02年)などのくらし切りすてに賛成した。自公政権の医療改悪を批判し、「医師不足の解消」(マニフェスト)をいうが、財界には「公的医療給付費の抑制」を公約(06年、「日本経団連と政策を語る会」)。一般病床・療養病床などの44万床削減を提唱している(「民主党医療制度改革大綱」)。

【雇用】

日本共産党
 人間らしく働けるルールをつくる。人間を「使い捨て」「モノ扱い」する働かせ方をやめさせ、非正規で働く人たちの雇用と権利を守り、正社員化をすすめる。最低賃金を引き上げ、ワーキングプア(働く貧困層)をつくらない。「サービス残業」を根絶し、異常な長時間労働を是正する。過去5年間だけでも852億円の未払い残業代を支払わせた実績を持つ。

自民党
 選挙公約で「若者の雇用機会の確保」「働く人の公正な処遇」などをかかげるが、雇用を破壊してきたのが自民党。労働法制の規制緩和で、働く人の3人に1人、若者や女性の2人に1人が非正規雇用という低賃金・不安定雇用を生み出す。残業代を横取りし、長時間労働を野放しにする「ホワイトカラー・エグゼンプション」(労働時間規制の適用除外)の導入をあきらめず。

公明党
 重点公約に雇用政策なし。政策集のなかに、「生活を犠牲にしない働き方」「若年者雇用への支援」の項目があるが、自民党とともに雇用破壊をすすめたのが公明党。違法だった労働者派遣を13業種に限り可能にした労働者派遣法の制定(1985年)、労働者派遣の原則自由化(99年)、製造業への労働者派遣の解禁(2003年)や裁量労働制の拡大・導入要件緩和など労働法制の規制緩和をことごとく推進。

民主党
 「政策10本柱」で「雇用を守り、格差と戦う」と公約。しかし、雇用破壊に手を貸し、貧困と格差を広げてきた“実績”への反省なし。民主党や自由党(後に民主党と合併)は、裁量労働制をホワイトカラー全般に広げる改悪(1998年)、労働者派遣の原則自由化(99年)に賛成。企業がリストラ・人減らしをすればするほど減税になる「産業再生」法の改悪・延長(2003年)にも賛成。

【外交】

日本共産党
 「靖国」派の侵略戦争正当化の策動を許さず、首相の靖国参拝中止や供物の奉納中止を要求。「従軍慰安婦」問題でおわびした「河野官房長官談話」や植民地支配と侵略への反省を表明した「村山首相談話」の立場で行動することを要求。日米軍事同盟の再編強化に反対し、アメリカいいなりから抜け出す日本外交の転換を求め、イラクからの自衛隊撤兵を要求。核戦争の防止と核兵器の廃絶のために実効ある措置を要求。北朝鮮問題で6カ国協議などの枠組みを生かした平和的外交的解決を主張。

自民党
 「従軍慰安婦」問題で首相が強制性否定発言を行うなど政府の公式見解にも逆行。同問題で日本に謝罪を要求した米下院決議にも多数の議員が反発し、米紙に広告を出す。久間章生前防衛相はアメリカの原爆投下を「しょうがない」「選択肢としてありうる」と発言。米軍再編などを通じて「日米同盟を強化」するとし、NATOなどとの軍事協力を探る。「国家安全保障会議」の設置や海外派兵恒久法も盛り込む。

公明党
 自衛隊のイラク派兵強行など自らすすめた悪政には公約で何も触れず。首相の靖国参拝では歯止めにならず、「従軍慰安婦」問題での首相発言や官房副長官の暴言にも抗議せず。在日米軍再編も「着実に実施」と公約、ミサイル防衛も「着実な整備に努める」など日米軍事同盟強化の路線をつきすすむ。

民主党
 「靖国」派議員を多数抱え、「従軍慰安婦」問題での米下院決議反対の広告にも13人が名を連ねる。「主体的な外交」を主張するが、日米関係を「外交の基盤」とする点では自民と同じ。米軍再編でも「地元の理解」があれば推進する立場。「自衛隊のイラク派遣終了」を主張するが、海外派兵は否定せず。

【憲法】

日本共産党
 憲法改悪の暴走にストップをかけるもっともたしかな力。「世界の宝」ともいうべき憲法9条を守るために党派の違いを超えた共同を発展させる。海外での武力行使を可能にする集団的自衛権の行使に向けた政府の憲法解釈変更の動きに反対。侵略戦争を正当化する「靖国」派による戦前・戦中の国家体制への逆戻りに反対。基本的人権や民主主義、男女平等など、憲法の全条項を守るために、全力をあげてたたかう。

自民党
 安倍首相は「憲法改正を必ず政治日程にのせていく」とのべ、公約の冒頭で2010年までに「憲法改正の発議をめざ」すことを宣言。同党の「新憲法草案」では、9条2項を撤廃して「自衛軍を保持する」と明記、海外派兵を可能にする規定も盛り込むなど、「米国と海外で肩を並べて武力行使する」ことが狙い。侵略戦争を肯定・美化する「靖国」派が策動の中心に。

