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教育3法参院審議-統制強化ではなく教員増やせ-

2007-05-23 18:27:06 | 国内教育
主張
教育3法参院審議
統制強化ではなく教員増やせ

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 教育への国家統制を強める改悪教育基本法を具体化する教育三法(学校教育法、教員免許法、地方教育行政法)改定案の参議院での本格的な審議が、文教科学委員会で始まりました。

 安倍内閣は、教育三法改定案で教育にたいする国の関与と統制を強化する一方で、世界からみてもあまりにも貧弱な日本の教育予算の現状を改善しようとはしていません。

国民の願いに反する
 
衆議院の審議でも、参考人から相次いで出されたのが、教職員の多忙化解消のための教育予算の大幅な増額です。「もっと子どもたちと向き合える時間がほしい。子どもたちのために授業準備がしたい」という教職員の努力と国民の願いに、政治がどうこたえるかが問われています。

 日本は、世界の主な資本主義国三十カ国が集まっているOECD(経済協力開発機構)のなかで、経済力(GDP、国内総生産)にたいする教育予算の割合がもっとも低い国です。日本共産党の井上哲士参院議員が、「世界水準に引き上げるべきだ」と迫ったのにたいし、安倍晋三首相は、GDP比で少ないと認めたものの「単純には比較できない」といって、引き上げを否定しました。

 保護者も教育関係者も圧倒的に支持している少人数学級を国の制度として実現する点についても、安倍首相は「全国一律ではなく」「画一的ではなく」などといって否定しました。

 自治体独自の少人数学級は、東京を除く四十六道府県に広がっています。国民の要求が高く、教育効果も試されずみです。二年前までは、文部科学省の中央教育審議会も文部科学相も少人数学級の必要性を認めていました。この少人数学級実現の道を断ったのが、首相直轄の経済財政諮問会議であり、昨年の行革推進法です。五年間で一万人もの教職員の削減をしようというのです。

 首相が英断すれば、国の制度として少人数学級の実現への道が開けるのに背を向けています。世界一の教育をめざすといいながら、貧弱な教育予算の水準は引き上げない安倍首相の「教育再生」は、国民の願いと離反しています。

 衆議院の審議で浮かび上がったのは、改悪教育基本法をうけて国家統制の強化をはかり、これまで以上に教育現場を委縮させ、さらなる困難を押し付けることです。教員組織を大きく変え、これまでの校長、教頭、教諭という組織から、校長、副校長、主幹教諭、指導教諭、それに教諭という、職階による上意下達の体制をつくるのも、その一つです。免許更新制による官製研修の押し付けも、教員の資質向上につながらないばかりか、教員自身の自主研修を困難にします。

 「我が国と郷土を愛する態度」など、多くの徳目を義務教育の目標として掲げ、その達成を義務づけるのは、国が特定の価値観を子どもたちに強制するもので、憲法に保障された内心の自由を侵害するものとして許されません。そればかりか、日本が過去にやった植民地支配や侵略戦争を「正しかった」と美化する「靖国史観」を学校現場に持ち込む動きもあります。「愛国心」の強制がこうした危険な動きに拍車をかけているとすれば重大です。

参院で廃案に追い込もう
 
国民も教育関係者も強く望み、教育効果も高い世界でも当たり前となっている少人数学級に背を向けて、子どもや学校に命令だけを強めるような「教育再生」では、教育はよくなりません。教育三法改定案は廃案にすることが必要です

教育予算
OECDで最下位
参院委で井上議員 少人数学級を要求

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 日本共産党の井上哲士議員は二十二日、教育三法案の審議が始まった参院文教科学委員会で、教育予算の増額と国として少人数学級を実現するよう求めました。

 井上氏は、欧米各国が三十人以下学級なのに対し、いまだに日本は国として四十人学級となっていることを提示(表)。地方独自の少人数学級が東京をのぞく四十六道府県に広がっているのは、「国民の要求が高く、教育効果が高いからだ」と追及しました。

 安倍晋三首相は「国の標準(四十人学級)は維持しながら、地方の取り組みが進むように努めていく」と述べ、国としての少人数学級に背を向けましたが、伊吹文明文部科学相は「将来は三十五人に引き下げていくという方向で努力したい」と答弁しました。

 井上氏が示した調査では、教育制度についての保護者の賛否で、「クラスの子どもの人数を少なくする」が一番賛成が多く81・9%にのぼり、少人数学級を行っている学校の九割が「総じて児童生徒の学力が向上した」「授業でつまずく児童生徒が減った」と答えています。

 二〇〇五年の中央教育審議会では、少人数学級について圧倒的多数が賛成でしたが、経済財政諮問会議は文科相と中教審会長をよびつけて少人数学級を批判し、政府は実現の道を断ち切りました。

 井上氏は「結局官邸の司令塔と財務省がとめた。首相の責任で少人数学級実現に切り替えることが必要だ」と求めました。

 また井上氏は、GDP(国内総生産)に対する日本の教育予算の割合(3・5%)が、OECD(経済協力開発機構)三十カ国で最下位になったことを示し(グラフ)、「世界一の教育を目指すというのなら、予算も世界水準に引き上げるべきだ」と追及しました。

