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水俣病被害者救済に関する共産党の法案大綱-被害の実態調査を無期限に実施し、無期限に認定救済行政をー

2009-07-02 02:20:18 | 国内政治
水俣病法案が衆院通過
患者切り捨て 自公民が審議抜き強行

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 水俣病患者を切り捨て、加害企業チッソを免罪する「水俣病特別措置法案」が3日、自民、公明、民主の賛成多数で衆院を通過し、参院へ送付されました。日本共産党、社民党は反対しました。自公民3党は7日の参院環境委員会で採決し、来週中にも成立させる構えです。

 同法案は自公民が一部修正しただけで2日に合意。直ちに衆院環境委員会、本会議を立て続けに開催し、質疑もおこなわず衆院を通過させる異常なやり方をとりました。

 国会を傍聴した水俣病被害者らは「審議もしないで、被害者の救済ではなく加害企業チッソを免罪する法案を採決したことに怒りを覚える」と、抗議の声をあげました。衆院議員面会所で開かれた要請行動には、日本共産党の赤嶺政賢、笠井亮両衆院議員が出席し、「水俣病被害者の願いを踏みにじるもの」と批判しました。

 同法案が盛り込んでいる「チッソ分社化」は、補償会社となる親会社と、利益をあげている液晶部門などの子会社とに分けるもの。親会社のチッソが消滅すれば、救済の道が閉ざされ、加害企業の責任が免罪されることにもなります。また、法案7条で「3年以内を目途」にと救済の期限を区切り、救済の幕引きを打ち出しています。

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すべての被害者の救済にはならない
こくた氏強調

 日本共産党の、こくた恵二国対委員長は3日、国会内で記者団の質問にこたえ、衆院を通過した「水俣病特別措置法案」について「最大の問題は、すべての被害者を救済することになっていないことだ」と強調しました。

 さらに、「チッソの分社化を前提としており、加害企業を免罪するものだ。水俣病の幕引きにつながりかねない」と批判。「参院の審議で、日本共産党は修正案を出してたたかっていきたい。水俣病被害の実相を明らかにし、被害者の声を真摯(しんし)に聞くという根本からの議論が必要だ」と述べました。

(出所:日本共産党HP 2009年7月4日(土)「しんぶん赤旗」)

チツソ免罪法案撤回せよ
水俣病不知火患者会・弁護団 与党と民主に抗議

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 水俣病不知火患者会とノーモア・ミナマタ国賠等請求訴訟原告団・弁護団は24日、急きょ上京し、国会内で自民・公明の与党や民主党への要請行動を開始しました。これは、与党と民主党の国対委員長が、水俣病の潜在被害者がいるにもかかわらず加害企業チッソを免罪し幕引きを図る「特別措置法案」など「救済」法を今国会で成立させることで合意し、その動きを加速させていることに抗議するものです。

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 不知火患者会・弁護団の一行は同日、国会内で記者会見し、園田昭人弁護団長は、「(被害者を切り捨て)チッソのみを救済する与党法案をベースに協議し、決着を図ろうとするもので断固認められない」と強調。「現場を無視して民主党が与党に協力するならば、そんな政党に国のあり方は任せられない」と激しく抗議しました。

 大石利生・不知火患者会会長(原告団長)は、「被害者の気持ちを分からない人たちが、勝手に自分たちで決めて立法化にもっていくのが腹立たしい。このような暴挙は許してはならない。国会議員に、水俣病の本当の姿を知ってもらうために不知火患者会は上京する」と決意を語りました。不知火患者会は25日から、衆院議員会館前で座り込みを行います。

(出所:日本共産党HP 2009年6月25日(木)「しんぶん赤旗」)

水俣病全被害者救済こそ
市田書記局長会見 共産党が法案大綱

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 被害者を切り捨て加害企業チッソを免罪する「水俣病特別措置法案」をベースに自民・公明の与党と民主党の修正協議が進められていることに対し、日本共産党の市田忠義書記局長は29日、国会内で記者会見し、日本共産党国会議員団の「水俣病被害者救済に関する法案大綱」を発表しました。

 法案大綱は、すべての水俣病被害者を救済するために公害健康被害補償法(公健法)を一部改正するとして、公健法に(1)2004年の最高裁判決にもとづく認定基準と認定資料を明文化し、加害企業と国・県の責任を明確にして水俣病被害者との新たな補償協定を締結させる(2)不知火海沿岸と新潟阿賀野川流域の住民の健康調査などを明記する(3)新たな認定基準や補償水準などの立法措置について被害者、専門家の意見を聞く公聴会の開催などを盛り込む―などの3項目の改正を提案しています。

