葛飾ビラ配布事件
逆転有罪の不当判決
東京高裁 違法弾圧を追認
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東京都葛飾区のマンションで、日本共産党の都議団報告などを配布した荒川庸生さん(60)が住居侵入罪で不当に起訴され、一審の東京地裁で無罪判決を勝ち取った弾圧事件の控訴審判決が十一日、東京高裁であり、池田修裁判長は一審判決を破棄し、罰金五万円の有罪とする判決を言い渡しました。荒川さんの行為を「社会通念上、住居侵入には当たらない」と常識的な判断を下した一審判決に対し、高裁判決は「初めに有罪ありき」ともいうべき違憲・違法捜査に基づく弾圧事件を容認する極めて不当な判決です。弁護側は即日上告しました。
池田裁判長は判決で、マンションの管理組合理事会が、区の広報を除くビラなどの投函(とうかん)を禁止する決定をしており、これに対する住民からの異論はなかったことから、決定を住民の総意に沿うものと認定。その上で玄関ホールの掲示板に投函禁止の張り紙をしていたことなどから「(立ち入り禁止を)来訪者に伝える措置がとられていないとはいえない」などとしました。
一審判決では、共同住宅への立ち入りの違法性は、住宅の形態、立ち入りの目的・態様に照らし、社会通念上認められるかどうかで判断すべきとする基準を示し、荒川さんの立ち入り目的、行為に違法性はないとしていました。しかも、公判では管理組合理事会の議事録に、投函禁止を決定する記載は存在しないことが明らかになっており、高裁判決は不合理なものです。
判決は、表現の自由を保障する憲法二一条一項にふれ、「絶対無制限に保障したものでなく―その手段が他人の財産権等を不当に害することは許されない」などと指摘しました。しかし、荒川さんの立ち入りによって、住民の「財産権」がどう侵害されたのか、検討した形跡すらみられませんでした。
主張
葛飾ビラ配布事件
社会常識無視した不当判決
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平穏にマンションのドアポストにビラを入れることが犯罪にあたる―十一日控訴審の判決があった東京・葛飾のマンションでのビラ配布事件で、東京高裁は一審の無罪判決をくつがえし、被告人の荒川庸生さんに罰金五万円の有罪判決を言い渡しました。憲法の守り手であるべき裁判所が、憲法で保障された言論・表現の自由や政治活動の自由を乱暴に踏みにじる、まったく不当な態度だといわなければなりません。
配布の自由は市民の常識
事件とされたのは、多くの人が日常的に何の問題もなくおこなっているマンションへのビラ入れにすぎません。政治的ビラだけでなく、催し物の案内、営業の宣伝広告、公共機関のお知らせなど多種多様な宣伝物が、毎日何枚も各戸のポストに入れられているというのが市民の常識です。マンションといっても、廊下や階段はふつうは閉鎖されているわけではなく、ビラ配布のほか、各戸を訪問する友人や子どもたちの交流、郵便物や運送物の配達、新聞の配達などなど、いわば公共道路のように使われている面があるのは、だれにも否定できない事実です。
荒川さんのばあい、三年前の年末、いつもやっているように、日本共産党葛飾区議団発行の「葛飾区議会だより」や区民アンケートなどを、開放型マンションのドアポストに順次投かんした行為が罪に問われました。住民の一人に見とがめられて、本人も知らない間に逮捕されたことになり、不当にも「住居侵入罪」という罪名をつけられ、起訴、裁判という経過をたどってきました。
それでも一審の東京地裁判決(昨年八月)は、ビラ配布の実態をつぶさに検討し、マンションへの立ち入りは正当な理由がある、違法かどうかは「社会通念」を基準にすべきで、現在の社会通念はそのようなビラ配布員の立ち入りを違法な行為とはみない―ということを詳細に論証し、無罪としました。
今回の東京高裁判決は、社会的なビラ配布の実態を総合的にみた地裁判決を口先だけで否定し、オートロックマンションではない、管理人も常駐していないなど部外者の立ち入りが事実上許されているという実態があるのに、立ち入りを禁じた理事会の決定が張り出されており、居住者の異議がないから管理組合の総意が存在すると強弁しているのです。
しかも、そのうえにたって、「たとえ思想を外部に発表するための手段であっても、その手段が他人の財産権等を不当に害することは許されない」などとのべています。実際には居住者の「財産権」など侵されていないのに、憲法二一条の言論・表現の自由の規定を無視し、それが「公共の福祉」などの理由で簡単に制限できるかのような、きわめて不当な、転倒した立場にたって、地裁判決を破棄して有罪としたのです。
異常な規制打ち破るため
国民の権利や社会常識を無視した東京高裁判決を認めるわけにはいきません。弁護団は直ちに上告の手続きをとりました。ビラ配布の正当な権利、言論・表現の自由は、このような判決によっても、変えることはできません。
