3月5日、仕事終わりに成蹊大学へ。

成蹊大学高等教育開発・支援センター主催
FD・SD講演会「教育現場でいま求められていること~ 2020年に向けてキーワードをよみとく~」
に参加しました。
リクルートカレッジマネジメント編集長・小林浩さんが司会を務められ、他6人と共に登壇されました。
1時間半という時間に、高校生の現状、英語の4技能を測る資格試験・検定の活用、国際バカロレア(IB)、アクティブラーニング、探求基礎(京都・堀川高校)とRouteH、カリキュラムデザイン、オリエンタルランドのFSPプログラムと、今話題のトピックを詰め込んだ盛りだくさんな内容。
業務を切り上げるのが遅くなった関係で、前半のプレゼンテーションを聞くことはできなかったのですが、事前にサイトで資料を公開(現在は終了)していただいていたおかげで、どのような話をされたのか、概要をつかんでディスカッションの時間を迎えることができました。
1人のスピーカーについて7分という持ち時間は、「もっと聞きたい!」という気持ちや質問を喚起するという意味では有りなのかもしれません。
また、ディスカッションの時間は、予想していた通り、“双方向”のディスカッションまでは叶いませんでしたが、小林さんの仕切りのもと、各者のプレゼンテーションを深堀する質疑応答が行われました。
以下、当日の話題を雑多に羅列します。
(カッコ内のお名前は、その方が話していた時に出た話題を私がまとめたもので、厳密にその方の発言ということではありませんのであしからず。)
・高校生の立場からどんな教育が必要なのかを考えてみる。エリクソンの心理社会的発達段階説によると13~22(19)歳の発達課題は「自己同一性の確立」であり、「私は誰か? 私は私の何を活かして社会に参画できるか?」という問いを持ちながら、大学に入学してくる。(ベネッセ・山下氏)
・カリキュラムツリーを作ろうとすると、専門の科目のみで検討しようとするが、大学全体の活動と学生の発達段階、成長を考えてカリキュラムをデザインすることが大切。(ベネッセ・山下氏)
・(中教審答申等でも指摘されながら、カリキュラムマップによるカリキュラムの構造化やナンバリングが進まないのは、どうすればいいか?)日本では教員に科目が紐づいており、科目が多い。全体を見直し、学生にとってどのような科目が必要かを、教員の名前を抜きにして整理してみる。カリキュラムマップは“学生の成長マップ”であると考えることが大切。(ベネッセ・山下氏)
・オリエンタルランドでテーマパーク運営にあたって求める人材像は、「Safety・Courtesy・Show・Efficiency」を通して「Happiness」という“提供価値”をお客様に出せること。企業は従業員に対してお金を払っているので、しっかり育ってくださいと言えるが、大学は学生=顧客でもあり、“提供価値”を考えなければならない分、複雑で難しい。(オリエンタルランド・横山氏)
・求める人材像を示すのは難しいが、難しいとは言っていられない。(オリエンタルランド・横山氏)
・経済成長期には他と同じ(漠然とした)人材像を示していても良かったが、これからは「提供価値」を明確にしていく必要がある。(リクルート・小林氏)
・(日本語ディプロマプログラムのIB校の認定のスケジュールとして、平成27年2月に最初の認定がなされるという話があったが?)もうすぐ認定される予定。2018年・200校に向けての課題は、学習指導要領との兼ね合いであり、生徒の負担を増やすものにならないようにしたいと考えている。(文科省大臣官房国際課・松木氏)
・(近大×ベルリッツや、神田外語大学と他大学の提携のように、大学内の英語教育は外部委託になっていくのだろうか?)大学としての英語教育のメソッドは何か、その答えがどうあるかにより、外部か内部かは変わるだろう。(ベネッセ・藤井氏)
・(リクルート調べによると、アクティブラーニングは高校で47%が導入していると回答、ただし全体で導入するのは8%。飛躍的に導入するにはどうしたらいいか?)アクティブラーニングの基本は、「授業の受け方」。聞くときは聞く、話すときは話す。これをやるだけでも、学び方が変わる。(アクティブラーニング社・羽根氏)
