Chicka Chicka Boom Boom
数あるABCの絵本の中でも出色の、面白いこと請け合いの一冊です。
AがBに言いました、BがCに言いました、「ヤシの木のてっぺんで会おうね!」
A told B and B told C, "I 'll meet you at the top of the coconut tree!"
・・・と、お話はリズミカルに始まって、D,E,F・・・とそれぞれの文字が、もつれたり、ころがったり、からまったりしながら、一生懸命に高いヤシの木に集まって来ます。ところが、やっとみんなが集まったと思ったら、あ!あ!木が傾いて、みんな落ちてしまった・・・。
押されて、つぶれて、いびつになったり、こぶ結びになったりしながら、アルファベットたちは、それでも懲りずにまたヤシの木に登ります。でも、あ!あ!今度は日が暮れてしまった・・・。でも、だいじょうぶ。今夜は満月。まん丸なお月さまがでましたよ・・・。
この単純な、次々とつながっていくだけのお話が、どのページも読むだけで歌になってしまうような、リズム感あふれる活き活きした文の連続で書かれていて、そのリズムが、見開きページいっぱいに広がる南国ムードにあふれた鮮やかな色彩のイラストと相俟って、名状しがたく楽しい作品になっています。
どう見ても、作家はおもしろがってABCからXYZまでの文字と遊んでいるだけ。子どもにABCを教える気なんか全然なかったに違いありません。
ところが、と言うより、だからこそ、と言うべきなのでしょう、子どもはこのひたすら楽しいだけのABCの本が大好きです。リズムよく読み聞かせると、英語がわかるかどうかに関係なく、魅いられたようにじいっと絵本に見入って聴いています。
英語の「お勉強」には、A as Apple・・・のようなABCの絵本も必要だと思いますが、2冊目には是非この絵本を!
ただ、読み聞かせる親がネイティブでない場合には・・・、リズムよく読んであげるには、ちょっと練習が必要そうです。初めはネイティブのテープかDVDを利用されてはいかがでしょう?きっとお子さんともども楽しめると思います。