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お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

ホワイトハウスの本棚

2011-03-25 | my Anthology
Photo: Wired Magazine

オバマ大統領の大統領就任後、ホワイトハウスに移り住んでも「私はマザー・イン・チーフ(mother-in-chief)」と称して、二人のお嬢さんの母親としての役割を重視する姿勢を崩さなかったファーストレディのミシェルさん。就任一年目のインタビューでも最初に「(娘たちが)無事にワシントンDCの暮らしに溶け込んだのを見届けて安心した」と語っています。

でも、ミシェルさんが、二人のお嬢さんばかりではなくアメリカじゅうの子どもたちの健康と幸せに心を砕いているということは、彼女の行動を見ていれば、実によくわかります。ホワイトハウス周辺の公立学校の子どもたちを招いて庭で一緒に野菜を育てたり、サンフランシスコの児童公園に遊具を設置するボランティアに参加したりと、日頃から子どものための公務もたくさんこなしていますし、忙しいスケジュールの合い間を縫って実にたくさんの学校を訪問しています。

アメリカでは、著名人が幼稚園や小学校を訪問する時は、たいてい好きな本を持参してクラスの子どもたちに読み聞かせます。ファーストレディも例外ではありません。本ブログのエッセイ『増殖するチャータースクール』に添えた写真をみてください。ワシントンDCのチャータースクールを訪問した彼女の膝の上にも絵本が置かれています。なんの絵本だったのでしょうね?

さて、ミシェルさんは子どもたちにどんな本を読み聞かせているのでしょう? ホワイトハウスの本棚には何の本が置かれているのでしょう? メディアなどで報道された「ミシェルさんの選んだ本」は……というと?

最初はワシントンDCの学校でミシェルさんが8歳から10歳までの子どもたちに読み聞かせた絵本です。
ご存知!"Alexander and the Terrible, Horrible, No Good, Very Bad Day"。昨年6月に本ブログでも『何ひとついいことがなかった日に読みたい絵本』としてご紹介しました。
ついてない日って、誰にでもありますよね? もちろん、子どもたちにだって、そういう日はあります。ミシェルさんは、この絵本をクラスで読み聞かせてから、子どもたちと一緒に"何一ついいことのなかった、ついてない日"は「どうやって乗り切ればいいかな?」という話し合いをリードしたそうです。自分に折り合いをつけるトレーニングって、確かに子どもにも重要ですよね。

二冊目は"Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?" です。このブログでも一度ならずご紹介してきたビル・マーティン作の絵本。
ワシントンDCの保健所で、幼い聞き手と一緒に、動物の啼き声やうなり声を真似ながら、楽しんで読み聞かせたミシェルさんは、"まるで一冊丸ごと暗唱しているようだった"とニュースで報じられましたが、さもありなん! 今日の写真をご覧ください。ミシェルさんがこの絵本の最終ページ(絵本に登場した全部の動物が並んでいるペ―ジ)を開いています。「茶色のクマさんは誰をみていたのかな?」なんて明るく問いかけているミシェルさんの声が聞こえてきそうですが、それにしても、彼女を取りまく子どもたちの真剣な様子! さすがミシェルさん!

次は、おなじみドクター・スースの絵本から"The Cat in the Hat" です。
つまらない雨の日を不思議な冒険にかえてしまう猫のお話。同じドクター・スースでも、明るくて前向きで、いかにもミシェルさんらしい選択です。ノースキャロライナの米軍基地を訪問した際、キャンプ内の幼稚園の子どもたちに読み聞かせたそうです。

最後に、ミシェルさんと二人のお嬢さんが、オバマ大統領のために選んだ絵本をご紹介しましょう。昨年のホワイトハウスのイースターで大統領が読み聞かせた絵本は"Where the Wild Things Are" でした。
日本でも広く読まれている少年マックスの空想冒険物語。記者に本の感想をたずねられた大統領は「ミシェルは、どうも僕のことをいまだにマックスだと思っているみたいなんだ。つまり、いまだに『いたずら』をしていると思っているってことなんだけれどね……」と語り、おおいに笑いを誘ったそうです。





