「子ども手当法案」の問題点
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民主党政権の目玉政策である「子ども手当法」案が国会で審議されています。民主党は、中学生以下の子ども1人に月額2万6000円を支給すると公約していますが、2010年度は半額の1万3000円(年額15万6000円)で実施します。同法案のただすべき問題点は―。(西沢亨子)
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支給でも負担増世帯
鳩山内閣は、子ども手当の財源にするため、所得税と住民税の年少扶養控除(16歳未満)を廃止します。所得税は11年1月から、住民税は12年6月から増税になります。
そうなると、子ども手当が支給されても、控除廃止で支給額が大幅に目減りします。
これまであった児童手当は、子ども手当支給にともない、子ども手当に含まれます。児童手当を月額1万円受けていた世帯は、子ども手当が半額支給のままでは、月3000円しか収入増になりません。こうした世帯は、増税が始まる11年1月以降、負担増になります。相当数の世帯がこれに当てはまります。
増税がのしかかる11年度以降、子ども手当が全額支給されるかどうかは、「財源のあり方も含め、改めて検討する」(長妻昭厚生労働相、23日の衆院本会議)というだけで、まったく不透明です。財務副大臣らからは全額支給に否定的な発言が相次いでいます。
というのも、財源の見込みがまったくないからです。10年度(約2兆3000億円)については1年限りとして地方などに負担を求め、残りは国債と埋蔵金でまかなっています。11年度については、まったく財源のめどがありません。
雪だるま増税の火種
所得税・住民税の増税が保育料などに連動し“雪だるま式”の負担増を招く恐れもあります。政府は「適切な措置を検討中」(菅直人財務相)としますが、保障はありません。
政府は、「庶民増税抱き合わせ」という国民の批判を受けて、当初考えていた配偶者控除の廃止と23~69歳の成年扶養控除の廃止について、10年度は見送りました。しかし今後、それらの庶民増税が持ち出される恐れがあります。
配偶者控除が廃止されると、かりに子ども手当が全額支給された場合でも差し引きで負担増になる世帯が出ることが日本共産党の佐々木憲昭議員の質問で明らかになりました(26日、衆院財金委)。
総合的施策が不可欠
子育てを支えるには、認可保育所を抜本的に増やし、深刻な状況にある待機児童を解消する、義務教育の完全無償化―などの総合的な施策が欠かせません。
日本共産党の高橋ちづ子議員は23日の衆院本会議で、「保育所整備などが遅れたまま、子ども手当を配ったら、あとは『自助努力、自己責任』ということにならないか」とただしました。
長妻厚労相は「そういう発想ではない。『子ども・子育てビジョン』にもとづいて保育所を増やす」と答えました。しかし、同ビジョンは保育への公的な責任を大幅に後退させ保育を市場化する方向を盛り込んだものです。
給食費天引きの恐れ
鳩山由紀夫首相は長妻厚労相に、親が滞納している学校給食費や保育料、税金などを子ども手当から天引きする仕組みの検討を指示しています。
23日の衆院本会議で高橋議員が「すべきではない」と迫ったのに対し、長妻厚労相は「(子どものためという)趣旨が生かせるよう議論する」とのべ、天引きの方向をにじませました。
児童福祉施設などにいる子どもに支給されないことも、子ども手当の趣旨に反し、大きな問題です。
子ども手当
全額でも増税世帯
佐々木氏追及 財務省認める
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日本共産党の佐々木憲昭議員は26日、衆院財務金融委員会で、子ども手当導入にともなう税額控除の廃止(増税)などで、逆に負担増となる世帯が生じることを独自の試算を示して追及し、財務省は同手当の半額、全額支給ともに増税世帯が生じることを初めて認めました。
佐々木氏はまず、2010年度に半額(月1万3000円)を支給する同手当法案について、11年度からの全額(2万6000円)支給の確約もないのに、予算関連法案では所得税や住民税の年少扶養控除廃止など、全額支給のための増税を先取りしている問題をただしました。
