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さくらの大学ノート

さくらが日々想うことをつづります。
(旧だいがくしょくいんのたまご・ひよこ)

IDE誌特集を深める会「プロとしての大学職員」に参加してきました。

2010年09月19日 | 勉強会・イベント
今日は、IDE誌特集を深める会「プロとしての大学職員」に参加するため、桜美林大学四谷キャンパスに行ってきました。

 詳細はこちら

スピーカーは以下の三氏。
■柴田 洋三郎氏(大学入試センター)「大学職員への期待」
■大工原 孝氏(日本大学)「大学の事務組織と職員」
■鈴木 敏之氏(東京大学)「『行動シナリオ』と職員養成の課題・東京大学」

参加者は、大学院や勉強会で知り合った大学職員の方もいましたし、若い方々も結構参加していたというのが印象的でした。


まず、講演を聞きつつ、そもそもの疑問として、

 「大学職員の『プロ』って、その要素って、何なんだろうなぁ?」

と、Twitterでつぶやいたところ、

@K0Eiさんから
 「プロかは分かりませんが、いわゆる「ナレッジ・ワーカー」は最低条件かと。」
というお返事をいただきました。
ナレッジワーカーについてはこちら
 リクルートWorks No.42(2000)「知的資本とナレッジワーカー」 

続いて、 
私:
「今聞いている話(※大工原さんのお話)にも最低条件や基本的要素が挙げられていますが、最低…は、大学職員に限ったことではない(社会人全体に言えることな)のかな、という思いもあり…難しいです。 」
@K0Eiさん:
「いや、その通りですね!しかし、一方で、無理に分ける必要もないのかと…」
「そういえば、立教学院の寺崎先生が「大学リテラシー」を提唱されていました。 これは大学職員の特色?
アルカディア学報(教育学術新聞掲載コラム)No.315
大学リテラシー試論 大学人 特に職員の基礎知識を考える


というやりとりがあり、さらに、
@twi2er_shinさんより、
「企業も同様です。『効率的な日常業務処理だけに専念するのでなく、大学の全体を視野に入れ、将来の方向についても積極的に提案できる人こそが職員』
アルカディア学報(教育学術新聞掲載コラム)No.315
大学リテラシー試論 大学人 特に職員の基礎知識を考える

というコメントをいただきました。

また、友人の@gine_joyboxからは、
「一つは長期的な経営の視点かなあ…。高等教育とかってすぐに結果を数値化できるもでもないし、投資の概念がない人に教育は語って欲しくない。」
「あと、判断基準の総てにおいて『それは学生にとって良いことか?』が最優先であること。プロ意識。」
という返事をもらいました。


一方、会の方では、ディスカッションの冒頭で、山本眞一先生から、各スピーカーの方々に対して、
「プロである職員とは?プロではない職員とは?」
という質問がありました。

それぞれ
柴田氏
「プロ:リーダーシップをもって主体的に動く。+αのある人。
プロじゃない:事務処理を遂行するのみ。」
大工原氏
「プロ:外向き思考(志向)。企画立案できる。
 プロじゃない:内向き思考(志向)。自大学・所属部署のみを見ている。」
鈴木氏
「プロ:『大学のミッションの実現』に対して主体性を持つ人。」
との回答がありました。


これらのヒントをもらいつつ、帰りに、昨日のあざみ野SDで知り合った方とお話をしていて、さらに刺激を受けつつ、頭の中を整理してみました。


1.大学職員に「プロ」も「プロじゃない」もないのではないか?
会社員や公務員に「プロ」も「プロじゃない」もなく、企業や役所等に就職した時点で会社員・公務員であるように、プロの大学職員と、プロでない大学職員がいるわけではない。みんな大学職員です。
このラインを掘り下げていくと、迷宮入りしてしまいます。
(山本先生の質問を否定しているわけではないです、念のため。今日の議論の場で、「プロとしての大学職員」とは何か、まず語に対する共通認識〔定義〕を持ったところから議論を始めなければね、という意味を込めて、問いを立てたのだと思うので。)


