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田母神前空幕長問題-日本共産党の井上哲士参院議員が発言/侵略性/自衛隊教育/国民主権ー

2008-12-01 01:47:59 | 国内政治
日本の戦争 侵略明白
TVで井上氏 政府が領土拡大方針

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 日本共産党の井上哲士参院議員は、二十九日放送のテレビ朝日系「朝まで生テレビ!」に出演し、日本の過去の侵略戦争を正当化する論文を書いて航空幕僚長を更迭された田母神俊雄氏の問題について、出席者と討論しました。

 井上氏は、日本の過去の戦争について、「侵略かどうかは、その戦争の目的が自国の領土の拡大、他国の支配を目指したかどうかが一番のメルクマール(指標)になる」と指摘。現在のインドネシアやマレーシアの地域を日本領にすると明記した戦前の日本政府の「大東亜政略指導大綱」(一九四三年)をあげ、「領土を拡張して、支配することを自ら決めている。これを侵略といわずしてなんというのか」と批判しました。

 司会の田原総一朗氏は、田母神氏が論文を書いた動機について「自民党の半分以上がこういう意見だからだ」と指摘。井上氏は、「(政府は)田母神氏という特異な人物の暴走という問題にとどめようとしたが、政治の責任と自衛隊全体の問題として全容解明が必要だ」と述べました。

 自民党の平沢勝栄衆院議員などが「空幕長にも言論の自由がある」と発言したのに対して、井上氏は、田母神氏が自身の考えを職務権限を使って自衛隊員に教え込んできた実態を指摘。「こういうものまで言論の自由というのか」と強調しました。

 井上氏はさらに、田母神氏が、憲法で禁止されている集団的自衛権の行使に向け、国民の啓蒙(けいもう)を自衛隊の任務だとしていることをあげ、「国民主権どころか、(自衛隊が)国民のうえに立っている。米国と肩を並べて戦争する国づくりを狙ったものだ」と批判しました。

08年政治考
田母神問題
“靖国派”が引き金
懸念する自民幹部も

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 「小泉首相が靖国神社への連続参拝を強行し、続く安倍内閣は『戦後レジーム』からの脱却を掲げた。自民党内でも歴史認識問題を中心に“民族派”が台頭した。直接の引き金とはいえないが、こういう事情が背景にあることは間違いない」

 自民党幹部の一人は、田母神俊雄・前航空幕僚長の侵略戦争美化「論文」についてこう述べました。「民族派」とは、日本の侵略戦争を正当化し、首相の靖国神社参拝を声高にとなえてきた日本会議国会議員懇談会のメンバーらをさしています。

 田母神氏が空幕長に任命されたのは二〇〇七年三月。任命したのは「戦後レジームからの脱却」を掲げ、任期中の改憲を目標とした安倍晋三内閣でした。田母神氏と安倍元首相は懸賞論文を主催したアパグループの元谷外志雄代表を介してつながっています。元谷氏は安倍元首相の支援組織「安晋会」の副会長でした。

 「日本は神の国」発言をした森喜朗元首相も元谷氏と同郷で親密な間柄。後に断ったものの、懸賞論文受賞パーティー(十二月八日に開催予定)の発起人代表をいったんは引き受けていました。

 閣僚経験のあるベテラン議員は、事態の深刻さについてこう述べます。

 「『自虐史観』などということをいう政治家が増えたし、国民の間にもそういう空気が広がっている。その中で、空自の長が公然と政治介入し、政治を批判した。一歩間違えればクーデターだ。海外活動を本来任務とする実力組織のトップがあのような歴史認識を示すのは、アジア諸国との関係から見ても重大だ。私自身も『左』のイデオロギーには厳しかったが、『右』には甘かった。これは反省している」

 前出の自民党幹部は言います。「その後の自民党内での議論で、『シビリアンコントロールの観点からは問題だが、(論文の)中身はもっともだ』という意見が多いのも事実。同じような問題が再び起こるかもしれない」

