Yahoo!ニュースより。
ということで、北陸大学のHPにも飛んでみました。
北陸大学の指定校推薦の詳細
だそうです。
私は個人的には、指定校推薦は反対派です。
以前、母校で受験生対応の仕事をアルバイトでさせてもらっていたことは、このブログにも書きましたが(現在は辞めて違うアルバイトをしています)、見学に来る受験生の中で、最も意欲が少なく見えるのが、この指定校推薦選抜受験者だったからです。
「ぶっちゃけ大学に入れればどこでもいい。でもとりあえずどんなところか見ておこうかな。」そんな雰囲気が漂っていました。親御さんと見学に来ることが多かったのですが、だいたい親御さんがメインで質問をして、子どもはそれを聞いている、そんな対話でした。
私の母校は、首都圏の中堅クラスの文系総合大学で(というか、私の通っている大学院に目星をつけている人はそれでわかるでしょうが)、AO選抜、公募制推薦選抜などは不合格者もでていますから、特にうちの大学だけが意欲の見えない受験生があつまるというパターンなわけではないと思います。
「指定校推薦=高校の推薦さえ取れれば受かる」という構図の中で、どれだけ受験生の意欲を高められるかは疑問なのです。
ニュースの中で、『北陸大は「学生に意欲があり、教育の中身がしっかりしていれば能力はついてくる」として、志願者増を期待している。』という話が載っています。同じ私立でも上位校(早慶・関関同立など、今でも憧れを持たれる大学)なら話は違うかもしれませんが、中堅以下校で、指定校推薦で意欲を持つ学生を集めるのは、容易ではないと思います。
そもそも指定校推薦という制度はどのような意味を持って設けられた選抜方法なのでしょう?私は今まであまり考えたことがありませんでした。盲点でしたね。
大学が、トロウの言うエリート大学だったころは、指定校推薦枠というのはとても有効なものだったと思います。高校側も、大学進学者を1人でも多く出して実績に結び付けたいでしょうから、責任を持って推薦するでしょう。ヘタな生徒を推薦してしまえば、次年度の指定校枠が危ぶまれますからね。
しかし現在はもう大学が入学者を選ぶ時代ではなく、入学者が大学を選ぶ時代になりました。高等教育機関への進学率は70%を超え、就職のためには『大卒』の方がいいかな、などと考えられるこのような時代においては、指定校推薦は高校にとって「やりたいことも見つからないしとりあえず大学へ」という生徒を大学へ放り込む(言い方が悪くてすみません)恰好の制度にしかなりえない、という気がするのです。
このようなことが起こりうることに対して、高校側を責めるつもりはありません。指定校推薦の制度がある以上、そのように使われても仕方がない、文句は言えない、と思うのです。だから、指定校推薦には反対なのです。
それでも、目的が絞り込まれていて明確であれば、指定校推薦制度はあってもいいのかな、と思います。例えば、公立大学の場合。都道府県立大学、もしくは市立大学ということになりますが、その都道府県・市民の教育に貢献するという意味で、その都道府県・市に設置されている高校に指定校推薦枠を設けるのは、理にかなっていると思います。
それから、高校の専門学科とそれに対応する大学、学部・学科の場合。工業高校に工業大学(学部)の指定校枠、とか、音楽科に音楽大学(学部)の指定校枠、というカタチです。もちろんこれらは実際に行われていると思いますが。
それ以外の指定校枠については、数も少ないでしょうし、廃止してその分の募集定員を公募制推薦やAO選抜、一般選抜に回してもいいのではないかと思います。
北陸大学に話を戻します。今回の最大の疑問点は、「なぜ指定校枠が全国区なのか」ということだと思います。目的がさっぱりわかりません。だからニュースのように「『高校生なら誰でもいい』としか聞こえない。」と言われてしまうんです。
私の上記の理論でいえば、私が指定校枠を全国に設けて理解できるのは国立大学だけですよ(独法化されたから、「百歩譲って」です。現実にはないと思いますけど)。