葛飾マンションビラ配布事件の勝利のためにひきつづくたたかいを支援するとともに、大分・豊後高田市での大石忠昭さんの公選法事件、東京での堀越・世田谷の二つの国公法事件の三事件と合わせ、ビラ配布の権利と選挙活動・政治活動にたいする異常な規制を打ち破るたたかいを、全国に広げることが重要です。
葛飾ビラ配布判決について
日本共産党 市田書記局長が談話
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日本共産党の市田忠義書記局長は十一日、東京都葛飾区のマンションに日本共産党のビラを配布した荒川庸生さんが住居侵入に問われた事件で、東京高裁が逆転有罪判決を言い渡したことについて談話を発表しました。
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一、葛飾マンションビラ配布事件で、東京高裁は不当にも一審の無罪判決を破棄し、逆転有罪判決を言い渡した。これは、憲法で保障された言論・表現の自由、政治活動の自由のうえで、きわめて重大である。
一、この事件は、日本共産党葛飾区議団発行の葛飾区議会だよりや区民アンケートなどを、開放型マンションのドアポストに投函(とうかん)したことが、不当にも「住居侵入罪」に問われて逮捕、起訴されたものである。これにたいし、一審東京地裁は、マンションの管理状態から外部者のドアポストへの投函は規制されていないばかりか、政党のビラ配布の目的のためにマンションに立ち入り、ドアポストに投函した行為は、社会一般の常識的な考え方からみて、禁じられている行為とは到底いえないと判断し、無罪を言い渡していた。
一、東京高裁の判決は、検察の控訴をうけて、一審判決をくつがえす論拠は法廷でまったく示されなかったにもかかわらず、裁判所として言論・表現の自由、政治活動の自由を保障すべき任務を放棄し、荒川庸生さんに罰金五万円の有罪判決を下したものである。これは、憲法で保障された言論・表現の自由、ビラ配布の自由を求める国民的な世論と運動に背をむけた不当判決であり、断じて容認できない。
日本共産党は、今後とも、弾圧された荒川庸生さん、弁護団、「ビラ配布の自由を守る会」に結集した諸団体・個人のみなさんとともに上告審をたたかいぬき、ビラ配布の自由を守り、文字通り憲法で保障された言論・表現の自由を守るために全力をつくしたい。
(出所:日本共産党HP 2007年12月12日(水)「しんぶん赤旗」)
逆転有罪の不当判決
東京高裁 違法弾圧を追認
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東京都葛飾区のマンションで、日本共産党の都議団報告などを配布した荒川庸生さん(60)が住居侵入罪で不当に起訴され、一審の東京地裁で無罪判決を勝ち取った弾圧事件の控訴審判決が十一日、東京高裁であり、池田修裁判長は一審判決を破棄し、罰金五万円の有罪とする判決を言い渡しました。荒川さんの行為を「社会通念上、住居侵入には当たらない」と常識的な判断を下した一審判決に対し、高裁判決は「初めに有罪ありき」ともいうべき違憲・違法捜査に基づく弾圧事件を容認する極めて不当な判決です。弁護側は即日上告しました。
池田裁判長は判決で、マンションの管理組合理事会が、区の広報を除くビラなどの投函(とうかん)を禁止する決定をしており、これに対する住民からの異論はなかったことから、決定を住民の総意に沿うものと認定。その上で玄関ホールの掲示板に投函禁止の張り紙をしていたことなどから「(立ち入り禁止を)来訪者に伝える措置がとられていないとはいえない」などとしました。
一審判決では、共同住宅への立ち入りの違法性は、住宅の形態、立ち入りの目的・態様に照らし、社会通念上認められるかどうかで判断すべきとする基準を示し、荒川さんの立ち入り目的、行為に違法性はないとしていました。しかも、公判では管理組合理事会の議事録に、投函禁止を決定する記載は存在しないことが明らかになっており、高裁判決は不合理なものです。
判決は、表現の自由を保障する憲法二一条一項にふれ、「絶対無制限に保障したものでなく―その手段が他人の財産権等を不当に害することは許されない」などと指摘しました。しかし、荒川さんの立ち入りによって、住民の「財産権」がどう侵害されたのか、検討した形跡すらみられませんでした。
主張
葛飾ビラ配布事件
社会常識無視した不当判決
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平穏にマンションのドアポストにビラを入れることが犯罪にあたる―十一日控訴審の判決があった東京・葛飾のマンションでのビラ配布事件で、東京高裁は一審の無罪判決をくつがえし、被告人の荒川庸生さんに罰金五万円の有罪判決を言い渡しました。憲法の守り手であるべき裁判所が、憲法で保障された言論・表現の自由や政治活動の自由を乱暴に踏みにじる、まったく不当な態度だといわなければなりません。
