住民票やおくすり手帳、健康保険証に関する情報などを1枚にまとめられるマイナンバーカード。取得すると買い物などに利用できるポイントが付与されたり、著名人や人気アニメのキャラクターがPRに使用されたりなど普及が推進されています。一方で、保険証との紐づけにより、リスクを指摘する声も。そこで、厚生労働省に問題点について問い合わせました。
「DV・虐待を受けている方は、カード作成前に読んで頂きたいです」と問題を提起したのは紅龍堂書店(くりゅうどうしょてん)のTwitterアカウント。いわき市のホームページに記載されている「DV・虐待等被害者の方へ健康保険証に関するお知らせ」の一部のスクリーンショットを投稿。
要約すると、DV・虐待の被害を受けている人が、マイナンバーカードを取得・利用する際は、届け出をしなければ加害者に自分の情報を見られてしまう可能性があり、届け出るとマイナンバーの保険証利用ができなくなるという驚きの事実が記されていたのです(本文末尾にて、詳細明記)。
投稿者の紅龍堂書店は、情報の発信が不十分だとして、「義務化するならばデメリットもきちんと全国に周知して欲しいです。拙速に導入すれば人が死にます」と強い言葉で訴えました。
「何だこれ!? マジか」「これはマイナンバーカードについてヤバすぎる情報ですね…」など驚きの声や、「これは周知されるべき」「これ、命に関わること。みんなに伝わってほしい」「DV加害者を代理人指定していないかどうかを、取得申請の前に確認することの重要性についての御指摘」「こうやって保険証として使えない人がいる制度なのに、通常保険証のほうが窓口負担多く設定するっておかしくない???」といった声がありました。
また、いわき市以外の様々な自治体のHPでマイナンバーカードに関連してDV・虐待被害者に生じるリスクを調べた人も複数人いましたが、自治体によって情報が見つけられたかどうかはまちまちなよう。書籍の制作や販売などを展開する紅龍堂書店に、情報を発見したきっかけや、行政に訴えたいことについて聞きました。
DV等支援措置があっても被害者は不安「ミスが起こりづらい制度に」
――どういった経緯でいわき市のホームページの「DV・虐待等被害者の方へ健康保険証に関するお知らせ」を発見されましたか。
「今、DVや虐待を受けている方向けに本を作っていて、その取材で偶然知りました」
――被害者の情報がマイナンバーカードを介して見られてしまう可能性があるのは、加害者がマイナポータルの代理人になっている場合ですよね?
「はい。しかし、そもそも「代理人」システムが周知されていないところに問題があります。一般の方も、マイナポータルの「代理人」が100人まで登録できて、その全員が医療費通知などを閲覧できるとはあまり知らないのではないでしょうか。「代理人」の設定は任意ですが、DV・虐待被害下においては、加害者の支配を想定しなければなりません。例えば行動を監視される・カードや通知カードを奪われる・暴力などで強引に代理人設定させられる・15歳未満のときに毒親に勝手に申請されるなどです。医療費通知の危険性はかねてから指摘されており、紙の保険証でも手続きが必要ですが、こちらも知らない方は多いです」
――虐待を受けても、逃げ道が見つけられない状態に…。
「これは児童虐待防止法の話ですが、虐待には身体的虐待・心理的虐待・性的虐待・ネグレクトの4種類があると定められています。身体的虐待は物理的な暴力だから分かりやすいのですが、心理的虐待は虐待だと気づかれにくい。例えば親子の場合、親は『躾だ』と主張して子どもをコントロールしますから、本人も虐待に気づけません。ネグレクトも、病院に子どもを連れて行かない親が、マイナンバーカードを持たせるとは考えづらい。代理人システムについても教えないでしょう」
――マイナポータルで加害者を代理人から外すこともできるようですが。
「まず、マイナポータルの存在が知られていないという問題があります。さらにDV・虐待被害下では、マイナポータルを加害者に掌握されている可能性があります。代理人を解除したくても、そもそもマイナポータルにアクセスできない状況では、手の施しようがありません」
――行政に対して、DV・虐待の被害者への対応で求めることは?
「インターネットを見ない人もいるので、今回のようなDV等支援措置にも関係する情報などは、確実に個人個人に届くようにしてほしいです。ホームページでの情報公開も自治体によってばらつきがあります。すでに支援を受けている人はある程度知識があるのでわかるのですが、潜在的な被害者は気づくことができません。もっとアナウンスを増やせないでしょうか。総務省のDV等支援措置関連のページも令和2年から更新されていません(令和5年1月23日時点)」
――確かに、指摘されるまで気づきませんでした。
「制度のあり方にも問題を感じています。DVや虐待被害者は、DV等支援措置という制度で身を守れますが、この制度は一年毎に更新が必要です。しかし、自治体によっては更新書類の送付が遅れることも。通知が届かず、今年は手続きが間に合わないのではとハラハラして待っている人もいます」
――それが間に合わないと?