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えいが と えほん

2011-03-18 | my Anthology


写真は映画「You've Got Mail(邦題:ユー・ガット・メール)」のひとコマ。絵本やさんのオーナーである主人公キャサリン(メグ・ライアン)が、店内で子どもたちに読み聞かせをしているシーンです。本棚には、お馴染みのドクター・スースの絵本がずらっと並んでいますが、彼女が読んでいるのは「Boy(ロアルド・ダールの自伝的な作品)」です。

映画の中での読み聞かせといえば、共和党支持派の多い地域では上映中止の劇場もでたマイケル・ムーアの映画「Fahrenheit 911(邦題:華氏911)」では、まさにあの9月11日の朝、ブッシュ大統領が小学校を訪問して読み聞かせをする(はずの)場面が出てきます。大統領が読み聞かせようと携えていた絵本は彼の愛読書「Good Night Moon(邦訳:おやすみなさいお月さま)」だったとか(ブログ記事『原語で読みたい絵本の古典』)。

アメリカでは子どものための『読み聞かせ』が大変ポピュラーです。ブッシュ大統領に限らず、有識者等が学校などを訪問する時には、たいてい自分の好きな本を持って行って、子どもたちに読み聞かせるものとされています(ブログ記事『ホワイトハウスの本棚』)。

家庭での就寝前の読み聞かせ(bedtime story)はほとんど常識ですが、保育園や幼稚園はもとより小学校にあがっても、1-2年生のクラスでは先生や親のボランティアによる読み聞かせ(story time)が頻繁にあります。街の図書館や本屋さんでも毎週定例の読み聞かせの会(story hours)が決まっていて、いろんな大人が読み聞かせをしています。ニーズが多いので、読み聞かせボランティアのためのしっかりしたトレーニングコースもあり、教会や図書館などにプロの声優さん等が来て希望者に教えてくれます。

映画と絵本‥‥といえば、絵本のキャラクターと映画の主人公を暗に比喩的に重ねるというのもよくある手法。最近の映画では「The Blind Side(邦題:しあわせの隠れ場所)」の中で、母親役のサンドラ・ブロックが「The Story of Ferdinand(邦訳:はなのすきなうし)」の絵本を子どもに読み聞かせる場面があります(ブログ記事『アメリカ映画にみる母と子』)。息子の幼い時の愛読書を読んでいるという設定なのですが、実は、巨漢で力持ちなのに滅法やさしい主人公マイクを、飛びきり大きくて強そうな牡牛なのに花が大好き‥‥というFerdinandに重ね合わせるというのが伏線です(ブログ記事『花の好きな牛』)。

絵本が原作になっている映画もたくさんあります。あたらしいところでは今年い封切りの「Where the wild things are(邦題:怪獣たちのいるところ)」。昨年映画化された「Cloudy with a Chance of Meatball」(ブログ記事『映画の原作になった絵本』)は朝昼晩、空からおいしいお料理が降ってくる町の物語です。その前にはロアルド・ダールのちょっと不気味な「Charlie and Chocolate Factory(邦題:チャーリーとチョコレート工場)」がありました。私が好きなのはドクター・スースの「How the Grinch stole Christmas!」です(ブログ記事『盗まれた?クリスマス』)。ひねくれ者のグリンチが村人を困らせようと"クリスマスを盗んでしまう”お話。こうして並べてみると、不思議なことに、映画になってるのはいずれもちょっと風変わりな絵本ばかりですね。映画もいずれも幻想的な作品揃いです。

珍しいところでは、絵本のタイトルがシリアスな会話の中で比喩として引用されるというのもあります。ハリソン・フォード主演のアクション映画「Air force One(邦題:エアフォースワン)」で、ひとたびテロリストに委ねようものなら‥‥と、危険性を語る場面で引用されるのが「If You Give A Mouse A Cookie(もしもネズミにクッキーをあげると‥‥)」(ブログ記事『ぐるぐる回るお話』)。

絵本ってやっぱり国民的教養の書なんですね。




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ベッドタイムのお気に入り

2011-03-11 | my Anthology

家族旅行の宿泊サービスとして、『お子さんにベッドタイムの読み聞かせをします』というFour Seasons Hotel (Chicago)のコマーシャル

『読み聞かせ』と言えばベッドタイム。お風呂に入って、パジャマになって、歯も磨いたし、さぁ今日は何を読もうかな? ひとりで歩けるようになるや、娘の日課には、ベッドに入る前に本棚に寄って、小さな両手にいっぱい「お気に入り」の絵本を抱えてベッドに入ることが加わりました。「もう一回(読んで)」と言いたくて、まだ回らない舌で一生懸命「もっかい!」「もっかい!」とせがんでいたのが昨日のことのようです。

