お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

花の好きな牛

2009-03-10 | about 英語の絵本

The Story of Ferdinand

大きくなったら強い闘牛になるよう期待されて、牧場で育てられている仔牛の男の子たち。みな、やんちゃに駆け回ってすくすく育っています。ところが、中に一頭ちょっとかわった子がいました。フェルディナンドです。物静かで、木陰で花の匂いばかり嗅いでいて、お母さんを心配させました。やがて、牧場で一、二を争う大きな雄牛になっても、フェルディナンドは、相変わらず物静かで花が大好きでした。

ある日、いつものように匂いを嗅ごうと花に顔を寄せたフェルディナンドは、花の中にひそんでいた蜂に鼻のあたまを刺されてしまいます。

「あっ、痛いっ、いたたたたっ!」

フェルディナンドは痛さのあまりダッシュ。猛スピードで駆けまわりました!

「あれこそ理想の闘牛だ!」フェルディナンドの走る様子を見て、折しも町から闘牛のスカウトに来ていた男たちは大興奮!さっそく大喜びでフェルディナンドを闘牛場へ連れて帰りました。

闘牛場にデビューする日がやってきました。フェルディナンドは、張り切った闘牛士がマントを翻し、剣を構えて待つ闘牛場へ引き出されます。「さぁ来い!」

さて、フェルディナンドは・・・

・・・あらすじのご紹介はここまでにしておきます。というのも、"The Story of Ferdinand"(邦訳:はなのすきなうし)を初めて読みきかせていた時、実は、私、怖くなってここから先に、ページをめくれなかったんです!皆さまはいかがでしょうか?

シリコンバレーは、ITの先端企業やバイオの研究開発機関などが集積し、投資家がひしめいている、というアグレッシブなイメージの地域ですが、実は、もともとはあたりいちめん果樹園や畑が広がる農業地帯だったところで、今でも、ちょっと街中をはずれるとかつての名残があります。

高速道路脇のゆるやかな丘陵には、春先には牛が放牧され、野生の菜の花や水仙の咲く丘を、のんびり草を食べながら日がな一日ゆうゆうと移動していきます。

スタンフォード大学時代のある日、サンフランシスコへの日帰り出張の帰り道に、この高速脇の丘の牛たちを指して「あの牛の群れを見ると、いつもフェルディナンドの物語を思い出すのよね」と同僚に話したら、翌日、その同僚が「君の話を聞いて、うちの牧場の牛の一頭にフェルディナンドという名前をつけたんだよ」と話してくれました。ちょっと驚いたのは、同僚の彼はフェルディナンドトはほど遠い、どちらかというと猛り立った闘牛さながらのアグレッシブな投資家だったことです。もちろん、だからこそ大学以外のビジネスでも大いに成功して、牧場まで持っていたわけですが・・・。でも、案外、彼も、根は「花の好きな牛」だったのかもしれませんね。


コメント (1)
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