菅直人財務相が「最終的には連立政権のなかで、どういう形で実現するか議論する」などと、いまだ全額支給の保証がない実態を認めました。佐々木氏は「『恒久措置』として増税を盛り込んでいるのに、全額支給を確約していないのは問題だ」と批判しました。
また佐々木氏は、サラリーマンの片働き夫婦と3歳未満の子ども1人の3人世帯の場合、子ども手当が半額支給されただけでは、控除廃止によって大半の世帯が負担増になるとの試算を明らかにしました。財務省の古谷一之主税局長も「現状のままであれば、こういう計算が可能だ」と認めました。
さらに佐々木氏は、税制改正大綱に「見直し」が盛り込まれた配偶者控除の廃止が実施された場合、子ども手当全額支給の場合でも、給与収入総額が700万円で年間2・2万円の増税になるなど、収入によっては負担増となる試算を示して追及。古谷局長は「収入が上がると適用税率が上がっていくので、こういう計算になる」と認めました。
(出所:日本共産党HP 2010年2月27日(土)「しんぶん赤旗」)
卒業前中退生徒生むな
衆院委 宮本氏、修学支援求める
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「卒業を目の前にして、学費が払えないからと中退の危機にさらされている生徒を救う緊急策が必要だ」―日本共産党の宮本岳志議員は24日、衆院文部科学委員会で政府に迫りました。
宮本氏が、社会福祉協議会を主体に行っている教育支援基金の貸し付け対象を、授業料以外に生徒から徴収する施設設備費などにも広げることを求めたのに対し、厚生労働省の清水美智夫社会援護局長は「それを払わなければ卒業できないという費用は貸し付け対象にする」と答弁しました。
宮本氏が「貸し付けの審査に1カ月かかる。これでは卒業に間に合わない」と改善を求めたのに対し同局長は、「卒業に間に合うように迅速な審査を社会福祉協議会に求めた」と答弁しました。
また宮本氏は、国の高校生修学支援基金について、地方自治体が基金を取り崩して減免対象を拡充しようとすると、取り崩し分の2分の1が自治体負担になることを指摘。「これが自治体に二の足を踏ませることになっている」と、自治体負担をなくすことを求めました。川端達夫文部科学相は「制度拡充へ関係当局と引き続き協議したいが、現段階は今の制度の周知徹底で対応する」と述べました。
宮本氏が重ねて、「経済的理由で卒業証書を受け取れなかったという生徒を出してはいけない」と迫ったのに対し、川端文科相は「ご指摘の事態が起こらないよう万全を尽くす」と答えました。
(出所:日本共産党HP 2010年2月26日(金)「しんぶん赤旗」)
衆院本会議
高校無償化法案審議入り
宮本議員“さらなる拡充を”
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衆院本会議は25日、公立高校の授業料無料化などを柱とする高校無償化法案の趣旨説明と質疑を行い、日本共産党の宮本岳志議員が質問に立ちました。
宮本氏は、「高校教育無償化の方向が打ち出されたことは、国民の粘り強い運動の成果であり、当然のこと」としたうえで、いくつかの問題点を指摘しました。
宮本氏は、全体の3割を占める私立高校生については、1生徒あたり年額11万8800円(年収350万円以下は2倍)の補助にすぎず、私立高校の初年度納入金が平均71万円であることを考えれば、「差し引き約60万円ものお金を支払わなければならない」と指摘。また、同制度導入により「都道府県が行ってきた私学授業料減免予算を減額する動きが広がり、保護者負担軽減につながらない」事実を示しました。
川端達夫文科相は、「公私格差は縮小する」「(都道府県の)適切な対応を期待している」などと答えるにとどまりました。
宮本氏はまた、公立高校の無料化にしても、修学旅行費、通学費など、授業料以外に23万8000円の父母負担が残る事実をあげ、「貧困が広がるなか返還の必要のない給付制奨学金を創設すべきだ」と迫りました。川端文科相は、「給付制奨学金は大変重要な課題と認識。今後とも検討したい」と答えました。
