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うな風呂

やる気のない非モテの備忘録

バイオショック・インフィニット  75点

2013年10月26日 | ゲーム日記
時は二十世紀初頭。
私立探偵ブッカー・デュイットはエリザベスという名の少女を連れだすという依頼を受ける。
たどりついたのは天空都市コロンビア。
ブッカーは探索を開始するが、やがて都市を包む狂気と不可解な事態に巻き込まれていく……


テイクツー・インタラクティブ・ジャパン
PS3/XBOX360
2013/04/25発売


今作、というか今シリーズはストーリー主導型FPS。
主人公を成長させながら一本のストーリーを追っていくという、RPG型のFPSだ。
このシリーズは主観視点での驚き、衝撃、というのをストーリー・演出ともに強く意識している。
1のシナリオはまさしくFPSにしかできないゲーム史に残る傑作だった。
今作も1ほどではないが、十分にFPSである意味を感じられるストーリーであり演出だった。

それを支えるのはグラフィック。
とにかく美しい空中都市コロンビア。
前作までの海底都市ラプチャーも美しかったが、今作の美しさはそれ以上。
20世紀初頭の文化でありながら空中都市という異常性を、その都市の住人たちの狂気とともに満喫できる。
スカイラインと呼ばれるレールがあちらこちらにはりめぐらされているのだが、天空都市を高速で飛びまわる楽しさと怖さはFPSならでは。

またローカライズもいい。
一作目も見事なローカライズだったが、今作も実に丁寧な翻訳ぶり。
ローカライズがいい加減だと台詞回しが直訳的でわかりづらくストーリーへの没入感がさがるが、今作のセリフは日本語として大変わかりやすく、声優の演技が達者なのとあいまって没入感が高かった。

もちろんゲーム性も、FPSとしての十分な完成度。
多彩な武器の使い分けはFPSの基本にのっとっているうえに、このシリーズ独自の超能力が、戦闘の駆け引きをさらに面白くしている。
普通に撃ちあいで勝ってもいいが、超能力をうまく使うことでさまざまな危機の切り抜け方があり、面白い。

また洋ゲーには珍しく、ヒロインが良い。
救うべき少女エリザベスは、顔自体は日本人の感覚としてはまだバタ臭いが、日本人から見ても十分に可愛く、その従順ではない行動力や言動と相まって魅力的。
それでいて映像的にも演出的にもストーリー的にも「救われるお姫様」となっていないのが良い。
ちゃんと自分の葛藤や考えがあり、それが最後までストーリーを左右していく。


ただ、ストーリーにも大きな難点がある。
根本的に近代アメリカ史を知っておかないと意味がわからない部分が多いのだ。
ネイティブ・アメリカンの虐殺など、アメリカ史の暗部とifに挑むような意欲的なストーリーではあるのだが、悲しいかな日本人としては意味がなかなかわからず、調べて理解はしても、その衝撃というものを体感することはできなかった。
またそのあたりの知識をおさえていたところで終盤の展開は唐突で、一度ではたぶん理解できない。
全貌を知るには一周して概要をとらえたうえで、もう一周して台詞一つ一つを理解しながら、ボックスフォンというシナリオの断片をすべて回収し、意味を理解した上でもう一度EDを見る必要があると思う。でなければ手っ取り早く解説サイトをさがして見るかするしかない。
せっかく高難易度モードが用意されているわけだし、意図的に二周プレイを推奨しているのかもしれないが、なんぼなんでもわかりにくすぎるのではなかろうか? 実際、理解してしまえばそこまで複雑なストーリーではないのに、核心の部分がわかりづらすぎる。

ゲーム的な欠点は、特殊能力のバランスに難アリといったところ。
「スカイラインの乗り降りで数秒無敵」など一部能力が極端に強く戦術を狭めている感がある。


上記のような欠点もあるが、総合的には秀作。
とにかく一度プレイをはじめるとノンストップの映像と演出に夢中になってプレイし続けてしまう。
あらゆるクオリティが安定して高く、嗜好さえあえば安心してプレイできる。ただその嗜好が決して万人受けとはいえないというか、前作まででも人を選んだのに、今作は前作とはちがう形で人を選ぶので、おすすめする気にはまったくなれない。
1に比べるとホラー要素が薄まった、という意見が多いように思えるが、たしかに1の閉鎖的な環境の重苦しさはなくなったと思う。が、ストーリーをしっかりと追っていけばいくほど、美しい楽園が狂った思想に支配された世界であることがわかり、その美しさと裏腹な人々の選民思想と狂気的排泄的な行動に恐怖できる。
逆をいえばストーリーを理解しないとなにも怖くないだろうな、と。
映像に頼らない恐怖を良いとするか悪いとするかは人を選ぶと思うが、しかし上述のとおり、その恐怖を理解するためのアメリカ基礎知識が必要なため、日本人には向いていないゲームだとも思う。自分としても、どうせプレイするならアメリカに生まれ育った人間としてこのゲームをやりたかった。これは洋書の名作とかを読んでいてもしばしば思う。
国の違いもあるから仕方ないのだが、もう少し親切さがあればよかったかな、という感じだった。





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