・教育はインプット+アウトプット。いまの情報化社会に置いて、知識の提供は価値がなくなってきている。アウトプットをどうさせるか。フィンランドのアールト大学では、3~4年生はアウトプットのみ。カリキュラムをなくし、ものをつくることに注力する。2008年から改革が始まり、7年でここまで変化している。学生たちが立ち上げた「SLUSH」というイベントは今年、「SLUSH ASIA」として東京でも開催される(4/24)。(アクティブラーニング社・羽根氏)
(補足)
・アールト大学紹介(飛ぶ教室)
*他にも検索すると様々な記事が出てきます。
・SLUSH ASIA
アールト大学については良く知らなかったのですが、ちょうど友人がFacebookで「SLUSH ASIA」について書いていたこともあり、タイムリーな話題でした。
上記のほか、フロアから「高大接続答申では、『人が人を評価する』という入試の変革は本当にできるのか」「IBには教員養成のコストも大きいが、どうか」などといった質問もあり、タイトルの通り、「教育現場でいま求められていること」に多岐にわたって触れることができました。
大学の教育に関するイベントは、さまざまあるトピックの中からひとつのテーマを定めて、深堀りしていくものが多いのですが、今回、こうした広く浅くさまざまな話題に触れる形式のイベントに参加して、近視眼的にならずに大学教育を俯瞰的に見ることができるという意味で、FD・SD研修としてこういった形式もありだなと感じました。
また、今回は高校生の理解からカリキュラムデザイン、就職支援・社会から求められる人材像まで幅広く触れられ、これらは繋がっているのだと改めて実感しました。
私自身、職場の業務では教務関係の教職員向けの研修会を担当してるのですが、「教務」「就職」「広報」「学生支援」など、その担当者同士で考える研修会だけでなく、大学教育の一連の流れ、入口から出口までをつないだ研修の機会も考えられたら面白いなと思い、このイベントの形式自体が、とても有益な時間でした。
業務を切り上げて向かうのはハードでしたが、参加できてよかったです。

成蹊大学高等教育開発・支援センター主催
FD・SD講演会「教育現場でいま求められていること~ 2020年に向けてキーワードをよみとく~」
に参加しました。
リクルートカレッジマネジメント編集長・小林浩さんが司会を務められ、他6人と共に登壇されました。
1時間半という時間に、高校生の現状、英語の4技能を測る資格試験・検定の活用、国際バカロレア(IB)、アクティブラーニング、探求基礎(京都・堀川高校)とRouteH、カリキュラムデザイン、オリエンタルランドのFSPプログラムと、今話題のトピックを詰め込んだ盛りだくさんな内容。
業務を切り上げるのが遅くなった関係で、前半のプレゼンテーションを聞くことはできなかったのですが、事前にサイトで資料を公開(現在は終了)していただいていたおかげで、どのような話をされたのか、概要をつかんでディスカッションの時間を迎えることができました。
1人のスピーカーについて7分という持ち時間は、「もっと聞きたい!」という気持ちや質問を喚起するという意味では有りなのかもしれません。
また、ディスカッションの時間は、予想していた通り、“双方向”のディスカッションまでは叶いませんでしたが、小林さんの仕切りのもと、各者のプレゼンテーションを深堀する質疑応答が行われました。
以下、当日の話題を雑多に羅列します。
(カッコ内のお名前は、その方が話していた時に出た話題を私がまとめたもので、厳密にその方の発言ということではありませんのであしからず。)
・高校生の立場からどんな教育が必要なのかを考えてみる。エリクソンの心理社会的発達段階説によると13~22(19)歳の発達課題は「自己同一性の確立」であり、「私は誰か? 私は私の何を活かして社会に参画できるか?」という問いを持ちながら、大学に入学してくる。(ベネッセ・山下氏)
・カリキュラムツリーを作ろうとすると、専門の科目のみで検討しようとするが、大学全体の活動と学生の発達段階、成長を考えてカリキュラムをデザインすることが大切。(ベネッセ・山下氏)
