お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

感謝され 感謝する 感謝の日

2009-11-26 | about 英語の絵本

Thanksgiving is for Giving Thanks

サンクスギビングは、"家族が集まりご馳走の並んだ食卓で美味しいものを食べる"光景に象徴される日。家族が揃って、健康で食べ物にも恵まれていることに感謝する日です。この感謝の気持ちはきちんと表すべきものと考えられていて、従い、この日のご馳走も幸福も、回りの人と分け合うのが当然と考えられ実践されています。

ですから自宅でディナーをする場合には、料理はとにかくたくさん作り、知り合いに一人で過ごす人がいたら、ほとんど誰彼かまわず「うちに来ない?」と誘うのがアメリカの伝統です。

私が大学勤めの頃は、海外からの学生や研究員はもちろん、独身の職員も誘っては一緒に食卓を囲みました。彼らもこの日ばかりは遠慮なくやってきて、楽しんで仲間になってくれました。
また娘が大学生の時は、オンボロ車数台に溢れんばかりに乗り合った腹ぺこ学生(Starving Students)が続々とディナーにやってきたものです。サンクスギビングの直前になると決まって「ねぇ、何人まで連れてっていい?」と電話がきます。「何人でもいいわよ、何人来るの?」とこちらも定番の返事をしますが、実際には、道すがら寮でうろうろしているような友達も連れてくるので、予め聞いていた人数などほとんどアテになりませんでした。

私の友人一家では、サンクスギビングには毎年、家族揃ってボランティアに行くのを”伝統”にしています。ホームレスのシェルターで、温かいご馳走をサービスするお手伝いをするのです。シェルターの住人に限らず、立ち寄る人には誰にでもふるまわれるサンクスギビングのディナー。不況の年には長蛇の列ができます。スペースに限りがある食堂は、朝から何度も入れ替えて一日中フル回転のレストラン状態。ボランティアたちは、家で作ったデザートや料理を持ってくる人もあり、シェルターの厨房で調理する人もあり、持ち寄られた食事を温めたり盛りつけたりする人もあり。もちろんテーブルを回って給仕する人、片付ける人もありで、一日中てんてこ舞い。ここで働く私の友人一家は、ですから、自宅ではサンクスギビングのご馳走は作らず、また食べません。自分が食べるはずのご馳走を返上して、こんな風に他の人と分け合うこともできるのですね。

そう、サンクスギビングは「感謝を分け合う日、感謝を表す日」なのです。でも、それは何か大仰なことをするという意味ではありません。我が家の、あるいは私の、サンクスギビングをそのまままわりの人と分かち合うだけ。美味しいものをいただくときには、いつも通り「いただきます」と感謝。一人だけで過ごすひとを自宅のディナーに招き、また、困っている人に美味しいものをふるまう手伝いをする。そんな大人たちを見て育つことで、子どもたちはサンクスギビングの意義を自然に理解していきます。

マーガレット・サザーランド(Margaret Sutherland)とソニア・ラムート(Sonia Lamut)共作の"Thanksgiving is for Giving Thanks"(サンクスギビングは感謝の日)は、そんなアメリカの伝統の心を小さな子にもわかりやすく描いた絵本です。感謝は人としてあたりまえのこと。そんな"あたりまえ"を、淡々と子どもの日常に即して語るシンプルなテキストに、牧歌的で素朴なイラストがよくマッチした絵本。大きくなっても、いつまでも懐かしく思いだしそうです。



コメント
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