 市田氏は「水俣病は公害の原点というべき重要な問題」と指摘。自民と民主が修正協議を行って、今国会で成立させようとしていることについて、「事実上幕引きを図ろうという合意を急ぐことは、被害者の願いをふみにじるものだ」と強調しました。

水俣病被害者救済に関する
日本共産党の法案大綱

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 日本共産党が29日発表した「水俣病被害者救済に関する日本共産党の法案大綱」は次の通りです。

 すべての水俣病被害者を最高裁判決の水準で救済するため、公害健康被害の補償等に関する法律(公健法)を一部改正し、次の事項を盛り込むこととする。

I、最高裁判決に基づく認定基準及び認定資料を明文化する。

 国は、最高裁判決によって否定された国の認定基準(52年判断条件)に固執し、「二重の基準」の抜本的見直しを拒否している状況で、公害健康被害補償法を改正し、最高裁判決に基づく認定基準及び認定資料によって水俣病認定被害者を補償することにする。

 新たな認定基準は、下記のうち一つでも条件を満たす者であること。

(1)四肢末梢(まっしょう)優位の表在感覚障害を認める者

(2)全身性の表在感覚障害を認める者

(3)口の周囲の感覚障害を認める者

(4)舌の二点識別覚の障害を認める者

(5)求心性視野狭窄(きょうさく)を認める者

 とし、6カ月以内に施行するものとする。大脳皮質障害による知覚障害、精神障害又は運動障害、及び胎児性水俣病については医学的知見に基づいて早急に追加する。認定資料は、司法における共通診断書及び主治医の診断書等とする。

 国は、認定基準の見直しに基づいて最高裁判決水準の被害補償を完遂させるために、水俣病被害者と加害企業チッソおよび昭和電工との新たな補償協定を締結させる。

 最高裁判決で断罪された加害企業チッソ、国及び県の責任は補償協定に明記する。

II、被害地域の健康・環境調査及び健康影響等の調査研究の実施を明記する。

 これまでの公害健康被害補償法認定申請者、訴訟原告、新保健手帳交付者、医療費受給者と、95年の政治解決時の救済者だけで、4万数千人にのぼり、これは公健法指定地域の人口約13万人の3割になる。いまなお、不知火海沿岸でも新潟水俣病の阿賀野川流域でも声をあげられないでいる被害者が多数おり、胎児性や、小児性の世代へも広がっている。

 すべての被害者を救済するために不知火海沿岸、阿賀野川流域の住民の健康調査、環境調査を実施し、水俣病被害の実相を明らかにし、最高裁判決に基づいた認定基準で全面的に救済する。また、メチル水銀曝露(ばくろ)による健康影響及びこれによる症状治療等の調査研究を実施し、大脳皮質障害による知覚障害、精神障害又は運動障害や、胎児性水俣病などの被害者救済をすすめる。

III、公聴会等を開催して被害者、専門家の意見を聴取することを明記する。

 すべての水俣病被害者を救済するために、新たな認定基準や補償水準等の立法措置、被害地域の健康調査や健康影響の調査研究等の実施にあたっては、地元での公聴会や、長年研究、診察にあたってきた研究者、医学者の意見を聴取することとする。

(出所:日本共産党HP 2009年6月30日(火)「しんぶん赤旗」)

社説:水俣病特措法 幕引きの立法はやめよ

 水俣病被害者救済の特別措置法を巡る自民・公明両党と民主党の修正協議が、国会対策委員長、政調会長レベルに移り、週内決着に向け動き出した。与党は当初から、今国会中の法案成立を目指しており、民主党も鳩山由紀夫代表が早期決着の期待を表明している。

 熊本水俣病、新潟水俣病とも公式確認から約半世紀、被害者の高齢化が進んでおり、早期に解決が図られるに越したことはない。ただ、それも内容次第である。それどころか、妥協の内容によっては幕引き立法になってしまいかねない。

 与党と民主党がそれぞれ、国会に提出している特措法案の共通点は、被害者に一時金や療養費などを支給するというもので、95年の政治解決の第2弾という色彩が強い。これまでの修正協議では、与党が支給対象を具体的に例示する民主党案に歩み寄っている。与党は、法的な救済の根拠になっている公害健康被害補償法(公健法)に基づく地域指定を救済終了時点で解除する条項を民主党の要求で外すことにも柔軟な姿勢をみせている。

