さくらの大学ノート

さくらが日々想うことをつづります。
(旧だいがくしょくいんのたまご・ひよこ)

1月の読書(1)自信を持つこと

2014年01月14日 | レビュー
こんばんは、さくらです。

今年は、月毎にテーマを決めて本を読もうかな、と考えています。
――同じジャンルの本を複数冊読むと、共通して書かれていることがある。それがその分野のコアである。
書物の知識を知恵にしていくため、それを実感しながら読もうと思ったのです。
2冊目からは読むのが楽になる、なんてことも言われますよね。

ということで、1月。
今月は、「自己の変化と自信」としました。
いきなり自己啓発系かよ! というツッコミも受けそうですが(笑)、昨年末からの「自分を変えていこう」「自信を持てるようになりたい」という気持ちに沿って、まず手に取ったのはこの本。

自信を育てる心理学 「自己評価」入門
ナサ二エル・ブランデン著 手塚郁恵訳(春秋社)

いま、書店に置かれているのは新装版なのですが、なんだか読んだことあるぞ、と思い返してみたら、大学生の頃、一度手にしていました

米国の臨床心理学者ナサニエル・ブランデン氏が臨床の現場で検証を重ねてきた「自己評価(セルフ・エスティーム)」を育てるための理論とアイディアをまとめた本です。
「文章完成法」を中心とした28のエクササイズを通して、自分自身で自己評価を高めていくことができます。

つまり、実践することに価値のある本なのですが、学生時代には、この本のエクササイズをすべて終えることができませんでした。
本書のような心理学の本にせよ、ビジネス・自己啓発系の本にせよ、「自分を変える」本はあまたありますが、「ちゃんとカウンセリングを受けたほうがいいレベル」の当時の私には、難しかったんですね。
自分で自分をどうにかするには、一定の強さとポジティブさが必要なのではないかなと思います。

と、私の話はさておき。

自己評価(セルフ・エスティーム)とは何なのか。本書には以下ように書かれています。

自己評価には二つの要素があります。<自分が有能であるという実感>と<自分は価値があるという実感>です。いわば自信と自尊の総和です。それは、人生の難問に対処する自分の能力(問題を理解し、それを解決する能力)と、自分が幸せになる権利(自分の関心や欲求を大切にし、それを擁護する権利)について、その人が暗黙のうちにどう判断しているかを反映しています。


自己評価は、<人が自分のことをどう思い、どう感じるか>ではなく、<自分が自分自身をどう思い、どう感じるか>なのです。


自己評価を高めるためには、「意識的に生きる」ことが大切だといいます。

意識的に生きるとは、事実を尊重することです。外部的な事実ばかりでなく、内面的な事実も尊重するのです。「認めたくないものは見ようとしない」という態度とは正反対です。
これは好きであるから認めるとか、嫌いだから認めないということではありません。好きでも嫌いでも事実は認めるということです。いやだとか、そうであるはずがないとか思っても、事実は変わらないということを認めることです。


変化していくための前提条件として、「自己受容」があります。

<受容する>ことは必ずしも<好きになる>ことではありません。<受容する>とは、変えたい・もっとよくしたいと思わないことではありません。否定したり避けたりしないで、事実は事実として受け止めるという意味なのです。


そうはいっても、ある出来事に対する否定的な感情など、どうしても受け容れることができなかったら。

そのような場合には、無理に受け容れようとしないことです。もしある感情や考えや記憶を受け容れることができないのなら<受け入れることができない>ということを受け容れるのです。そうすれば、結果的に受け容れることができるようになるのです。


<受け容れられない>ということを事実として受け容れることですね。


このような理論を、主に「文章完成法」という方法を用いて実践し、身につけていきます。
本書で最初に出てくる文章完成法を用いたエクササイズの冒頭に、こんな説明があります。

文章完成法は、自己の気づきや、自己受容や、人間的な成長を育てるのにとても役に立つ方法です。これをやってみましょう。ノートと筆記用具が必要です。
ノートの新しいページの一番上に、次の未完成文を一つ書いてください。あげてある順序通りにやってください。ページの一番上に一つの未完成文を書いたら、できるだけ速く6個から10個の答えを書いてください。字が間違っていないか、他の答えと矛盾していないかと心配しないでください。答えはどれも絶対的なものではありません。ただの実験に過ぎません。


エクササイズでは、
・私はかつて……であったとはとても信じられません。
・……を認めるのは、私にとって容易ではありません。
・私が受け容れにくい感情は……です。
・私が受け容れにくい行動は……です。

