お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

くまさんの見てるもの

2009-01-22 | about 英語の絵本

Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?

ビル・マーティンJr 作のロングセラーですが、どちらかというと「はらぺこあおむし」のエリック・カールのイラストで知られている人気絵本です。

「茶色のくまさん、茶色のくまさん、なに見てるの?」
「こっちを見ている赤い鳥さんを見てるんだよ」
Brown bear brown bear what do you see,
i see a red bird looking at me

・・・と始まり、次のページに進むと

「赤い鳥さん、赤い鳥さんなに見てるの?」
「こっちを見てる黄色いあひるさんを見てるんだよ」
red bird red bird what do you see?
i see a yellow duck looking at me

そうして、黄色いあひるは青い馬を、青い馬は緑色のかえるを、緑色のかえるは紫色のねこを、紫色のねこは白い犬を、白い犬は黒い羊を、黒い羊は金色の魚を、というふうに、色と動物だけがおきかわりながら、同じテキストが続いていき、最後に金色の魚は「先生」を、先生は子どもたちを見ている・・・という展開。

最後に登場する子どもたちは、先生に「なに見てるの?」と聞かれると、声を揃えて「茶色のくまさんと、赤い鳥さんと、青い馬さんと、緑色のかえるさんと、紫色のねこさんと、白い犬さんと、黒い羊さんと、金色の魚さんと、先生を見てるの!」と(たぶん、いかにも、得意げに)答える、という結び。

子どもたちは、おもしろい絵本を読みきかせてもらった後には「ところで、くまさん(など、お話の主人公)は何見てたんだっけ?」などと、今聴いたばかりのお話を反芻するような質問をされて、お話の世界にひたるのが好きですよね?この絵本は、子どもたちのそんな気持ちと行動を先取りしたスタイルになっています。

だから、最後のページに来ると、子どもたちは絵本のなかの子どもたちと一緒になって声をそろえて、「茶色のくまさんと・・・青い馬さんと・・・」と、登場した動物を次々と思い出しては記憶比べを楽しみます。

この絵本は、物語ではなく、幼い子供に色や形やモノや動物の名前を教える絵本の典型ともいうべき一冊です。

が、ビル・マーティンの、シンプルでリズミカルで、常に「次は?」と期待させる文章と、どのページを開いても活き活きと力強く読者を見つめてくる、エリック・カールの動物たちのイラストとで、教育絵本的な「臭み」の全然ない、魅力的な作品に仕上がっています。

それでいながら、最後のページに子どもたちを登場させて、実に自然に内容全体を反芻させる仕掛けが工夫されていて、教育効果も抜群。アメリカの保育園や幼稚園で必読の一冊になっているのもうなづけます。

同じ作家コンビでの。同じスタイルの作品に、"Polar Bear, Polar Bear, What Do You Hear?"というタイトルの絵本があります。こちらは、ライオンが咆哮し(lion roaring)、カバが鼻をならし(a hippopotamus snorting)、シマウマがいななく(a zebra braying)・・・というように、動物の吠え声や鳴き声とそれを表現する英語のボキャブラリーを教えるつくりの絵本です。やはり最後に、全部の表現を総ざらいする仕掛けになっているので、子どもたちは喜んでライオンのほえ声をまねたり、鼻を鳴らしてシマウマのいななく真似をしたり、大興奮。こちらも人気のロングセラーです。



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