政府は、財源として、所得税・住民税の特定扶養控除の18歳以下上乗せ部分を廃止する方針です。宮本氏が、「無償化の代償で増税の負担増を生み出してはならない」と質問。川端文科相は、「実際に家計に影響が生じる来年度末に向け必要な対策が行われるよう検討する」と答弁しました。
宮本氏は最後に、「教育に対する公的支出を世界水準まで引き上げ、高校無償化を私学へ広げ、大学の学費も段階的に無償化に向かうべきだ」と強調しました。
川端文科相は、「大学の授業料減免や奨学金の充実に取り組み、学費軽減に努める」と答えました。
(出所:日本共産党HP 2010年2月26日(金)「しんぶん赤旗」)
子ども手当法案にたいする
高橋議員の質問
衆院本会議
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日本共産党の高橋ちづ子議員が23日の衆院本会議で行った、子ども手当法案に対する質問は以下の通りです。
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「子ども手当」は、民主党が総選挙の政権公約のトップにかかげた、まさに鳩山内閣の「目玉」政策であります。その法案審議にあたっては、当然、鳩山総理自身が答弁の責任をはたすべきです。総理出席がないまま審議入りすることはきわめて無責任だと言わねばなりません。
まず法案が、なぜ2010年度に限ったものとなったのか、財源や地方負担のあり方など制度の根幹にかかわる問題をすべて先送りした上で、ともかく、6月の支給を急いだものであることは否めません。子ども手当は、将来にわたる子育て支援策の体系のなかにしっかり位置づけてこそ、その目的をはたせるのではありませんか。
この間の「貧困と格差の拡大」は、子育て世代に深刻な打撃を与えています。
政府の世論調査によれば、「子育てのつらさ」の一番は「子どもの将来の教育にお金がかかる」で39・2%。「子どもが小さいときの子育てにお金がかかる」も20・1%です。一方、児童のいる世帯の平均所得は1996年以降11年間で9万円も下がっています。このもとで、日本の子どものいる現役世帯の貧困率はOECD(経済協力開発機構)30カ国中19番目という水準となっており、子どもの貧困率は14・2%という状態にあることを政府も初めて認めました。
このような現状をもたらした原因と責任がどこにあるのか。それは、自民・公明政権のもとで、保育所整備をはじめ子育て・教育への予算を削減し、また生活保護の切り捨てや社会保障費の削減、低賃金や長時間労働、非正規雇用を拡大してきたことにあると考えますが、鳩山内閣の見解をもとめます。
いま、子育ての土台を抜本的に強化することが必要です。
子どもの養育に対する国の責任を明らかにしたうえで、保育所を増設し待機児童を解消する、義務教育を完全に無償化し、給食費、教材費、修学旅行の費用など義務教育の必要経費については保護者の負担にしないことなど、子育ての土台の整備をすることが必要だと思いますが、政府の見解を求めます。
子育てのための現金給付、手当の充実は、そうした土台の整備とあわせて、いわば「車の両輪」ですすめてこそ、効果が出ると考えますが、見解をうかがいます。
その一つとして、月額2万6000円の「子ども手当」が満額支給されると、「手当」の水準はフランスやドイツを超えるものになりますが、一方、保育などその他の現物給付は最低水準です。「手当」を配ったら、あとは、「自助努力、自己責任」ということになるのでしょうか。
保育所については、先日の本会議で、総務大臣が「最低基準がずっとあっていいのか」と述べたことは問題です。保育所の設置基準や定員の上限を撤廃するならば、保育の質の低下をもたらし、子どもの安全も脅かされかねません。このようなことはただちに中止すべきです。
すでに、ほとんどの自治体で取り組まれている乳幼児の医療費の無料化などは国の制度として行うべきではありませんか。
次に法案について具体的にお聞きします。
そもそも2万6000円という支給額の根拠について、ご説明ください。10年度はとりあえず、半額の1万3000円を支給するといいますが、次年度以降は満額になるのか、うかがいます。