公明党
 公約で「3年後を目途に加憲案をまとめることをめざします」と改憲姿勢を宣言。9条に第3項を加え、自衛隊の明記と国際貢献を明記することを検討。同党議員は「(護憲から)改憲の立場に変更したのは公明党だけだ」と自認、自民党からも「『改憲』を明らかにした政党」と指摘される。

民主党
 参院選の主要公約には憲法問題が一言もないなど、憲法論争を徹底して避ける。05年の「憲法提言」では、「自衛権を明確にする」として集団的自衛権の行使に道を開き、国連の軍事活動参加で「武力の行使を含む」と明記するなど、9条改悪では自民党と同じ土俵。マニフェスト各論でも「現行憲法に…改めるべき点があれば改める」と改憲の立場を打ち出す。

【農業】

日本共産党
 農業を国の基幹産業に位置づけ、食料自給率の向上を国政の柱に据える。輸入の自由化一辺倒や価格暴落のばなしの農政を転換し、生産コスト(米では1俵1万7000円以上)をカバーする価格保障を柱に所得補償を組み合わせ実施する。一部の大規模経営だけでなく、続けたい人やりたい人すべて支援。財界やアメリカの横暴をきっぱりと批判し、WTO協定など輸入自由化に唯一反対を貫く。

自民党
 大規模な農業者だけを支援対象とし、大多数の農家を切り捨てる「品目横断対策」を実施。安倍内閣は、農家の猛反対を無視して日豪EPA交渉を開始し、食料の海外依存の拡大、いっそうの輸入自由化などで、残された農業をも一挙に壊滅させかねない事態に。「守るべきは守る」というが、財界いいなりでは“選挙が終われば自由化”になりかねない。

公明党
 小泉・安倍内閣の与党として、「品目横断対策」や価格暴落のばなしの「米対策」など農業つぶしの悪政を推進してきた。米の輸入自由化が大問題になった90年代にいち早く部分開放を宣言、WTO農業協定の批准に賛成した。「都市農業の振興」を掲げるが、農地の宅地並み課税を強化する92年の生産緑地法改悪に賛成した。

民主党
 全販売農家への「戸別所得補償」の創設を公約するが、農産物輸入の全面自由化が前提。関税撤廃で米価は一俵5000円に暴落することも容認。小沢代表や菅直人元代表は「企業参入も自由に」「農地法は『廃止を含めて議論』」などを主張。昨年末の「マグナカルタ」では「米国とのFTA早期締結、あらゆる分野で自由化推進」するとしている。

【政治とカネ】

日本共産党
 
 政治の不正・腐敗をただし、「清潔な政治姿勢」を貫く。閣僚らの事務所費疑惑も共産党の追及が発端。企業・団体献金と政党助成金制度という、政界の二つの“麻薬”の根絶を主張。それができるのも、日本共産党が双方ともいっさい受け取らないただ一つの政党だから。天下り合法化の「新人材バンク」に反対、全面禁止を要求。

自民党
 
 佐田玄一郎前行革相、松岡利勝前農水相に続き、赤城徳彦農水相の事務所費疑惑が発覚するなど、「政治とカネ」の問題絶えず。ところが公約では「政治資金の一層の透明化」として、領収書添付5万円以上、資金管理団体のみとした“ザル法”の政治資金規正法「改正」をあげるだけ。企業・団体献金に依存し、政党助成金も二重どり。

公明党
 
 首相と一緒になって赤城農水相を「違法でない」とかばい立て。政治資金規正法「改正」では、自民と5万円超の領収書添付で合意。同党出身の閣僚の政治資金収支報告がすべて5万円以下となっている事実はほおかむり。選挙公約でも「政治とカネ」には一言もなし。自らも政党助成金を受け、企業・団体献金も復活。

民主党
 
 事務所費問題では、小沢代表が約4億円もの不動産取得費を計上していた問題が発覚。公約では、「事務所費の透明化」を掲げ、1万円超の領収書添付を打ち出す。党収入の8割以上を政党助成金に依存し、日本経団連の政党通信簿も受け、企業・団体献金も拡大をめざす。「国会議員定数の1割以上削減」を公約、少数政党締め出しを狙う。

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社民党
 
 「9条と年金があぶない」がスローガン。「9条改憲を絶対に許しません」と公約するが、改憲政党の民主党と山形、香川、秋田、富山、愛媛などで選挙協力。社民党推薦で宮崎から無所属で出る民主党支部長はマスコミアンケートで改憲に賛成し、「自衛隊保有を明記」と回答。格差是正では、派遣労働を「一部職種に限定」することや「充実の医療」などを掲げるが、派遣労働の原則自由化や国保証取り上げ義務化に賛成してきた実績にはふれず。

 「国民すべてが受けとれる『基礎的くらし年金』」を公約するが、基礎年金部分の支給を65歳まで繰り延べした年金改悪(1994年)をしたのは社会党の村山内閣。

国民新党
 
 郵政民営化で造反した元自民党議員らが結成。「正々堂々『抵抗勢力』」を掲げるが、参院選後の態度は「政局判断する」として与党入りの可能性も。幹部のほとんどが日本会議議連の役員など「靖国」派。政策では、「自主憲法の制定」や「道徳教育の充実」など自民党そのもの。「積極財政による内需の拡大」などムダな公共事業推進も示唆。

(出所:日本共産党HP 2007年7月12日(木)「しんぶん赤旗」)
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最低賃金 各党は?