配布の自由は市民の常識
事件とされたのは、多くの人が日常的に何の問題もなくおこなっているマンションへのビラ入れにすぎません。政治的ビラだけでなく、催し物の案内、営業の宣伝広告、公共機関のお知らせなど多種多様な宣伝物が、毎日何枚も各戸のポストに入れられているというのが市民の常識です。マンションといっても、廊下や階段はふつうは閉鎖されているわけではなく、ビラ配布のほか、各戸を訪問する友人や子どもたちの交流、郵便物や運送物の配達、新聞の配達などなど、いわば公共道路のように使われている面があるのは、だれにも否定できない事実です。
荒川さんのばあい、三年前の年末、いつもやっているように、日本共産党葛飾区議団発行の「葛飾区議会だより」や区民アンケートなどを、開放型マンションのドアポストに順次投かんした行為が罪に問われました。住民の一人に見とがめられて、本人も知らない間に逮捕されたことになり、不当にも「住居侵入罪」という罪名をつけられ、起訴、裁判という経過をたどってきました。
それでも一審の東京地裁判決(昨年八月)は、ビラ配布の実態をつぶさに検討し、マンションへの立ち入りは正当な理由がある、違法かどうかは「社会通念」を基準にすべきで、現在の社会通念はそのようなビラ配布員の立ち入りを違法な行為とはみない―ということを詳細に論証し、無罪としました。
今回の東京高裁判決は、社会的なビラ配布の実態を総合的にみた地裁判決を口先だけで否定し、オートロックマンションではない、管理人も常駐していないなど部外者の立ち入りが事実上許されているという実態があるのに、立ち入りを禁じた理事会の決定が張り出されており、居住者の異議がないから管理組合の総意が存在すると強弁しているのです。
しかも、そのうえにたって、「たとえ思想を外部に発表するための手段であっても、その手段が他人の財産権等を不当に害することは許されない」などとのべています。実際には居住者の「財産権」など侵されていないのに、憲法二一条の言論・表現の自由の規定を無視し、それが「公共の福祉」などの理由で簡単に制限できるかのような、きわめて不当な、転倒した立場にたって、地裁判決を破棄して有罪としたのです。
異常な規制打ち破るため
国民の権利や社会常識を無視した東京高裁判決を認めるわけにはいきません。弁護団は直ちに上告の手続きをとりました。ビラ配布の正当な権利、言論・表現の自由は、このような判決によっても、変えることはできません。
葛飾マンションビラ配布事件の勝利のためにひきつづくたたかいを支援するとともに、大分・豊後高田市での大石忠昭さんの公選法事件、東京での堀越・世田谷の二つの国公法事件の三事件と合わせ、ビラ配布の権利と選挙活動・政治活動にたいする異常な規制を打ち破るたたかいを、全国に広げることが重要です。
葛飾ビラ配布判決について
日本共産党 市田書記局長が談話
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日本共産党の市田忠義書記局長は十一日、東京都葛飾区のマンションに日本共産党のビラを配布した荒川庸生さんが住居侵入に問われた事件で、東京高裁が逆転有罪判決を言い渡したことについて談話を発表しました。
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一、葛飾マンションビラ配布事件で、東京高裁は不当にも一審の無罪判決を破棄し、逆転有罪判決を言い渡した。これは、憲法で保障された言論・表現の自由、政治活動の自由のうえで、きわめて重大である。
一、この事件は、日本共産党葛飾区議団発行の葛飾区議会だよりや区民アンケートなどを、開放型マンションのドアポストに投函(とうかん)したことが、不当にも「住居侵入罪」に問われて逮捕、起訴されたものである。これにたいし、一審東京地裁は、マンションの管理状態から外部者のドアポストへの投函は規制されていないばかりか、政党のビラ配布の目的のためにマンションに立ち入り、ドアポストに投函した行為は、社会一般の常識的な考え方からみて、禁じられている行為とは到底いえないと判断し、無罪を言い渡していた。
一、東京高裁の判決は、検察の控訴をうけて、一審判決をくつがえす論拠は法廷でまったく示されなかったにもかかわらず、裁判所として言論・表現の自由、政治活動の自由を保障すべき任務を放棄し、荒川庸生さんに罰金五万円の有罪判決を下したものである。これは、憲法で保障された言論・表現の自由、ビラ配布の自由を求める国民的な世論と運動に背をむけた不当判決であり、断じて容認できない。
日本共産党は、今後とも、弾圧された荒川庸生さん、弁護団、「ビラ配布の自由を守る会」に結集した諸団体・個人のみなさんとともに上告審をたたかいぬき、ビラ配布の自由を守り、文字通り憲法で保障された言論・表現の自由を守るために全力をつくしたい。
(出所:日本共産党HP 2007年12月12日(水)「しんぶん赤旗」)