3月から始まるビジネス日本語と就業スキル向上コースの受講許可書を手にするオレーシャさん(左から2人目)。左は支援する日本YMCA同盟の横山由利亜さん。右側はオレーシャさんの娘アナスタシーアさんと夫アルチョムさん=東京都内で2023年2月8日、和田浩明撮影
(毎日新聞)
20年以上、麻酔医として働き、8年前から医科大で麻酔学を教え、3年前には博士号を取得した。ウクライナ人の女性医師、オレーシャ・ボイツォワさん(42)は順調にキャリアを築いてきた。しかし今は東京都内の避難者向け都営住宅に身を寄せ、漢字や平仮名の勉強に取り組んでいる。
学習ノートを見せてもらった。漢字の構造を確認しながら書いたような大きめの文字で「臓器」や「嘔吐(おうと)」、医学専門用語の「好酸球」といった言葉がつづられている。「自分が専門にする麻酔医としての仕事をするのが難しいのは分かっている。でも言葉を学び、経験を積めば、せめて専門領域の周辺で仕事ができるようになるかもしれない」
オレーシャさんが日本語を真剣に学ぶのは、この戦争の長期化、そして避難生活の長期化を覚悟しているからだ。
夫と娘の家族3人で2022年7月に日本にたどり着いた。ウクライナ避難民の母国脱出や日本での定住を支援する日本YMCA同盟が手助けした。千葉県での2カ月のホテル生活を経て、東京都が無償提供する都営住宅で生活している。
ロシアによるウクライナ侵攻は2022年2月24日に始まった。日本は今年2月15日までに2302人のウクライナ避難民を受け入れた。日本YMCA同盟で避難民支援を担当する横山由利亜さん(53)は、うち160人以上に寄り添ってきた。「開戦後生まれ」の1歳未満の乳幼児から80代まで、幅広い世代の出国から出迎えまでを担当。横山さんの面接を受けたり、相談を持ちかけたりした人は900人近いという。
都内には550人を超える避難者が暮らす。22年7月にYMCA同盟は都などと協定を結び、避難者の状況や要望を把握し、支援提供者につなげる活動をしている。支援分野は日本語学習や就業、教育、医療、メンタルヘルスなど幅広い。
ロシアは秋ごろからウクライナ全土のエネルギー施設などインフラへの攻撃を激化させた。家族を国に残して来た人の中には「自分だけ安全な場所にいる」との罪悪感から、電気やガスの供給が止まった現地にあわせて、電気や暖房を切って過ごす人もいた。
横山さんによると、時間の経過や戦況の変化とともに、ウクライナからの避難者が求める支援が変化してきた。最初のころは日本まで無事に到着し、住居などの生活の基盤を確保することが主な目標だった。10月ごろから、人々の間では避難生活が長期化するとの見通しが強まった。「就業や子どもの教育など、人生設計に関わる相談が増えた」と話す。
「日本で起業するにはどうしたらよいのか」との相談も寄せられるようになった。長期滞在を覚悟してのことだ。「彼らの自立への意欲はすごい。オレーシャさんのように、母国で専門職として活躍してきた人も多い。その思いを丁寧に支えていきたい」と横山さんは話す。【和田浩明】
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