・(中教審答申等でも指摘されながら、カリキュラムマップによるカリキュラムの構造化やナンバリングが進まないのは、どうすればいいか?)日本では教員に科目が紐づいており、科目が多い。全体を見直し、学生にとってどのような科目が必要かを、教員の名前を抜きにして整理してみる。カリキュラムマップは“学生の成長マップ”であると考えることが大切。(ベネッセ・山下氏)
・オリエンタルランドでテーマパーク運営にあたって求める人材像は、「Safety・Courtesy・Show・Efficiency」を通して「Happiness」という“提供価値”をお客様に出せること。企業は従業員に対してお金を払っているので、しっかり育ってくださいと言えるが、大学は学生=顧客でもあり、“提供価値”を考えなければならない分、複雑で難しい。(オリエンタルランド・横山氏)
・求める人材像を示すのは難しいが、難しいとは言っていられない。(オリエンタルランド・横山氏)
・経済成長期には他と同じ(漠然とした)人材像を示していても良かったが、これからは「提供価値」を明確にしていく必要がある。(リクルート・小林氏)
・(日本語ディプロマプログラムのIB校の認定のスケジュールとして、平成27年2月に最初の認定がなされるという話があったが?)もうすぐ認定される予定。2018年・200校に向けての課題は、学習指導要領との兼ね合いであり、生徒の負担を増やすものにならないようにしたいと考えている。(文科省大臣官房国際課・松木氏)
・(近大×ベルリッツや、神田外語大学と他大学の提携のように、大学内の英語教育は外部委託になっていくのだろうか?)大学としての英語教育のメソッドは何か、その答えがどうあるかにより、外部か内部かは変わるだろう。(ベネッセ・藤井氏)
・(リクルート調べによると、アクティブラーニングは高校で47%が導入していると回答、ただし全体で導入するのは8%。飛躍的に導入するにはどうしたらいいか?)アクティブラーニングの基本は、「授業の受け方」。聞くときは聞く、話すときは話す。これをやるだけでも、学び方が変わる。(アクティブラーニング社・羽根氏)
・教育はインプット+アウトプット。いまの情報化社会に置いて、知識の提供は価値がなくなってきている。アウトプットをどうさせるか。フィンランドのアールト大学では、3~4年生はアウトプットのみ。カリキュラムをなくし、ものをつくることに注力する。2008年から改革が始まり、7年でここまで変化している。学生たちが立ち上げた「SLUSH」というイベントは今年、「SLUSH ASIA」として東京でも開催される(4/24)。(アクティブラーニング社・羽根氏)
(補足)
・アールト大学紹介(飛ぶ教室)
*他にも検索すると様々な記事が出てきます。
・SLUSH ASIA
アールト大学については良く知らなかったのですが、ちょうど友人がFacebookで「SLUSH ASIA」について書いていたこともあり、タイムリーな話題でした。
上記のほか、フロアから「高大接続答申では、『人が人を評価する』という入試の変革は本当にできるのか」「IBには教員養成のコストも大きいが、どうか」などといった質問もあり、タイトルの通り、「教育現場でいま求められていること」に多岐にわたって触れることができました。
大学の教育に関するイベントは、さまざまあるトピックの中からひとつのテーマを定めて、深堀りしていくものが多いのですが、今回、こうした広く浅くさまざまな話題に触れる形式のイベントに参加して、近視眼的にならずに大学教育を俯瞰的に見ることができるという意味で、FD・SD研修としてこういった形式もありだなと感じました。
また、今回は高校生の理解からカリキュラムデザイン、就職支援・社会から求められる人材像まで幅広く触れられ、これらは繋がっているのだと改めて実感しました。
私自身、職場の業務では教務関係の教職員向けの研修会を担当してるのですが、「教務」「就職」「広報」「学生支援」など、その担当者同士で考える研修会だけでなく、大学教育の一連の流れ、入口から出口までをつないだ研修の機会も考えられたら面白いなと思い、このイベントの形式自体が、とても有益な時間でした。
業務を切り上げて向かうのはハードでしたが、参加できてよかったです。