(出所:日本共産党HP 2007年5月23日(水)「しんぶん赤旗」)
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自公政権提出の教育3法案参院審議入りー自公政権が教育を統制ー

2007-05-22 21:14:08 | 国内教育
教育3法案参院審議入り
首相「愛国心」指導を強調

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 教育への国家の介入を強め、教育現場の困難をさらに拡大する教育三法案は二十一日の参院本会議で審議入りし、安倍晋三首相と関係閣僚が出席して趣旨説明が行われました。与党は今国会での成立をねらっています。

 質疑で安倍首相は、「義務教育の目標を実現するため、今後学習指導要領を改訂し、授業時間の確保、道徳教育や体験活動の充実などにより、すべての子どもたちに高い学力と規範意識を身に付ける機会を保障する。『我が国と郷土を愛する態度』を養う指導がいっそう行われるよう努めていく」と述べました。

 学校教育法改定案は、「規範意識」や「我が国と郷土を愛する態度」など多くの徳目を義務教育の目標に掲げ、達成を義務付けています。また、学校組織を大きく変え、「校長↓副校長↓教頭↓主幹教諭↓指導教諭↓教諭」という上意下達の体制にし、上からの統制を強化しようとしています。

 教員免許法等改定案は、教員の免許に十年の有効期間を定め、講習修了を免許更新の条件とします。教員の身分を不安定にし、ILO(国際労働機関)・ユネスコの「教員の地位に関する勧告」に反するものです。

 地方教育行政法改定案は、文部科学相の「是正の要求」「指示」を新設し、地方教育行政や学校への国の関与を強化するものです。伊吹文明文科相は衆院の委員会審議で「日の丸・君が代」の実施も対象になると答弁しています。

(出所:日本共産党HP 2007年5月22日(火)「しんぶん赤旗」)
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高い学費 日本共産党はどう考える?

2007-05-04 07:57:14 | 国内教育
〈問い〉 学費がまた値上げされると聞きました。ひどすぎます。高い学費について、日本共産党はどう考えているのでしょう?

〈答え〉 政府は来年度予算案に、国立大授業料の標準額を1万5000円引き上げ、53万5800円とする計画をもりこみました。

 昨年4月からの国立大法人化で、授業料については政府が標準額を定め、その10%を上限に各大学が決めることになりました。標準額が上がれば、新入生だけでなく在学生の授業料も上げないと各大学の財源が減る仕組みとなっており、在学生も含めた学費値上げが懸念されます。私大助成も、国会付帯決議(1975年)が経常費の50%補助に努めるとしているのに、予算案では、12%前後にまで低落が見込まれています。これでは、多くの私大でも学費値上げを引き起こしかねません。

 この30年余で、国立大の初年度納付金(授業料、入学金など)はおよそ50倍の80万円に、私立大は5倍の130万円に高騰しました。このため、「お金がなくて大学進学をあきらめざるを得ない」という切実な声が相次いでいます。

 世界的にみても、日本の高学費は異常です。ドイツ、フランスでは基本的に無料。アメリカでも学生の6割を占める州立大学が47万円で、大学生をもつ家庭への減税措置もあります。高等教育予算も、日本はGDP(国内総生産)比で0・5%と、欧米諸国の半分の水準にしかなりません。

 日本共産党は、学費はすでに、国民の負担限界をはるかに超え、憲法や教育基本法が定める「国民の教育を受ける権利」「教育の機会均等」を奪う水準になっていると考えています。

 原因は、自民・公明の政治が“受益者負担”を口実に、国の高等教育への財政責任を弱めてきたことにあります。政府はこれを転換し、高等教育を国づくりの基本に位置づけて支援し、国民の学費負担軽減へ責任ある手だてをただちにとるべきです。(工)

 〔2005・1・13(木)〕

(出所:日本共産党HP 2005年1月13日(木)「しんぶん赤旗」)

学費無償化が多くの国の「ルール」なの?

 〈問い〉 学費の無償化をめざすことが多くの国々の「ルール」となっているというのは本当ですか?(東京・一読者)

 〈答え〉 高等教育も含め教育を受けることを「人間の権利」としてとらえ、その機会を均等に保障するため、学費の無償化をめざすことは、いまでは、圧倒的多数の国々のルールとなっています。

 このことを条約として明記しているのが、国際人権社会権規約の中等・高等教育漸進的無償化条項です。

 国際人権規約とは、1966年に国連総会で採択された人権保護を目的とする多国間条約です。自由権規約と社会権規約などで構成されています。

 社会権規約は、第13条1項で「締約国は、教育についてのすべてのものの権利を認める」としたうえで、2項(C)で、高等教育は「無償教育の漸進的(順を追って徐々に)な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること」と定めています。

 この教育無償化条項も含め、社会権規約を批准している国は、148力国(05年7月)に上ります。

 ところが、日本は、社会権規約を79年に批准したのですが、中等教育の漸進的無償化を定めた2項(B)と、高等教育の漸進的無償化を定めた2項(C)を留保(この条項については縛られないと宣言すること)しています。こうした国は、日本とルワンダ、マダガスカルだけです。