1歳10ヶ月でアメリカに引っ越すことになったとき、娘の引っ越し荷物で一番重かったのは、絵本の入った段ボール箱でした。当時のベッドタイムのお気に入りの一冊は『どうぞのいす』。ウサギさんが椅子をつくりました。皆に座ってもらおうと「どうぞおかけください」と書いて森の小道に出しておきました。ところが・・・、次々に通りかかる動物たちは椅子の上におかれたプレゼントをうけとって、お返しをおいていき・・・。最後のウサギさんのひとこと「あれぇ、ドングリってくりのあかちゃんだったかしら?」が実にかわいいお話です。次はどうなるの?次は?と引き込まれる展開なのだけれど、胸がドキドキしたり、怖かったりはしないお話。でも、最後に、ちょっと意外で、クスクス笑える”落ち”がついている、まさにベッドタイムにぴったりの一冊でした。英語への翻訳版「Giving Chair」もあります。(ブログ記事:『併読のパワー:どうぞのいす』)

ベッドタイムの絵本には、とくに小さい子どもには、だんだん眠くなって時々とろっと目をつむりながら聴いていても気持ちのよい絵本を選びたいですね。それには、こみ入った物語よりも、むしろシンプルで短いテキストで、でも響きのよい繰り返しのフレーズがあったり、ライム(韻)が効いていたりする、「耳に心地よい」絵本が最適です。

そう思って見回すと、なんといっても永遠のベストセラーは『Goodnight Moon(おやすみなさいおつきさま)』でしょう。英語がわからない頃から、娘もなぜかこの絵本が好きでした。”Goodnight Fox, Goodnight Sox”というようなフレーズは、英語の韻がわからないと響きが楽しめないだろうと思っていたので、私はこの絵本の日本語訳は読んでやったことがありませんでした。でも英語で読んでみたら・・・英語がわかっても、この絵本の文章はそのまま読んでもほとんど「意味」をなさない、というか、読みようによっては、かなりシュールで幻想的なものだとわかりました。でも響きは実にきれいで、耳にはとても心地よく、そして、これも幻想的なイラストと相まって、ミステリアスなテキストには眠りを誘う効果があります。実際には、この絵本。イラストにも、テキストにもさまざまな仕掛けがあって、読み解き、絵解きにはかなりの教養が必要な絵本。昼間の明るい光の下で読むときには、ページごとに変化していく謎解きがたのしいイラストを丹念に見比べたり、テキストの引用の原典を考えたり・・・と、別の楽しさがあります(ブログ記事:『原語で読みたい絵本の古典」)。

夜の暗さと静けさが気持ちに染み入る絵本は『Owl Babies(フクロウのあかちゃん)』です。フクロウのきょうだい3羽が主人公。ふと目覚めると巣の外は真っ暗な夜。それなのに、巣の中にお母さんがいません。さて・・・3羽のきょうだいがお留守番の不安をまぎらそうと交わす会話が実に可愛いのですが、とりわけ末っ子のビリーが何を言われてもただただ「おかあさーん "I want mommy"」と呼んでいるいじらしさが子どもたちの共感をさそいます。だんだんつのってくるフクロウ兄弟の不安に、聴き手の子どもも共鳴して心配になてきたところへ、「あ、お母さんがかえってきた!」一言で、読み手も聴き手もほっと一安心。「おかあさーん」と呼びつつけたビリーが「おかあさんだいすき!"I love mommy"」とうれしそうに言って終わる結末に、幼い読者は自分自身の「おかあさん、だいすき!」を重ねて、心底ほっとして、安心して眠りにつきます。(ブログ記事:『おかあさーん』)