支給対象については、15歳以下のすべての子どもを対象に支給することでいいですか。里親や児童福祉施設など、社会的養護にあたる子どもへの支給についても分け隔てなくすべきです。子ども自身が実質的な利益を受けるように、丁寧な制度設計と扱いがなされるべきですが、見解をお聞きします。
給食費や税金の滞納世帯に対して、滞納分を手当と相殺するという発言も聞こえてきます。子育てを「社会全体で支える」という制度の趣旨からいっても行うべきではないと考えます。
最大の問題は、子ども手当の財源が増税とだきあわせになっていることです。
控除の廃止による増税の影響についてですが、民主党は、増税と手当とで、手取りが減るのは全体の「4%未満」と説明しました。これに対して、全国5000万世帯のうち18%にあたる約920万世帯で増税となるとの試算がだされています。世帯別の影響とその根拠について説明してください。
今回見送られた、配偶者控除の廃止や、23歳から69歳までの成年扶養控除の廃止については、次年度以降行うつもりですか。
さらに、扶養控除の廃止・縮小にともなう増税だけでなく、保育料など23項目について連動して負担増が起こることが指摘されています。地方のさまざまな軽減策にも当然、連動します。この負担増はどれほどになるのでしょうか。負担増にならない対応とは具体的にどのようなものですか。
政府は当初、国庫負担でといってきましたが、現行の児童手当の仕組みを残しました。総理は、「財源に余裕ができた分だけ支給する仕組み」をつくりたいと発言していますが、今後、地方負担、企業負担は、それぞれどうなりますか。
また、財源として、民間保育所の運営費国庫補助分をあてることが検討されていますが、それは、絶対認められません。
手当の支給ありきで、後から増税。しかも、その安定した財源を口実に、消費税の引き上げなどもってのほかです。
わが党は、財源について、聖域扱いされてきた大企業や高額所得者への応分の負担や、軍事費は削減するという真剣な検討が必要であると考えています。その論議を通じて、真に安心安全な子育て社会をつくる方向をめざすべきだということを強く求めます。
(出所:日本共産党HP 2010年2月24日(水)「しんぶん赤旗」)
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民主党政権の目玉政策である「子ども手当法」案が国会で審議されています。民主党は、中学生以下の子ども1人に月額2万6000円を支給すると公約していますが、2010年度は半額の1万3000円(年額15万6000円)で実施します。同法案のただすべき問題点は―。(西沢亨子)
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支給でも負担増世帯
鳩山内閣は、子ども手当の財源にするため、所得税と住民税の年少扶養控除(16歳未満)を廃止します。所得税は11年1月から、住民税は12年6月から増税になります。
そうなると、子ども手当が支給されても、控除廃止で支給額が大幅に目減りします。
これまであった児童手当は、子ども手当支給にともない、子ども手当に含まれます。児童手当を月額1万円受けていた世帯は、子ども手当が半額支給のままでは、月3000円しか収入増になりません。こうした世帯は、増税が始まる11年1月以降、負担増になります。相当数の世帯がこれに当てはまります。
増税がのしかかる11年度以降、子ども手当が全額支給されるかどうかは、「財源のあり方も含め、改めて検討する」(長妻昭厚生労働相、23日の衆院本会議)というだけで、まったく不透明です。財務副大臣らからは全額支給に否定的な発言が相次いでいます。
というのも、財源の見込みがまったくないからです。10年度(約2兆3000億円)については1年限りとして地方などに負担を求め、残りは国債と埋蔵金でまかなっています。11年度については、まったく財源のめどがありません。
雪だるま増税の火種
所得税・住民税の増税が保育料などに連動し“雪だるま式”の負担増を招く恐れもあります。政府は「適切な措置を検討中」(菅直人財務相)としますが、保障はありません。
政府は、「庶民増税抱き合わせ」という国民の批判を受けて、当初考えていた配偶者控除の廃止と23~69歳の成年扶養控除の廃止について、10年度は見送りました。しかし今後、それらの庶民増税が持ち出される恐れがあります。
