未来を信じ、未来に生きる。

今に流されず、正論を認識し、社会貢献していく人生を切り拓くブログ道。

三月末までに派遣業界団体の試算で四十万人になる「非正規切り」に対抗する労働運動の現状と展望

2009-02-24 02:46:51 | 国内労働
明日への視点
「非正規切り」と労組
全国的反撃へ広がる足場
昆 弘見

--------------------------------------------------------------------------------

 派遣や期間工として働く非正規雇用の労働者が、大企業の職場から大量に放り出されているいまの状況は、日本社会が経験したことがない憂えるべき事態です。厚生労働省の調べでは、三月末までに約十二万五千人、派遣業界団体の試算では四十万人になるとみられ、さらに悪化することが危惧(きぐ)されています。

――――――――

 注目されるのは、こうした事態に「人間を使い捨てにする大企業の身勝手は許せない」と、非正規雇用の労働者たちが全国各地で労働組合に加入し、解雇撤回、正社員化を要求してたたかいに立ち上がっていることです。全労連(全国労働組合総連合)の調べによると、昨年十一月以降わずか三カ月余の間に、労働組合を結成、あるいはローカルユニオンに加入して立ち上がった例が全国で五十六に達したといいます。

 非正規雇用の労働者の組織化が、ごく短期間にこれほどの広がりですすんでいるのは、日本の労働組合運動のなかでも初めてといえる画期的な出来事です。派遣社員や期間社員の多くは、正社員になることを夢見て、早出、残業、休日出勤を率先して引き受け、年休もとらずサービス残業もすすんでするなど、正社員以上に必死で働いてきました。その回答が解雇という仕打ちです。その怒りが、たたかいに立ち上がる原動力になっています。

 もちろん、だからといって簡単に労働組合ができるわけではありません。運動に精通している全労連の地方組織、JMIU(全日本金属情報機器労組)など産業別労組が、昼夜を分かたず本腰を入れた支援、援助に力を発揮しています。正社員を中心にした既存の労働組合と非正規雇用の労働者の強い結びつき、連帯のたたかいがいま新しい段階を迎えたと感じます。

 労働組合は、企業と対等に交渉する強い力をもっています。そのことを示す成果もあがっています。大企業が昨年秋から、競うように期間社員の中途解雇をうちだしたとき、いすゞ自動車の期間社員が労働組合を結成し、労働契約法違反だと企業を追い詰め、撤回させました。これが他の企業にも広がり、期間社員の中途解雇の動きはピタッと止まりました。派遣社員もマツダなどで労働組合を結成して派遣会社と交渉して解雇を撤回させたり未払い賃金を支払わせるなど、一人ではできなかった威力を発揮しています。

――――――――

 労働組合に結集して大企業と直接交渉することと並行して、発展しつつあるのが行政機関にたいする申告運動です。いすゞ自動車や日本トムソンの労働者が、「偽装請負」で違法に働かされてきた事実を、厚生労働省の労働局に申告しました。全労連は、この申告運動を全国的な大運動としてとりくむとし、諸団体に協力をよびかけました。

 これは現行法を活用して「派遣切り」を止める力にしていこうというものです。非正規雇用の大部分は、たとえ契約期間満了の「雇い止め」であっても、「偽装請負」など違法状態で働かされたあげくに解雇されている実態があります。派遣労働は、同一業務で最長三年を超えて働かせる場合は、派遣先企業が労働者に直接雇用を申し出る義務があります。大企業は、さまざまな違法なやり方で、この義務を逃れてきました。いま解雇されている人たちは、企業が法律を守り、政府が厳正に監督・指導していれば、とっくに正社員になっていた人たちです。

 労働局への申告運動にとりくむ転機になったのが今月四日の日本共産党の志位和夫委員長の国会質問でした。「偽装請負」「違法クーリング」など違法状態で働かされている事例を具体的にとりあげた追及に、舛添要一厚生労働大臣は「偽装請負」を派遣期間として通算することなど重要な答弁をおこないました。