「加害者からの「住民基本台帳の一部の写しの閲覧」、「住民票(除票を含む)の写し等の交付」、「戸籍の附票(除票を含む)の写しの交付」の請求・申出があったときに、拒否できなくなってしまいます。中には、更新が遅れてもすぐには個人情報を開示しないという自治体もありますが、そうした地域ごとの方針の差にも翻弄されますし、多くの被害者が不安に感じています」
――ほかに必要な手続きは?
「被害者が、毎年警察で面談を受けなければなりません。『何か不安を感じることはないか』など警察官が聞いてくれるので、面談の是非は人によってさまざまです。しかし、被害は1年や2年で終わらず、ずっと続きます。加害者には粘着質な人も多いです。
今のやり方では地震など災害時の混乱で、更新の手続きにミスが出てしまうのではないかという懸念もあります。ミスが起こりづらい制度にしてほしいです。更新を忘れてもすぐには支援対象から外さないという自治体もありますが、更新自体を失くしたほうがいい。加害者が死亡するなど、確実に被害がなくなるまで支援を続けるべきです。更新制ではなく、終了申告制にしてはどうでしょうか」
周知していない理由を問い合わせるも、たらい回しに
そこで、DVや虐待被害者のマイナンバーカードを作る際のリスクや健康保険証利用ができなくることについてどのように周知しているのか、保健所利用できないことで生じるデメリットへのフォローはあるのか実際に確認してみました。
まず、マイナンバーカード所持者が、行政の手続きや、自分の所得や地方税、行政からのお知らせなどの確認に利用できる公式サイト「マイナポータル」で確認。「よくあるご質問」で「DV」や「虐待」という単語を検索したところ、1件もヒットしませんでした(2023年1月現在)。DVや虐待被害者、自分が受けている仕打ちがもしかすると虐待や暴力かもしれないと疑問に思う人が利用することは想定されていないのかもしれません。
次は、地方公共団体情報システム機構が運営する「マイナンバーカード総合サイト」。「DV」では1件ヒット、「虐待」については0件。「DV」に関連する項目では、「諸事情(ストーカー、DV等のやむを得ない理由により住民票の変更ができない場合)で住所変更できない場合」のマイナンバーカードの受け取り方については紹介されていましたが、健康保険証との紐づけで起こるリスクについては説明されていませんでした。
そこで、問い合わせフォームで2022年12月24日に取材を申し込んだところ、12月26日に次のような回答がありました。
「お問い合わせ頂きました『健康保険証』と「マイナンバーカード」の紐づけに関するフォローおよび周知状況については大変恐縮ではございますが、当窓口では情報を持ち合わせておらず『厚生労働省』へお問い合わせを頂けますでしょうか」
同日12月26日に厚生労働省に電話にて取材依頼すると、同省の公式ホームページの「国民の声」にてメールフォームで「質問」を選択して申し込むように案内されました。2022年内に返事がなかったため、改めて2023年1月6日にマイナンバーカードと健康保険証に関する3つの質問を1月13日までの回答期限を設けて送付、1月10日・12日に電話にて問い合わせましたが、「担当者に確認して連絡する」との返事はあったものの、期限までに返答はありませんでした。
断念していたところに、ようやく厚生労働省から届いた返事
もしも、これが当事者であったとするならば、一刻でも早く返事を欲しいに違いありません。返事を断念し記事の執筆をすすめていたところ、締め切りの期日であった10日以上経ってからメールでの返信がありました。
1.DV・虐待被害から避難している方で、自身の情報を開示されないよう保険証の発行元に届け出をしている方が、マイナンバーカードを作る際にも再度届け出を出す必要があることについて、厚生労働省やマイナンバー関連のホームページ、郵送、各自治体などで周知はされていますか。
「総務省のホームページなどで、DV・ストーカー行為等、児童虐待等を受けている方の届出についてお知らせしております」
また、2と3の質問についてはまとめての返事となりました。
2.DV・虐待等被害者が情報開示の制限のために健康保険証の発行元に届出を行うとマイナンバーカードを健康保険証として利用できなくなってしまいます。今年2023年4月から従来の保険証ではマイナンバーカードの保険証利用より窓口負担が増えてしまうのですが、それについてのフォローはございますか。
3.DV・虐待等被害者がマイナンバーカードのポータルサイトを通して、代理人から加害者を外せばマイナンバーカードの保険証利用に関する問題を解決することはできますか。また、ほかに解決方法はございますか。
「DV被害者が加害者の所在地にマイナンバーカードを置いたまま避難した場合、加害者が被害者の避難先の特定につながる情報が閲覧可能となることを防ぐために、保険者にてマイナンバーカードの保険証利用を制御する設定をしています。マイナンバーカードを健康保険証として利用するためには、旧マイナンバーカードの停止、代理人設定の解除、マイナンバーの変更、新マイナンバーカードの再発行等を行った後に、保険者にて設定を解除し、健康保険証の利用登録を行っていただくことが可能です。なお、マイナンバーカードを持参して避難した場合は、マイナンバーカードを健康保険証として利用いただくことは可能です(避難先の特定につながる情報のみ閲覧制限されます)」
