お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

目と耳で楽しむ メディアつき絵本

2011-07-04 | my Anthology

イラスト:MARQUETTE UNIVERSITY、教育学部ニュースレター

お子さんをバイリンガルに育てたいけれど、でも、英語の絵本は読み聞かせられそうもない……、と心配なさっていませんか?

アメリカで子どもを育てることになった時の悩みも、私の「日本語アクセント」でした。私が読み聞かせたせいで、娘が「日本語訛りの英語になっちゃったら困るなぁ……」と思ったのです。でも、暮らしてみてわかったのは、アメリカには”英語が母国語ではない(English as a Second Language:ESL)”人が想像以上にたくさんいるという事実。アジアからは、もちろん日本人だけでなく、中国の人も韓国の人もインドの人もたくさん来ていますし、メキシコや南米出身の”スペイン語を母国語とする”人たち(Spanish Speaking)はもっとたくさんいます。ヨーロッパや豪州の人たちもたくさん暮らしていて、だから、”どこかの国のアクセント”がついた英語が日常的にいたるところで飛び交っていて、実は日常の暮らしではアクセントなんてそんなに神経質に気にする必要はないのです。

でも、やはり、将来ある子どもにはきちんとした英語を教えたいですよね。特に、発音やアクセントの基礎ができる年齢の子どもには、ネイティブの英語を聞く機会が必要です。当時(もう20年も前!)の私が、そう思いつつ手探りで見つけた解決策は『読み聞かせテープつき絵本』でした。

さすが、アメリカ! ESLの親も珍しくない国だからでしょう。ペーパーバックにカセットテープ(今は昔!現代ではCDまたはDVD)がついた、廉価版の『オーディオ絵本』がたくさん出版されていました。さらに感嘆したのは、実に多様な読み手がいることです。読み手には、おとなや子ども、お年寄りや若い人の声があり、有名な俳優やミュージシャンの吹き込みがあれば、作家自ら読み込んだテープもありと、実に多様なのです。しかもこれらの読み手は、ニューヨークやカリフォルニアのアクセントだったり、シカゴあたりの標準米語(あの一昔前のラジオ放送のような格調ある話し振り)があったり、時には、スペインやイギリスやフランス風のアクセントもありで、「え~、ネイティブの英語もこんなに違っているんだ!」と驚き、そのうちには「日本語のアクセントがあっても大丈夫かも……」と妙な自信までわいてきました。

その上、娘と一緒に繰り返し聴いているうちに、子どものスピードにはかなわないにせよ、親の耳にもだんだん聞き取りの力がつくのです。これは思わぬオマケ!

「絵本の読み聞かせまで機械にやらせたら、情操教育に悪いのでは?」と心配される方もあるかもしれません。ホントに親って心配ばかり、因果な商売ですよね。でもテープやCDを聴くときには、おひざに抱っこしたり、ソファやベッドに並んで座り、一緒に絵本を持って、一緒にページを繰りながら聴いてください。そうすれば、効果のほどは親の読み聞かせと変わりません。

さて今日は、わが親子がともに楽しんだオーディつき絵本のうち、特に娘のお気に入りだった絵本をご紹介します。

筆頭は、なにをおいても『Chicka Chicka Boom Boom』です。ジャズの大御所レイ・チャールズの、実に”味のある声”で吹き込まれたテープは耳に楽しく、文字通りテープがすり減るまで聞いた一冊です。内容は「ABCの絵本」なのですが、作り手も読み手もひたすら楽しんで、「ABCを”教える気”なんか全然ない……」という感じの絵本。何度聞いても楽しい秘密は、そのあたりにあるのかもしれません。

娘のベッドタイムのお気に入りは『Tikki Tikki Tembo』と『Caps for Sale』でした。前者は、中国の故事を題材にしたお話。日本の落語「寿限無」と同じコンセプトです。”いかにも昔語り”の落ち着いた静かな声で、お話の要所要所で繰り返される「長い長い中国人の男の子の名前」がだんだんに眠気を誘います。同様に、「Caps for Sale!(帽子はいらんかねぇ~)」と繰り返される帽子屋さんのお話は、帽子を盗んだいたずらお猿に説得を試みる、ひとり語りがおもしろいお話です。

日本語と同様、英語の韻は、詩的な表現から子どもの言葉遊びまでさまざまな場面に登場します。永遠のヒット絵本『Good Night Moon』はその代表的な一冊で、言葉遊びの中にさりげなくマザーグースの断章までがちりばめられて、読みこなすのに教養が求められる一冊です。娘のお気に入り『Lyle, Lyle Crocodile』は、単語 Crocodile(ワニ)とその韻を踏んだ名前ライル(Lyle)をもつワニが活躍するお話す。ちょっと余談ですが、この絵本のタイトル、実は日本人が苦手な「LとR」を言い分ける練習に最適です。お試しください。

さて、登場するキャラクターが現実離れしていて、ちょっとシュールだったり、荒唐無稽だったりする絵本……といえばドクター・スースですね。ドクター・スースの絵本は、現実的な筋書きを求めてしまいがちな親たちには戸惑ってしまう内容の絵本なのに、実は、子どもには大人気。声に出して読んでみると大変耳に心地よい絵本で、もしかすると、これも人気の秘密では?と思わされます。試しにいちど、大きな声で読んでみてください。目で見て読むだけよりも、はるかに楽しめることに気づいていただけるでしょう。小さい子向きは『One Fish Two Fish Red Fish Blue Fish』でしょうか。『Go, Dogs Go』も 『Cats in the Hat』も『Green Eggs and Ham』も小さいときから楽しめます。

古いキャラクターながら、早くからマルチメディアで活躍しているのは『こぐまちゃん(Little Bear)』。絵本シリーズになり、テレビになり、さまざまグッズになり、世界中の人気者です。子どもの掌にも隠せてしまいそうな「豆絵本」もあって、なかなか楽しいシリーズです。

ことばのない絵本を映像にしたDVDが世界中でヒット……と言えば、そう、『Snowman』です。幻想的な映像に、語り代わりの音楽をつけたショートビデオは、クリスマスにTV放映されるやたちまち人気をさらいました。絵本とは趣の異なる作品に仕上がった映像はベストセラーになり、またBGMもヒットチャートに載りました。YouTubeにもアップされています。

クリスマスと言えば、もちろんクリスマスソング! 12月になると、アメリカ中がクリスマスソングで包まれると言っても過言ではないほど、国民生活にとけ込んでいます。一緒に歌えば、クリスマスがいっそう楽しくなること請け合い。代表的な歌は覚えてソンはありません。子ども向けの『Wee Sing for Christmas』あたりは、お子さんと一緒に楽しんで練習するのに最適。案外、おとなのパーティでも役に立ちます。




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