ニュースの言葉尻を取り上げて批判したくはないのですが、北陸大学学長は「機会を均等に多くの人に与えたい。入試制度に一石を投じたい」と話していますね。でも、指定校推薦が現役高校生対象である時点で浪人生は受験できませんから、機会均等でもなんでもないと思います。
最近「機会を均等に多くの人に与えたい。入試制度に一石を投じたい」という名目で置かれるのは奇抜な手法の「AO選抜」ですよね。ここではAO選抜とは何かという議論は横に置いておきますが、あらゆる大学であらゆる「AO」という名前のついた選抜が行われるようになって、AO選抜を特化しても目立たないから「指定校推薦」にしたのでしょうか。
入試制度に一石が投じられたとは思いませんが、私がこうして考えさせられたと言う意味で、私の心には一石が投じられました。
最終的には、まぁ、どんなやり方で学生を集めても結構です。
学生がこの大学でよかったと思うような教育を提供し、社会に出てからも、自分の足で歩いていけるような力を身に付け、世に送り出すことが出来れば。4年後の学生が満足しているのならいいです。
石川にはあの「金沢工大」もありますからね(^^)「秘伝のタレ」に期待しましょう。
<北陸大>すべての全日制高校を指定校に 入試での推薦
金沢市の北陸大(河島進学長)は、07年度入試の指定校推薦で国内すべての全日制高校を指定校にする。高等専門学校を含む5238校が対象。指定校推薦は高校側との信頼関係の上に成り立つ制度で、高校から推薦されればほぼ合格する。文部科学省は「他に聞いたことがない」とし、高校側にも戸惑う声があるが、北陸大は「学生に意欲があり、教育の中身がしっかりしていれば能力はついてくる」として、志願者増を期待している。
北陸大は75年創立の私学。4学部あり、全学生約2800人。07年度の入学定員は計506人で、うち薬学部と未来創造学部で全国の高校を指定校にして計200人を募集する。出願期間は10月10日~20日。筆記試験はなく、生徒には面接し、定員以上の応募があった場合は選抜を行う。
06年度は両学部で指定校募集枠が計50人。指定校は薬学部67校、未来創造学部185校だった。
河島学長は「機会を均等に多くの人に与えたい。入試制度に一石を投じたい」と話し、将来は一般入試廃止も検討しているという。一方、ある東京都立高の男性教諭は「『高校生なら誰でもいい』としか聞こえない。生徒に配る指定校一覧表には載せなかった」と語る。
07年には、大学・短大の総定員数と志願者数が同じになる大学全入時代が到来する。大手予備校「代々木ゼミナール」入試情報センターの坂口幸世(ゆきとし)本部長は「一部の大学は、入試が選考ではなく、単なる募集になっている」と指摘する。【八田浩輔、高山純二】
(毎日新聞) - 9月17日3時8分更新
ということで、北陸大学のHPにも飛んでみました。
北陸大学の指定校推薦の詳細
平成19年度指定校推薦選抜
概要
募集人員
薬学部 120人
未来創造学部未来社会創造学科 40人
未来創造学部未来文化創造学科 40人
(*日程などは中略)
全国すべての高校が指定校
2007年度から、北陸大学は全国5200校の高等学校すべてを指定校とさせていただきます。そして、学びへの明確な意志を持つ全国の皆さんを受け止め、“北陸大学秘伝のタレ”とも呼ぶべき独自の教育方法で責任と愛情を持って教育します。
だそうです。
私は個人的には、指定校推薦は反対派です。
以前、母校で受験生対応の仕事をアルバイトでさせてもらっていたことは、このブログにも書きましたが(現在は辞めて違うアルバイトをしています)、見学に来る受験生の中で、最も意欲が少なく見えるのが、この指定校推薦選抜受験者だったからです。
「ぶっちゃけ大学に入れればどこでもいい。でもとりあえずどんなところか見ておこうかな。」そんな雰囲気が漂っていました。親御さんと見学に来ることが多かったのですが、だいたい親御さんがメインで質問をして、子どもはそれを聞いている、そんな対話でした。
私の母校は、首都圏の中堅クラスの文系総合大学で(というか、私の通っている大学院に目星をつけている人はそれでわかるでしょうが)、AO選抜、公募制推薦選抜などは不合格者もでていますから、特にうちの大学だけが意欲の見えない受験生があつまるというパターンなわけではないと思います。