 ただ、民主党が見直しを求めている、チッソを事業継続会社と補償実施・公的債務返済会社に分離する案は堅持の姿勢だ。事業会社の株式売却益をその財源に充当することができなくなるためと説明している。

 特措法と公健法を結びつけることは、公害被害の幅広い救済の観点からみて筋が通らない。日本弁護士連合会が先ごろ提案した「水俣病被害者の補償に関する特別措置法」要綱案でも、公健法上の救済との両立が打ち出されている。地域が解除され、チッソの分社化後、補償会社が清算されてしまえば、日本の公害の原点でもある水俣病問題の幕引きともなりかねない。被害者団体の中に今回の特措法に強い反対論があるのは、これまで司法の場で明確にされてきた企業、行政の責任に終止符が打たれることへの意思表示でもある。

 水俣病被害者の救済が進まない最大の障害は77年に環境庁(現環境省)が設定した認定基準である。二つ以上の症候が認定の条件である。04年の関西訴訟最高裁判決で、有機水銀汚染を受けたことが確認できれば、ひとつの症候でも司法救済することが確定した。それにもかかわらず、行政は基準見直しを拒否している。現行の認定基準で行われている熊本県での認定作業では棄却が多数を占めている。与党、民主党が認定問題に踏み込まないことは合点がいかない。日弁連が基準の見直しを求めているのは当然のことだ。

 水俣病問題は国会対策として扱われるべきではない。早期立法化で妥協しても、水俣病は終わらない。

(出所:毎日新聞 2009年6月29日 東京朝刊)

社説:水俣病法案―見切り発車すべきでない 

 水俣病の未認定患者を救済する特別措置法案をめぐる与党と民主党との修正協議が最終局面を迎えている。しかし、このまま決着しても、真の恒久救済策には遠いと言わざるを得ない。

 水俣病の被害が確認されて53年になる。被害者の高齢化を考えると、早期救済に向けて決着を急がねばならないのは当然のことだ。

 これまでの協議で、与党も妥協の姿勢を見せている。救済対象については手足の先ほどしびれる感覚障害に限っていたが、より幅広い救済を求める民主党に歩み寄る構えを見せている。

 ところが、最大の争点である原因企業チッソの分社化については、「救済終了まで凍結する」と主張していた民主党が、「救済資金を確保するために分社化が絶対に必要」とする与党案を受け入れるようだ。

 分社化は補償会社と事業会社に分け、事業会社の株を売って補償金に充てる算段だ。将来的には補償会社を清算し、原因企業は実質的に消滅する。

 これでは、あとから症状の出てくる潜在患者らが、今後補償を求めようにも、その時には加害者が存在しないという事態になりかねない。

 分社化は与党案で、今回の救済を最後に公害多発地域の指定を解除し、患者の認定審査の窓口を閉じるという「地域指定解除」とセットだった。

 「被害者救済ではなく、加害者救済だ」という被害者団体の批判を受けて、与党は地域指定解除の条項の削除には同意した。しかし地元は「チッソを免責し、救済の幕を閉じる枠組みは変わらない」と受け止めている。

 そもそも、水俣病患者の救済がここまでこじれているのは、汚染された不知火海一帯の被害調査が一切なされなかったことが大きな原因だ。民主党案に盛り込まれた被害地域の実態把握をすることなく、この問題に終止符を打つことは許されない。

 どうにも解せないのは、特措法案のなかで、与党も民主党も、政府と司法に二つある認定基準の問題に踏み込まなかったことである。

 旧環境庁が77年につくった基準では、感覚障害だけではなく運動失調などとの組み合わせが必要とされた。ところが04年に最高裁がこの基準を事実上、否定し、感覚障害だけで患者と認め、幅広く救済する姿勢を示した。

 環境省は最高裁判決を受け、ただちに認定基準を改めるべきだった。しかし救済の枠組み全体が崩れるのを恐れてか、いまだに変えようとしない。

 これは「水俣病とは何か」という問題である。救済法案を論じる前に二重基準問題を解消することこそ、政治が決断すべきではなかったか。

 一刻も早く決着させたい。しかし安易な歩み寄りは、「公害の原点」といわれる水俣病の歴史に禍根を残す。

(出所:朝日新聞HP 2009年7月1日(水)付)
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