など、17項目の未完成文が並びます。

このあとも、エクササイズ毎にテーマにあわせた未完成文が続きます。


大切なのは、回答を思い浮かべながら読み進めるのでなく、実際にノートに書くことです。
すぐに6~10個の答えを書ける項目は少なく、どうにかひねり出して数を並べるものもあります。
この「どうにかひねり出す」ことを通して、自分の考えや感情に気づくことが何度もありました。
自分の中で矛盾する考えもたくさん見つかりましたし、その矛盾している状態も受け容れられるようになり、白黒ハッキリ答えを出せるまでひとつのことに捉われてしまうことも少なくなったように思います。

とはいえ、まだ全てのエクササイズを終えていません。
本書自体はすでに3回ほど通して読んでいますので、今月中にエクササイズを終えて、2月を迎えようと思います。


本書を書店で買い求めた最初の動機は、仕事のことで悩む友人の話を聞いたからでした。
いじめもしくはパワハラが横行するような職場環境に耐えながら仕事をするうちに、彼女は自分自身にすっかり自信をなくしてしまいました。
第三者として話を聞けば、おかしいのは職場の方なのですが、彼女は「つらいのは自分が弱いせいだ」「今仕事を辞めたら『逃げだ』と言われた」と言い、自己の認識の仕方が歪んでしまっていると感じました。
「彼女が自分に自信を持って、幸せな人生を歩もうと思えるようになるにはどうしたらいいんだろう?」そう思いながら書店の本棚を歩いていたときにであったのが本書です。

私自身が本書を体験することで、いつか彼女の助けにもなれたらいいなと思っています。

「学校をつくろう―その時、若者たちは未来を見た―」

2011年02月20日 | レビュー
ごぶさたしております。さくらです
唐突に、ブログ再開しようと思います

さて、本日、「学校をつくろう-その時、若者たちは未来を見た-」という映画を観ました。

これは、専修大学が創立130周年を記念して制作した映画。
志茂田景樹氏が書いた小説「蒼翼の獅子たち」が元になっています。

【映画の概要】
明治維新の動乱期に、母国日本の発展のため、4人の青年がアメリカに留学した。彼らは、留学で培った専門知識を社会に還元しようと、苦心惨憺の末、専門的な知識を日本語で教授する日本初の経済科と法律科を併設した高等教育機関である「専修学校」(専修大学の前身)を創立しました。「熱き思い」を持って夢を実現した創立者たちの青春物語です。

(4人の青年…相馬永胤、駒井重格、田尻稲次郎、目賀田種太郎)

専修大学WEBサイトより


専修大学創立者たちの、日本の発展と学校づくりにかける熱い想いが伝わってくる、とてもいい映画でした。

学校は、「想い」と、それに共感する人の「縁」で作られていくのだと感じました。
学校に限らないとは思いますが、創立者らの「学校をつくりたい」という想いや、その背景にある「社会(日本)には今、こういう人材が必要なんだ!」という明確なビジョンがあり、また、それに共感した多くの協力者の力添えがあって、現在の専修大学があること。そのストーリーに、心から感動しました。

今、自らの社会的な存在理由を見失い、迷走する学校も見受けますが、私立の学校関係者が、創立者の想いやストーリーに触れるということは、自らの学校の存在意義を改めて考える上で、とても大切ですね。
「建学の精神」は重要ですが、何十回と繰り返し読んでも、その文章から背景を読み取るのは難儀な作業です。でも、ストーリーなら、多くの人に伝わり、心にすっと入ってきますよね。
歴史ある大学であれば、創立者の想いやストーリーを改めて整理すること、近年新設された学校であれば、それをしっかり記していくことが、学校の未来につながっていくのではないかと、思いました。


また、今回、法学と経済学の関連性についても学びました。
なぜ、XX経済法科大学や、経済学部の中に法学科があったりするのかということについて、ちゃんと理解できていなかったのですが、学問の歴史を知ることで、そのつながりも見えてくるのですね。
他の学問についても、その発祥や歴史を知りたくなりました!