2007-07-15 09:39:49 | 国内労働
最低賃金 各党は

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 「ワーキングプア」(働く貧困層)の増大など貧困と格差が大きな争点の参院選挙。その打開策として最低賃金の引き上げを各党とも掲げていますが、その違いをみてみると―。

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 日本の最低賃金は時給六百七十三円、月額にすると平均十一万五千円。とても生計費をまかなえない低さで、労働者の平均給与の32%しかなく世界でも最低クラスです。全労連や連合もこぞって「時給千円以上」にするよう求めています。

 日本の最低賃金が世界でも最低水準になっているのは、「生計費」を基準にすべきなのに、企業の「支払能力」を基準に加えているためです。地域ごとにバラバラに決めていることも、格差を広げ、水準を引き下げる要因になっています。

 世界をみると、ILO(国際労働機関)がデータを公表している百一カ国のうち62%の国が、「生計費」あるいは「労働者とその家族の必要」を基準に定めています。

 日本のように「企業の支払能力」を定める国は十五カ国。地域格差を残している国はわずか九カ国しかありません。

 世界第二位の経済力をもつ日本が企業の「支払能力」を基準にしたり、地域ごとに格差を掲げているのは異常です。

共産党 「千円以上に」
  
 日本共産党は、憲法が定める「健康で文化的な最低限度の生活」ができる水準に最低賃金を引き上げるのは国の責任だとして、労働組合が一致して求める時給千円以上を目標に抜本的に引き上げるよう主張しています。

 どこで働きどんな職業に就いていても適用される全国一律の制度にするよう求めています。

 最低賃金の決定基準は生計費のみとし、現行法にある「支払能力」を削除します。中小零細企業が最低賃金を支払えるように、大企業の下請けいじめや規制緩和による過当競争を規制するとともに、助成措置を講じることを提案しています。

自民・公明 抜本上げ反対
 
 自民・公明の与党は、現行制度が掲げる「支払能力」基準はそのままにし、都道府県ごとにバラバラに決める仕組みを維持する立場です。産業別最低賃金については罰則をなくし、廃止の方向にかじをきりました。

 国民の批判を受けて前国会に、「生活保護水準との整合性に配慮」するとの規定を設ける最低賃金法改定案を提出しましたが、まともな審議も行わずに、継続審議扱いとしました。抜本的引き上げについては「経営を圧迫する」(安倍首相)と拒否しています。

 中小企業の経営を圧迫しているのは賃上げではなく、不当な単価の切り下げなど大企業の不公正取引が原因です。最低賃金の引き上げは単価に転嫁しやすく、大企業による単価の切り下げをはねかえすために役立つものです。

 労働総研の試算では、最賃を千円に引き上げれば、国内総生産を二兆六千四百億円増やし、とりわけ中小企業を潤すことが指摘されています。

民主党 地域格差拡大
 
 民主党は、全国最低賃金として八百円、地域最低賃金として平均千円をめざしています。現行法でも、最高の東京と最低の沖縄など四県との差は百九円。現行を上回る二百円以上の大幅な格差を認めるなら、貧困と格差をなくす最低賃金制の本来の役割が大きく損なわれることになります。

 十八歳未満の若者と七十歳以上の高齢者について、最低賃金を減額するという措置を新たに盛り込んでいることも重大です。減額措置は現行法にもない重大な改悪です。ILOは、年齢によって最低賃金に格差を設けることを批判しています。

 また、日本共産党は、最低賃金法を公務員にも適用することを求めていますが、政府・与党、民主党ともに、公務員を適用除外にしています。

 国や自治体で急増する臨時職員や公務パートが最低賃金スレスレの水準で働いている実態が指摘されています。国や自治体がワーキングプアをつくりだすなど許されないことであり、民間、公務問わず、最低賃金法を適用することは急務です。

(出所:日本共産党HP 2007年7月12日(木)「しんぶん赤旗」)
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各党の第一声と日本共産党

2007-07-15 09:35:40 | 国内政治
各党の第一声から
増税・貧困・憲法
国民の関心事語れず

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 国のあり方を問い、未来に責任をもつ選挙と豪語しながら、国民の関心事に真正面から応えようとしない――十二日公示された参院選で自民、公明、民主など各党党首が行った第一声からみえた特徴です。

暴走の“実績集”
 