 国際人権社会権規約は、各国が5年に一度、規約に定められた人権を実現するためにとった措置を社会権規約委員会に報告することを義務づけています。01年8月、同委員会で日本政府の第2回報告が審議され、無償化条項の留保が議論になりました。社会権規約委員のラトレー氏は、「世界第2位の経済大国に対し、いまなお〔無償の〕中等教育を漸進的に導入する段階に達していないのかと尋ねなければならないのであれば、私はどの国がそれを達成できるだろうかと自問しなければなりません」「経済的手段がないという理由で中等教育へのアクセスを否定される生徒は一人もいないと請け負っていただけるでしょうか。一人の生徒も、です」と日本政府に詰め寄りました。

 こうした審議の後、社会権規約委員会は、最終見解を採択し、「提言及び勧告」の冒頭で、13条2項(B)(C)の留保の撤回の検討を求めました。

 日本は、世界から高学費政策の転換を迫られているのです。

 日本政府は、この勧告に対する回答を第3回報告として今年6月末までに提出しなければならなかったのですが、まだ提出していません。(誠)

 〔2006・10・11(水)〕

(出所:日本共産党HP 2006年10月11日(水)「しんぶん赤旗」)
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少人数学級のメリット、デメリットは?

2007-05-04 07:53:45 | 国内教育
〈問い〉 日本共産党が取り組むべきだとしている少人数学級について、私はとても興味を持っています。そこで少人数学級とはどのようなものか。(1) 少人数学級とは何人から何人なのか、(2) ティームティーチングとの違いは、(3) 学力とどうかかわっているのか、(4) 良いところ、悪いところについて教えてください。(東京・一読者)

 〈答え〉 少人数学級とは、とくに何人から何人というきまりはありませんが、日本は国基準が1学級40人なので、それ以下の未満による学級編制をとるものを少人数学級といっています。たとえば「30人」学級(1学級の最大限を30人とする)、「35人」学級などです。

 ティームティーチングは1学級に2人の先生がつきますが、たいがい特定の教科(算数とか)だけです。

 たとえば小学1年生が40人いる学校で考えれば、「30人」学級制だと、20人、20人の2クラスにわかれてすべての授業で20人の授業となりますが、ティームティーチングだと、特定の教科だけで40人の子どもを複数の教員が教えることになります。

 両者の違いの一つは、全部の教科できめ細かく教えられるか、特定の教科に限定するかです。もう一つあげれば、子どものかかえるさまざま不安や悩み、問題行動をきめ細かくみることができるかどうかという点も、大きいと思います。

 少人数学級が子どもの学習に効果があることは、アメリカなどでの研究で明らかになっています。現場の先生方に聞いても、20人台なら、一人ひとりのつまずきがよくわかるが、30人以上になるとそれがむつかしくなるといいます。ちなみに、「学力世界一」で注目されているフィンランドは、「24人学級」(外国語はさらにそれを半分にする)です。

 「良いところ」は、学習面にしても生活面にしても、子どもをていねいに見られるようになることです。

 「悪いところ」として指摘される主な議論は「切磋琢磨(せっさたくま)がなくなり子どもたちの社会性が育たない」というものです。

 しかし、小規模校などでの1クラス十数人の子どもたちをみても、1クラス十数人から二十数人が当たり前になっている欧米をみても、この議論は成り立たないと思います。

 文部科学省の発表した資料でも、約8割の学校がクラス人数を引き下げたほうが、ティームティーチングよりも効果的とこたえています。少人数学級にして、大勢の子どもやおとなたちと交流する場をつくるなどして社会性の面にも気を配るのが、子どものことを考えたやり方だと思います。(喜)

 〔2006・2・11(土)〕

(出所:日本共産党HP 2006年2月11日(土)「しんぶん赤旗」)

 少人数学級 どれくらい広がっている?

 〈問い〉 少人数学級が全国で広がってきていると聞きます。どれくらい広がっているのですか?

  共産党のこれまでの国会論戦、今後の運動で大事と思う点を教えてください。(埼玉・一読者)

 〈答え〉 04年度から、なんらかのかたちで少人数学級編成を実施することになった都道府県は、42道府県です。しかしなお、全国では、公立小学校の45・6%、公立中学校の75・5%の学級が31人以上です。

 少人数学級を採用したクラスでは、「毎日の学習が楽しくなった」、「友達が増えた」などの歓迎の声があがっています。

 実施都道府県が一挙に増えたのは、01年に義務標準法などが改正され、都道府県の判断で加配教員の活用もふくめた弾力的な学級編成ができるようになったからです。未実施は東京、石川、岐阜、香川、佐賀です。

 実施形態は、県全体として特定の学年で実施するところもあれば、研究指定校として市町村教育委員会からの要望があれば実施するとしているところもあるなど、さまざまです。

 少人数学級実現には相応の人件費が必要なため、都道府県、市町村による独自の実施には限界もあり、国の制度として実施させていくことが重要です。

 ところが現在、政府は「三位一体の補助金削減」として、義務教育の教員の給与などの半分を負担する補助金をなくそうとしています。これを許せば、少人数学級実現がいっそう困難になります。

