お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

犬は人間のベストフレンド

2011-02-25 | my Anthology

アメリカで最もセレブな犬は、Boと名づけられたオバマ大統領ファミリーの愛犬(First Dog)。Portuguese Water Dogというちょっと珍しい種類で、故エドワード・ケネディ上院議員からのプレゼントです。

『犬は人間の最良の友(A dog is man's best friend)』と言われています。アメリカ人もご他聞にもれず、犬が大好き! そして絵本にもじつにいろいろな犬が登場します。

赤ちゃんから幼児まで、幅広い人気を保っている子犬が「スポット(Spot)」です。エリック・ヒル作/画の、ベストセラーにしてロングセラー。オリジナルの「スポットはどこ?(Where's Spot?)」は、いたずら子犬のスポットがあちこち探検しに行ってはいなくなってしまうのを、お母さんが「スポット?スポットはどこ?」と言って探し回って、「あ、いた!いた!」と探しだしてくれるというお話。子どもたちは"いないいないばぁ"や"かくれんぼ"などで「(おとなに)見つけてもらう」というカタルシスが大好き。そんな子どもたちに大人気の絵本です。絵本はいわゆる『飛び出す絵本』で、子どもが小さな指で挿絵の箪笥の扉とかバスケットの蓋とかを開いてはスポットを探しだすという趣向。何度読んでも毎回「いたぁ!」と叫んで得意そうにお母さんの顔を見ます。(ブログ記事:『飛び出す絵本のベストセラー』)

同様にベストセラーでロングセラーのシリーズ絵本の主人公が「クリフォード(Clifford)」です。お家と同じくらい大きいクリフォードと飼い主の女の子(エミリー)が主人公の物語。ちょっと奇抜な設定なのに、時代を超えて長いこと愛読されている人気シリーズ絵本です。オリジナルは1963年に刊行された「クリフォード;大きな赤い犬(Clifford, Big Red Dog)」。以後、50冊以上のシリーズが出版されているほか、クリフォ―ドのキャラクターを使った学習教材や各種グッズも多数発売されています。2000年にはテレビ番組にもなりました。(ブログ記事:『誰でも知っている犬って誰?』)

クリフォードと同じような、大きな大きな犬と、これまたエミリーと同じような女の子が主人公になっている絵本に、日本の画家奈良美智さん作/画の「さみしい子犬(The Lonsome Puppy)」があります。でもクリフォードとは違い、奈良さんの子犬は「あまりに体が大きくて誰の目にも入らなくて孤独だった‥‥」という設定で、常にひとり孤高をいくアーティストの想いが子犬に重なっている気がする絵本です。(ブログ記事:『寂しいアーティスト』)

このブログでは紹介する機会がありませんでしたが、その名もかわいい子犬を主人公にした『ビスケット・シリーズ』は人気があります。また古典的な絵本では、「どろんこハリー(Hurry the Dirty Dog)」もおなじみです。

冒頭にも書きましたが、古来から犬は人間の最良の友。だから人間との暮らしにすっかり溶け込んでいる犬は、逆に人間とは一線を画して暮らしている野生動物たちが主人公になる物語にはあまり登場しません。そのかわり、人々の生活が描かれる物語には、犬自身が主人公にならない時でも、挿絵の中に脇役あるいは家族の一員としてしばしば登場します。とくに子どもたちの遊んでいる場面には、ほとんど常に『犬がいる』と言っても過言ではないほど。そんな「子どもと犬」の様子が、それも”表紙に描かれて”いる例だけをとりあげてみても枚挙にいとまがありません。例えば「木はいいなぁ(A Tree is Nice)」では、植物に水をやる女の子の後ろに木の上を見上げて(吠えて)いる犬が描かれていますし、「秋になったら(Now It's Fall)」のには、紅葉した木の葉を背景に子どもたちと子犬が描かれています。そう!犬がいると断然面白くなるのが外遊び! 落ち葉を散らかして遊ぶ時など、なんたって犬が一緒じゃなきゃあ! また、仕事で忙しいお母さんの子育てを手伝ってくれるのも犬です。仕事帰りのハイヒールのまま赤ちゃんを抱っこして、お姉ちゃんの手を引いて歩くお母さんは、しっかり犬のリーシュも引いています。(ブログ記事:『おかあさんのおしごと』)

日本の子どもにとっても、もっとも身近で親しみやすいペットは犬と猫でしょう。松谷みよこさんの赤ちゃんの絵本にも犬が登場しますが、「もうねんね(Sleepy Time)」では、表紙に描かれた犬が眠気を誘います。

かわいがっている飼い犬を主人公にして絵本を書いているのがタ―シャ・チューダー(Tasha Tuder)です。タ―シャの大好きなコーギ―犬ばかりが暮らしている村、コーギビルが物語の舞台。オリジナルは「コーギビルの村祭(Cogiville Fair)」(ブログ記事:『毎日が絵本のくらし』)。表紙の中扉には実在のモデルたちが実名入りのスケッチでしっかり紹介されています。

というわけで、『犬 Dog』は赤ちゃんが最初に出会う動物で、ペットで、そして最初におぼえる単語のひとつ(ブログ記事:『赤ちゃんのための動物の絵本』)。アルファベットを綴るときにも「ドッグのD(D as Dog)」と言いますから、赤ちゃんが最初に綴りをおぼえる単語でもあります。

そんなふうに家族同様に暮らす犬たちとの別れは、とても悲しいものです。でも残念ながら、犬は人間ほど長生きしませんので、子どもにも必ずいつか別れがやってきます。「いぬはてんごくで… Dog's Heaven」は、そんな永年の友を見送った人にシンシア・ライアントが心をこめて贈ってくれる絵本です。お話だけでなく絵も彼女が描いています。

そして、そんなペットとの『交流と別れ』を、子どもの視点から丹念に描いた絵本に「ずっとずっと大好きだよ I Always Love You」があります。「ぼくは、ぼくの犬を、毎日毎日ギュッと抱きしめて、毎日毎日『ずっとずっと大好きだよ』と言ってあげたから、その犬がいなくなってさみしいけど、でも後悔はしていない‥‥」という男の子の語りかけには、犬とどうつき合うか(犬だけでなく、生きとし生けるもの、やがては別れるべきもの同士がどう付き合うか‥‥)が深く示唆されています。(ブログ記事:『ずっとずっと大好きだよ』)






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