娘のベッドタイムのお気に入りは、どれも「耳に心地よい」絵本でした。くりかえし「読んで、読んで」とせがまれた絵本のひとつが『Caps for Sale』。頭の上にシルクハットを高々と積み上げて「帽子はいらんかねぇ(Caps for sale)」と村々を売り歩く帽子屋さんのお話です。以前このブログにも書きましたが(ブログ記事:『バイリンガル子育ての笑い話』)、娘はカセットテープのついた絵本を持っていて、やわらかい実ににやさしい声の男性の朗読を繰り返し聞きました。最後に「帽子はいらんかねぇ~ ”Caps for sale‥‥”」と呼ぶ男の人の声が、だんだんに遠ざかっていくのを聴いていると、娘ばかりでなく私まで眠気を誘われました。

もう一冊は『Tiki Tiki Tembo』。これもテープとセットになった絵本でしたが、テープがすり切れるくらい聴いた絵本です。中国の故事を翻案したと思われるお話は、ちょうど日本の『じゅげむ』のようなストーリ(ブログ記事:『中国人の名前が短くなったわけ」)。文字を追わずに耳から聴いていると、長い長い男の子の名前の繰り返しだけでも、かなり心地よいリズムになるお話で、適度に疲れているときは、思わず誘われて眠ってしまいそうです。

今週ご紹介した2冊は、どちらも「おやすみなさい」とささやきかける、まさにベッドタイムの絵本ですが、「おやすみなさい」の代わりに「I love you!(大好きよ)」と繰り返し言ってあげるのも、ベッドタイムならではの語りかけです。たくさんありますが、例えばトッド・パールのタイトルもずばり「I Love You Book」(ブログ記事:「大好き、大好き、大好き!」)、あるいは「I like it when...」も忘れがたい一冊です(ブログ記事『みんなだいすき!』)。





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なんたってクマさん

2011-03-04 | my Anthology
カンフー・パンダならぬカラテ・ベア。ん~、やっぱりカワイイ!

クマは子どもに大変人気のある動物キャラクターです。犬や猫のようなファミリーペットではありませんが、でも、たとえば「ぬいぐるみ」といえば、なんと言ってもクマさんがダントツの人気ものではないでしょうか? 実際には野生のクマはかなり獰猛で、時には人間を襲うこともあるということを考えると、これはなかなかに興味深い現象です。ともあれ、クマさんの人気は根強く絶大! ぬいぐるみだけでなく、絵本やテレビやラジオにもしばしは登場し、またゲームにもたくさん出てきて活躍しています。

カリフォルニアの旗にはグリズリーベアがいますし、カリフォルニア大学のマスコットはクマなので、UCバークレーの学生のニックネームはベア(Bear)。卒業生には卒業年次をつけてたとえば「Bears 09(2009年の卒業生)」と呼びます。そんなアメリカの日常生活とクマとのかかわりを、昨年5月に『クマさんは世界のアイドル』と題してご紹介しました。そこで、今日は絵本に出てくるクマさんをラインナップしてみましょう。

思いっきり両手を広げてギュッと抱きしめるのを「ベアハグ(Bear Hug)」といいます。心からの親しさや同情を表す時、また小さい子への愛情を思いっきり表現するとき、気さくなアメリカ人はこの大きなハグをします。子どもはこれをしてもらうのが大好き! だから、みんなにやさしくしてあげよう!と思った女の子は、みんなにこの大きなハグをしてあげました……という絵本『Hug a Bug』の表紙で女の子がぎゅっと抱きしめているのは、いかにもやわらかそうな大きなクマのぬいぐるみです。ぬいぐるみのクマと言えばまっさきに思い浮かぶのが『コーデュロイ(Cordury)』でしょう。誰か買ってくれないかなぁ……とデパートで待ちくたびれていたコーデュロイを買ってお家に連れて帰ってくれたのも女の子でした。

日本では動物園でしか見たことがなかったアライグマも、カリフォルニアでは野生で走り回り、住宅街にも頻々と出没します。いたずらで庭や畑あるいは納屋を荒らしたり、ペットの水を飲んでしまったり、雑食の大食漢でゴミ箱もあさったりするので結構嫌われ者。でも、家族仲が良く、親子で一列になって歩いているのを見ると、やっぱり「あら、かわいい!」。絵本にもしばしば家族で登場します。たとえばぐずる子どもをお母さんが学校まで送ってくれるお話『お母さんのキス(The Kissing Hand)』や、『さぁもう寝る時間ですよ(Bed Time for Frances)』とお父さん、お母さんに言われる「まだ眠くない」子どものお話は、アライグマが主人公です。