 学校教育の困難が増えているもとで、少人数学級は切実な課題です。新たな教員定数改善計画が出される05年度にむけた草の根での運動とあわせ、国庫負担制度をなくさせないたたかいが焦眉の課題になってきます。

 日本共産党はこれまで、「少人数学級」について議会で繰り返し質問、00年には政府がなかなか明らかにしなかった「30人学級」に必要となる教員数、予算とその算定根拠を言明させ、01年に野党共同の法案を提出するなど、論戦をリードしてきました。現在(04年2月時点)、政府は「30人学級」を全国で実施すれば、「約8万4千学級」「教員は約11万1千人」増えるとしています。(京)

 〔2004・10・23(土)〕

(出所:日本共産党HP 2004年10月25日(月)「しんぶん赤旗」)

 少人数学級の教育効果は?

〈問い〉 昔は、一学級50人以上がふつうだったと思います。いま、少人数学級がいわれますが、なぜですか? 教育効果はあるのですか?(埼玉・一読者)

〈答え〉 昔と今では、教室の雰囲気はだいぶちがいます。突発的にキレる、立ち歩くなど困難をかかえる子どもも少なくありません。また塾通いの有無で「学力」差もひろがっています。これらは子どもの責任というより、大人社会がつくりだしたものです。こうしたなかで、教員が子ども一人ひとりと丁寧に接することができる少人数学級は切実な願いとなっています。

 すでに少人数学級にした地方では、効果がはっきりあらわれています。たとえば鳥取県(小一・二年と中一年の一部で30人学級)では、小学校では、学級担任の96%、保護者の81%が、少人数学級を「大変よい・よい」と答えています。教員からは、「子どもの活躍する場面が増えた。学習の理解度が把握しやすく、理解不十分な子により多く支援をすることができた」、保護者からは、「心の安定、落ち着きが感じられる。私語がなくなった」などの感想が寄せられています。

 少人数学級の教育効果は、世界でも日本でも認められています。

 アメリカの研究で有名なのは、「グラス・スミス曲線」と呼ばれる、学級規模が小さくなるに従って、学習の到達度、情緒の安定、教員の満足度が高くなるという調査結果です。

 日本教育学会の「学校・学級の編制に関する研究委員会」の調査研究(1999年)では、たとえば中学校の数学では「生徒一人当たりの発言回数が少ない」は「36人以上学級」で81・7%ですが、「15人以下学級」は28・4%にへります。生活面でも、「落ち着きのない生徒が多い」とこたえた教員は、「15人以下」学級23・1%にたいし、「36人以上」学級は49・2%です。調査にあたった学者は「学級規模25人前後を境に教育効果は大きく変わる。学級定員の標準は20人程度とすべき」と述べています。(森)

 〔2004・9・23(木)〕

(出所:日本共産党HP 2004年9月23日(木)「しんぶん赤旗」)
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教職員は優遇されすぎか?

2007-05-04 07:50:04 | 国内教育
〈問い〉 先生の数が多すぎるとか、給与が高いといった攻撃をどう考えますか?(東京・一読者)

 〈答え〉 経済財政諮問会議などで、教職員の数を減らせという議論の中身は、「子どもの数が減っているのに先生の数がふえることはありえない」「この間、先生の数をふやしても学力は低下したではないか」といった、粗雑きわまりないものです。しかし、日本の教職員の数は多いどころか、少なすぎるのです。

 日本の教育予算は国際的に水準が低く(表)、日本の教職員の数も諸外国に比べ随分と低いものです。教員一人当たり生徒数は、就学前18人、初等19・9人、前期中等15・7人、後期中等13・5人で、いずれもOECD各国平均(各14・4人、16・5人、14・3人、13人)を上回っています。(表は明日付で)

 学力世界一で注目を集めるフィンランドとくらべると、教員配置は、小学校で60%、中学校で65%にすぎません。加えて日本では、フィンランドとは正反対に、教員の自主性、自由が抑圧されています。

 何より考えなければいけないのは、子どもたちの状況です。

 過度の「競争と管理」の教育制度、日常生活への情報・消費文化の浸透、暴力むきだしの映像文化、弱肉強食の風潮、長時間労働や不況による家庭の困難などで、子どもたちはさまざまな生きづらさをかかえています。勉強が遅れがち、人間関係を結ぶことが苦手、LD(学習障害)やADHD(注意欠陥・多動性障害)、高機能自閉症などの軽度発達障害、虐待をうけている、など特別な支援を必要とする子どももふえています。

 こうした子どもを一人ひとり、ていねいに育てようと思えば、40人学級を欧米なみの学級規模にひき下げたり、特別な必要性のある子どもたちへの指導を手厚くしたりするために教職員の増員こそが切実に求められます。(喜)

(出所:日本共産党HP  2006年1月18日(水)「しんぶん赤旗」)