配偶者控除が廃止されると、かりに子ども手当が全額支給された場合でも差し引きで負担増になる世帯が出ることが日本共産党の佐々木憲昭議員の質問で明らかになりました(26日、衆院財金委)。
総合的施策が不可欠
子育てを支えるには、認可保育所を抜本的に増やし、深刻な状況にある待機児童を解消する、義務教育の完全無償化―などの総合的な施策が欠かせません。
日本共産党の高橋ちづ子議員は23日の衆院本会議で、「保育所整備などが遅れたまま、子ども手当を配ったら、あとは『自助努力、自己責任』ということにならないか」とただしました。
長妻厚労相は「そういう発想ではない。『子ども・子育てビジョン』にもとづいて保育所を増やす」と答えました。しかし、同ビジョンは保育への公的な責任を大幅に後退させ保育を市場化する方向を盛り込んだものです。
給食費天引きの恐れ
鳩山由紀夫首相は長妻厚労相に、親が滞納している学校給食費や保育料、税金などを子ども手当から天引きする仕組みの検討を指示しています。
23日の衆院本会議で高橋議員が「すべきではない」と迫ったのに対し、長妻厚労相は「(子どものためという)趣旨が生かせるよう議論する」とのべ、天引きの方向をにじませました。
児童福祉施設などにいる子どもに支給されないことも、子ども手当の趣旨に反し、大きな問題です。
子ども手当
全額でも増税世帯
佐々木氏追及 財務省認める
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日本共産党の佐々木憲昭議員は26日、衆院財務金融委員会で、子ども手当導入にともなう税額控除の廃止(増税)などで、逆に負担増となる世帯が生じることを独自の試算を示して追及し、財務省は同手当の半額、全額支給ともに増税世帯が生じることを初めて認めました。
佐々木氏はまず、2010年度に半額(月1万3000円)を支給する同手当法案について、11年度からの全額(2万6000円)支給の確約もないのに、予算関連法案では所得税や住民税の年少扶養控除廃止など、全額支給のための増税を先取りしている問題をただしました。
菅直人財務相が「最終的には連立政権のなかで、どういう形で実現するか議論する」などと、いまだ全額支給の保証がない実態を認めました。佐々木氏は「『恒久措置』として増税を盛り込んでいるのに、全額支給を確約していないのは問題だ」と批判しました。
また佐々木氏は、サラリーマンの片働き夫婦と3歳未満の子ども1人の3人世帯の場合、子ども手当が半額支給されただけでは、控除廃止によって大半の世帯が負担増になるとの試算を明らかにしました。財務省の古谷一之主税局長も「現状のままであれば、こういう計算が可能だ」と認めました。
さらに佐々木氏は、税制改正大綱に「見直し」が盛り込まれた配偶者控除の廃止が実施された場合、子ども手当全額支給の場合でも、給与収入総額が700万円で年間2・2万円の増税になるなど、収入によっては負担増となる試算を示して追及。古谷局長は「収入が上がると適用税率が上がっていくので、こういう計算になる」と認めました。
(出所:日本共産党HP 2010年2月27日(土)「しんぶん赤旗」)
卒業前中退生徒生むな
衆院委 宮本氏、修学支援求める
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「卒業を目の前にして、学費が払えないからと中退の危機にさらされている生徒を救う緊急策が必要だ」―日本共産党の宮本岳志議員は24日、衆院文部科学委員会で政府に迫りました。
宮本氏が、社会福祉協議会を主体に行っている教育支援基金の貸し付け対象を、授業料以外に生徒から徴収する施設設備費などにも広げることを求めたのに対し、厚生労働省の清水美智夫社会援護局長は「それを払わなければ卒業できないという費用は貸し付け対象にする」と答弁しました。
宮本氏が「貸し付けの審査に1カ月かかる。これでは卒業に間に合わない」と改善を求めたのに対し同局長は、「卒業に間に合うように迅速な審査を社会福祉協議会に求めた」と答弁しました。