 六十年ぶりに教育基本法を「改正」した、防衛庁を省に昇格させた、改憲手続き法をつくった…。冒頭、安倍晋三首相の口から出たのは強行採決による暴走“実績集”でした。国民がいま何を求め、政治はそのためにこう受け止め、解決したという政権党のダイナミズムはまったくみられません。とにかく「理解せよ」の姿勢です。

 それは年金記録問題でも明らかです。与党は「私の内閣ですべて解決していく」(安倍首相)と決意にとどめ、「年金制度は安定している。解決のめどがたった」(公明党の太田昭宏代表)など不安の打ち消しに躍起となりました。

 被害者を一人も残さず、一日も早く解決する立場で「一億人レター作戦」など緊急提案し、与野党超えての解決をよびかけてきた日本共産党の立場と対照的です。

 国の責任を放棄する社会保険庁の解体・民営化で安倍首相は、社保庁の「親方・日の丸」体質に責任転嫁しました。そのうえ社保庁解体を「これが戦後レジーム(体制)からの脱却だ」と胸をはる始末です。

 一方、民主党の小沢一郎代表は「選挙で訴える三つのセーフティーネット」のトップに年金をあげましたが、同党が参院選公約で掲げている社保庁解体にはまったく触れませんでした。ここでも年金運営に対する国の責任を提起したのが日本共産党でした。

暮らしの話なし
 
 貧困と格差が大問題になっているのに安倍首相、太田代表は「格差」の言葉さえいいませんでした。非正規雇用の拡大を背景に空前のもうけをあげる大企業の成長を指標に景気回復をいうのみです。安倍首相は「改革か逆行か」と偽りの選択を国民に迫り、「さらに経済を成長させていく。改革の果実をしっかりとみなさまのもとにお配りしていく」と演説。ここにあるのは、国民には大企業のおこぼれだけで十分という発想です。

 太田代表は増税戦犯の批判のためか、暮らしの話はいっさいありません。格差もなければ、雇用もなしです。

 小沢代表は「弱者切り捨て、地方切り捨ての政治をこのままにしておくのか」と批判。しかし、弱者・地方切り捨てを生み出した貧困と格差の要因には何一つふれませんでした。それは、労働者派遣の原則自由化や介護保険法改悪など貧困と格差を生み出した悪政に同党が賛成してきたことと無縁ではありません。

 この点で社民党の福島瑞穂党首は「社民党は雇用問題に熱心に取り組んできた」とアピールしましたが、同党も派遣原則自由化(一九九九年の労働者派遣法改悪)に賛成しています。

 貧困と格差を打開するため、雇用、税制、社会保障の各面での抜本改革を打ち出している日本共産党の主張こそ、国民の立場にたったものです。

 安倍首相は、参院選公約の冒頭に「新憲法制定の推進」をかかげながら第一声ではまったく改憲問題にふれませんでした。太田代表、小沢代表も同じです。自民・公明の与党と民主党とでは改憲路線でまったく対抗軸はないからです。

 各党第一声からみえるのは、「『自民か、民主か』ではない。日本共産党が伸びるかどうか」(志位和夫委員長)という対決構図です。(高柳幸雄)

(出所:日本共産党HP 2007年7月13日(金)「しんぶん赤旗」)
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安倍首相のあきれた自慢話ーこれで「安定雇用」増?ー

2007-07-15 09:32:36 | 国内労働
これで「安定雇用」増?
第一声 安倍首相のあきれた自慢話

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雇用の実態まるでみえず
 
 安倍晋三首相は、十二日の参院選第一声で、「フリーターといわれる三十五万人の方々が安定した定職につくことができた。私は二十五万人といっていたが、三十五万人になった」と“自慢”してみせました。これは、雇用の実態がまるでみえていない話です。

 首相があげた三十五万人という数字は、厚労省などがすすめていた「フリーター二十五万人常用雇用化プラン」の結果のことのようです。その中身は、とても首相が誇れるようなものではありません。従来から行っているハローワーク(公共職業安定所)を通じた就職が三十一万三千人で九割を占めています。若者向け就職支援事業のジョブカフェに至っては、五十二億五千万円の予算(経産省分、二〇〇六年度)を〇七年度に全廃してしまいました。

 しかも、「安定した定職」とはほど遠いものです。首相がいう三十五万人とは「常用雇用」のことで、四カ月以上の雇用にすぎず、派遣や請負や長期パートも含まれます。就職後にどうなったかの調査もありません。

 実態は、日本共産党の志位和夫委員長が第一声で指摘したように、パート・アルバイトや派遣などの非正規から正規労働者になれた人の三十一万人より、正規から非正規労働者になってしまった人の四十三万人の方がはるかに多くなっています。(総務省「労働力調査詳細結果」二〇〇七年一―三月期)

 非正規雇用から正規雇用になれた人は、安倍政権になる前の〇五年同期の三十九万人から、安倍政権になって三十一万人に減少、不安定雇用の増加はとどまるところを知りません。