〈問い〉 先生の給与は他の公務員と比べても高く、優遇されすぎだという声をどう考えますか?(東京・一読者)

 〈答え〉 「教員の給与が高すぎる」というのは教職員削減とならんで教育費を抑制しようと、政府がもちだしている“ためにする議論”です。

 財務省は「教職員の給与は一般公務員より11%高い」とゆがめて描きました。「ゆがめて描き」というのは、基本給で比較していること(教員は何時間超過勤務をしても超過勤務手当が支給されないのにたいして、他の公務員は超過手当が支給されている。このため、基本給の比較ではフェアといえない)、学歴の違いによる差を考慮に入れていないこと(教員は(短)大卒、一般公務員は38%が高卒)などです。

 他の公務員との年収の差は実際には4%程度で、消防職員(21%)、警察官(16%)などと比べるとその優遇は小さなものです。

 子どもの人間形成をたすける専門家という教員の給与を相対的に高く設定しようという制度は、優秀な人間を教員に迎えようという、その国が教育を大事にしていることのメッセージです。実際、この点での日本の選択は、欧米にくらべて優秀な教員をあつめることにつながっていることが指摘されています。これをやめ、教員の給与を下げようというのは、子どもの教育を切り下げることにほかなりません。(喜)

 〔2006・1・19(木)〕

(出所:日本共産党HP 2006年1月19日(木)「しんぶん赤旗」)
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全国学力テストー参加押し付けと序列化やめよー

2007-04-24 00:36:11 | 国内教育
全国学力テスト
参加押し付けと序列化やめよ

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 文部科学省は二十四日、小学六年と中学三年のすべての子どもを対象に、全国一斉に学力テスト(全国学力・学習状況調査)を実施する予定です。

 全国学力テストは、昨年十二月に自民・公明両党が強行した改悪教育基本法にもとづいて実施されるものです。学校や子どもたちの競争をいっそう激しくして、「勝ち組」「負け組」にふるいわける教育を地方に押し付けようとしています。それは、二〇〇四年十一月四日の経済財政諮問会議で当時の中山文部科学相が「競争意識の涵養(かんよう)」をあげて全国学力テストの実施をかかげたことでも明らかです。

競争教育に広がる批判
 
 日本共産党の石井郁子議員が衆院本会議(十七日)や教育再生特別委員会(二十日)での質問でも取り上げたように、学校と子どもの「序列化」という全国学力テストのねらいは、教育の本来のあり方と矛盾します。

 全国の市町村教育委員会のなかで唯一全国学力テストへの不参加を表明している愛知県犬山市教育委員会は、「教育に競争原理を持ち込めば、子どもや教師の社会に格差が生まれ、豊かな人間関係を育(はぐく)む土壌をなくしてしまいます」と保護者用チラシで説明しています。

 少人数による学び合いの授業を積極的にすすめ、すべての子どもの人格形成と学力保障に全力を注いできた十年に及ぶ成果に立脚して、「競争原理と犬山の教育理念は相いれない」と、全国学力テストへの不参加を決めました。

 犬山市の市長は、全国学力テストに賛成の立場ですが、参加するかどうかを決めるのは市町村の教育委員会の独自の権限です。市長も「学力テストや教育のあり方について、これほど真剣に議論した教育委員会は恐らく他にはないだろうと、素直に認めたいと思います」と広報(四月十五日号)でのべています。

 政府は、「学力の向上」をめざして全国学力テストを実施するとしています。しかし、「序列化」や過度の競争で学力は向上するどころか、子どもたちが傷つき、学ぶ喜びが奪われています。

 「競争は教育の世界で否定すべきだ」とする意見が全国学力テストに賛成する専門家からも出されています。「一部官庁は、結果を公表し、学校を競争状況に放り込んで活性化を図る民間企業的政策を求めるが、教育の世界の中では否定すべきこと。教育は製品とは違い、公共性を持つ」(「東京」四月十七日付)と指摘しています。

 全国学力テストでは、国語と算数・数学のテストとともに、学校と子どもにたいして、家庭・学習状況についての多数の質問が用意されています。全国学力テストの回収、採点、集計、発送などの業務は、受験産業に丸投げされています。

 子どもの個人情報や学校情報が受験産業に握られることにたいして、保護者や市町村教育委員会のなかに不安が広がっています。

学校ランキングに反対
 
 安倍晋三首相は国会答弁で、「個々の市町村名や学校名を明らかにした結果の公表は行わない。学校間の序列化や過度の競争をあおらないよう配慮する」とのべました。しかし、これまで自らの著書では結果の公表を主張してきました。

 日本共産党は、「いっせい地方選挙にあたっての基本政策」でのべているように、教育をゆがめる全国学力テストへの参加の押し付けをやめさせ、点数公表による学校ランキングに反対をつらぬきます。

(出所:日本共産党HP 2007年4月23日(月)「しんぶん赤旗」)
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自公政権提出の教育3法案:衆院で審議入り