また宮本氏は、国の高校生修学支援基金について、地方自治体が基金を取り崩して減免対象を拡充しようとすると、取り崩し分の2分の1が自治体負担になることを指摘。「これが自治体に二の足を踏ませることになっている」と、自治体負担をなくすことを求めました。川端達夫文部科学相は「制度拡充へ関係当局と引き続き協議したいが、現段階は今の制度の周知徹底で対応する」と述べました。
宮本氏が重ねて、「経済的理由で卒業証書を受け取れなかったという生徒を出してはいけない」と迫ったのに対し、川端文科相は「ご指摘の事態が起こらないよう万全を尽くす」と答えました。
(出所:日本共産党HP 2010年2月26日(金)「しんぶん赤旗」)
衆院本会議
高校無償化法案審議入り
宮本議員“さらなる拡充を”
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衆院本会議は25日、公立高校の授業料無料化などを柱とする高校無償化法案の趣旨説明と質疑を行い、日本共産党の宮本岳志議員が質問に立ちました。
宮本氏は、「高校教育無償化の方向が打ち出されたことは、国民の粘り強い運動の成果であり、当然のこと」としたうえで、いくつかの問題点を指摘しました。
宮本氏は、全体の3割を占める私立高校生については、1生徒あたり年額11万8800円(年収350万円以下は2倍)の補助にすぎず、私立高校の初年度納入金が平均71万円であることを考えれば、「差し引き約60万円ものお金を支払わなければならない」と指摘。また、同制度導入により「都道府県が行ってきた私学授業料減免予算を減額する動きが広がり、保護者負担軽減につながらない」事実を示しました。
川端達夫文科相は、「公私格差は縮小する」「(都道府県の)適切な対応を期待している」などと答えるにとどまりました。
宮本氏はまた、公立高校の無料化にしても、修学旅行費、通学費など、授業料以外に23万8000円の父母負担が残る事実をあげ、「貧困が広がるなか返還の必要のない給付制奨学金を創設すべきだ」と迫りました。川端文科相は、「給付制奨学金は大変重要な課題と認識。今後とも検討したい」と答えました。
政府は、財源として、所得税・住民税の特定扶養控除の18歳以下上乗せ部分を廃止する方針です。宮本氏が、「無償化の代償で増税の負担増を生み出してはならない」と質問。川端文科相は、「実際に家計に影響が生じる来年度末に向け必要な対策が行われるよう検討する」と答弁しました。
宮本氏は最後に、「教育に対する公的支出を世界水準まで引き上げ、高校無償化を私学へ広げ、大学の学費も段階的に無償化に向かうべきだ」と強調しました。
川端文科相は、「大学の授業料減免や奨学金の充実に取り組み、学費軽減に努める」と答えました。
(出所:日本共産党HP 2010年2月26日(金)「しんぶん赤旗」)
子ども手当法案にたいする
高橋議員の質問
衆院本会議
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日本共産党の高橋ちづ子議員が23日の衆院本会議で行った、子ども手当法案に対する質問は以下の通りです。
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「子ども手当」は、民主党が総選挙の政権公約のトップにかかげた、まさに鳩山内閣の「目玉」政策であります。その法案審議にあたっては、当然、鳩山総理自身が答弁の責任をはたすべきです。総理出席がないまま審議入りすることはきわめて無責任だと言わねばなりません。
まず法案が、なぜ2010年度に限ったものとなったのか、財源や地方負担のあり方など制度の根幹にかかわる問題をすべて先送りした上で、ともかく、6月の支給を急いだものであることは否めません。子ども手当は、将来にわたる子育て支援策の体系のなかにしっかり位置づけてこそ、その目的をはたせるのではありませんか。
この間の「貧困と格差の拡大」は、子育て世代に深刻な打撃を与えています。
政府の世論調査によれば、「子育てのつらさ」の一番は「子どもの将来の教育にお金がかかる」で39・2%。「子どもが小さいときの子育てにお金がかかる」も20・1%です。一方、児童のいる世帯の平均所得は1996年以降11年間で9万円も下がっています。このもとで、日本の子どものいる現役世帯の貧困率はOECD(経済協力開発機構)30カ国中19番目という水準となっており、子どもの貧困率は14・2%という状態にあることを政府も初めて認めました。