規制緩和の反省もせず
 
 これまで不安定雇用を増大させてきた自民党政治の雇用の規制緩和・無法化の反省もせず、若者を不安定雇用に突き落とす現実から目をそむけることは許されません。(吉川方人)

(出所:日本共産党HP 2007年7月13日(金)「しんぶん赤旗」)
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最低賃金中央審議会始まる-現行673円 引き上げが焦点-

2007-07-15 09:28:07 | 国内労働
最低賃金
中央審議会始まる
現行673円 引き上げが焦点

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 参院選の争点になっている最低賃金の引き上げについて審議する中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)が十三日、始まりました。貧困と格差が広がるもとで、生活実態を反映した大幅引き上げが示されるかどうかが焦点です。

 この日の審議会では、審議の進め方などを確認しました。八月上旬には各都道府県をA―Dの四ランクに分けて引き上げの目安を提示。これを受けて各県労働局の地方審議会が具体額を決め、十月ごろ改定を行います。

 現行は平均で時給六百七十三円、月額にすると平均十一万数千円。とても生計費をまかなえない低さで、労働者の所定内給与の37%しかなく、世界でも最低クラスです。全労連や連合はこぞって「時給千円以上」にするよう求めています。

 昨年度に中央審議会が示した目安は、時給二―四円です。労働組合のたたかいで埼玉県などで上積みされましたが、それでも五円でした。

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「千円以上に」 全労連が宣伝
 
 「最低賃金を直ちに千円以上に引き上げろ」―。全労連は十三日、今年の最低賃金の引き上げ額を審議する中央最低賃金審議会が始まった厚生労働省前で、最賃の大幅な引き上げを求めました。

 「今年の改定から大幅に引き上げろ」「時給千円以上は人間らしく働き生きるための最低条件です」と書いたプラカードを持つ約五十人が参加。「貧困と格差をなくせ」と声を上げました。

 あいさつした全労連の大木寿副議長は、時給千円が参院選の争点になっているとし、「貧困と格差の是正を求める大きな世論を、政府と審議会は受け止めよ」と強調。「わずか数円の引き上げなど許されず、生活できる最低賃金が求められている」とのべました。

 生協労連の桑田富夫委員長は「パートの仲間は一刻も早く最賃が引き上げられ、少しでもゆとりある暮らしがしたいと待ちに待っている」と訴えました。自交総連の小林隆書記次長は「タクシー労働者の賃金は、最賃を下回っているところもある。とても生活できない」とのべました。

 参加した全労連・全国一般合同労組の武田実副委員長は「労働相談では月収十万円前後の人が多い。低過ぎる最賃が働いても食べられない人を増やしている。時給千円と全国一律制度が必要です」と話しました。

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解説
直ちに大幅引き上げを
 
 最低賃金の引き上げにかんして政府と自民・公明与党は、最低賃金法改正案を前国会に出しながら、まともな審議もせず継続審議としました。

 しかし、ワーキングプア(働く貧困層)をはじめ貧困と格差をなくすために法改正を待つことなく、直ちに大幅な引き上げが求められています。

 政労使が参加する「成長力底上げ戦略推進円卓会議」では、最賃水準の基本方針は先送りしたものの、今年度は「従来の考え方の延長ではなく賃金の底上げを図る」よう最賃審議会に要望せざるをえなくなっています。

 ところが、政府・与党や財界側からは、“最賃水準の見直しは法改正が実現してから”として、今回の引き上げを抑えこむ動きが出ています。

 安倍首相は抜本的引き上げについて「企業の経営を圧迫する」と拒否。使用者からも「経営を圧迫させるだけ」「中小企業の生産性が向上してから」と反対する発言が相次いでいます。

 引き上げをリードすべき厚労省も「三十人未満の零細企業」の賃金をもとにした従来型の算定で、昨年実績と変わらない「五円」を提示するなど、貧困と格差が広がる事態をまったく顧みない姿勢を示しています。

 最賃の引き上げは、大企業の不当な単価切り下げをはね返し、国民の消費購買力を高めて中小企業を潤すなど、中小企業支援策と併せて行えば、中小企業の経営を守る力となるものです。

 参院選の争点として世論が広がるなかで、最賃を大幅に引き上げさせ、全国一律最賃制の確立など法制度改正につなげていくたたかいが焦点になっています。(深山直人)

(出所:日本共産党HP 2007年7月14日(土)「しんぶん赤旗」)
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北九州市 生活保護打ち切り孤独死事件-“行政の責任”-

2007-07-15 09:25:58 | 国内経済
事件リポート
北九州市 孤独死事件
“行政の責任”
生活保護打ち切り 就労状況も把握せず

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 「行政に見殺しにされたようなものだ」―。北九州市小倉北区の男性(52)が生活保護を打ち切られ、自宅で孤独死した事件に、市民の間から衝撃が広がっています。(佐藤高志)

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 JR小倉駅からほど近い住宅街にある、男性の自宅。外壁には穴があき、屋根の一部は崩れ落ちています。電気、水道、ガスはすべて止められていました。