2007-04-18 02:28:40 | 国内教育
 安倍内閣が重要法案と位置付ける教育関連3法案は17日、衆院本会議で安倍晋三首相が出席して趣旨説明と質疑が行われ、ともに審議入りした。これに対し民主党は同日、対案を国会に提出した。政府案が、いじめ問題などを受けて教育現場の管理体制の見直しを掲げているのに対し、民主党は地方分権や予算拡充を柱に据えている。夏の参院選をにらんだ与野党の教育論戦が展開されることになる。

 首相は質疑で「規範意識、公共の精神、郷土や国を愛する態度を法律上明確にし、学習指導要領の改定を通じて具体化を図る」と述べ、改正教育基本法に基づく教育改革への意欲を強調した。

 論戦の焦点の一つが、政府・民主党ともに盛り込んだ教員免許の更新制だ。政府案は、免許の有効期間を10年とし30時間の講習を義務付ける。「不適切な教員に厳格に対処する」(首相)ため、特別の研修の実施や、改善しない場合の免職などの処分も法定化した。

 これに対し、民主党案は政府案を上回る100時間の講習を課すという内容。同時に、免許取得に1年間の教育実習を含む大学院修士の学位取得を条件付けた。厳格化によって、支持団体の「日教組寄り」という批判をかわすと共に、「更新制より養成の充実が解決策」(西岡武夫・元文相)という考え方だ。

 国の関与では、政府案は新たに国の教育委員会に対する指示・是正要求権を新設し「教育に国が責任を持つ体制の構築」(伊吹文明文部科学相)を掲げる。規制改革会議などが求める学校評価や、保護者への情報提供も新たに規定した。

 一方、民主党案は教員人事権の市町村への移譲など「地域主権」(鳩山由紀夫幹事長)が目玉。保護者や住民が学校運営にかかわる「学校理事会」の全小中学校への設置も盛り込んだ。

 このほか、民主党案は「子どもの数を上回る教員定数の削減」を定めた行政改革推進法の一部削除など、教育現場への予算や人員の投入を強調。政府案は学校への副校長、主幹ポストの新設で「校長を中心とした組織的な運営」(伊吹文科相)を掲げる。【竹島一登】

(出所:毎日新聞 2007年4月17日 21時31分 (最終更新時間 4月17日 21時58分)

 安倍晋三首相が「美しい国」の中心課題と位置づける教育関連3法案が17日、衆院で審議入りし、昨年の臨時国会に続き国会での教育論戦が再開される。精神性重視の「安倍カラー」を象徴する政策テーマとして、首相が「子供たちに規範意識を植え付ける」と繰り返すのに対し、「政治は生活」を訴える民主党は「教育でも格差が広がっている」点を強調。参院選に向けて世論を意識した論戦になりそうだ。

 「自らの行動が規範たりえているか、日々葛藤(かっとう)している。しかし、道徳や規範意識を語るのは私たち大人の責任だ」

 衆院本会議の質疑で、石井郁子氏(共産)が閣僚たちの不明朗な事務所経費問題を引き合いに「徳目を語る資格があるのか」と迫ると、安倍首相はこう切り返した。

 首相は14日、参院補選応援のため福島市で演説した時も「お父さんお母さんを大切にする。こういう規範意識を身につける学校にしたい」と聴衆に訴えるなど、安倍教育改革は「学校=規範」をキーワードにしているのが大きな特徴だ。

 政府の教育再生会議が道徳の教科化を提唱しているのも、首相の問題意識に応えたもの。1月の第1次報告に明記した「ゆとり教育の見直し」で授業時間10%増を目指すのも、学力向上と同時に「ゆとり=自由放任」とみなした規範強化策の側面もある。

 しかし、文部科学省が13日発表した高校3年生の学力テストの結果では、ゆとり教育導入で学習内容を削った学年にもかかわらず、一部では導入前の成績を上回り、必ずしも安倍改革の前提が正しいのかどうかははっきりしていない。伊吹文明文部科学相も17日の衆院本会議質疑で「(現状を)にわかに判断できない」と手探りの状況にあることをほのめかした。

 これに対し、民主党案の提案理由を説明した笠浩史氏は「公教育への財政支出は先進国で最低、家計負担は最高だ。格差の世代間連鎖が起きている」と批判した。政府は歳出削減で、教員の給与カットや定員削減も決めているが、再生会議にも予算確保を求める声が広がりつつりある。伊吹文科相も答弁で「(来年度予算編成で)首相の熱い決断に期待したい」と語るなど、民主党の増員・増額要求を無視できなくなりつつある。

 「改革といっても、全国でやれることは限られている」。自民党文教族の一人はこう語り、矢継ぎ早に提言を打ち上げる再生会議には与党の視線も冷ややかだ。「国民に開かれた会議とは言えない」(馳浩・元副文科相)との批判もあり、審議では与党からも安倍教育改革の理念を問う場面が予想される。【竹島一登】

(出所:毎日新聞 2007年4月17日 21時32分 (最終更新時間 4月17日 23時53分)
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自公政権の実績:高すぎる学費ー野党は家計負担軽減へ対策を急げー