「指定校推薦=高校の推薦さえ取れれば受かる」という構図の中で、どれだけ受験生の意欲を高められるかは疑問なのです。
ニュースの中で、『北陸大は「学生に意欲があり、教育の中身がしっかりしていれば能力はついてくる」として、志願者増を期待している。』という話が載っています。同じ私立でも上位校(早慶・関関同立など、今でも憧れを持たれる大学)なら話は違うかもしれませんが、中堅以下校で、指定校推薦で意欲を持つ学生を集めるのは、容易ではないと思います。
そもそも指定校推薦という制度はどのような意味を持って設けられた選抜方法なのでしょう?私は今まであまり考えたことがありませんでした。盲点でしたね。
大学が、トロウの言うエリート大学だったころは、指定校推薦枠というのはとても有効なものだったと思います。高校側も、大学進学者を1人でも多く出して実績に結び付けたいでしょうから、責任を持って推薦するでしょう。ヘタな生徒を推薦してしまえば、次年度の指定校枠が危ぶまれますからね。
しかし現在はもう大学が入学者を選ぶ時代ではなく、入学者が大学を選ぶ時代になりました。高等教育機関への進学率は70%を超え、就職のためには『大卒』の方がいいかな、などと考えられるこのような時代においては、指定校推薦は高校にとって「やりたいことも見つからないしとりあえず大学へ」という生徒を大学へ放り込む(言い方が悪くてすみません)恰好の制度にしかなりえない、という気がするのです。
このようなことが起こりうることに対して、高校側を責めるつもりはありません。指定校推薦の制度がある以上、そのように使われても仕方がない、文句は言えない、と思うのです。だから、指定校推薦には反対なのです。
それでも、目的が絞り込まれていて明確であれば、指定校推薦制度はあってもいいのかな、と思います。例えば、公立大学の場合。都道府県立大学、もしくは市立大学ということになりますが、その都道府県・市民の教育に貢献するという意味で、その都道府県・市に設置されている高校に指定校推薦枠を設けるのは、理にかなっていると思います。
それから、高校の専門学科とそれに対応する大学、学部・学科の場合。工業高校に工業大学(学部)の指定校枠、とか、音楽科に音楽大学(学部)の指定校枠、というカタチです。もちろんこれらは実際に行われていると思いますが。
それ以外の指定校枠については、数も少ないでしょうし、廃止してその分の募集定員を公募制推薦やAO選抜、一般選抜に回してもいいのではないかと思います。
北陸大学に話を戻します。今回の最大の疑問点は、「なぜ指定校枠が全国区なのか」ということだと思います。目的がさっぱりわかりません。だからニュースのように「『高校生なら誰でもいい』としか聞こえない。」と言われてしまうんです。
私の上記の理論でいえば、私が指定校枠を全国に設けて理解できるのは国立大学だけですよ(独法化されたから、「百歩譲って」です。現実にはないと思いますけど)。
ニュースの言葉尻を取り上げて批判したくはないのですが、北陸大学学長は「機会を均等に多くの人に与えたい。入試制度に一石を投じたい」と話していますね。でも、指定校推薦が現役高校生対象である時点で浪人生は受験できませんから、機会均等でもなんでもないと思います。
最近「機会を均等に多くの人に与えたい。入試制度に一石を投じたい」という名目で置かれるのは奇抜な手法の「AO選抜」ですよね。ここではAO選抜とは何かという議論は横に置いておきますが、あらゆる大学であらゆる「AO」という名前のついた選抜が行われるようになって、AO選抜を特化しても目立たないから「指定校推薦」にしたのでしょうか。
入試制度に一石が投じられたとは思いませんが、私がこうして考えさせられたと言う意味で、私の心には一石が投じられました。
最終的には、まぁ、どんなやり方で学生を集めても結構です。
学生がこの大学でよかったと思うような教育を提供し、社会に出てからも、自分の足で歩いていけるような力を身に付け、世に送り出すことが出来れば。4年後の学生が満足しているのならいいです。
石川にはあの「金沢工大」もありますからね(^^)「秘伝のタレ」に期待しましょう。