このような現状をもたらした原因と責任がどこにあるのか。それは、自民・公明政権のもとで、保育所整備をはじめ子育て・教育への予算を削減し、また生活保護の切り捨てや社会保障費の削減、低賃金や長時間労働、非正規雇用を拡大してきたことにあると考えますが、鳩山内閣の見解をもとめます。
いま、子育ての土台を抜本的に強化することが必要です。
子どもの養育に対する国の責任を明らかにしたうえで、保育所を増設し待機児童を解消する、義務教育を完全に無償化し、給食費、教材費、修学旅行の費用など義務教育の必要経費については保護者の負担にしないことなど、子育ての土台の整備をすることが必要だと思いますが、政府の見解を求めます。
子育てのための現金給付、手当の充実は、そうした土台の整備とあわせて、いわば「車の両輪」ですすめてこそ、効果が出ると考えますが、見解をうかがいます。
その一つとして、月額2万6000円の「子ども手当」が満額支給されると、「手当」の水準はフランスやドイツを超えるものになりますが、一方、保育などその他の現物給付は最低水準です。「手当」を配ったら、あとは、「自助努力、自己責任」ということになるのでしょうか。
保育所については、先日の本会議で、総務大臣が「最低基準がずっとあっていいのか」と述べたことは問題です。保育所の設置基準や定員の上限を撤廃するならば、保育の質の低下をもたらし、子どもの安全も脅かされかねません。このようなことはただちに中止すべきです。
すでに、ほとんどの自治体で取り組まれている乳幼児の医療費の無料化などは国の制度として行うべきではありませんか。
次に法案について具体的にお聞きします。
そもそも2万6000円という支給額の根拠について、ご説明ください。10年度はとりあえず、半額の1万3000円を支給するといいますが、次年度以降は満額になるのか、うかがいます。
支給対象については、15歳以下のすべての子どもを対象に支給することでいいですか。里親や児童福祉施設など、社会的養護にあたる子どもへの支給についても分け隔てなくすべきです。子ども自身が実質的な利益を受けるように、丁寧な制度設計と扱いがなされるべきですが、見解をお聞きします。
給食費や税金の滞納世帯に対して、滞納分を手当と相殺するという発言も聞こえてきます。子育てを「社会全体で支える」という制度の趣旨からいっても行うべきではないと考えます。
最大の問題は、子ども手当の財源が増税とだきあわせになっていることです。
控除の廃止による増税の影響についてですが、民主党は、増税と手当とで、手取りが減るのは全体の「4%未満」と説明しました。これに対して、全国5000万世帯のうち18%にあたる約920万世帯で増税となるとの試算がだされています。世帯別の影響とその根拠について説明してください。
今回見送られた、配偶者控除の廃止や、23歳から69歳までの成年扶養控除の廃止については、次年度以降行うつもりですか。
さらに、扶養控除の廃止・縮小にともなう増税だけでなく、保育料など23項目について連動して負担増が起こることが指摘されています。地方のさまざまな軽減策にも当然、連動します。この負担増はどれほどになるのでしょうか。負担増にならない対応とは具体的にどのようなものですか。
政府は当初、国庫負担でといってきましたが、現行の児童手当の仕組みを残しました。総理は、「財源に余裕ができた分だけ支給する仕組み」をつくりたいと発言していますが、今後、地方負担、企業負担は、それぞれどうなりますか。
また、財源として、民間保育所の運営費国庫補助分をあてることが検討されていますが、それは、絶対認められません。
手当の支給ありきで、後から増税。しかも、その安定した財源を口実に、消費税の引き上げなどもってのほかです。
わが党は、財源について、聖域扱いされてきた大企業や高額所得者への応分の負担や、軍事費は削減するという真剣な検討が必要であると考えています。その論議を通じて、真に安心安全な子育て社会をつくる方向をめざすべきだということを強く求めます。
(出所:日本共産党HP 2010年2月24日(水)「しんぶん赤旗」)