2007-03-25 19:43:13 | 国内教育
主張
高すぎる学費
家計負担軽減へ対策を急げ

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 新入学の季節が近づいてきました。大学合格の知らせに喜びつつも、高い学費に頭を痛めている家庭も多いのではないでしょうか。初年度納付金が、国立大学で約八十二万円(標準額)、私立大学で約百三十一万円(平均)もします。授業料を一九七〇年と比べると国立は四十五倍、私立は九倍です。食料品物価の三倍をはるかに上回る高騰です。

給付型の奨学金導入を
 
 出産から大学卒業まで子ども一人に家計が支出する平均総額は約二千四百万円といわれます。そのうち大学四年間は一千万円近くかかり、その六割は学費です。学費高騰は、家計収入が減少するもとで、いっそう重くのしかかっています。

 経済的理由で進学をあきらめる高校生が増えるなど、家庭の所得によって大学進学の格差が広がっています。教育の機会均等が崩されており、放置することは許されません。

 政府は、大学や学生の強い反対の声に押され、二〇〇七年度の国立大学の授業料標準額の値上げを見送りました。しかし、各国立大学が決める学費の上限を現行の標準額の一割増から二割増に引き上げ、その一方で、今後五年間、国立大学への運営費交付金と私立大学への助成をそれぞれ毎年1%ずつ削減するとしました(「骨太方針二〇〇六」)。これは、学生一人あたり国立で十万円、私立で一万円の削減であり、学費値上げを誘導するものです。

 政府・与党は、少子化対策の中で教育費負担の軽減を掲げているものの、その実質は、高学費の負担を親から子どもに移そうというものです。「子ども自身が教育費を負担できる奨学金の充実」「『学費は将来の自分が払う』ことを基本として」などというのです。これでは、学生が卒業後に多額の借金の返済に迫られ、子育てにも支障をきたすことになります。親の負担を次の世代に転嫁させるだけであり、少子化の根本的解決にはなりません。

 無償化にむけて、学費を段階的に引き下げることにこそ、少子化を解決する道があります。

 多くの国民が「親の経済力によって生まれる教育格差」があると実感しています。貧困と格差が広がる中で、いま緊急に必要なのは、経済的理由での進学断念や、学業を中断する若者を無くすための支援の拡充です。国立大学の学費減免制度は、基準が厳しいうえ、採用枠が学生の一割未満と狭いため、申請しても不採用になる学生が毎年数万人にのぼります。私立大学の減免制度はさらに採用枠が狭く、国の支援は国立大学の五分の一程度にすぎません。国の支援を抜本的に強めるべきです。

 所得の少ない家庭にとって、奨学金返済で数百万円の借金を背負うことは、大きな負担であり、ちゅうちょもおこります。日本学生支援機構の政策企画委員会が、低所得者層むけの給付型奨学金の導入を提言しています。政府はこれに真剣に耳を傾けるべきです。ここ数年で大きく後退している地方自治体の奨学金制度の拡充も求められています。

教育予算の増額を

 日本の学費は「世界一高い」といわれ、奨学金が貸与制のみというのは日本だけです。欧州では、授業料を徴収しない無償制が一般的で、給付制の奨学金も充実しています。日本の高等教育予算はGDP比で0・6%と、OECD(経済協力開発機構)加盟国(平均は1・3%)中、最下位です。高等教育予算を増額し、一刻も早く国民の学費負担軽減を図ることを強く求めます。

(出所:日本共産党HP 2007年3月24日(土)「しんぶん赤旗」)
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私大 借金入学 が急増-東京私大教連調べ-

2007-03-20 21:49:30 | 国内教育
私大 借金入学 が急増
平均174.3万円
自宅外 3人に1人
東京私大教連調べ

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 私立大学入学費用を「借り入れ」で調達する家庭が急増し、借入額も過去最高だったことが十九日、二〇〇六年度「私立大学新入生の家計負担調査」で分かりました。東京地区私立大学教職員組合連合(東京私大教連)が一九八五年度から始めた調査で、今回で二十二回目です。

 調査対象は、二〇〇六年度に首都圏の二十の大学・短大に入学した新入生の家庭で、有効回答は三千九百九十六件でした。

 調査によると、入学費用を「借り入れ」した世帯は27・7%で、前年と比べ5・8ポイントも増加しています。このうち、「自宅外通学者」の場合は三人に一人に近く、「自宅通学者」でも四人に一人が「借り入れあり」となっています。

 「借入額」の平均は百七十四万三千円で、前年比七万九千円増と過去最高を記録しています。とりわけ「自宅外通学者」の「借入額」は二百七万円で、「自宅通学者」と比べ六十八万円も高く、「自宅外通学者」の家計負担の大きさがうかがえます。

 一方、「平均仕送り額」とされる六月の「仕送り額」は平均で九万九千二百円で、調査開始以来の最低を記録しました。また、六月の仕送り額から家賃を除いた生活費も、過去最低の三万九千百円で、一日当たり千三百円にしかならず、アルバイトなどの収入がなければ大学生活が困難な状況です。