 違法状態で働かせていた事実を法にもとづいて厳正に是正するのは当然です。労働組合をつくり、申告もおこなって、大企業に「首切りやめよ」「雇用責任を果たせ」と迫っていくことは、日本をまともな社会にする意義あるたたかいとして前進が期待されます。(国民運動部長)

「雇用守れ」 各地で
知恵と力 集める時

--------------------------------------------------------------------------------

 年度末を一カ月後に控え、「非正規切り」が一段と深刻さを増すなか、各地で知恵と力を集め、“雇用を守れ”と集会や抗議行動が行われました。

--------------------------------------------------------------------------------

「解雇不当」 労組つくる
名古屋

 大企業などの派遣切り・雇い止めに抗議し、政府・行政の責任を追及する集会が二十二日、名古屋市で開かれました。愛知派遣切り抗議大集会実行委員会が主催し、四百九十人が参加しました。

 主催者あいさつした宇都宮健児実行委員長(反貧困ネットワーク代表)は、「労働者派遣制度は、企業が労働者をモノのように切り捨てることを浮き彫りにした」と指摘。(1)不当な派遣切りをやめさせる(2)派遣切り被害者の支援(3)労働者派遣法の抜本改正―の運動方向を提起しました。

 「解雇が不当とは考えもしなかった」という男性(37)=豊橋市=は、愛労連に助けを求めて労働組合をつくり会社と交渉した経験を発言し、「権利を知り、仲間と行動すれば前進も早い。つらい思いをする人をなくすためにがんばる」と述べました。

 日本共産党の佐々木憲昭衆院議員も発言。「現行法でも派遣切り阻止へ実行できる課題は多い。市民団体、労働組合と一緒にたたかいを前進させ、労働者派遣法を抜本改正させていきたい」と述べました。

 年越し派遣村の村長をつとめた湯浅誠さんが「年越し派遣村から見た日本社会」について講演。名古屋生活保障支援実行委員会の藤井克彦さん、弁護士や労働組合役員が取り組み報告をしました。

 集会後、トヨタ自動車のオフィスがある名古屋駅ミッドランドスクエアまでデモ行進しました。

「所持金200円」 すぐ相談
福島

 「ストップ派遣切り・許すなくらし破壊・上げるな消費税」2・22福島県民集会が二十二日、福島市の「街なか広場」で開かれました。通行人が足をとめ、話に聞き入るなど、会場いっぱいの七百八十人が集会に参加しました。

 会場に設けられた、労働、生活・税金、医療・介護、行政の各相談テントには二十三件の相談が寄せられました。「派遣で働いていたが、十二月末で解雇され、住むところもない。所持金は二百円だけだ」という夫婦に、斎藤朝興・福島市議が応対。当日からの宿泊場所を確保し、二十三日に生活保護申請をすることにしました。

 集会では、同実行委員会の小川英雄実行委員長(福島県労連議長)は、「雇用と暮らしをまもるたたかいを各労組や団体の知恵と力を合わせて広げよう」と呼びかけました。

 日本共産党の高橋ちづ子衆院議員が連帯のあいさつ。

大阪

 「ダイハツは派遣、期間工労働者の雇い止め・解雇を中止、撤回せよ」「くらし・営業守れ」―。大阪労連・豊能地区協議会や地域の民主団体などでつくる「豊能地域のくらし・雇用を守る実行委員会」は二十二日、大阪府池田市内で豊能地域決起集会を開き、約八十人が参加しました。

 アピールを採択し、阪急豊中駅までデモ行進しました。池田市に本社のあるダイハツが、三月から四月にかけて六百人の非正規社員の雇い止めを発表しています。

 実行委員会共同代表の斉藤須美雄豊能地区協議会議長があいさつ。大阪労連の川辺和宏議長が連帯のあいさつ、日本共産党の堀田文一府議が府議会報告を行いました。

九州沖縄青年キャラバン始まる
希望持てる社会を
佐賀-長崎

--------------------------------------------------------------------------------

 九州沖縄各県が心をひとつにして、衆院選ブロック比例二議席の獲得にむけ、綱領と日本改革を語り日本共産党の風を、青年らしいはつらつさで吹かせよう―。日本共産党の衆院比例予定候補を先頭にした「九州沖縄青年キャラバン」が二十一日から佐賀でスタートしました。二十二日には、長崎県佐世保市から諫早市を回りました。