◇ ◇
厚労省のホームページでは、「マイナンバーカードの保険証利用でみんなにいいことたくさん!!」と漫画でわかりやすくアピール。「高額療養費制度の利用」のために書類を用意し、限度額適用認定証を提出するという手続きが不要になるなど様々なメリットもあり、実際にこれまで必要だった手続きが楽になることは事実です。
一方、DV・虐待被害者がマイナンバーカードの保険証利用に関して、被害者からの申請や手続きがあった前提でどのように対応すべきか、自治体や健康保険組合などの組織に周知する内容のものは多数見つかったものの、そもそもマイナンバーカードを作るときにも自分の情報を開示されないための届出が必要なことや、届出で自分の情報を守れても保険証利用ができないことがわかりやすく提示されているようには個人的には見えませんでした。
今年の4月から12月の期間、「マイナ保険証」でない場合、窓口負担が3割だと初診が12円→18円、再診時は0円→6円に値上げ。DV・虐待加害者から住所など個人情報を守るために届け出を出している人は、そうでない人よりも医療費の負担が増えることとなってしまい、まさに「泣きっ面に蜂」状態です。義務化をすすめる前にしなければいけないことがあるのではないでしょうか。
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今回の問題について、紅龍堂書店は「マイナンバーカードに疑問を抱いたきっかけは、戸籍です。現在戸籍制度があるのは日本と台湾だけです。日本でDV・虐待等の被害者が行う申請手続きは、住民基本台帳法上の支援措置、分籍、戸籍届出書のマスキング申入れなど多岐に渡りますが、これらは全て、他国のように個人単位の国民登録制度だったら「必要ない」手続きだったことでしょう。
今回、そこへさらにマイナポータルの「代理人」設定解除が増えたわけです。「代理人」という機能自体は、障害のある方などのために必要だと思います。しかし1898年の明治民法で制定された「家」制度の名残は不自然に感じます。DV・虐待被害者は、戸籍のせいで命に関わる事故に巻きこまれることも多い。こんな旧時代的なシステムを解体しないまま、巨額の費用を投じてマイナンバーカードを推し進めることには疑問を感じずにいられません」と最後に語ってくれました。
同書店は「毒親絶縁の手引き(仮)」をテミス法律事務所代表・柴田収弁護士の監修のもと制作中。身を守るために役立つ法律や利用できる公的制度、マイナンバーカードやインボイス制度の個人情報取扱いといった虐待被害者にとっては命に関わる政治の最新情報など、「毒親と縁を切りたい人が、法的にどうすれば距離を取って安全に・自由に暮らせるか」についてまとめられています。
いわき市公式サイトに掲載されていたマイナンバーカードの説明
●加害者に閲覧される可能性を示す説明
令和3年10月20日よりオンライン資格確認システムの本格運用が開始されました。DV・虐待等被害者の方は、健康保険証の発行元(健康保険組合、全国健康保険協会、市区町村等)に、ご自身の情報を開示されないようにする届け出が必要になります。届け出をしないと、加害者にご自身の情報が閲覧される可能性があります。住民基本台帳事務における支援措置、住民票等の交付制限を受けていても、加入している医療保険が、いわき市の国民健康保険又は福島県後期高齢者医療保険以外の方は届出が必要になりますので、必ず届け出をおこなってください。
(オンライン資格確認システム:ご自身の健康保険情報を、医療機関やマイナポータル利用者がオンラインで確認できるようにするしくみ)
●マイナンバーカードのメリットを受容できない可能性についての説明
DV・虐待等被害者の方で健康保険証の発行元に届出を行った場合
・マイナンバーカードを健康保険証としての利用
・ご自身の健康保険情報、薬剤情報、特定健診情報、医療費通知情報のマイナポータルでの閲覧
(以上、いわき市の「DV・虐待被害者の方へ健康保険に関するお知らせ」より抜粋)
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・谷町邦子)
◆一応マイナンバー取得に問題なしの者はこのままの環境下で
◆DVとか虐待とか誰かから逃れて生活しなければならない逃亡者の方々は柵を作ってコロニーみたいな掃き溜めに集められそこに監視カメラを設置され公安の人達数人が交代で見張りをしてくれれば安心して生活をしていけますね
♥そのコロニーは全国に5000万戸余っている空き団地を開放し(団地内にはスーパーはありますよね)今団地に住んでいる方には大変申し訳ないですが資金を出すので他の住宅に移り住んでもらい👈住人の中に一般人が混ざればやはり情報が洩れて行くでしょ
現在病院の統廃合問題も取り沙汰されていますのでコロニー周辺内に仮設住宅を作って診療所設置したり少子高齢化だし小中一貫校を作ればいいと思います
仕事はテレワークや柵の中にある工場などで働けばいいと思うし運動不足を感じるなら団地の最上階に住めば嫌でも毎日階段の上り下りをしなければならないので足腰は鍛えられますねそして宅配荷物はコロニー管理者が責任を持って一括管理すれば安心でしょ(この虐待されDVされている個人宅への宅配はない)🐵