We're Going on a Bear Hunt
5人の子どものお父さんにして、詩人で、シナリオライターで、声優でも俳優でもあるマイケル・ローゼン(Michael Rosen)の書いたお話に、ヘレン・オクセンベリー(Helen Oxenbury)がイラストを描いてます。やさしい色使いの、見るからにほのぼのとした雰囲気のイラストが、仲良しの親子の楽しい気分を伝えています。
お父さんと子どもたちがクマを探しに出かけます。
「クマ探しに行くぞぉ!」
「大きなクマを探すぞぉ!」
「すごーくいいお天気だなぁ!」
あ、草むらだ!
背の高い草の草むらだ!
またぐこともできないし・・・
くぐることもできないし・・・
よぉし・・・かき分けて進むぞぉ
・・・シュッ、シュッ・・・シュッ、シュッ(swishy swashy)
草むらを通り過ぎて、お父さんと子どもたちは、さらに進みます。
「クマ探しに行くぞぉ!」
「大きなクマを探すぞぉ!」
「すごーくいいお天気だなぁ
そうして、深くて冷たい河を渡り・・・
それから、べたべたのぬかるみを越え・・・
次には、暗くて深ーい森を抜け・・・
さらに、荒れ狂う吹雪をついて進み・・・
ついに、深くて暗い洞窟に入ります
そして・・・
あ!クマだ!
お父さんも子どもたちも一目散!
今来た道を逆にたどって家まで逃げ帰ります・・・
さぁ大変!クマに追いつかれずに帰れるの?
・・・あとは読んでのお楽しみ!
ところで、読んでのお楽しみは、実は、ハラハラドキドキのストーリーの結末だけではありません。この絵本のもうひとつの楽しさは、親子が越えていく草むら、河、森、ぬかるみ、吹雪などなどの様子を、聴くだけでまるで目の当たりにしているように感じさせてくれる擬音語、擬態語のおもしろさです。
"swishy swashy・・・"は、日本語で言えば"シュッ!シュッ!"という感じでしょうか。丈高い草を左右にゆっくりと大きくかき分ける音。そう思って聞くと、確かに、葦のような細長くてしなやかで張りのある草がしなう様子を髣髴とさせます。
河を渡る様子は"splash splash・・・"、日本語ではバシャ!バシャ!という感じ。泥んこのぬかるみを一歩一歩踏みしめながら越えていく様子は"squelch squerch・・・"、日本語ではぐちゃ!ぐちゃ!、ねちゃ!ねちゃ!という感じです。暗い森の中をつまづきながら進んでいくのは stumble trip!、吹雪に向かって進む時には耳元で風がビュー!ビュー!ゴー!ゴー! (hoooo woooo・・・)鳴ります。そして、気味悪い洞窟の中は、抜き足差し足( tiptoe・・・)。
泥んこに足を入れたときの感触を何と表現するか?なんて、大人にはなかなか聞くチャンスすらありませんよね?私も、squelch squerchという表現をこの絵本で始めて知りました。絵本ならでは!の表現を覚えるのは親の役得かも。読み聞かせのテープでは、まさにぴったり!の擬音語、擬態語を十分に楽しんでください。
さて、この絵本、もちろんCDも発売されています。が、作者のマイケル・ローゼン自身がカメラに向かってパフォーマンスしながら読み聞かせているビデオがYouTubeにアップされていますので、ご覧ください。こんな風に子どもにお話を語って聞かせているうちにこの絵本ができたんじゃないかな?と思わせるような、マイケル自身が本気で楽しんで語っているビデオは、何度も見たくなる面白さ!そのうえ「このおじさんがお話を書いたんだよ!」なんてちょっと子どもにウンチクまで言えちゃう。おまけに何度見ても無料!まったく素晴らしく便利な時代になったものです。インタネット万歳!ぜひお楽しみください!