 佐賀では、日本共産党の衆院九州・沖縄ブロックの比例予定候補の田村貴昭、せと雄也(佐賀3区重複)の両氏が「若者が希望を持って暮らせる社会を一緒につくろう」などと街頭から訴えました。

 小城市牛津町では、ベビーカーを押した若いお母さんが立ち止まって聞き入りました。演説後「乳幼児医療費の無料化の年齢を引き上げて」と語りました。武雄市では、大型店で聞いた青年男女が「仕事がなくて困っている。がんばって」と声援を寄せました。

 同宣伝行動のキャンペーンカーに乗務した女性(26)は、縫製工場で働き、会社の都合で首になった経験をもちます。マイクを手に、「安心して働く社会をめざす共産党を知り、好きになった。大企業ははたらくルールをまもってほしい」と訴えました。

 田村比例予定候補は、「莫大(ばくだい)な内部留保を蓄え、労働者をモノのように切り捨てる大企業に、社会的なルールを守れと言えるのは日本共産党だけ」と強調。せと予定候補は「若者や労働者を雇用の調整弁にする大企業は許せない。消費税増税に反対し、無駄遣いをただし、国民のくらしと生活を応援する新しい政治をつくるために頑張りたい」と力を込めました。

(出所:日本共産党HP 2009年2月23日(月)「しんぶん赤旗」)
コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 妊娠や出産を伝えたら、「会... | トップ | 各社の世論調査で麻生・自公... »

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ボヤッキー)
2009-02-25 21:02:44
今は派遣切りだが、やがて正社員切り、リストラへ
そうなったら正社員で組織する組合は誰も派遣なんて見向きもしないし、逆にこいつらのせいでこんな目にとなると恨むことでしょう。
そうなったら赤旗はあくまで派遣切りやめろというのかな?
正社員が切り捨てられても派遣切りするなと言い続けて欲しいものです。正社員の労働者を全て敵に回して。

ちなみにそろそろその波やってきて、派遣ウザイ雰囲気醸し出してますよ。そんな中でいつまで職場の人間と上手くやっていけるのやら。
返信する
ボヤッキーさんへ。 (東西南北)
2009-02-25 21:30:27
 矛先が逆さまですよ。企業経営を独裁し、経営責任、説明責任のある資本家・経営者へ矛先を向けててください。経営責任を労働者・労働組合で団結して追及する必要があります。雇用形態、性別、学歴、能力などは雇用維持の問題では関係ありません。分断を煽るのは経営者・資本家のイデオロギーですから騙されないようにしてください。

 労働者・労働組合は雇用の維持、総額人件費の維持・向上の要求を突きつけて経営者に経営についての説明責任を求めてください。労働者・労働組合に納得いく説明をする義務・責任は経営者の仕事です。責任転嫁・放棄、開き直りを許さないようにしてください。

 併せて、産業別労働運動、制度改革要求という政治運動についても職場の雇用、労働条件維持・向上、生活・暮らし向上、企業経営の発展という見地から、同時並行で取り組んでください。
返信する
Unknown (ボヤッキー)
2009-02-26 23:06:36
何もわかっていないのは赤旗のほうですよ。
派遣って確かに就職氷河期の人もいるけど、大半はこの会社は自分に合わないとかこんな仕事したくないなどワガママで転職を繰り返す人なのですよ。
正社員が残業してノルマを果たそうと頑張っている横で知らぬ顔の無責任が大半です。
正社員はどんな時でも必死で踏ん張っています。だから連帯感が生まれるのです。
派遣を応援しないのはみんなそう思っているからです。経営者など関係ない。
信頼はお互い本当に汗水たらし働いたものしか生まれないですよ。
信頼されないから結局赤旗しか頼るところがなかったのでしょ。そんな人達を正社員が応援するわけないでしょ。

貴方が正しいかは後々の結果でわかることでしょう。
返信する

コメントを投稿

国内労働」カテゴリの最新記事