Caps for Sale
バイリンガルの子どもを育てていると、時々、笑いをこらえるのが大変!という場面に遭遇します。
たとえば、バイリンガルの子どもたちは、うかうかしていると「帽子をはいたり」、「ズボンをかぶったり」、「手袋を着たり」してしまいます。だから親はいつでも要注意!Watch Out!
「なんて可愛い間違いなの!」と笑っていられたらどんなにいいかしら、と思いつつ、小学校の低学年くらいまでは、毎日のように「帽子は『かぶる』のよ」「ズボンは着るんじゃなくて、『はく』のよ」「手袋はどうするんだっけ?そうね『はめる』のよね」なんて、言い暮らしていました。
間違えるのも無理ないのです。英語では、衣類を身につける時はたいていなんでもput on。子どもは特に、ズボンも、ジャケットも、靴も、手袋も、帽子もぜんぶput onで用が足りてしまうのですから。
ところが、日本語ときたら!
ジャケットは「羽織ったり、着たり」するものだし、靴は「履く」ものだし、手袋は「はめる」ものだし、帽子は「かぶる」もの。なんと、まぁ、ややこしい!
帽子と言えば、娘が大好きだった絵本があります。よく通る声で「帽子はいらんかねぇ?Caps for sale・・・」と呼び歩く帽子屋さんのお話です。村から村へと売り歩いて、歩き疲れた帽子屋さんが、ちょっと木の下でお昼寝している間に、いたずらお猿が売り物の帽子をひとつ残らず盗んで木に登ってしまいます・・・。
さて、帽子屋さんはどうやってお猿から帽子をとりかえしたでしょう?
娘が持っていた絵本には、上品でやわらかい大人の男のひとの声で読み聞かせるテープが付いていました。Caps for sale...というやさしい声の響きと余韻が今でも耳に残っています。テープが擦り切れるそうなほどに繰り返し聞いていた日々が懐かしい一冊です。