 「夜中に心配になり、真っ暗な部屋の奥で横になっている男性の様子を、たびたび見守ってきた」という近所に住む女性は、「土気色でやせこけ、目はドロッとしており、とても働けるような状態ではなかった」といいます。

 近隣の住民の話を総合すると、亡くなった男性の健康状態は悪く、当面の生活資金もライフラインもまったく改善しないままでした。男性の保護の開始要件とされた「窮迫」性は解消されているとはいえない状況で生活保護廃止決定がされた、といえます。

就労指導
 
 北九州市は、今回の保護廃止の決定について、「男性本人が働いて自立したいとの申し出があった」「男性が保護の辞退届を提出した」としています。日本共産党北九州市議団の調査などによると…。

 昨年12月6日 勤めていたタクシー会社を病気でやめた男性が小倉北区福祉事務所を訪問。

 同月7日 保護申請。

 同月26日 保護開始。緊急に開始されたのは、市立医療センターの診察で、糖尿病、高血圧、アルコール性肝障害と診断され、電気、水道、ガスが止まり所持金もなく「窮迫」と判断したため。

 ことし1月 保護開始とともに、就労指導があり、「求職活動」の報告書を出すよう指導。

 3月終わり 通院しながらも、求職活動するよう指導。

 4月2日 保護費支給日に男性から「働いて自立したい」と申し出があり、保護課の助言で「保護の辞退届」を提出させる。

 4月10日 保護廃止。

 7月10日 死後約1カ月とみられる遺体で発見。

 なお、日記には「働けないのに働けといわれた」とあり、死の直前と思われる六月上旬には「おにぎりが食べたい」と書かれていたといいます。

 近隣住民は、「生活保護を廃止すれば、どうなるかは誰でもわかる。行政に見殺しにされたようなものだ」と怒りを隠しませんでした。

申し入れ
 
 男性の孤独死は氷山の一角ではないか―。同市を歩くと、生活保護受給者に「辞退届け」を書くよう職員に迫られて困った人もいました。

 福祉事務所のやり方を手紙で市に告発した戸畑区に住む四十代の女性には、中学三年生の娘がいます。この女性は福祉事務所から、わずか三カ月の間に四十回近くの訪問指導を受け、精神的に追い詰められ、「自立を妨害された」と訴えました。

 手紙によると、事前の連絡もなく突然訪問され、「親として何をやっている!」と面と向かってののしられるなどの侮辱を受けたといいます。体重は二カ月で七キロも減り、うつ病にまでなったといいます。

 日本共産党の柳井誠市議は、「今回の事件は、過度な就労指導を通じて保護を廃止する『切り捨て作戦』の一端ではないのかと指摘せざるをえない」と話します。

 事態を重視した日本共産党市議団は十三日、北橋健治市長に対し、緊急の申し入れをおこないました。申し入れ書は、就労指導が過度にならないよう改善する、自立支援という観点から保護打ち切り後もサポートできる体制をつくることなどを要請しています。

 対応した石神勉秘書室長は、「要請項目は、市長に必ず伝える」と述べました。

もやいが緊急声明
市・厚労省に送付
 
 北九州市で生活保護を打ち切られた男性が孤独死した事件で、NPO法人自立生活サポートセンター・もやいは十三日、緊急声明を発表し、同市と厚生労働省に送付しました。

 声明は、辞退届提出が男性の真意に基づくものだったのかなど五つの疑問を投げかけ、同市が説明責任を果たすべきだと指摘。「自立」の美名のもと、生活保護から半強制的に追い出される人が全国に多数いるとのべ、同市による事件の検証、全国の福祉事務所による不適切な指示書の乱発や辞退届強要、違法な職権廃止の中止、政府の「自立支援」の見直しを求めています。

(出所:日本共産党HP 2007年7月14日(土)「しんぶん赤旗」)
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07参院選 日本共産党の農林漁業・食料政策

2007-07-15 09:22:25 | 国内経済
07参院選 日本共産党の農林漁業・食料政策

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 「参院選にのぞむ日本共産党の各分野の政策」のうち、農林漁業・食料政策を紹介します。

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 安全な食料の安定供給のために、農林漁業を再生し、食料自給率の向上をはかります 

 国民の食を支えるべき国内の農漁業は衰退が続き、食料自給率は40%と先進国で例のない低水準に落ち込んだまま、さらに低下する兆しさえ出ています。農山漁村の崩壊が広がり、集落の維持や国土の保全が危ぶまれる事態です。

 とくに、1995年のWTO(世界貿易機関)農業協定を受け入れて以降、農産物輸入が22%増加し、農業産出額は2兆円近く(19%)も減りました。自由化一辺倒の農政では、農業や農家経営が成り立たないことは、もはやあきらかです。

