The I Love You Book
バレンタインデーの2月。今月の絵本選びは「愛」がテーマです。
最初はサンフランシスコ在住の新進絵本作家トッド・パールの"The I Love You Book"です。「『大好き!』の本」とでも訳せばよいでしょうか?
ページをめくると、鮮やかな色彩でいろんな赤ちゃんがいる場面が描かれていて、どの場面でも「あなたが大好きよ!」というお母さんのメッセージが繰り返されます。
赤ちゃんが泣いている場面では「泣いてても、あなたが大好きよ!」
赤ちゃんが笑っている場面では「笑ってるあなたも大好きよ!」
いたずらしている場面では「馬鹿なことしてるあなたも大好きよ!」
おむつにウンチが出た場面では「臭くっても、あなたが大好きよ!」
・・・というふうに。
それだけのお話なのですが、ページをめくりながら、「大好きよ!」「大好きよ!」"I love you!""I love you!"と、何度も何度も繰り返して声に出して読み上げていると、だんだん胸のなかがあたたかくなってきます。
この本だけではありません。トッドの絵本は、どれも、子どもをありのまま肯定するメッセージに満ちています。"It's OK to be Different"邦訳「ええやん、そのままで」など、まさにズバリそのままです。
トッド・パールはワイオミング州の、小さな小さな町で生まれ、育ちました。ワイオミングは現在でもひとよりも牛の方が多いと言われているほどの酪農業の州です。小さいころから絵が大好きでアーティストになりたかったのですが、学校では図画工作も美術もまるっきり上手にできず、そのためすっかり自信をなくしてしまったトッドは、画家になりたいとも言えず、絵の勉強にも進まずに、いろいろな職業を転々としました。
年経て「やっぱり絵が好き!」とアートの道に進んだものの、なかなか芽が出ませんでした。アーティストになる決意はかたく、もう迷わなかったとトッドは語っていますが、やがて初めての絵本を書いたとき、トッドは36歳になっていました。
自信が持てずに、いつも悶々としていたトッド。そんなトッドを励ましてくれたのはおばあちゃんでした。「今はちょっと迷っているみたいだけど、大丈夫よ。あなたにも、行くべき道がきっと見つかるからね。」おばあちゃんは、トッドに、いつもこう言ってくれたそうです。