2.職業人としての「プロ意識」は必要。
大学職員に限らず、すべての社会人・職業人が備えるべき「プロ意識」は、やはり持っている必要があります。
ミッションの遂行に対して主体性をもって取り組むこと、幅広く長期的な視野で所属機関の利益を追求する(不利益になることをしない)こと、担当業務に全力であたり、手を抜かないこと、お客様などに誠意を持って対応すること…、などなど帰りがけの話の中でも出てきたのですが、それはなにも大学職員に限ったことではないし、@K0Eiさんの言うように「無理に分ける必要はない」のだと、私も思います。


3.大学で働く上で必要な「プロ意識」を、具体的な言葉に落とし込む
例えば、上記に挙げた、幅広く長期的な視野で所属機関の利益を追求する(不利益になることをしない)ことや、お客様などに誠意を持って対応することを、大学での業務に置き換えてみると、@gine_joyboxが言ってくれた「判断基準の総てにおいて『それは学生にとって良いことか?』が最優先であること。」という言葉になっていくのでしょう。
「学生にとって…」というのは、主として教育大学における視点であり、研究大学の場合は、「研究にとって…」も含まれる(「教員にとって…」ではない微妙なニュアンスの違いを込めています)と思います。


というわけで、結局、今日の私が受け取った「プロとしての大学職員」議論の着地点は、「大学職員各自が『プロ意識』をもって業務にあたる」というシンプルかつ個人に拠るところで終わってしまった感がありました。
ここから、それを実現するためには、人事評価、研修、組織づくりなど、個人を育成できる(個人が育つ)「環境づくり」をどうしていくか、という議論になっていくのでしょう。


「プロとしての大学職員」という言葉を聴いて、「プロとは?プロじゃない大学職員はいるの?」という疑問から始まった思考の旅は、めぐり巡って、自分の中で少し整理がついたような気がします。

大学の設置や規模によっても、また担当業務によっても、職員に求められる能力やスキルは違うから、「プロとはなんぞや」という問いの共通解は見い出せないし、議論しても仕方がないと思っていました。
でも、大きなところから落とし込んでいく思考プロセスを辿ってみたときに、やはり「大学」という教育機関で働く人が共通に持つべき「プロ意識」があるのだな、ということが、実感できました。


ただ、今日参加してみて、やはり私は「大学職員」について、あんまり深く考えない方が良いみたいです。ずっとずっと考えてきて、持っていたひとつの(私なりの)「答え」が現場に入ってガラガラと崩れてから、うまく再構築できていないので。

外側にいて再構築を試みても、崩れたときのインパクトが強すぎて、ネガティブな思考に走ってしまうので、もし「大学職員とは」ということを考えたいのであれば、また大学職員になりたいと思うようになって、実際に就いてからの方が良いみたいです。

今は、今の自分にできることを、やっていこうと思います。


いろいろと考えられる機会を得られたこと、@K0Eiさん、@gine_joyboxをはじめ、多くの方に考えるヒントをいただけたことに感謝します。ありがとうございました。


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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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疑問 (ある大学職員)
2010-09-19 12:46:56
大学という現場で働いている一人として、拝見したブログに疑問を感じ書き込みさせていただきました。


大学であれ他の仕事であれ、その仕事に就く前に持っていたイメージが入社後に崩れるのは普通のことではないでしょうか?

入社する前に持っていた「答え」なんて、それは一人よがりのものでしかないですし。

現場で挫折しながら、それでもそこで前を向き、逃げずに歩いていける人間こそが「答え」を探し、語る資格があるのでは。

プロかプロでないかは、覚悟を持ち、責任を背負える人。
それだけだと思います。

長文失礼しました。
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戦ってきたのですね。 (さくら)
2010-09-19 19:19:04
“ある大学職員”様

コメントありがとうございます。

「現場で挫折しながら、それでもそこで前を向き、逃げずに歩いていける人間こそが「答え」を探し、語る資格があるのでは。」

とのこと。

“ある大学職員”さんは、迷ったり、悩んだりしながらも、ずっと現場で戦ってこられたのですね。
ご自身が努力を続けてきたからこそ、私のように、簡単に弱音を吐いてしまうような態度に対して、苛立ちを覚えるのだと思います…。大変失礼いたしました。

ぜひ、昨日のイベントで、議論に一石を投じていただきたかったです。

「プロかプロでないかは、覚悟を持ち、責任を背負える人。」

これから私がどのような職に就くとしても、職業人として、正しくも貫くのが難しいこの意識を、持ち続けられるよう、努めていきたいと思います。

ありがとうございました。
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