 ところが安倍・自公内閣は、大企業の「成長」のために農産物輸入を完全自由化し、残された農業をも一挙に壊滅させかねない危険な道に踏み出そうとしています。2国間交渉によるEPA(経済連携協定)は、お互いの条件をよく考慮してすすめるなら、経済関係を深めることができます。しかし、いますすめられている日豪EPA交渉は、日本農業に重大な打撃を与えるものです。

 さらに、財界代表が中心にすわる政府の経済財政諮問会議は5月、農産物関税の撤廃・削減、家族経営を主体とする農地制度の解体などを求める報告をまとめています。農水省は、関税を完全撤廃したら、農業生産は3兆6000億円減少し、米生産額では90%減、約375万人の雇用が失われ、食料自給率は40%から12%へ低下する、という衝撃的な試算を公表しました。ところが、この試算にも、諮問会議のEPA・農業作業部会の座長代理は「(農業が)結構残るじゃないか。いい線だ」と言い放っています。こんな無責任な人たちに農政をまかせて、日本を「農のない国」にするわけにはいきません。

 一方で政府は、ごく一部の大規模経営だけを対象にする「品目横断対策」を押しつけています。現実に生産に携わっている大多数の農家を排除し、集落の自主的な共同も壊す「対策」では、農業・農村の衰退に拍車がかかるのは必至です。

 21世紀に入り、世界の食料需給はひっ迫傾向を強めています。地球温暖化などで生産の不安定化が広がる一方、途上国での人口増と経済発展、バイオ燃料ブームなどで需要が増え、世界の穀物在庫は過去最低の水準に落ち込んでいます。

 農業と農村を立て直し、食料自給率を向上させることは、国民の生存の根本にかかわり、食料輸入大国・日本の、21世紀の国際社会にたいする重大な責務です。最近の政府調査でも、76%の国民が将来の食料供給に「不安」と答え、87%は「食料は高くても国内で」と答えています。農林漁業の再生は、地域経済振興の上でも不可欠です。

 日本共産党は、農業を国の基幹産業に位置づけ、食料自給率を早期に50%台に回復させるために全力をつくします。

 農業を犠牲にする無制限な輸入自由化に反対し「食料主権」を保障する貿易ルールをめざします 

 オーストラリアの農業経営の規模は日本の約1900倍。国境措置=関税なしには日本の農業は守れません。牛肉・乳製品など4品目だけで約8000億円という甚大な打撃(農水省試算)をこうむることがあきらかな日豪自由化交渉は中止すべきです。

 アジア諸国との経済関係の発展は、「各国の農業の共存」を基本にすべきです。近年、食料輸入を増加させているアジア地域に求められるのは、各国の農業生産の多面的な発展による自給率の向上です。日本企業の海外での「成長」のために農業に犠牲を強いる関税撤廃・自由化には反対します。

 自由化一辺倒のWTOのもとで、アメリカなど輸出大国の利益が拡大する一方、日本など輸入国、途上国の農業が打撃を受け、食の安全や環境も脅かされました。国内農業の維持、食料の安定確保はどの国にとっても大事な権利(食料主権)です。2004年、国連の人権委員会は、その内容を盛り込んだ「食料に対する権利」特別報告を日本政府も含めて圧倒的多数で採択しました。こうした世界の流れに呼応して「食料主権」を保障する貿易ルールの確立をめざします。

 農業を続けたい人、やりたい人すべてを応援します

 わが国の農業は、大小多様な農家や各種の生産組織によって担われているのが実態です。大規模だけを支援し、大多数を切り捨てるやり方では、うまくいくはずがありません。

 「品目横断対策」を中止し、続けたい人、やりたい人すべてを大事な担い手と位置づけ、農家経営の多くを可能な限り維持します。耕作放棄地が広がらないよう、農家や集落の自主的な共同も重視し、生産組織、農業生産法人、受委託組織などもそれぞれの条件に応じて支援します。

 近年、増えつつある非農家や他産業からの農業への新規参入者を重視し、その定着のために一定期間の生活支援や資金、技術、農地の面での総合的な支援体制を整えます。新規就農青年に月15万円、3年間援助する制度を創設します。

 地産地消や直売所、農産加工の開発、都市と農村の交流などが各地に広がっています。「食の安全都市宣言」「地産地消宣言」を掲げる自治体も生まれています。こうしたとりくみを支援し、それと結びつけて農業の担い手確保に努めます。

 都市計画のなかに農業を明確に位置づけ、振興策を講じます。都市の農地を守るために、当面、生産緑地の要件を緩和するとともに、相続税納税猶予の制度を農業用施設用地や貴重な緑を供給している屋敷林などにも適用を広げ、農家の営農を全体として守れるようにします。

 株式会社一般にたいする農地所有や利用の自由化は、地域での秩序ある農地の利用や管理に重大な障害を持ち込み、大規模な荒廃・転用につながる恐れもあり、反対です。耕作者の権利を優先し、農地の売買や転用を農業委員会の審査・許可のもとにおく現行農地制度の原則を維持します。