クマさんが家族で登場する絵本の古典はといえば、ロシア民話の『さんびきのくま』。あまりによく知られている絵本なので、このブログではご紹介する機会を逸しましたが、日本語や英語だけでなく世界中で出版されています。

赤ちゃんが最初に出会う絵本でもクマさんが大活躍です。日本発絵本の永遠のヒット作、松谷みよこさんの「いないいないばあ!」も表紙はクマさんですし、アメリカの赤ちゃんのベストフレンドといえば『こぐまちゃん(Little Bear)』。”動物紹介”絵本にも、クマさんがセレブ動物の一員として表紙に登場しています。『赤ちゃんのための動物の絵本(My Big Animal Book)』。比較的新しくて誰でも知っているのは……というと、きっとビル・マーティンのくまさんでは? 娘と私の愛読書だったのは「はたらくクマさん」のシリーズです。『ゆうびんやのクマさん(Teddy Bear Postman)』「せきたんやのクマさん」「パンやのクマさん」「うえきやのクマさん」は、どれもいかにもイギリス風に古風に律義にはたらくクマさんのお話。何度も繰り返して読んだなつかしい絵本です。

さて、エキゾチックなクマと言えばパンダです。映画『カンフー・パンダ』が人気ですが、子ども相手に禅を説くユニークなパンダも人気者です。『だんZen楽しめる 禅(Zen Shorts)』。一方、地球温暖化などの影響で絶滅が心配されているシロクマは、今や環境問題のシンボル。環境問題を子どもに解説する絵本には、シロクマが表紙に登場しています。

最後に私が一番好きなクマの絵本は……。子どもたちがお父さんと空想のクマ狩りに出かけるお話『音響効果満点のアドベンチャー(We Are Going On A Bear Hunt)』 です。作者のマイケル・ローゼン自身が朗読のパフォーマンスをYouTubeにアップしています。子どもならずとも、ちょっと聞き入ってしまいます。お試しください。






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犬は人間のベストフレンド

2011-02-25 | my Anthology

アメリカで最もセレブな犬は、Boと名づけられたオバマ大統領ファミリーの愛犬(First Dog)。Portuguese Water Dogというちょっと珍しい種類で、故エドワード・ケネディ上院議員からのプレゼントです。

『犬は人間の最良の友(A dog is man's best friend)』と言われています。アメリカ人もご他聞にもれず、犬が大好き! そして絵本にもじつにいろいろな犬が登場します。

赤ちゃんから幼児まで、幅広い人気を保っている子犬が「スポット(Spot)」です。エリック・ヒル作/画の、ベストセラーにしてロングセラー。オリジナルの「スポットはどこ?(Where's Spot?)」は、いたずら子犬のスポットがあちこち探検しに行ってはいなくなってしまうのを、お母さんが「スポット?スポットはどこ?」と言って探し回って、「あ、いた!いた!」と探しだしてくれるというお話。子どもたちは"いないいないばぁ"や"かくれんぼ"などで「(おとなに)見つけてもらう」というカタルシスが大好き。そんな子どもたちに大人気の絵本です。絵本はいわゆる『飛び出す絵本』で、子どもが小さな指で挿絵の箪笥の扉とかバスケットの蓋とかを開いてはスポットを探しだすという趣向。何度読んでも毎回「いたぁ!」と叫んで得意そうにお母さんの顔を見ます。(ブログ記事:『飛び出す絵本のベストセラー』)

同様にベストセラーでロングセラーのシリーズ絵本の主人公が「クリフォード(Clifford)」です。お家と同じくらい大きいクリフォードと飼い主の女の子(エミリー)が主人公の物語。ちょっと奇抜な設定なのに、時代を超えて長いこと愛読されている人気シリーズ絵本です。オリジナルは1963年に刊行された「クリフォード;大きな赤い犬(Clifford, Big Red Dog)」。以後、50冊以上のシリーズが出版されているほか、クリフォ―ドのキャラクターを使った学習教材や各種グッズも多数発売されています。2000年にはテレビ番組にもなりました。(ブログ記事:『誰でも知っている犬って誰?』)