鑑賞後、一緒に観た師匠と、専修大学がこの映画をどう使うか、という話をしました。
プロモーションに活用するのはもちろんとして、
「オープンキャンパスで上映するには少し長いかな?」
「初年次教育の中で、使えるね」
「併せて近代史などの解説を入れていくといいんじゃない?」
「それなら1回30~40分ずつにして、何回かに分けたら90分授業でできるよ」
というような会話をしていました。
自校教育の教材としても、すごく豊かな作品です。


正直、うらやましいです……。
私も母校のストーリーを映像化してほしくなりました。
母校・桜美林大学には映画制作のコースもあることですし、全国上映でなくてもいいから、実現しないかなぁ…と思っています。


「学校をつくろう-その時、若者たちは未来を見た-」、上映会場は少ないのですが、学校教育関係者の方には、ぜひご覧いただきたい作品です。


「17歳の選択」

2010年01月04日 | レビュー
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この本に登場するのは、「サクラ大戦」の広井王子氏、「東京ラブストーリー」の柴門ふみ氏、「新世紀エヴァンゲリオン」の大月俊倫氏、「マジンガーZ」の永井豪氏、「あしたのジョー」のちばてつや氏、そしてアフタヌーン編集長の吉田昌平氏の6人。

もともとは、「アニメ・マンガ学科」への進学を考えている人向けに出版する予定で取材を進めていたそうですが、20代・社会人の私が読んでも、心にグッとくるメッセージがたくさん詰まっている本でした。

登場する方たちに共通しているのは、たくさんの読書をすること。映画を観ること。
「ストーリーを通して、人生をシミュレーションすることができる。その想像力はスムーズな人間関係を築いていく上で欠かせないもの」(永井豪)
「(男ゴコロがわかるようになるためには)主人公の気持ちの流れに違和感を持たずに読める『いいフィクション』に触れること。感情移入できる作品に触れることで、自然と次の行動が読めたり、心理がわかるようになってくる」(柴門ふみ)

多くのストーリーに触れることが、他者とコミュニケーションをとる力になっていくのですね。

最近、「アニメ・マンガ学科(コース)」を設置する大学が増えていますが、大学において「アニメ・マンガ学」をやることは、専門=プロフェッショナルアーツのように見えて、教養=リベラルアーツなのか、と、大学関係者として見方が変わった一冊でした。

おまけ
【学部学科コース等に「アニメ」「マンガ」を掲げている大学一覧】

文星芸術大学(栃木)
美術学部 美術学科 マンガ専攻/アニメーション専攻

創造学園大学(群馬)
創造芸術学部 芸術学科 漫画・アニメ・声優コース

東京造形大学(東京)
造形学部 デザイン学科 アニメーション専攻領域

東京工芸大学(東京・神奈川)
芸術学部 アニメーション学科/マンガ学科

長岡造形大学(新潟)
造形学部 視覚デザイン学科 マンガコース

名古屋造形大学(愛知)
造形学部 造形学科 映像・アニメーションコース/マンガコース

成安造形大学(滋賀)
芸術学部 芸術学科 メディアデザイン領域アニメーション・CGコース

京都嵯峨芸術大学(京都)
芸術学部 メディアデザイン学科 映像・アニメーションコース

京都精華大学(京都)
マンガ学部 マンガ学科/アニメーション学科/マンガプロデュース学科

京都造形芸術大学(京都)
芸術学部 キャラクターデザイン学科 アニメディレクションコース

大阪芸術大学(大阪)
芸術学部 キャラクター造形学科 漫画コース/アニメーションコース

大阪電気通信大学(大阪)
総合情報学部 デジタルアート・アニメーション学科

大手前大学(兵庫)
メディア・芸術学部 メディア・芸術学科 マンガ・アニメーション系

宝塚大学(兵庫・東京)
造形芸術学部 メディア・デザイン学科 マンガコース/アニメーションコース
東京メディア・コンテンツ学部 メディア・コンテンツ学科 マンガコース/アニメーションコース

神戸芸術工科大学(兵庫)
先端芸術学部 まんが表現学科/映像表現学科 アニメコース

倉敷芸術科学大学(岡山)
芸術学部 メディア映像学科 マンガ・アニメーションコース

東亜大学(山口)
デザイン学部 デザイン学科 アニメーション・映像コース

※学部学科コース等は、平成22年4月からの名称(予定)です。

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「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」

2010年01月03日 | レビュー
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ドラッガーの「エッセンシャル版マネジメント」の副読本。
小説ではなく、あくまでも副読本としてとらえてください。
(話がうまく行きすぎてしまうので。)

高校野球のマネージャーを務める女子高生がドラッガーのマネジメント理論と実践によって、部を甲子園に連れて行こうとするという、変わった切り口から入っていくので、入門書としていいと思います。

ただ、表紙や挿絵のイラストがちょっと電車の中とかで見られると気まずい感じです(笑)。
このイラストを合わせるコンセプトがナゾ…でも私のように初心者が手に取ったわけだし、著者や出版社としては成功なのでしょうかねぇ。

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