(出所:日本共産党HP 2007年3月20日(火)「しんぶん赤旗」)
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中教審が教育3法案答申-国の介入を強化-

2007-03-12 22:58:05 | 国内教育
中教審が教育3法案答申
国の介入を強化

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 中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)は十日、合同分科会と総会を開き、教員免許法等改定案など教育三法案の答申を決め、伊吹文明文科相に提出しました。答申を受け、伊吹文科相は「今月中に国会に三法案を一括して提出して審議をお願いしたい」「国会で成立させ、現場へ反映させる」と述べました。三法案はいずれも改悪教育基本法の具体化となるもので、国家の教育への介入を強化し、教育現場の困難を拡大するものです。

 中教審内で意見が割れていた地方教育行政法改定案については、「国の法律上の責任を果たすことができるよう、適切な仕組みを構築」するとし、国の関与強化を打ち出しました。

 ただし、具体的内容では文科相が教育委員会に是正指示ができる条項の新設は、賛成の「多数意見」と、反対の「強い意見」の両論併記としました。

 国の権限強化の方向に対して合同分科会で石井正弘・岡山県知事が「了承できない」として反対しました。

 学校教育法改定案については、「我が国と郷土を愛する態度」を義務教育の目標に新たに明記。また学校に「副校長」や「主幹」の職制をおくことができるとしました。

 教員免許法等改定案では、教員免許に十年ごとの更新制を導入。「指導が不適切な教員」について、一定期間研修を課した上で、免職などの措置を講ずるとしています。

答申のポイント
 
 【学校教育法改定】
 〇義務教育の目標に「国を愛する態度」「公共の精神」などを明記
 〇副校長などを新設

 【教員免許法等改定】
 〇教員免許更新制の導入
 〇指導が不適切な教員の人事管理の厳格化

 【地方教育行政法改定】
 〇文科相による教育委員会への是正措置(賛否両論を併記)


解説
どうみる 中教審答申
国が教員を徹底統制
 
 中央教育審議会が十日発表した答申は、政府が今国会提出をめざす教育三法改悪の骨格を示しました。

 答申は総論で「改正教育基本法にのっとって、新しい時代にふさわしい教育を力強く総力を挙げて進めていかなければならない」と述べ、三法改悪が改悪教育基本法の具体化であることを強調しました。

 答申が示した法案の特徴は、国の教育に介入する権限を強化し、教員への徹底した統制の仕組みを導入することにあります。そのねらいは、「愛国心」などの徳目の強制、一斉学力テストなどの競争とふるいわけの教育を学校現場に押し付けようというものです。

○学校教育法
 
 答申は学校教育法について(1)幼稚園、義務教育(小中学校)、高校の目的、目標の改定(2)学校評価規定の新設(3)副校長、主幹、指導教諭の新設を求めました。

 義務教育の目標に新たに「規範意識」「公共の精神」「家族や家庭の役割(の理解)」「我が国と郷土を愛する態度」を盛り込みます。「国を愛する態度」など二十におよぶ徳目を盛り込んだ改悪教育基本法第二条にもとづくものです。「人格の完成」という個人尊重の教育から、公の名による国家への奉仕強調という方向が鮮明です。安倍晋三首相の好きな「規範意識」が幼稚園の目標にまで盛り込まれ、政治の露骨な介入が危ぐされます。

 上からの学校評価は教員の自律性を奪います。「いじめ半減」の数値目標が、いじめ隠しをもたらしたように教育現場の荒廃を招きます。

 副校長など新たな職制の設置は学校を上意下達の組織に変えようというものです。

○教員免許法等(教育公務員特例法を含む)
 
 十年ごとに三十時間の講習を義務付ける教員免許更新制の導入を求めました。免許更新制は教員の身分を不安定にし、政府の言うことを聞く教師をつくるものです。

 国が内容を決める官製研修では教員の力量向上に役立ちません。現場の自主的研修を保障することこそ必要です。

 世界で教員免許更新制を行っているのはアメリカのみですが、日本と違って教員の知識等に極端な差があるので、教員の研修を促すのが目的です。更新で実際に免許が失効する恐れは皆無といわれています。

 また答申は教育公務員特例法を改定し、指導力不足教員の認定・研修を盛り込むこととしました。すでに全都道府県で行われている制度ですが、「認定が一方的」「研修で草むしりをさせられる」など多くの問題が指摘されています。法律に格上げすることでゆがみを助長する恐れがあります。

○地方教育行政法
 
 地方に対して国の権限を強化する文科省の改定案に対し、中教審では地方の首長の委員や識者から「地方分権の流れに逆行する」と強い反対意見が出ました。

 その結果、焦点の文科相の地方教育委員会に対する是正措置は反対意見との両論併記となりました。政府内の決着は来週以降の安倍首相の判断に持ち越されました。

 原案にあった都道府県の教育長任命への国の関与は見送り。私学への教育委員会の「指導・援助・助言」について、指導は否定しましたが、援助・助言は含みを残しました。(北村隆志)

(出所:日本共産党HP 2007年3月11日(日)「しんぶん赤旗」)
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