 価格保障に所得補償を組み合わせた担い手支援をすすめます

 10年前には2万円前後(60キログラム)であった生産者米価はいまや1万5000円台。稲作労賃は1日2959円に過ぎません。これでは農家の後継者が育つはずがありません。暴落した米価の回復は、農家の最大の願いであり、最大の担い手支援です。不足払い制度を創設して、農家手取りを生産費に見合う水準(1万7000円以上)に近づけます。

 麦・大豆・食肉など主な農産物にも価格保障を実施します。国産を活用したパンや加工品の学校給食での普及・拡大などを支援し、国産麦や大豆の需要拡大にとりくみます。

 飼料価格の高騰による畜産経営への打撃を回避するため、飼料供給安定基金への国の支援を強めます。自給飼料の増産に力を入れ、荒廃田の活用を含めた飼料米の生産に食用米なみの所得を保障する助成をおこなうなど、飼料米の本格的な実用化にとりくみます。

 中山間地域の直接支払い制度を改善・拡充するとともに、営農による国土・環境の保全など「農業の多面的な機能」を評価して、平場地域も対象に加えます。

 価格・所得保障が農業予算に占める割合は、EU諸国では5割~7割台です。ところが日本は、公共事業が依然として主力で価格・所得保障は3割台に過ぎません。農業予算を国の基幹産業にふさわしく増額するとともに、価格所得保障の割合を高めて、農家の経営とくらしを応援します。

 BSE(牛海綿状脳症)全頭検査を維持し、安全・安心の食料を確保します

 アメリカのBSE対策のズサンさは、特定危険部位の除去、月齢20カ月未満という輸入条件に違反する米国産牛肉が相次いで検出されていることで、いよいよ明白です。ブッシュ政権は、「アメリカの牛肉は安全」と強弁し、輸出条件の緩和を執拗(しつよう)に求め、安倍内閣も、4月の日米首脳会談を前に全箱検査の廃止など条件緩和を約束しています。国民の健康と命より日米関係を最優先して、現在、国内で実施しているBSE対策を緩和することは許せません。

 米国産牛肉の輸入は、対日輸入条件が厳格に守られることが確認されるまで中止すべきです。当面、アメリカ産輸入牛肉の全箱検査を維持します。国内でのBSE「全頭検査」は、厚生労働省の毎年の政策実績評価書のなかでも、BSE感染牛を確実に発見できるとして評価されています。自治体のおこなう「全頭検査」への補助金を08年度以降も継続します。

 鳥インフルエンザのまん延防止対策をより実効あるものにするために、鶏の殺処分補償への国の負担割合を3分の2に引き上げるとともに鶏肉加工施設も補償対象に加えます。

 膨大な輸入食品のうち港や空港で安全検査をされるのは10%に過ぎません。輸入農産物のチェック体制の強化と原産国表示の徹底をはかります。遺伝子組み換え食品の承認検査を厳密にし、遺伝・慢性毒性、環境への影響に関する厳格な調査・検証を義務付けます。

 効率化一辺倒で農薬や化学肥料へ過度に依存した農業生産のあり方を見直し、有機農業など生態系と調和した環境保全型の農業、「地産地消」や「スローフード」へのとりくみ、食文化の継承・発展を支援します。

 林業と漁業の振興策を強化します

 戦後に植林した森林が利用できる時代を迎えているもとで、適切な森林整備と国産材の供給体制を確立し、林業・木材産業の再建をはかります。

 木材の生産、水源の涵養(かんよう)、国土保全など森林の多面的な機能を発揮させるため、市町村への財政措置を拡充し、「市町村森林整備計画」を推進します。国産材での需要拡大をはかるため、公共事業での国産木材・木製品の利用や数値目標の設定、木材加工技術の新たな研究開発の促進、融資や税制上の優遇措置を拡充し、地元産材の使用住宅を広げます。木質バイオマスや森林セラピーの推進など山村地域での新たな事業を促進します。林業労働者の確保と林業技術の継承を重視します。国有林の現業部門を重視し、持続的な経営管理にとりくみます。

 日本は有数の漁場を持ちながら世界の水産物貿易の4分の1を輸入する世界最大の輸入国です。食用水産物の自給率は50%近くまで低下し、乱獲による資源の枯渇も問題になっています。漁業経営の安定のためにも、また、乱獲を防いで資源を管理するためにも、政府の責任で価格安定対策を強化し、休漁・減船補償などを実施するとともに、後継者の育成のために青年漁業者支援制度を創設します。7割が公共事業という突出した公共事業偏重の水産予算を改めれば、財源はあります。諫早干拓や中部国際空港、新たな米軍基地建設などの大規模な開発による干潟・藻場の破壊や埋め立て、海砂の採取、河川の汚濁がもたらした漁場の荒廃は深刻です。こうした開発をやめ、漁場の保全や改善に力を入れるべきです。有明海の豊かな漁場をとりもどすためにも、ただちに開門調査を実施すべきです。

(出所:日本共産党HP 2007年7月14日(土)「しんぶん赤旗」)
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