クリフォードと同じような、大きな大きな犬と、これまたエミリーと同じような女の子が主人公になっている絵本に、日本の画家奈良美智さん作/画の「さみしい子犬(The Lonsome Puppy)」があります。でもクリフォードとは違い、奈良さんの子犬は「あまりに体が大きくて誰の目にも入らなくて孤独だった‥‥」という設定で、常にひとり孤高をいくアーティストの想いが子犬に重なっている気がする絵本です。(ブログ記事:『寂しいアーティスト』)

このブログでは紹介する機会がありませんでしたが、その名もかわいい子犬を主人公にした『ビスケット・シリーズ』は人気があります。また古典的な絵本では、「どろんこハリー(Hurry the Dirty Dog)」もおなじみです。

冒頭にも書きましたが、古来から犬は人間の最良の友。だから人間との暮らしにすっかり溶け込んでいる犬は、逆に人間とは一線を画して暮らしている野生動物たちが主人公になる物語にはあまり登場しません。そのかわり、人々の生活が描かれる物語には、犬自身が主人公にならない時でも、挿絵の中に脇役あるいは家族の一員としてしばしば登場します。とくに子どもたちの遊んでいる場面には、ほとんど常に『犬がいる』と言っても過言ではないほど。そんな「子どもと犬」の様子が、それも”表紙に描かれて”いる例だけをとりあげてみても枚挙にいとまがありません。例えば「木はいいなぁ(A Tree is Nice)」では、植物に水をやる女の子の後ろに木の上を見上げて(吠えて)いる犬が描かれていますし、「秋になったら(Now It's Fall)」のには、紅葉した木の葉を背景に子どもたちと子犬が描かれています。そう!犬がいると断然面白くなるのが外遊び! 落ち葉を散らかして遊ぶ時など、なんたって犬が一緒じゃなきゃあ! また、仕事で忙しいお母さんの子育てを手伝ってくれるのも犬です。仕事帰りのハイヒールのまま赤ちゃんを抱っこして、お姉ちゃんの手を引いて歩くお母さんは、しっかり犬のリーシュも引いています。(ブログ記事:『おかあさんのおしごと』)

日本の子どもにとっても、もっとも身近で親しみやすいペットは犬と猫でしょう。松谷みよこさんの赤ちゃんの絵本にも犬が登場しますが、「もうねんね(Sleepy Time)」では、表紙に描かれた犬が眠気を誘います。

かわいがっている飼い犬を主人公にして絵本を書いているのがタ―シャ・チューダー(Tasha Tuder)です。タ―シャの大好きなコーギ―犬ばかりが暮らしている村、コーギビルが物語の舞台。オリジナルは「コーギビルの村祭(Cogiville Fair)」(ブログ記事:『毎日が絵本のくらし』)。表紙の中扉には実在のモデルたちが実名入りのスケッチでしっかり紹介されています。

というわけで、『犬 Dog』は赤ちゃんが最初に出会う動物で、ペットで、そして最初におぼえる単語のひとつ(ブログ記事:『赤ちゃんのための動物の絵本』)。アルファベットを綴るときにも「ドッグのD(D as Dog)」と言いますから、赤ちゃんが最初に綴りをおぼえる単語でもあります。

そんなふうに家族同様に暮らす犬たちとの別れは、とても悲しいものです。でも残念ながら、犬は人間ほど長生きしませんので、子どもにも必ずいつか別れがやってきます。「いぬはてんごくで… Dog's Heaven」は、そんな永年の友を見送った人にシンシア・ライアントが心をこめて贈ってくれる絵本です。お話だけでなく絵も彼女が描いています。

そして、そんなペットとの『交流と別れ』を、子どもの視点から丹念に描いた絵本に「ずっとずっと大好きだよ I Always Love You」があります。「ぼくは、ぼくの犬を、毎日毎日ギュッと抱きしめて、毎日毎日『ずっとずっと大好きだよ』と言ってあげたから、その犬がいなくなってさみしいけど、でも後悔はしていない‥‥」という男の子の語りかけには、犬とどうつき合うか(犬だけでなく、生きとし生けるもの、やがては別れるべきもの同士がどう付き合うか‥‥)が深く示唆されています。(ブログ記事:『ずっとずっと大好きだよ』)





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