欧州連合(EU)は17日にブリュッセルで首脳会議を開き、英国のEUからの離脱条件を定めた新たな合意案を承認した。今月31日の離脱期限ぎりぎりで政治合意にこぎつけたが、19日の英議会承認という最後のハードルが残る。与野党からは既に新たな合意案への異論が噴出している。
ジョンソン英首相はEUが合意案を承認した直後の記者会見で、「我々の将来は我々が決めることができる。金、国境、法律を私たちの手に取り戻す」と述べ、19日に採決を控える下院で過半数の賛成を得ることを「確信している」と述べた。
ただ、下院での採決の行方は予断を許さない。与党・保守党と閣外協力する北アイルランドの右派地域政党「民主統一党」(DUP)は、新しい離脱条件に反対する声明を発表。最大野党・労働党のコービン党首も「メイ前首相の合意よりも悪い」と批判した。
これまでメイ氏とEUが合意した離脱条件は、下院で3度にわたって否決された。19日に否決されれば、ジョンソン氏は「合意なき離脱」の回避に向けてEUに離脱延期を申請することが法律で義務づけられている。
17日に記者会見したトゥスク欧州理事会常任議長(EU大統領)は、「EUと英国の対立の空気と混沌(こんとん)を回避することができる」と今回の合意を歓迎した。最大の焦点だったEU加盟国アイルランドと英領北アイルランドの国境問題で、税関検査などを避けるため、ジョンソン氏が北アイルランドに限って関税手続きをEUルールに従うよう譲歩したことが土壇場での交渉打開につながったとの見方を示した。
EU側は、英下院で否決された場合には、離脱延期を認める期間や条件についての協議に入る構えだ。
一方で、英国側の最終判断を待つ立場のEU側からは感傷的な声も聞かれた。トゥスク氏は「いつか英国の友人が(EUに)戻ると決めることを期待し、我々の扉は常に開けておく」と本心を吐露。記者会見に同席したユンケル欧州委員長は、英国民投票(2016年6月)で「残留」に投じた有権者へのメッセージを問われ、「あなたたちは正しかった」と述べた。【ブリュッセル八田浩輔】
アイルランドは英国にしがみ付いて生きていくしかないのでいつまでも寄生虫する気満々ですね