田母神「論文」の波紋
政界から同調の危険
 田母神氏とともにアパグループの懸賞論文に応募した自衛官は約百人。田母神氏は統合幕僚学校長だった時代に、「歴史観・国家観」の講義を新設し、「現憲法及び教育基本法の問題点」「大東亜戦争史観」などを“教育”。「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーらを講師に招いていました。

 さらに自衛隊の幹部養成機関である防衛大学校の教科書『防衛学入門』では、明治以降の日本の侵略戦争をすべて「自衛が基本」という立場で記述していることも本紙の報道で明らかになっています。

教育体制が問題
 元政府高官の一人は指摘します。

 「ああいう人が制服組の主流となって育っていく教育体制、ここは重要なポイントだ。近代史の基礎知識について、少なくとも政府見解とまったく異なるものが教育されている事実があるとすれば、政府の一組織として大問題だ」

 田母神氏は右派月刊誌『WiLL』二〇〇九年一月号に発表した最新の「手記」で、防衛大学校時代「どちらかというとノンポリの学生だった」としつつ「だが自衛隊の教育が私を変えてくれた」とふりかえっています。

日米同盟を優先
 麻生内閣が田母神氏を即日更迭せざるを得なかったのは、「靖国」派の主張を追いつめてきた戦後政治の到達点です。

 さすがに自民党国防族の中でも公然と擁護する声はほとんどありません。

 「核武装論とか集団的自衛権の行使とかいうのは、政府・自民党の見解とも食い違う。集団的自衛権行使は、安倍(元首相)が進めようとして福田(前首相)が止めた。この経緯もよく踏まえる必要がある。アメリカに頼った自衛は無責任だという議論が昔からあることは承知しているが、『自分の国を自分で守る体制を整える』という主張は、日米同盟の考え方とは異なる」(国防部会のメンバー)

 自民党が絶対視する日米同盟堅持の立場から、田母神氏の“自主国防”論的な主張に困惑を隠せないでいるのです。

 日本会議国会議員懇談会のメンバーでさえ、こう疑問を表明します。

 「海上自衛隊のインド洋派遣延長の論議が衆院から参院に移行する時期に混乱を生じさせることは適切か―。日本にとって一番危険な問題がある。私は『右』で、歴史問題で言いたいことはある。しかし、今の日本の現実政治と国家の安全保障を考えたら、日米安保、アメリカを大事にしなければならない。矛盾があればアメリカが優先する」

 同氏は、「最近、右翼の中に極右、反米の右翼も出てきて困る」と述べ、田母神氏の「日米開戦はアメリカの陰謀だ」「自立した防衛を」という主張に懸念を表明しました。

 ただ、元防衛庁長官の一人は、不気味な“予言”をします。

 「米国の金融危機と経済混乱から、米国が世界の警察官としての役割を果たせなくなり、そのヘゲモニー(支配的影響力)が後退して、太平洋にも力の空白が生じてくる可能性がある。田母神氏の発言は更迭に値するが、それとは別にこの問題は考えておかねばならない」

 安保問題を担当する民主党の衆院議員も、「アメリカ一極支配秩序の崩壊」の現実を直視せよとして「いつまでも『アメリカ頼み』では、我が国の国民の生命も財産も守れない」と述べています。

 軍事力による覇権の維持に固執する限り、政界の中からも田母神氏の主張に同調する流れが出る危険があることを示しています。 (中祖寅一)

(出所:日本共産党HP  2008年11月30日(日)「しんぶん赤旗」)
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2 コメント

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Unknown (すーちゃん)
2008-12-02 00:20:24
11月30日に放送された「たかじんのそこまで言って委員会」に田母神氏が出演しました。
筆坂秀世氏が出演しているため日本共産党は出演を拒否していますが、ここは大人の対応をしていただきたかったところです。
Unknown (十文字(衆愚代表))
2008-12-02 19:50:56
>井上氏は、田母神氏が自身の考えを職務権限を使って自衛隊員に教え込んできた実態を指摘。「こういうものまで言論の自由というのか」と強調しました。


平たく言えば、この人の起こしたトラブルと同じようなものだったんですね、この問題…。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A2%97%E7%94%B0%E9%83%BD%E5%AD%90

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